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2.新型インフルエンザ対策について


(1)香港で発生している新型インフルエンザ問題について

ア 現 状
 昨年8月に、香港にて新型インフルエンザウイルスA(H5N1)が患者から分離されたとの報告を受け、直ちに現地に職員を派遣、情報収集を行うとともに現地政府と意見交換を行った。
 その結果、当面直ちに流行の恐れはないと判断し、対策としては継続的な情報収集を行ってきた。12月に入り新たな患者の報告があり、再度現地に職員等を派遣再度情報収集と現地政府との協力体制の確立を行った。
 その後、香港では1月7日時点で、16人の確認患者と2名の疑い患者の合計18名の患者が報告されている。

イ 厚生省の対応
(ア)監視体制の強化
1) 香 港 等

・国立感染症研究所 呼吸器系ウイルス室長を現地へ派遣(12. 9〜12.11)
・検出キットの供与、調査協力の強化(12.12発表)
・厚生本省担当者を香港へ派遣(12.16〜12.19)
・国立感染症研究所の研究者ら5名を情報提供・技術協力のため香港へ派遣(12.17〜30、1.5〜)
2) 日 本 国 内

・H5検査キットを地方衛生研究所へ配布し(12.22)、検出体制の強化を指示(通知「インフルエンザ発生動向調査体制の強化と検査試薬の配布について」を発出(12.19))
(イ)ワクチン
ワクチン製造用ウイルスの分析を開始(12.12発表)
(ウ)予防内服薬
 アマンタジンのインフルエンザに対する効能拡大申請の可能性について検討を要請(12.12発表)
(エ)国民への情報提供
・新型インフルエンザウイルスについての一般向けQ&Aを作成し、厚生省ホームページに掲載(12.12発表)
・Q&Aを更新(12.19、12.25)
・新型インフルエンザ対策検討会の提言を厚生省ホームページに掲載(12.26発表)
(オ)諸外国との協力
 香港政府、CDC、WHOと連携をとってさらに情報収集等を行うとともに、今後方針について意見交換。

(2)新型インフルエンザ対策報告書について

ア 報告書作成の趣旨と経緯
 厚生省では、香港で新型インフルエンザウイルスが分離されたという報告以前の昨年5月、新型インフルエンザの対策を検討することを目的とし、新型インフルエンザ対策検討会を設置した。合計9回にわたって検討を重ね、その結果が昨年10月24日付け「新型インフルエンザ対策報告書」として取りまとめられている。

イ 報告書の内容
(ア)新型インフルエンザについて、総論として、出現理論や出現様式等を紹介し、出現した場合の影響に言及した。
(イ)各論として、対策の必要性、事前の準備、出現時の対応(行動計画)を記載した。
(ウ)事前準備として、発生動向調査、ワクチン、予防内服、情報の提供についてふれ、特にワクチンについては、基本的考え方、供給体制、計画的接種の準備等について具体的かつ詳細に記載するとともに、今後の開発研究及びワクチン株の系統保存庫の整備にも言及した。
(エ)行動計画として、新型インフルエンザウイルスの確認、対応体制の確立、ワクチン接種、予防内服薬、医療体制の確保等についてふれ、それぞれについて、具体的な状況ごとに対応指針を記載した。特にワクチンについては緊急生産の方法等とともに優先的に接種すべき各種集団についても示した。
(3)平成10年度予算案での対応

ア 新型ウイルス系統調査・保存事業の実施
 新型ウイルスによる地球的規模での流行が予測されている新型インフルエンザに備えるため、ウイルス株を選別・保存し、ワクチンを緊急に製造することが可能になるような体制を整備する。

イ 流行予測調査の充実
 新型インフルエンザの出現に備え、トリ、ブタ、ヒトに対し、新型インフルエンザ検索検査、DNA検査等を行い流行を予測する。

ウ 新型インフルエンザに関する研究の充実強化
 平成9年度「新興・再興感染症研究費」で対応しており、平成10年度においても、「新興・再興感染症研究費」にて継続して研究を行う予定。



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