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7.国立病院・療養所の再編成等について

(1)行政改革会議最終報告(平成9年12月3日)
-国立病院関連部分抜粋-
Ⅳ 行政機能の減量(アウトソーシング)、効率化等
2 減量(アウトソーシング)の在り方
(2) 独立行政法人の創設
3) 独立行政法人の対象業務と設立の考え方
ウ 対象となる具体的業務




b 検討に当たっては、各業務類型ごとに以下の点に留意する。

ウ)医療厚生

○ 国立病院・療養所については、今後、計画的な整理・統廃合を進め、高度かつ専門的な医療センターやハンセン病療養所等を除き、独立行政法人化を図る。これに当たっては、国立病院・療養所の政策医療ネットワークの機能を阻害しないように留意する。





(3) 施設等機関の見直し

2)国立病院・療養所

ア 国立病院・療養所のおかれた状況と目指すべき方向
 国立病院・療養所については、公私立医療機関の充実や医療の高度化・専門化など医療をとりまく環境の変化を踏まえ、昭和60年以来取り組まれてきた再編成に関する方針を、真に国として行うべき医療に特化する方向で見直すべきである。

イ 再編成方針の見直し
a 政策医療の範囲
 上記の基本的な考え方に照らし、現在、国立病院・療養所の役割とされている政策医療の範囲の純化を検討すべきである。例えば、

緊急・広域の災害医療については、国立病院による対応が不可欠な場合を除
き、公私の医療機関に任せることを基本とする。
がん、循環器病、免疫異常等の疾病に対する先駆的医療については、高度専門
医療センターや大学附属病院等の高度の研究機能との連携を視野に入れつつ、
研究と診療との一体性の確保の可能性を検討し、明確な位置付けのできない施
は再編成の対象とする。
結核については、最低限、現在進められている「原則各都道府県1ヶ所」に集
約・合理化するなど、その必要性に適合するよう大幅に整理縮小する。
重症心身障害については、「社会福祉法人等への経営移譲をモデルとして 実
施」との現在の方針をさらに徹底し、具体的に社会福祉法人への移譲を進める。
など、政策医療の範囲について、民間による供給が不可能か、あるいは民間に
ゆだねては極めて問題が生じる分野を除いて、機能の縮小・廃止を進めるととも
に、全国的な規模・視点で統一的に行われる必要がない診療等について、地方移
管を進めるべきである。

b 臨床研修の見直し
 臨床研修については、研究と研修を第一義的に行う大学附属病院との連携を今後さらに深めていくこととする。

c 再編成のための措置
 国立病院・療養所の統廃合・経営移譲を一層推進するため、従来の再編成特別措置のさらなる拡充が必要である。

ウ 国立病院・療養所の組織・運営の見直し
 国立病院・療養所については、積極的・主体的な効率化やサービス向上、各施設の連携・協力による自律的な活力の維持・増進、各施設の経営内容の公表及び適切な評価を基礎とした経営の改善などが求められている。
 このような要請に応え得る組織とするため、高度かつ専門的な医療センターやハンセン病療養所等を除き、独立行政法人化を図るとともに、各施設の事業体としての経営管理体制の確立や、各施設ごとの収支区分の明確化が必要である。また、統一的な経営管理指標に基づく自己点検・外部評価の実施及び公表の仕組みを検討すべきである。
 なお、組織の見直しに当たっては、国の医療機関としての責務を果たし得る組織運営体制、今後の再編成計画の策定・実施との整合性、社会情勢の変化に即応して柔軟に組織運営を見直し得る体制の確保に留意する必要がある。





(2) 行政改革と国立病院・療養所の再編成の推進

1) 行政改革会議最終報告の内容

○ 国立病院・療養所については、
 「今後、計画的な整理・統廃合を進め、高度かつ専門的な医療センターやハンセン病療養所等を除き、独立行政法人化を図る。これに当たっては、国立病院・療養所の政策医療ネットワークの機能を阻害しないように留意する。」
と、されたところ。

