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7 地域福祉の推進について(地域福祉課)


 急速に少子・高齢化が進展する中で、国においては、「新ゴールドプラン」、「エンゼルプラン」、「障害者プラン」を策定し、国、地方公共団体を通じこれらの、公的施策の一層の充実を図っているところである。
 地域社会においては、社会福祉協議会(以下、本項において「社協」という。)、民生委員をはじめとして、ボランティア団体、地域住民等による助け合い活動や様々な福祉活動が活発になってきている。また、平成7年1月の阪神・淡路大震災におけるボランティア活動が一つの契機となって、国民のボランティア活動等に対する関心はかつてない高まりを見せている。
 地域福祉を進めていくうえで、公的施策の充実はもとより、このような地域社会における住民相互の助け合いや交流活動、社協等の民間福祉活動等の支援を積極的に進めていくことが重要である。
 厚生省においては、今後とも、次のような取組みを通じて地域福祉の推進を図っていくこととしている。

  1) 社協については、市区町村社協を中心として、事業型社協の推進、「ふれあいのまちづくり事業」の実施等により、地域に密着した社協活動の一層の充実を図る。

 2) ボランティア活動については、社協に設置されたボランティアセンターへの助成等を通じ、国民の自主的・自発的な福祉活動への参加を促進するための基盤整備を積極的に図っていく。
 特に平成10年度予算(案)においては、市区町村ボランティアセンター活動事業について、実施箇所数の増を図ることとしている。

 3) 民生委員については、地域住民の身近なところで活動する民生委員の特徴に鑑み、民生委員に対する研修の実施により、資質の向上、活動の強化を図る。

各都道府県・指定都市・中核市においては、このような動向に十分留意され、地域社会において社協、ボランティア、民生委員等の活動が一層活発になるよう、その指導等に積極的に取り組まれたい。

(1) 社協活動の推進

ア ふれあいのまちづくり事業の推進

(ア) ふれあいのまちづくり事業は、市区町村社協が実施主体となって、地域住民の参加と関係機関との連携のもとに、地域に即した創意と工夫により具体的な課題に対応するとともに、住民相互の助け合いや交流の輪を広げ、共に支え合う地域社会づくりに寄与することを目的としている。
 本事業については、平成7年9月の中央社会福祉審議会地域福祉専門分科会小委員会報告「地域福祉の展開に向けて」の趣旨を踏まえ、平成8年7月に実施要綱を改正し、一層の充実を図ったところであり、引き続き、事業の適正な実施等について指導、助言されたい。
(イ) 平成10年度予算(案)においては、補助金の整理合理化の観点から、実施箇所数及び1ヶ所当たり事業費について、見直しを行ったので留意されたい。

(参考1)「ふれあいのまちづくり事業」実施箇所数

  9年度   10年度(案)
【A型事業】 362ヶ所 328ヶ所
【B型事業】 38ヶ所 34ヶ所
400ヶ所 362ヶ所

(参考2)「ふれあいのまちづくり事業」1ヶ所当たり事業費

【A型事業】 9年度 10年度(案)
○ 1〜3年次 15,747千円 12,658千円
○ 4 年 次 14,747千円 10,543千円
○ 5 年 次 10,853千円 10,543千円
【B型事業】 4,094千円 2,115千円

(ウ) 平成10年度においては、平成5年度指定の市区町村社協についての指定替えを行うこととしている。新たな指定に当たっては、年度内にヒアリングを予定しているので、各都道府県・指定都市においては、事業実施計画市区町村社協の事業内容や実施体制、取組み意欲や事業実施により期待される成果などを十分精査の上、それぞれ1〜2ヶ所を目途に選定し、協議願いたい。また、市区町村の社会資源や財政状況等を勘案し、B型事業の選択も検討されたい。
(エ) 平成8年度以降新規指定の市区町村社協については、実施要綱に基づく事業実施3年目の評価に向けて、毎年の事業実施に係る成果等を整備しておくよう指導、助言されたい。
 なお、平成10年度においては、平成8年度指定社協についての事業の成果を評価し、その継続について検討していただくこととしている。
(オ) 現在、本事業を実施している市区町村社協に対しては、その事業効果が十分上がるよう指導・支援されたい。
 また、指定が終了となる市区町村社協に対しては、本事業の実施により得られた成果の定着が図られるよう指導・支援されたい。
イ 事業型社協の推進

