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1 社会福祉の基礎構造改革について(企画課)

社会福祉制度の構造改革を行う必要性

(抜本改革の必要性)

○ 急速な少子・高齢化の進行や家庭機能の変化などに伴う福祉需要の増大・多様化

○ 社会福祉が国民全体の生活の安定を支える役割を適切に果たすことへの期待

○ 規制緩和、社会福祉法人の不祥事などを受け、国民の信頼と納得の得られるサービスの質の確保と事業経営の効率化への対応が必要

○ 社会福祉事業、社会福祉法人制度、福祉事務所等の社会福祉の基盤制度は、基本的な枠組みが約50年間維持されており、時代の要請にそぐわない面が発生。

社会福祉制度の改革の方向性及び検討事項

(改革の方向)

1) サービスの利用者と提供者の対等な関係の確立
2) 個人の多様な需要への地域における総合的支援
3) 信頼と納得が得られるサービスの質と効率性の確保
4) 幅広い要望に応える多様な主体の参入促進
5) 住民の積極的な参加による豊かな福祉文化の土壌の形成
6) 情報公開等による事業運営の透明性確保
(主な検討事項)
1) 社会福祉事業の概念、範囲等の見直し
2) 社会福祉法人の今後果たしていくべき役割、意義、規制緩和
3) 措置制度の見直し(個人の選択によるサービス利用を基本とする制度への転換)
4) 措置制度の見直しの際に、サービスの対価を施設整備費に充当することを認めるなど費用調達の在り方
5) サービスの選択を可能にする情報公開と質の評価制度の導入
6) 福祉事務所の地域における役割、社会福祉主事の資格等の見直し

社会福祉の基礎構造改革の当面の予定

(これまでの経緯)

○ 平成9年8月28日に有識者から成る「社会福祉事業等の在り方に関する検討会」を設置。

○ 平成9年11月25日に検討会が主要な論点整理を報告。(概要は参考資料2、報告は参考資料3のとおり。)

○ 平成9年11月26日から中央社会福祉審議会において検討を開始。

○ 平成9年11月28日に社会福祉構造改革分科会を設置。(委員は参考資料1のとおり。)

(今後の予定)

○ 今年6月を目途に中間報告をとりまとめる予定。

○ 平成11年の通常国会に社会福祉事業法及び関係福祉法の改正法案の提出を予定。


(参考資料)

社会福祉の基礎構造改革について(主要な論点)

平成9年11月25日
社会福祉事業等の在り方に関する検討会


 当検討会では、社会福祉の基盤となる制度の在り方について議論を行ってきたが、その議論の内容を踏まえ、主要な論点について以下のとおり整理を行った。
 今後、これらについて更に検討が深められることを期待する。

1.改革の方向

◯少子・高齢化の進展、核家族化や女性の社会進出による家庭機能の変化などに伴う福祉需要の増大・多様化に対応して、社会福祉制度も弱者救済にとどまらず国民全体の生活の安定を支える役割を適切に果たしていくことが期待されている。

◯こうした変化に対応して、社会福祉の各分野においても、児童福祉法の改正や介護保険法案の提出など、国民の自立支援、選択の尊重、サービスの効率性の向上などを目指した取組が行われている。

◯しかしながら、社会福祉事業、社会福祉法人、福祉事務所などの社会福祉全般を支える基礎構造については、昭和26年の社会福祉事業法制定以来、基本的な枠組みが維持されたままである。このため、低所得者等を対象にした行政処分による一律のサービス提供、福祉事務所等の役割が地域の福祉需要の変化に十分対応していないことなど、時代の要請にそぐわない部分が出てきている。

◯また、最近、社会福祉法人に関連した不祥事の発生が見られるが、こうした事件の背景には、現在の社会福祉制度が抱える構造的な問題があると考えられる。

◯したがって、将来にわたって増大・多様化する福祉需要に的確に対応し、利用者の信頼と納得の得られる質の高い福祉サービスを効率的に確保していくためには、社会福祉の基礎構造全体を抜本的に改革し、強化を図る必要がある。

◯個人の自己責任による解決に委ねることが適当でない生活上の問題に関し社会連帯の考え方に立った支援を行うことにより個人の自己実現と社会的公正の確保を図ることを社会福祉の基本理念として、次のような方向に沿った改革を進めるべきである。
 その場合、具体的なサービスの提供に当たっては、利用者の選択を尊重し、その要望とサービス供給者の都合とを調整する手段として、市場原理をその特性に留意しつつ幅広く活用していく必要がある。