2) 独立行政法人の担うべき医療

○ 独立行政法人の担う業務については、最終報告において、それが「実施されない場合には、国民生活や社会経済の安定等に著しい支障を生ずるもの」と規定されているように、国立病院・療養所の大半が独立行政法人に移行した場合にも、ナショナルセンターとの連携の下、機能面における施設間の政策医療ネットワークを一層強化し、今後も着実に、これまで国立病院・療養所が担ってきた政策医療の遂行に努めていく。

3) 再編成の一層の推進の必要性

○ 政策医療以外の一般的な地域医療については、独立行政法人の担う業務の性格に照らし、他の公私立医療機関に委ねていく必要があり、最終報告においても、計画的な整理・統廃合を進めることとされているところ。
 また、行政改革会議と並行して行われた自由民主党行政改革推進本部スリム化プロジェクトチームによる厚生省ヒアリング(昨年10月22日、11月5日)の際にも、国立病院・療養所について一層強力にスリム化を進めるべきとの意見が委員より出されていたところ。

○ 再編成の必要性は高まりこそすれ、決して後退するものではない。
 独立行政法人になれば再編成計画についても白紙に戻るのではないかとの問い合わせもあるが、再編成が進まない施設が、独立行政法人の中で存続し続けることはあり得ない。

(3) 国立病院・療養所の再編成

1) 再編成の基本的考え方

 国立病院・療養所については、地域の一般的な医療は公私立医療機関に委ね、国立医療機関として担うべき医療等に特化していく。そのため、統廃合・経営移譲といった再編成を通じて、経営資源を集約・集中し、その機能強化を図るものである。

国立病院・療養所の担うべき役割
a. 国家の危機管理や国際貢献における役割(国際感染症、広域災害などへの対応)
b. 戦略的医療における役割(がん、循環器病などへの対応)
c. 歴史的・社会的経緯等により地方・民間での対応が困難な領域での役割(エイズ ハンセン病、結核などへの対応)
d. 国家的見地から重要な医療政策を実践する役割(新たな診療報酬支払い方式の試
験的な実施など)

2) これまでの実施体制

方針
国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」(昭和60年3月)
計画
国立病院・療養所の再編成全体計画」(昭和61年1月)
→概ね10年間を目途として推進
当初239施設
165施設までの削減を計画統合・移譲で74施設の減)
法律
国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律」(昭和62年10
月)
→国立病院・療養所の資産の減額譲渡制度などの特例措置を創設

3) 再編成促進措置の充実

 再編成の推進については、地元関係者等の理解を得るのに時間を要するとともに、適当な引受先が現れなかったことなどから、その進捗ははかばかしくなかった。一方で、再編成計画策定後10年余が経ち、地域医療計画の策定など国立病院・療養所を取り巻く環境も大きく変化した。
 これらを踏まえ、平成8年には以下の措置を講じ、再編成の一層の推進を図ることとした。
法律改正
資産の譲渡先の拡大など、特例措置を拡充(平成8年5月)
指針改定
政策医療の内容について改めて整理し直すとともに、再編成に一層積極的に取り組むこととした(平成8年11月)

4) 再編成の進捗状況

 最近の状況としては、再編成計画公表以来の10年余の取組みの積重ねがようやく功を奏しつつあり、また、昨年、法律の改正や基本指針の見直しも行われたことから、再編成が加速しつつある。本年度末までには21施設減少することとなる。
・平成8年度までに終了したもの
14ケース25施設で15施設の減
・平成9年度に統合、移譲したもの
6ケース8施設で6施設の減
・統合予定で建物整備中のもの
4ケース7施設で3施設の減

(参考)
区 分 再編成計画


施設数
年  次  別
(昭和)
61
62 63 (平成)
統合による減 △40   △1         △3 △3 △1 △3 △1 △2 △14
移譲による減 △34       △1       △1     △1 △4 △7
△74   △1   △1     △3 △4 △1 △3 △2 △6 △21
※ 現在、具体的に調整中のものが、20~30施設

5) 再編成の更なる推進

行政改革プログラム-平成8年12月閣議決定-

○現行の再編成計画対象施設については、平成12年度末までに施設の廃止を含め対処方策を決定し、一層強力に再編成を実施していく。

○現在、再編成の対象となっていない施設についても、国として果たすべき役割を適切に遂行できないものは、新たに再編成の対象施設として追加することを検討する。



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