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生活習慣病対策室

1.生活習慣病対策

 健康的な生活習慣を確立することにより疾病の発症そのものを予防する「一次予防」の考え方が重視されるようになってきた今日、国民に生活習慣の重要性を喚起し、健康に対する自発性を促し、生涯を通じた生活習慣改善のための努力を社会全体で支援する体制を整備するために、平成8年12月に公衆衛生審議会から「生活習慣病」という概念の導入による疾病対策の構築について提言があり、平成9年7月には、公衆衛生審議会健康増進栄養部会・成人病難病対策部会合同部会から「今後の生活習慣病対策について(中間報告)」が厚生大臣に提出された。今後はこの中間報告に示されている、生活習慣病対策の推進、基盤整備及び目標・計画の策定を目指すこととなる。

(1)糖尿病対策について

 これまでの調査によると、40歳以上の成人の10人に1人が糖尿病であり、全国の糖尿病患者数は500万人を越えると推計されている。平成5年の患者調査の結果では157万人であった治療を受けている者が平成8年では218万人と増加しているが、依然相当数の患者が未治療のままの状態となっている。糖尿病は、視覚障害や腎臓障害といった合併症を引き起こすほか、動脈硬化を促進し、循環器病のリスクを増加させるなど、国民の健康にとって重大な危険因子である。糖尿病の予防、治療には食習慣や運動習慣など生活習慣の改善が重要であり、生活習慣病対策の重要な課題として取り組む必要がある。
 平成9年に、糖尿病実態調査を実施したところであり、平成9年度内にこの調査結果の速報を発表し、平成10年度内に報告書を作成する予定である。
 平成10年度は糖尿病の重大性、予防等について、国民に対する普及啓発を実施する予定としている。

(2)がん・循環器病対策について

 平成6年度より開始された「がん克服新10か年戦略」の一環としての、がん克服戦略研究事業を着実に推進するとともに、長期慢性疾患研究事業を平成10年度より健康科学総合研究事業に組み替え、その中で、糖尿病や循環器病の研究を行うこととしている。
 なお、引き続きがん及び循環器病の診療施設情報ネットワーク事業の計画的な全国展開を目指すこととしているので、都道府県の協力方お願いする。
2.栄養指導業務等の推進

(1)地域における栄養改善業務の推進について

ア 栄養士配置に対する地方交付税措置
 地域保健の対策強化に伴う、栄養改善業務が円滑かつ適正に行われるよう、「地域における栄養改善業務の推進について」(平成7年6月29日健医健発第832号保健医療局長通知)により都道府県及び市町村における栄養改善業務指針を示したところであり、引き続きその周知徹底を図り、住民のニーズに応じたきめ細かな保健サービスの円滑な実施に努められたい。
 このため、来年度においても、権限移譲に伴う栄養士の確保に必要な地方交付税の計画的措置が講じられているので、栄養士の配置について市町村に対して特段のご指導をお願いする。なお、栄養指導業務に従事する職員としては、その職務の性質上、管理栄養士が望ましい。
イ 外食・市販食品栄養成分表示
 適切な栄養情報の提供を図るために、外食については、平成9年度より「地域健康づくり特別事業」のメニューの一つとして「外食栄養成分表示店定着促進事業」の促進を図っているところである。また、市販食品については、表示された栄養成分についての情報の整備及び活用方法等を、平成9年度より(社)日本栄養士会に委託しているところである。今後もこれらの事業の推進及び普及啓発にご協力をお願いする。
ウ 集団給食施設等の栄養管理指導
 栄養改善法に基づく集団給食施設の栄養管理指導については、「集団給食施設等に対する援助及び指導について」(平成8年4月30日健医発第546号保健医療局長通知)をもって、その指導の強化をお願いしているところであるが、集団給食施設の中には管理栄養士または栄養士が配置されていない施設が約4割あり、今後とも栄養改善法の趣旨に基づきより一層の設置促進の指導をお願いする。

(2)21世紀の管理栄養士等あり方検討会について

 健康増進・生活習慣病等の疾病予防のためには、地域特性にあった健康・栄養教育を展開する人材の育成が求められている。また、近年の臨床栄養学領域の進歩にともない、栄養状態の評価判定に基づく栄養管理は、医療の一環として疾病の治療・予防及び治癒に欠かせないものとなっているほか、寝たきり老人や虚弱老人等に対する在宅・施設介護の分野においても個人に適した栄養管理を行うことが必要になってきている。
 このため、昨年8月から「21世紀の管理栄養士等あり方検討会」を開催し、多様化・専門化する保健・医療・福祉領域において、栄養の専門職種である管理栄養士等のあり方について検討を行っているところである。

(3)21世紀の国民栄養調査のあり方検討会について

 国民栄養調査については、これまでも血液検査や運動量の測定等の追加、個人別の栄養素摂取状況調査の導入など調査内容の改善、充実を図ってきたところであるが、国民の生活習慣や健康状態の把握、また調査結果の迅速な公表と有機的な活用等、一層の充実強化が求められている。
 このため、昨年7月から「21世紀の国民栄養調査のあり方検討会」を開催し、国民栄養調査の今後のあり方について検討を行っているところである。

(4)日本人の栄養所要量について

 「日本人の栄養所要量」は適正な栄養素摂取量の基準となるものであり、国民に対する食生活改善指導や集団給食施設指導等に広く活用されることにより、健全な発育や良好な健康・栄養状態の確保、生活習慣病の予防の推進が図れるとともに、病院福祉施設等の集団給食施設での適切な栄養管理に資するものである。現在は第5次改定を用いているところであるが、平成10年度において第6次改定に向けての検討を行うこととしている。



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