1)対等な関係の確立

 サービスの利用者を弱者保護の対象としてとらえるのではなく、個人の自立と自己実現を支援する福祉サービスにふさわしい、利用者とサービス提供者との対等な関係を確立する

2)個人の多様な需要への総合的支援

 心身の状況や家族環境などに応じて個々の利用者が持つ様々な需要を総合的にとらえるとともに、それに対応して必要となる福祉・保健・医療等の各種のサービスが地域において相互に連携し、効果的に提供される体制を構築する

3)信頼と納得が得られる質と効率性

 サービス利用や費用負担について、国民の信頼と納得が得られるよう、適正な競争を通じて良質なサービスの効率的な提供を確保する

4)多様な主体による参入促進

 利用者の幅広い要望に応えるため、多様な提供主体による福祉サービスへの参入を促進する

5)住民参加による福祉文化の土壌の形成

社会連帯の考え方に基づき、幅広い住民の積極的な参加を得て豊かな福祉文化の土壌を形成する

6)事業運営の透明性の確保

サービスの内容や事業運営に関する情報を公開し、利用者による適切なサービスの選択と事業運営に対する信頼を確保する

 なお、制度全般の改革とあわせて、生活保護制度が、今後とも国民生活の安全網(セーフティネット)としての役割を適切かつ効果的に果たせるよう、その在り方について検討する必要がある。

2.主な検討事項

 具体的な改革を進める上で検討すべき主な事項としては、次のようなものがあげられる。

(社会福祉事業)

◯現行の社会福祉事業の概念を見直すとともに、その範囲、区分、規制、助成等の基本的な在り方について検討する必要がある。

◯社会福祉法人には、行政機関からの措置委託に係るサービスの提供だけでなく、幅広い事業実施が望まれる。

◯ボランティア団体や住民参加型民間団体などの活動の社会福祉事業における位置づけや社会福祉法人格の取得を可能にすることを検討する必要がある。この場合、これらの団体の持つ活力や創造性が失われないような配慮が必要である。

◯民間企業等の多様な主体の参入促進の方策を検討する必要がある。

◯個々の対象者が持つ様々な需要に対応した包括的な生活支援のためのサービスの提供が必要である。このため、地域における各種サービス間の調整や総合的な助言・相談が行える体制について検討する必要がある。

(措置制度)

◯現行の措置制度は、一般的に事業の効率性や創意工夫を促す誘因に欠け、利用者にとってはサービスの選択や利用しやすさの面で問題がある。また、事業者補助であるため透明性を欠き、これが腐敗につながる場合もある。

◯このため、行政処分を行うことによりサービスを提供する措置制度を見直し、個人が自ら選択したサービスを提供者との契約により利用する制度を基本とする必要がある。

◯この場合、サービスの利用に必要な費用を全て利用者自身の負担とすることは適当ではなく、社会連帯の考え方に基づく公的助成を行うことにより、利用者を支える仕組みが必要である。また、この助成は、介護保険制度の考え方のように利用者に提供されるサービスに着目したものとする必要がある。

◯これを通じて、事業者にとっても、良いサービスを効率的に提供することが経営状態の改善につながることになる。

◯また、公的な費用負担の対象となるサービスと併せて、より快適な環境や付加的なサービスを自らの負担により購入できる仕組みとする必要がある。

◯自己決定能力が低下している者については、その者の権利を擁護し、本人の意
向を尊重したサービスの利用が可能となる制度が必要である。

(サービスの質)

◯サービスの質を確保するためには、サービス提供の中心的な担い手となる専門職の位置づけ及び専門職とそれ以外の従事者との関係について検討する必要がある。

◯利用者による選択に委ねるべき事項は事業者の自主的な取組にまかせる一方、施設・設備や人員配置などの外形的な基準は、公的基準によって質を確保すべき事項に重点化した上で、サービスの内容についても基準を定める必要がある。

◯契約による利用に対応し、消費者保護の観点からの規制が必要となる。

◯さらに、サービス内容に関する情報を公開し、利用者による適切なサービスの選択を可能にするとともに、専門家による客観的な質の評価制度の導入・拡大について検討する必要がある。

◯福祉サービスに対しサービス利用者の意見が反映され、権利が擁護される仕組を検討する必要がある。

◯都道府県等による監査指導は、会計経理などにとどまらず、サービスの質と効率性の向上につながる手法について検討する必要がある。

(効率化)

◯事業者間の適正な競争を促進することを通じてサービス提供の効率性の向上を図る必要がある。

◯また、機械化、省力化、外部委託の推進などの、効率性向上のための方策について検討する必要がある。

(施設整備)

