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急速に少子・高齢化が進展する中で、国においては、「新ゴールドプラン」、「エンゼルプラン」、「障害者プラン」を策定し、国、地方公共団体を通じこれらの、公的施策の一層の充実を図っているところである。
地域社会においては、社会福祉協議会(以下、本項において「社協」という。)、民生委員をはじめとして、ボランティア団体、地域住民等による助け合い活動や様々な福祉活動が活発になってきている。また、平成7年1月の阪神・淡路大震災におけるボランティア活動が一つの契機となって、国民のボランティア活動等に対する関心はかつてない高まりを見せている。
地域福祉を進めていくうえで、公的施策の充実はもとより、このような地域社会における住民相互の助け合いや交流活動、社協等の民間福祉活動等の支援を積極的に進めていくことが重要である。
厚生省においては、今後とも、次のような取組みを通じて地域福祉の推進を図っていくこととしている。
1) 社協については、市区町村社協を中心として、事業型社協の推進、「ふれあいのまちづくり事業」の実施等により、地域に密着した社協活動の一層の充実を図る。
2) ボランティア活動については、社協に設置されたボランティアセンターへの助成等を通じ、国民の自主的・自発的な福祉活動への参加を促進するための基盤整備を積極的に図っていく。
特に平成10年度予算(案)においては、市区町村ボランティアセンター活動事業について、実施箇所数の増を図ることとしている。
3) 民生委員については、地域住民の身近なところで活動する民生委員の特徴に鑑み、民生委員に対する研修の実施により、資質の向上、活動の強化を図る。
各都道府県・指定都市・中核市においては、このような動向に十分留意され、地域社会において社協、ボランティア、民生委員等の活動が一層活発になるよう、その指導等に積極的に取り組まれたい。
(1) 社協活動の推進
ア ふれあいのまちづくり事業の推進
9年度 | 10年度(案) | ||
【A型事業】 | 362ヶ所 | → | 328ヶ所 |
【B型事業】 | 38ヶ所 | → | 34ヶ所 |
計 | 400ヶ所 | → | 362ヶ所 |
【A型事業】 | 9年度 | 10年度(案) | |
○ 1〜3年次 | 15,747千円 | → | 12,658千円 |
○ 4 年 次 | 14,747千円 | → | 10,543千円 |
○ 5 年 次 | 10,853千円 | → | 10,543千円 |
【B型事業】 | 4,094千円 | → | 2,115千円 |
市区町村社協においては、地域における在宅福祉サービス等の充実を図るため、社会福祉を目的とする事業を企画、実施するなど、地域に密着した具体的事業を行っていくことが求められており、具体的な福祉サービスの提供等の事業を行っている市区町村社協数は、年々着実に増加している。
厚生省においては、事業型社協の推進により地域における福祉サービスの充実を図るため、平成6年度に「事業型社協推進事業」を創設し、都道府県・指定都市社協が積極的に事業型の市区町村社協を育成、指導していくこととしたところである。
各都道府県・指定都市においては、今後とも、事業型社協の推進のため、「ふれあいのまちづくり事業」の成果をも十分に踏まえながら、管下都道府県・指定都市社協に対する指導・支援に特段の配意をされたい。
また、各種事業の受託等について市町村との十分な連携を図るとともに、住民参加による事業の推進についても併せて配慮願いたい。
5年度 | 7年度 | ||
・ホームヘルプサービス | 2,245社協 | → | 2,422社協 |
・デイサービス | 537社協 | → | 909社協 |
・食事サービス | 2,432社協 | → | 2,519社協 |
(387万食) | 566万食) |
9年度 | 10年度(案) | |
2,730千円 | → | 2,748千円 |
(2) ボランティア活動の基盤整備
厚生省においては、「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」(平成5年4月)や「ボランティア活動の中長期的な振興方策について(意見具申)」(平成5年7月)等に基づき、国民の自主性、自発性を尊重しつつ、「いつでも」、「どこでも」、「誰でも」、「気軽に」、「楽しく」、ボランティア活動に参加できるよう、ボランティアセンターに対する助成等を通じて、その基盤整備を図っているところである。