 市区町村社協においては、地域における在宅福祉サービス等の充実を図るため、社会福祉を目的とする事業を企画、実施するなど、地域に密着した具体的事業を行っていくことが求められており、具体的な福祉サービスの提供等の事業を行っている市区町村社協数は、年々着実に増加している。
 厚生省においては、事業型社協の推進により地域における福祉サービスの充実を図るため、平成6年度に「事業型社協推進事業」を創設し、都道府県・指定都市社協が積極的に事業型の市区町村社協を育成、指導していくこととしたところである。
 各都道府県・指定都市においては、今後とも、事業型社協の推進のため、「ふれあいのまちづくり事業」の成果をも十分に踏まえながら、管下都道府県・指定都市社協に対する指導・支援に特段の配意をされたい。
 また、各種事業の受託等について市町村との十分な連携を図るとともに、住民参加による事業の推進についても併せて配慮願いたい。

(参考1)市区町村社協における主な事業の実施状況

5年度 7年度
・ホームヘルプサービス 2,245社協 2,422社協
・デイサービス 537社協 909社協
・食事サービス 2,432社協 2,519社協
(387万食) 566万食)

(参考2)「事業型社協推進事業費」1ヶ所当たり事業費

9年度 10年度(案)
2,730千円 2,748千円

(2) ボランティア活動の基盤整備

 厚生省においては、「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」(平成5年4月)や「ボランティア活動の中長期的な振興方策について(意見具申)」(平成5年7月)等に基づき、国民の自主性、自発性を尊重しつつ、「いつでも」、「どこでも」、「誰でも」、「気軽に」、「楽しく」、ボランティア活動に参加できるよう、ボランティアセンターに対する助成等を通じて、その基盤整備を図っているところである。
 御存知のように、平成7年1月の阪神・淡路大震災を契機とし、また、その後のタンカー重油流出事故等の際にも見られるように、ボランティア活動に対する国民の関心が、かつてない高まりを見せている。
 現在国会においては、ボランティア団体等の民間の非営利組織に法人格を付与する「市民活動促進法案」(NPO法案)が継続審議とされているところである。また、平成9年11月に行われた第52回国連総会においては、西暦2001年(平成13年)を「国際ボランティア年」として宣言する旨の決議が採択されたところである。
 都道府県・指定都市・中核市においては、これらの動向を十分に踏まえ、ボランティア活動の推進の機運を一層高めるよう、体制の整備はもとより、ボランティア基金や地域福祉基金等の積極的な活用を図る等、ボランティア活動の促進に特段の指導・支援を行うよう配慮されたい。

ア ボランティアセンター事業の推進

(ア) 都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業広域的な観点からボランティア活動の促進を図る都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業においては、これまで福祉教育推進事業(学童・生徒のボランティア活動普及事業等)や養成・研修事業(ボランティア活動コーディネーターの養成等)等に取り組んでいるところであり、引き続きこれらの事業の充実・強化を図られたい。
 なお、平成10年度予算(案)においては、補助金の整理合理化の観点から、1ヶ所当たり事業費について、見直しを行ったので留意されたい。
(参考)「都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業」
1ヶ所当たり事業費