◯社会福祉施設の整備に当たっては、設置者自身にも一定の自己負担を求めているが、施設が大規模化した今日、これを寄付により償還することは事実上困難になってきている。

◯措置制度の見直しの際に、効率的な経営が質の向上と業務の拡大につながるよう、サービスの対価としての収入を施設整備の費用に充当することを認めるなど費用調達の在り方を検討する必要がある。

(社会福祉法人)

◯福祉サービス分野への多様な主体の参入が進む中で、社会福祉法人が今後果たしていくべき役割や意義について検討する必要がある。

◯社会福祉法人設立等の要件の見直しについて検討する必要がある。

◯社会福祉法人の大宗は一施設のみを経営しているが、社会福祉法人の規模の在り方について検討する必要がある。

◯各施設・事業ごとではなく、社会福祉法人単位で経営を考える必要がある。このため、本部会計と施設会計を分離する仕組みを改めることなどを検討する必要がある。

◯法人・事業の適正な運営を図るためには、規制強化ではなく、外部監査の導入や情報開示など自主的な取組を促進する必要がある。

◯理事会、評議員会など、社会福祉法人の経営管理組織の在り方について検討する必要がある。

◯社会福祉法人に対する監査を実効あるものとするため、国と都道府県・市との役割分担など監査の在り方について検討する必要がある。

(社会福祉協議会、ボランティア団体等)

◯社会福祉協議会は、ボランティア団体、住民参加型民間団体、保健・医療関係団体、生活協同組合、農業協同組合、企業、労働組合などと協働して、地域におけるネットワークづくりや身近な生活支援活動に一層取り組む必要がある。

◯民生委員・児童委員について、一人暮らし高齢者等の訪問や相談など実際に地域の中で果たしている役割にふさわしい位置づけを行う必要がある。

(共同募金)

◯募金方法や、県単位、過半数配分などの配分方法の見直しについて検討する必要がある。

(人材養成・確保)

◯福祉分野の人材確保についても市場原理の活用を考えるべきである。それによって、福祉分野の仕事に対する社会的評価の向上、業務の省力化及びサービスの高度化がもたらされることになる。

◯他の分野からの人材の参入を促すためには、福祉の現場で働きながら資格が取れるような仕組が重要である。

◯社会福祉の専門職の養成とあわせて、福祉施設での介護体験・実習の受入れなどを通じて、福祉の仕事に対する幅広い関心と理解を得る努力が必要である。

◯保健・医療・福祉の連携や、適切な説明により利用者の理解を得ることなど、利用者への配慮・倫理面を重視した人材養成が必要である。

◯福祉系大学等が専門職養成のために必要な実習教育、研究のための附属実習施設を持つことを認めるなど福祉系大学等の教育や研究の質の向上を図るべきである。

(地域福祉計画)

◯まちづくりの視点も含めた地域福祉計画の策定について検討を進める必要がある。その策定に当たっては、民間の発想をできるだけ取り入れる方式を取り入れるとともに、計画づくりの過程を通じて公と民の役割分担についての合意を形成することを検討する必要がある。

(福祉事務所)

◯保健所、市町村保健センター、福祉関係の各種相談所と福祉事務所との連携、統合など、地域における保健・医療・福祉の総合的な行政実施体制の在り方について検討する必要がある。

◯福祉事務所については、地域における役割と併せて必置規制の在り方などについて検討する必要がある。

◯また、福祉事務所職員等の任用に必要とされる社会福祉主事の資格についても、自治体の人事における専門職の処遇、福祉事務所や社会福祉施設職員の必要とする専門性との関連において見直す必要がある。

「社会福祉事業等の在り方に関する検討会」メンバー

(五十音順)

  上野谷加代子
大塩 和男
加藤 律代
吉川 武彦
小島 セツ子
清家 篤
土井 康晴
橋本 正明
福武総一郎
(桃山学院大学教授)
(前枚方市長)
(南風の会代表)
(国立精神・神経センター精神保健研究所長)
(社会福祉法人東京都社会福祉協議会特別研究員)
(慶応義塾大学教授)
(社団法人生活福祉研究機構専務理事)
(社会福祉法人至誠学舎至誠ホーム長)
(株式会社ベネッセコーポレーション代表取締役社長)
座長 八代 尚宏 (上智大学教授)
  吉村 靫生
和田 敏明
(社会福祉法人大阪自彊館理事長)
(社会福祉法人全国社会福祉協議会地域福祉部長)

2 臨時福祉特別給付金の支給について(企画課)


 平成10年分所得税等の特別減税に関連し、老齢福祉年金の受給者等及び高齢の低所得者の生活の安定と福祉の向上並びに低所得の在宅ねたきり老人等に対する在宅介護の支援に資するため、臨時特例の措置として、平成9年度補正予算(第1号)成立後、次により臨時福祉特別給付金(以下「臨時給付金」という。)を支給することとしているので、管下市町村に対する指導等よろしく取り計らい願いたい。