御存知のように、平成7年1月の阪神・淡路大震災を契機とし、また、その後のタンカー重油流出事故等の際にも見られるように、ボランティア活動に対する国民の関心が、かつてない高まりを見せている。
現在国会においては、ボランティア団体等の民間の非営利組織に法人格を付与する「市民活動促進法案」(NPO法案)が継続審議とされているところである。また、平成9年11月に行われた第52回国連総会においては、西暦2001年(平成13年)を「国際ボランティア年」として宣言する旨の決議が採択されたところである。
都道府県・指定都市・中核市においては、これらの動向を十分に踏まえ、ボランティア活動の推進の機運を一層高めるよう、体制の整備はもとより、ボランティア基金や地域福祉基金等の積極的な活用を図る等、ボランティア活動の促進に特段の指導・支援を行うよう配慮されたい。
ア ボランティアセンター事業の推進
9年度 | 10年度(案) | |
21,288千円 | → | 18,414千円 |
市区町村ボランティアセンターは、住民に最も身近な市区町村におけるボランティア活動の拠点として、相談や登録・あっせん、入門講座の開催、福祉救援ボランティア活動の促進のための事業を行っているが、平成10年度予算(案)において、国庫補助対象箇所数を443ヶ所から473ヶ所(30ヶ所増)に拡大することとし、市区町村社協における本事業の幅広い実施を目指しているところである。
本事業の国庫補助期間は実施要綱において原則3年間としていることから、10年度には、7年度に指定した59ヶ所分の指定替えについても、30ヶ所の新規指定と併せて行うこととしている。10年度の国庫補助の決定に当たっては、年度内にヒアリングを予定しているので、事業実施計画市区町村社協を各都道府県・指定都市それぞれ3ヶ所程度選定し、事業内容等を十分精査した上で協議願いたい。
現在、本事業を実施している市区町村社協に対しては、その事業効果が十分上がるよう、また、本年度で国庫補助の指定が終了する社協に対しては、引き続き10年度以降も事業の定着が図られるよう指導・支援されたい。併せて、都道府県・指定都市においては、国庫補助指定外のボランティアセンターに対しても、地域の実情に応じた事業の実施が図られるよう指導・支援願いたい。
なお、補助金の整理合理化の観点から、本事業の1ヶ所当たり事業費については見直しを行ったので留意されたい。
9年度 | 10年度(案) | |
4,190千円 | → | 3,806千円 |
イ ボランティア功労者に対する厚生大臣表彰
ボランティア活動が一層拡大していくためには、誰もがボランティア活動に参加しやすくなるための基盤整備や啓発・広報等を推進するとともに、ボランティア活動が社会的に評価されることが重要である。
このような観点から、厚生省においては、都道府県・指定都市・中核市等からの推薦に基づき、ボランティア功労者に対する厚生大臣表彰を毎年実施し、ボランティア活動の社会的評価の向上を図っているところである。
都道府県・指定都市・中核市においては、平成10年度においても、各地域で活動している様々な個人や団体について推薦願いたい。また、福祉分野等のボランティア功労者に対する表彰制度については、ほとんどの都道府県・指定都市・中核市において設けられているところであるが、未だ表彰制度を設けていない場合は、制度化について早急に検討されたい。
なお、被表彰者等については、活動事例の紹介等のPR活動を行うこと等により、ボランティア活動の社会的評価の向上に積極的に努められたい。
ウ その他
平成10年度(第7回)の全国ボランティアフェスティバルは、平成10年9月26日・27日に山形県(山形市)で開催されることとなっているので、各都道府県・指定都市・中核市においては、本フェスティバルへのボランティア等の幅広い参加等について協力願いたい。
また、今後の開催地については、平成11年度(第8回)は宮崎県、平成12年度(第9回)は徳島県が既に決定されているところであるが、平成13年度以降の開催を希望する場合は、早期に全国ボランティアフェスティバル推進協議会(事務局:全国社会福祉協議会)へ要望するとともに、社会・援護局地域福祉課へもその旨連絡願いたい。