9年度 10年度(案)
21,288千円 18,414千円

(イ) 市区町村ボランティアセンター活動事業

 市区町村ボランティアセンターは、住民に最も身近な市区町村におけるボランティア活動の拠点として、相談や登録・あっせん、入門講座の開催、福祉救援ボランティア活動の促進のための事業を行っているが、平成10年度予算(案)において、国庫補助対象箇所数を443ヶ所から473ヶ所(30ヶ所増)に拡大することとし、市区町村社協における本事業の幅広い実施を目指しているところである。
 本事業の国庫補助期間は実施要綱において原則3年間としていることから、10年度には、7年度に指定した59ヶ所分の指定替えについても、30ヶ所の新規指定と併せて行うこととしている。10年度の国庫補助の決定に当たっては、年度内にヒアリングを予定しているので、事業実施計画市区町村社協を各都道府県・指定都市それぞれ3ヶ所程度選定し、事業内容等を十分精査した上で協議願いたい。
 現在、本事業を実施している市区町村社協に対しては、その事業効果が十分上がるよう、また、本年度で国庫補助の指定が終了する社協に対しては、引き続き10年度以降も事業の定着が図られるよう指導・支援されたい。併せて、都道府県・指定都市においては、国庫補助指定外のボランティアセンターに対しても、地域の実情に応じた事業の実施が図られるよう指導・支援願いたい。
 なお、補助金の整理合理化の観点から、本事業の1ヶ所当たり事業費については見直しを行ったので留意されたい。

(参考)「市区町村ボランティアセンター活動事業」1ヶ所当たり事業費

9年度 10年度(案)
4,190千円 3,806千円

イ ボランティア功労者に対する厚生大臣表彰

 ボランティア活動が一層拡大していくためには、誰もがボランティア活動に参加しやすくなるための基盤整備や啓発・広報等を推進するとともに、ボランティア活動が社会的に評価されることが重要である。
 このような観点から、厚生省においては、都道府県・指定都市・中核市等からの推薦に基づき、ボランティア功労者に対する厚生大臣表彰を毎年実施し、ボランティア活動の社会的評価の向上を図っているところである。
 都道府県・指定都市・中核市においては、平成10年度においても、各地域で活動している様々な個人や団体について推薦願いたい。また、福祉分野等のボランティア功労者に対する表彰制度については、ほとんどの都道府県・指定都市・中核市において設けられているところであるが、未だ表彰制度を設けていない場合は、制度化について早急に検討されたい。
 なお、被表彰者等については、活動事例の紹介等のPR活動を行うこと等により、ボランティア活動の社会的評価の向上に積極的に努められたい。

ウ その他

(ア) 全国ボランティアフェスティバルの開催について

 平成10年度(第7回)の全国ボランティアフェスティバルは、平成10年9月26日・27日に山形県(山形市)で開催されることとなっているので、各都道府県・指定都市・中核市においては、本フェスティバルへのボランティア等の幅広い参加等について協力願いたい。
 また、今後の開催地については、平成11年度(第8回)は宮崎県、平成12年度(第9回)は徳島県が既に決定されているところであるが、平成13年度以降の開催を希望する場合は、早期に全国ボランティアフェスティバル推進協議会(事務局:全国社会福祉協議会)へ要望するとともに、社会・援護局地域福祉課へもその旨連絡願いたい。

(イ) ボランティア活動保険

 ボランティア活動保険は、ボランティア活動を行う者が、その活動中の事故に伴う傷害、損害を補償するものとして、全国社会福祉協議会と民間損害保険会社との契約に基づき、市区町村社協を受付窓口として運営されている。
 都道府県・指定都市・中核市においては、ボランティアが安心して活動に取り組むことができるよう、ボランティア活動保険の普及等について配慮されたい。

(3) 民生委員活動の推進

ア 民生委員活動の充実

 民生委員は、社会奉仕の精神をもって、地域住民に最も身近なところで相談・支援活動を行っており、今後とも、地域住民の立場に立ち、地域の福祉需要に即した相談・支援活動をより活発に行っていくことが必要である。
 また、このような活動は、民生委員一人が担うのではなく、地域住民をはじめ、ホームヘルパー、社会福祉施設、社会福祉協議会、行政機関など地域の様々な関係機関等との連携によって進めることが重要である。
 各都道府県・指定都市・中核市においては、今後とも、民生委員活動の円滑な遂行と充実が図られるよう努められたい。
 なお、平成10年度の全国民生委員児童委員大会は、福岡県・北九州市・福岡市において開催することとしているので了知願いたい。