(1)臨時給付金の種類

1) 臨時福祉給付金(以下「福祉給付金」という。)
2) 臨時介護福祉金(以下「介護福祉金」という。)
3) 臨時特別給付金(以下「特別給付金」という。)
(2)福祉給付金の内容

1) 支給対象者

ア 平成10年2月1日(以下「基準日」という。)における同月分の次の受給者

老齢福祉年金受給者
障害基礎年金受給者
遺族基礎年金受給者
旧国民年金障害年金等受給者
児童扶養手当受給者
障害児福祉手当受給者
特別障害者手当受給者
福祉手当(経過措置分)受給者
原子爆弾被爆者諸手当(医療特別手当、特別手当、健康管理手当又は保健手当)受給者

イ 基準日における同月分の特別児童扶養手当の支給に係る障害児
2) ただし、基準日において、障害基礎年金(旧障害福祉年金を除く。)、遺族基礎年金(旧母子・準母子福祉年金を除く。)又は旧国民年金障害年金等の受給者については、個人の市町村民税の納付すべき額がない者(その者が他の者の控除対象配偶者又は扶養親族の場合は、当該他の者の個人の市町村民税の納付すべき額がない場合。)に限り支給される。

3) 生活保護受給者、社会福祉施設入所者等については、それぞれの制度を通じて別途一時金が支給されるので、福祉給付金の支給対象とはならない。

4) 支給額

支給対象者1人につき10,000円

(3)介護福祉金の内容

1) 支給対象者

 基準日において、市町村民税の所得割の納付すべき額がない者(その者が他の者の控除対象配偶者又は扶養親族の場合は、当該他の者の市町村民税の所得割の納付すべき額がない場合。)又は生活保護受給者で、次のいずれかに該当する者

ア 65歳以上のねたきり又は痴呆の者であって常時介護を要する状態が6月以上継続していると認められる者
イ 障害児福祉手当受給者、特別障害者手当受給者又は福祉手当受給者

2) ただし、社会福祉施設や病院等に継続して3月を超えて入院(入所)している者は、在宅介護の支援という介護福祉金の趣旨から支給対象とはならない。

3) 支給額

支給対象者1人につき30,000円

(4)特別給付金の内容

1) 支給対象者

 基準日において、個人の市町村民税の納付すべき額がない年齢65歳以上の者(その者が他の者の控除対象配偶者又は扶養親族の場合は、当該他の者の個人の市町村民税の納付すべき額がない場合。)で、福祉給付金の支給を受けることができない者

2) ただし、福祉給付金と同様に、生活保護受給者、社会福祉施設入所者等については、それぞれの制度を通じて別途一時金が支給されるので、特別給付金の支給対象とはならない。

3) 支給額

支給対象者1人につき10,000円

(5)臨時給付金の支給方法等

1) 臨時給付金は、平成9年度補正予算成立後、その全額が国の負担により支給されるが、臨時給付金の支給に関し必要な事務は、都道府県知事、市町村長に委託して行われる。
2) 市町村長は、支給対象者を代理して、臨時給付金の受領を行う。
3) 支給対象者のねたきり等の支給要件の確認は、市町村長が行う。
4) 支給対象者は、原則として平成10年3月25日までに支給申請をしなければならない。


3 民生委員・児童委員の一斉改選について(企画課)


 本年は、11月末日をもって任期満了に伴う民生委員・児童委員(主任児童委員を除く。)一斉改選期に当たり、その定数の見直しが行われる年である。
 民生委員の配置基準については、平成8年12月「地方分権推進委員会第1次勧告」を踏まえ、全国的に一定水準を確保するとともに、都道府県が地域の実情等に配慮して定数決定が行えるよう弾力的なものとなるよう、現在、見直し作業中である。
 おって、当該勧告の趣旨を踏まえ、年度内を目途に新たな水準等を示せるよう鋭意 作業中であるが、その運用に当たっては、民生委員・児童委員活動に支障をきたさない定数の確保及び適任者の選任について、特段のご配慮を願いたい。

(参考)地方分権推進委員会第1次勧告−抜粋−

第4章 くらしづくりと地方分権
I 福祉・保健・衛生
4 民生委員
1) 民生委員の推薦事務等は、自治事務(仮称)とする。
2) 民生委員の定数決定事務は、都道府県の自治事務(仮称)とする。
 また、国の定数基準については、全国的に一定水準を確保するとともに、都道府県が地域の実情等に配慮して定数決定を行えるよう弾力的なものとする。



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