ボランティア活動保険は、ボランティア活動を行う者が、その活動中の事故に伴う傷害、損害を補償するものとして、全国社会福祉協議会と民間損害保険会社との契約に基づき、市区町村社協を受付窓口として運営されている。
都道府県・指定都市・中核市においては、ボランティアが安心して活動に取り組むことができるよう、ボランティア活動保険の普及等について配慮されたい。
(3) 民生委員活動の推進
ア 民生委員活動の充実
民生委員は、社会奉仕の精神をもって、地域住民に最も身近なところで相談・支援活動を行っており、今後とも、地域住民の立場に立ち、地域の福祉需要に即した相談・支援活動をより活発に行っていくことが必要である。
また、このような活動は、民生委員一人が担うのではなく、地域住民をはじめ、ホームヘルパー、社会福祉施設、社会福祉協議会、行政機関など地域の様々な関係機関等との連携によって進めることが重要である。
各都道府県・指定都市・中核市においては、今後とも、民生委員活動の円滑な遂行と充実が図られるよう努められたい。
なお、平成10年度の全国民生委員児童委員大会は、福岡県・北九州市・福岡市において開催することとしているので了知願いたい。
日 時 会 場 |
平成10年10月19日(月),20日(火) 「マリンメッセ福岡」他 |
イ 人権・同和問題に関する理解の促進等
民生委員法においては、民生委員の職務の遂行に当たり、個人の人格の尊重、差別的な取扱いの禁止について規定している(第15条)。全ての民生委員が、研修等を通じて人権問題や同和問題についての理解と認識を一層深めるとともに、日々の活動において、基本的人権の尊重や差別意識の解消に向けて、積極的に実践していくことが必要である。
各都道府県・指定都市・中核市においては、今後とも民生委員に対する人権・同和問題に関する理解と認識を深めるための研修等の充実強化に努め、その実施に当たっては、都道府県・指定都市民生委員児童委員協議会等と連携し、積極的な指導について配意願いたい。
(1)制度の効果的運営
経済的自立と生活意欲の助長促進等を図ることを目的として運営されている生活福祉資金貸付制度は、平成8年度には、約18千件、約170億円の貸付けを行うなど低所得対策等の中核的な施策として大きな役割を果たしている。
(2)貸付原資の国庫補助等
平成10年度予算(案)においては、低所得世帯等の資金需要に応ずるとともに、中国残留邦人等の国民年金特例納付に対応するため、貸付原資の追加を予定しているので、各都道府県においても所要の財政措置について特段の配意を願いたい。
8 生活福祉資金貸付制度の運営について(地域福祉課)
また、阪神・淡路大震災に際して特例措置を実施する等、生活福祉資金は低所得世帯等のために極めて大きな役割を果たしているだけでなく、その時々のニーズにも的確、機動的に対応した措置を講じてきたところである。
近年の貸付状況を見ると、修学資金は伸びているものの更生資金や住宅資金等は若干減少している。また、貸付実績等については、各都道府県ごとに格差が見られるところである。
本制度は、世帯の自立及び生活のための援助に役立てるための制度であるので、その運営を担っている管下都道府県・市区町村社会福祉協議会に対し、制度の積極的な広報、啓発等を一層徹底するとともに、民生委員をはじめ関係機関等との連絡・調整を密にし、対象世帯の貸付需要に適切かつ円滑に対応できるよう指導の徹底を願いたい。
また、貸付対象世帯について、従来、身体障害者世帯及び精神薄弱者世帯について所得制限の撤廃を行っていたところであるが、「障害者基本法」及び「精神保健福祉法」の成立、また、「障害者プラン」の策定を受けて、精神障害者の社会復帰の促進及び自立、社会参加の促進等を図る観点から、平成10年度から精神障害者世帯についても身体障害者世帯及び精神薄弱者世帯と同様に所得制限を撤廃することとしているので、対象世帯の貸付需要等に適切に対応できるよう、管下都道府県・市区町村社会福祉協議会及び民生委員をはじめ関係機関等に対する周知及び指導の徹底を願いたい。
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