(参考)「平成10年度第67回全国民生委員児童委員大会」の開催日程等

日 時
会 場
平成10年10月19日(月),20日(火)
「マリンメッセ福岡」他

イ 人権・同和問題に関する理解の促進等

 民生委員法においては、民生委員の職務の遂行に当たり、個人の人格の尊重、差別的な取扱いの禁止について規定している(第15条)。全ての民生委員が、研修等を通じて人権問題や同和問題についての理解と認識を一層深めるとともに、日々の活動において、基本的人権の尊重や差別意識の解消に向けて、積極的に実践していくことが必要である。
 各都道府県・指定都市・中核市においては、今後とも民生委員に対する人権・同和問題に関する理解と認識を深めるための研修等の充実強化に努め、その実施に当たっては、都道府県・指定都市民生委員児童委員協議会等と連携し、積極的な指導について配意願いたい。


8 生活福祉資金貸付制度の運営について(地域福祉課)


(1)制度の効果的運営

 経済的自立と生活意欲の助長促進等を図ることを目的として運営されている生活福祉資金貸付制度は、平成8年度には、約18千件、約170億円の貸付けを行うなど低所得対策等の中核的な施策として大きな役割を果たしている。
 また、阪神・淡路大震災に際して特例措置を実施する等、生活福祉資金は低所得世帯等のために極めて大きな役割を果たしているだけでなく、その時々のニーズにも的確、機動的に対応した措置を講じてきたところである。
 近年の貸付状況を見ると、修学資金は伸びているものの更生資金や住宅資金等は若干減少している。また、貸付実績等については、各都道府県ごとに格差が見られるところである。
 本制度は、世帯の自立及び生活のための援助に役立てるための制度であるので、その運営を担っている管下都道府県・市区町村社会福祉協議会に対し、制度の積極的な広報、啓発等を一層徹底するとともに、民生委員をはじめ関係機関等との連絡・調整を密にし、対象世帯の貸付需要に適切かつ円滑に対応できるよう指導の徹底を願いたい。

(2)貸付原資の国庫補助等

 平成10年度予算(案)においては、低所得世帯等の資金需要に応ずるとともに、中国残留邦人等の国民年金特例納付に対応するため、貸付原資の追加を予定しているので、各都道府県においても所要の財政措置について特段の配意を願いたい。
 また、貸付対象世帯について、従来、身体障害者世帯及び精神薄弱者世帯について所得制限の撤廃を行っていたところであるが、「障害者基本法」及び「精神保健福祉法」の成立、また、「障害者プラン」の策定を受けて、精神障害者の社会復帰の促進及び自立、社会参加の促進等を図る観点から、平成10年度から精神障害者世帯についても身体障害者世帯及び精神薄弱者世帯と同様に所得制限を撤廃することとしているので、対象世帯の貸付需要等に適切に対応できるよう、管下都道府県・市区町村社会福祉協議会及び民生委員をはじめ関係機関等に対する周知及び指導の徹底を願いたい。


9 地方改善事業の推進について(地域福祉課)


(1)地方改善事業の推進

ア 一般対策としての地方改善事業

 地方改善事業については、平成8年5月17日の地域改善対策協議会意見具申「同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方について」及び同年7月26日の閣議決定「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」に基づき、これまでの成果が損なわれるなどの支障が生ずることのないよう、地域の状況や事業の必要性に応じて積極的に施策を実施するよう特段の配慮を願いたい。

(ア)地区道路・橋梁等整備事業

 地区道路等の地方改善施設(設備)整備事業については、各地方自治体の要望も踏まえた上で、法期限内に実施できなかった事業や新たな幹線道路整備に伴うアクセス道の必要性等にかんがみ、一般対策移行後も引き続き所要の施設整備を図ることとしている。
 なお、地域改善対策の一般対策移行分については、平成9年度以降の5年間に限り補助率3分の2としているところである。

(イ)隣保館整備事業

 一般対策へ移行に際し、社会福祉事業法の第2種社会福祉事業として平成9年度以降、社会福祉施設等施設(設備)整備費補助金において整備事業を実施している。
 なお、地域改善対策の一般対策移行分については、平成9年度以降の5年間に限り補助率3分の2としているところである。
 また、社会福祉施設並びで平成9年度から老朽施設に対する改築費等を補助対象(補助率2分の1)としているので市町村に対し、制度の周知及び活用について特段の指導を願いたい。

