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5.国民の健康づくり対策について

(1)健康増進疾病対策中長期計画(健康日本21(仮称))

ア.基本的考え方

 来るべき本格的な高齢・少子社会を健康で活力あるものとし、医療費等の社会保障負担を適正な水準に保っていくためには、発病してからの早期発見や治療ではなく、発病以前の対策に力を注ぐ予防や高度な生活の質の維持が必要である。
 この計画は、政府が一体となって、国民の健康増進、疾病予防および生活の安全確保のために国民の保健医療上重要な課題となる対象分野を設定し、保健医療水準の指標となる具体的目標を定め、達成するための諸施策を体系化した計画を策定するものである。
 なお、アメリカ、ヨーロッパ諸国などにおいても同様の計画が実施されているところであるが、わが国としては特色ある計画を策定する必要がある。

イ.方法

 国民に対する保健、医療、福祉サービスの向上と、より一層の健康づくりのために、政府一体となって、都道府県、市町村、医師会、歯科医師会、栄養士会等の関係団体、保険者、学会等の関係者の協力の下に以下の策定作業を行っていく。
1)体制の整備
2)対象分野の選定
3)現在の健康水準等を知るための基本データの収集
4)西暦2010年までに改善すべき目標値の設定
5)計画の評価方法の検討
 1999年までに上記の作業を終了し、2010年を最終年度として2000年から実施していく。また、計画の中間年の2005年に計画の進捗状況について、中間評価を行い必要に応じ改善を加えていく。

ウ.計画の構造(案)

同計画は次の要素から構成され、推進していく。
目標分野の設定






問題点・具体的な内容の検討






進捗状況の評価
目標を達成するための個別施策とその2010年における目標値を設定
現在の状況等の分析

エ.領域別目標

 若年死亡の減少と痴呆や寝たきりにならない状態で生活できる期間を延長することと、生活の質の向上を基本にそれぞれの分野で具体的な数値目標を設定する。

(2)たばこ対策の推進

ア. 現状

 従来、たばこ対策については、平成5年の公衆衛生審議会「喫煙と健康問題に関する報告書」等を踏まえ、今後のたばこ対策の礎として平成7年3月に「たばこ行動計画検討会報告書」がとりまとめられ、公衆衛生審議会より意見具申された。
 これを受けて、厚生省としては「未成年の喫煙防止(防煙)」、「受動喫煙の害を排除・減少させるための環境づくり(分煙)」、「禁煙希望者に対する禁煙サポート及び喫煙継続者の節度ある喫煙(禁煙支援・節煙)」を3つの柱として、各実施主体の自主的なたばこ対策の取り組みを促進するため、普及啓発を中心とした施策を講じてきた。
 特に、公共の場所や職場における分煙については、厚生省、労働省及び人事院等からそれぞれ指針が示され、分煙の環境づくりが進められている。また、たばこ業界も、自動販売機の深夜稼働停止(平成9年)や広告規準の改訂(平成10年4月より電波媒体での広告を自粛)などの取り組みを進めている。

イ.今後のたばこ対策

 近時、若年者(特に女性)の喫煙率の上昇、たばこ消費の拡大、たばこ関連疾患による死亡者数の増大、それに伴う医療費等の問題が明らかになってきており、喫煙習慣とニコチンの依存性との関連や、たばこ煙の発がん性等の危険性、低タール化に伴う健康影響等について、国際的な知見や諸外国のたばこ対策の動向に変化もみられることから、我が国においても、これらについての管理方策の検討など、適切な対応を図る必要性が生じている。

 このため、厚生省としては、次の施策を順次実施することとしている。
 (ア)「21世紀のたばこ対策検討会(仮称)」を開催し、たばこは嗜好品であるという従来の社会通念と非喫煙者対喫煙者という対立の構図から脱却し、有害物質かつ依存性物質を含むたばこ製品に対するリスク評価とリスク管理の観点から、本格的なたばこ対策の実施について検討する(平成9年度)。
 (イ)たばこと健康問題に関する内外の科学的知見と諸外国のたばこ対策の状況を集約し、リスク科学に基づいた報告書「たばこ白書」を作成する(平成10年度)。
 (ウ)「喫煙と健康問題に関する実態調査」(平成10年度)を行い、国民の喫煙ならびに受動喫煙の実態、喫煙の健康被害に関する知識や意識を把握する。

〈参考〉

 「厚生白書」平成9年版:「喫煙が健康へ与える影響は大きく、本人のみならず、周囲の人々にも受動喫煙によりさまざまな危険性がある。喫煙習慣は個人の自由意思に基づく嗜好の一つとされてきたが、一方で、喫煙習慣をニコチンによる依存性の視点から捉えることが重要である。喫煙習慣は個人の嗜好の問題にとどまるのではなく、健康問題であることを踏まえ、たばこ対策を一層推進することが求められている。」と記載された(平成9年6月)。
 公衆衛生審議会により報告された「今後の生活習慣病対策について(中間報告)」においては、今後の生活習慣病対策において、「たばこ対策については、他の先進国と比べるとなお環境整備が遅れているため、喫煙防止の徹底、受動喫煙対策、禁煙希望者に対する支援等を拡充するとともに、広告や販売のあり方などについてもより積極的な対策を打ち出すべきである。」とされている(平成9年7月)。



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