(ウ)隣保館運営事業

 隣保館の運営については、平成9年度以降、社会福祉事業法の第2種社会福祉事業として、一般対策に位置付け、周辺地域を含めた地域社会全体の中で、福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして、隣保事業の展開を図ることとしたところである。
 ついては、平成9年度に隣保館機能のさらなる充実強化を図るために一般対策移行時に新たに設置した3事業(地域交流促進事業、継続的相談援助事業、広域隣保活動事業)については、引き続き定着を図るとともに、隣保館活動において高齢者、障害者在宅福祉対策等の一般施策の活用が図られるよう従来にもまして特段の指導を願いたい。

イ 地域改善対策特定事業(経過措置・生活相談員設置事業)

 厚生省の所管する地域改善対策特定事業については、平成9年3月の「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律」(地対財特法)により生活相談員設置事業が経過措置対象事業となっている。平成13年度に終期を迎える本事業について、計画削減が円滑に行われるよう対象市町村を指導願いたい。

ウ ウタリ福祉対策事業

 ウタリ福祉対策については、ウタリ集落の生活環境の改善を図るため平成7年2月に北海道庁において策定された「第4次ウタリ福祉対策」(平成13年までの7年間)の推進とあわせ、平成9年5月に制定されたいわゆる「アイヌ新法」の趣旨を踏まえた事業の実施に努めることしている。

(ア)地区道路・橋梁等整備事業

 地区道路等の施設整備事業については、各地方自治体の要望も踏まえた上で、引き続き所要の施設整備を図ることとしている。

(イ)生活館整備事業

 生活館整備事業については、平成10年度から隣保館と同様、社会福祉施設等施設(設備)整備費補助金において整備事業を実施することとしている。
 また、平成10年度から新たに老朽施設の改築費等を補助の対象とするとともに、指定都市及び中核市を除く市町村立の生活館整備については、新たに北海道の負担を導入することとしている。

(参考)生活館整備事業にかかる経費の負担割合

【市町村立の場合】

市町村
1/2 1/4 1/4

【指定都市立及び中核市立の場合】

指定都市
・中核市
1/2 1/2

(ウ)生活館運営事業

 生活館運営事業については、アイヌの人々を中心とした地域住民に対する相談事業や地域交流事業等を実施しているが、10年度からは指定都市及び中核市を除く市町村立の生活館について、新たに北海道の負担を導入することとしている。

(参考)生活館運営事業にかかる経費の負担割合

【市町村立の場合】

市町村
1/2 1/4 1/4

【指定都市立及び中核市立の場合】

指定都市
・中核市
1/2 1/2

(2)人権・同和問題に関する理解

ア 啓発及び研修の充実

 差別の解消に資するうえで人権問題や同和問題についての啓発・研修のもつ意義は大きく、心理的差別の解消に向けての取組が積極的になされることが重要である。
 このため、管下行政関係職員をはじめ社会福祉・保健衛生に携わる関係者等に対し、積極的な啓発・研修を通して人権・同和問題に関する理解が深められるよう、特段の配意を願いたい。

イ 「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画

 平成9年7月4日「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画が策定され、「3.重要課題への対応」として、「同和問題」、「アイヌの人々」が位置付けられたところである。ついては、隣保館における総合的な活動の推進やアイヌ民族に対する歴史・文化等への理解と認識を深めることなど国内行動計画の趣旨を十分踏まえ、一人一人の人権が尊重されるよう各般の指導・啓発を願いたい。
  なお、行動計画の実施に当たっては、人権擁護施策推進法に基づき法務省に設置された人権擁護推進審議会において、1)人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項2)人権が侵害された場合における被害者の救済に関する基本的事項が調査・審議されているので、その動向等についても注視されたい。


10 消費生活協同組合の指導・育成について(地域福祉課)

(1)生協を取り巻く環境

 今日、消費生活協同組合法(以下「生協法」という。)に基づき設立されている生活協同組合(以下「生協」という。)は約1,200組合、組合員数は延べ約4,300万人にも及んでいる。また、その事業の範囲は、共済事業や供給事業をはじめ各種利用事業等幅広い分野に及び、契約高や事業高においても膨大な額に上っているところであり、生協の活動は国民生活に多大な影響を与えているところである。
 一方、長期化する経済状況の低迷、また、厳しい金融情勢、さらには金融システム改革、いわゆる日本版ビッグバンを間近に控え、生協の経営は今後一層厳しくなるものと予想されるところである。
 いうまでもなく生協は、消費者による自主的な相互扶助組織であり、その運営については、一義的には組合員自身が決定していくべきものであるが、かかる情勢の変化等に鑑み、組合員の保護を図る観点から、生協が健全に運営されるよう所管行政庁としても適切に指導を行う必要があると考えられるところである。

(2)健全な運営の確保

ア 健全な管理運営

 生協は生協法に基づく特別の法人であり、税制においても普通法人に比べ優遇されているように、その社会的責務は非常に大きく、責任ある経営が求められるところである。
 したがって、生協の管理運営については、適正な執行と事業の健全性が確保されなければならず、所管行政庁においては、設立認可はもとより、新規事業の許認可に際しては、この点に留意の上、十分な検討及び審査をお願いする。
 また、許認可に関わらず、事業毎の収支の明確化や組合員に対する情報開示など法の趣旨に則った運営がなされるよう日常的な指導についても、種々の機会を積極的に捉えて行われるよう併せてお願いする。

イ 運営への組合員の参加

 一部の生協にあっては、役員による生協の私物化などの報道が行われているところであり、また、組織の巨大化に伴い経営に直接携わる者と組合員との間で、生協運営についての合意形成が不十分である事例なども見受けられるところである。
 そもそも生協は、相互扶助の精神に則った自主的な組織体であり、役員は組合員からの付託により経営を任されているに過ぎず、理事会等執行機関は、常に組合員からの要望を汲み上げ、組合員の需要に応えるべくその事業を展開することが求められる。
 また、最近においては、組合員の意識の変化も手伝い、生協が単なる事業の利用の場となっている傾向がある。ついては、人と人との結合並びに相互扶助といった生協の基本理念に則って、組合員に対する十分な情報提供や知識の向上に努め、生協の運営に関し組合員が自由に参加することができるよう特段の指導をお願いする。

(3)指導体制の確保等

 都道府県においては、以上の観点等から指導体制の確保に努め、管下生協に対し、計画的かつ効果的な実地による検査指導を行うこと等により、組合の健全経営、組合員管理、員外利用の防止、政治的中立の確保、組合員借入金の適正な管理などについて、法令等に則った適切な指導に当たられたい。
 また、消費の伸び悩み等により、生協の約3割が赤字経営であるが、経営が悪化している生協、特に、累積赤字を抱えている生協については、事業改善計画の策定などにより経営の健全化に向けた指導に留意されたい。
 さらに、一部生協においては不適切な財務処理を行っているところも見受けられるので、先般、改正された「消費生活協同組合財務処理規則」等に基づき、適正な財務処理は勿論のこと、組合員への透明性の確保等が図られるよう指導されたい。
 特に、指導に当たっては、当該生協の債権債務の状況、経理処理等財務内容を重点的に行うよう十分配意されたい。

(4)「生活協同組合の在り方検討会」の開催

 本年は、生協法が制定され50周年を迎える。この間生協は、その時代時代の社会経済情勢を背景とした組合員の要望を受けて、様々な変遷をたどり発展してきたところである。
 しかしながら、近年の経済の低成長への移行、間近に控えた金融システム改革等、生協を取り巻く経営環境は厳しい状況となってきているところである。
 一方、少子高齢社会の進展等によって福祉需要が増大、多様化しており、生協においてもこのような新たな需要に対する対応が要請されているところである。
 このため、生協法制定50周年を機に、このような時代の変化に対応した今後の生協の適正かつ健全な運営に資するため、有識者、生協関係者からなる検討会を本年1月に設置し、今後の生協の在り方について、総合的な観点から御議論いただくこととしている。
 なお、具体的な報告書については、平成10年内を目途にこれを取りまとめていただくこととしている。


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