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第4回中央児童福祉審議会基本問題部会NO3
資料の22ページ、23ページは、保育システムについてほかの政府の審議会で言われて
おることがございます。児童福祉審議会本部会での今後の議論の参考ということで御紹
介をさせていただきます。
1つは、総理の諮問機関であります社会保障制度審議会、総理府に設置されておりま
す審議会でございますが、平成7年7月に今後の社会保障の全体像について勧告を出し
ておりますけれども、その中で福祉のシステムについて触れた部分がございます。第2
章第1節のところでありますが、「社会保障の給付が、供給者の意向でなく、利用者の
必要や考えに沿って行われるよう、制度を構築し運営していかなければならない」。そ
の観点から、「利用者を一つの型でとらえて対処するというやり方を変える」必要があ
るというふうに、「利用者が自分で選択してサービスが受けられるようにすることが大
事であり、この観点からも現在の社会福祉制度における措置制度を見直すことが求めら
れる」というふうな表現で書いております。
具体的方策ということでは、「今後充実すべき社会福祉の分野では、サービスの即応
性やメニューの多様性、利用者の選択権等」の観点から今の措置制度を見直すべきであ
るというふうに「地方公共団体が入所に関する調整機能を果たし、公的な費用助成を前
提としながら」制度を「利用者との契約に改めるよう検討すべきである」というふうに
書いております。
23ページのところは、もう一つの審議会でございますけれども、これも総理の諮問機
関であり、経済企画庁に設置をされております経済審議会であります。平成7年の年末
に、経済審議会は平成12年を目標にする新経済計画をまとめておりますが、その新経済
計画をまとめる中でこういう部会を設置し、レポートを出しております。
4のところでは、保育所について「公的保育所制度の改善、見直しを含めた保育シス
テムの多様化、弾力化を進め、公的保育所についても契約型の保育サービス提供の導入
を検討する」「民間による市場を通じた様々な創意工夫ある保育サービスの円滑な供給
環境の整備や各利用者に対する利用者補助の仕組みについて検討する」。
あるいは、5のところでは「従来の措置制度を総合的に再検討し、公的な関与の下、
広く一般の人々が自由に選択し利用できる普遍的なサービス提供のあり方を検討する」
ということを書いております。
以上、23ページまでが現行の保育制度の説明でございましたが、戻らせていただきま
して、資料1の審議項目のところを簡単に説明をさせていただきます。
「認可保育所の在り方」ということで、まず「保育所・保育サービスを選択できるよ
うにすることについてどのように考えるべきか」という視点があろうと思います。国民
の一般的な選択志向でありますとか、あるいはニーズの多様化ということを考えたとき
に、保育サービスについてもこの選択というものをどう考えるべきか。今の仕組みは必
ずしも、そういう選択というものを前提にした仕組みではございませんけれども、そう
するべきかどうかというのが一つの論点としてあろうかと思います。
それから、2番目の黒点でありますけれども、保育ニーズは保護者の就業形態等によ
って、あるいは同じ保護者でも日によって異なるようなニーズでございますが、これに
対してどこまで、どういう形でそのニーズを受け止めればいいのか。今のシステムでは
、市町村から保育所に委託するサービスのメニューを用意することによって、これに対
応していくというやり方もあろうかと思いますけれども、ニーズに応じて保育所が自主
的にサービスを提供していくような仕組み、そのことによって保育所ごとにサービスと
か、あるいは保育料に違いが生じ得るような仕組みについてどのように考えるべきなの
か。こういうものがあるべきなのか、そうではないのかというのも、もう一つの視点か
と思います。
それから、保育料につきましては、公平な負担という観点から応能的な負担がいいの
か、一律的な負担がいいのか。あるいは、そのニーズが違うことによって受けるサービ
スというものも違い得ると思いますけれども、そういう受けたサービスに応じて、その
負担の額も違ってくるというような仕組み、こういうことについて特に公平な負担とい
う視点から見た場合にどう考えていくべきかというのもポイントだろうと思います。
それから、最後ですけれども、保育所が保育内容とか保育方針等について独自性を発
揮するということを認めていくべきかどうか。今の仕組みは、むしろ同じ水準あるいは
その同じ水準を担保するというようなことを前提にした仕組みでございますけれども、
そういう独自性の発揮ということを認めていくべきかどうか。その際、各保育所の保育
内容とか、保育方針等の情報を利用者に提供するような仕組み、特にまたこれが利用者
の選択というようなことを考えたときには、こういう情報提供の在り方をどう考えてい
くべきかということも議論のポイントではないかと思います。
以上、4つばかり議論の項目として提示をさせていただきました。
以上でございます。
○部会長 ありがとうございました。
大変たくさんの資料の御説明をいただいた訳でありますが、保育所についてのイメー
ジがほぼ再確認されたという印象でございます。
それでは、数回にわたってこの保育問題についてお話をしますので、今日はただいま
の御説明に対します御質問、御意見を中心に進めていきたいと思います。どなたからで
も御遠慮なくおっしゃっていただきたいと思います。
○G委員 専門的な議論になる前に素人から、議論の立て方についてなんですけれども
、ここに4つほど例をお挙げになっていますが、大体その発想というのは保育者、親あ
るいは保育所を含めた社会の都合からの発想のように思うんですけれども、肝心の物を
言わない子どもたち、乳児あるいはもう少し上の幼児たち、この子どもたちをどういう
形でどう養育するのが、一番適切に心身ともに健全な子を育てる方策か、そういう観点
が要るだろう。むしろ、それが基本ではなかろうか。
そこで、先ほどから専門性などということを言われておりますので、素人から聞くん
ですけれども、精神学とか、心理学とか、幼いころほど親の肌に抱かれ、親に接して育
てるということが健全な情操を育てる。そして、そういう脳の部分を基に今度は知識も
発達していく。そういったようなことが言われているようですけれども、その子どもた
ちのために親が最小限度どの程度接する必要があるのか。これは、年齢の段階によって
いろいろ違うと思いますけれども、親がどうしても接することが出来ないときに、それ
に代わって保育所が接するときに、保育所の保母さんたちはどういう接し方をするのが
子どもたちの心身の健全な発達のために必要なのか。その辺りの研究はどうなっており
、どういう育て方というのを保育所は考えておられるのか。
これは、やることの内容によって、非常にきめ細やかに保育所でやろうとすれば当然
それだけたくさんの人手が要るということになりますから、経費もそれだけ掛かること
になり、いろいろな在り方にかかわってくると思いますので、一番基本の子どもたちを
養育するについての在り方というところの専門的な御意見、この辺がどうなっているの
かお伺いしたいと思います。
○保育課長 G委員のお話は、大変基本的なお話であるという具合に承った次第でござ
います。
児童の問題、あるいは保育所に通っている年令の子どもの問題、この保育の問題を考
えるに際しまして、第2回目の資料であったかと思いますけれども、どういった観点か
ら社会的な支援ということを、例えば保育ならば保育という分野について行っていくべ
きか。そういった資料を出させていただいた訳でございます。正に今回のこの児童福祉
審議会の基本問題の部会でございますので、その点につきまして子ども側の視点あるい
は親御さんの諸々の関係というものもありますので、仕事と育児の両立支援といった言
葉も前々回の資料の中で出させていただいた訳でございますけれども、この点につきま
して、各委員の先生方の御意見を承りたいという具合に思っております。
それから、保育所の保母さん方がどういったことで現場で保育をやっておるかといっ
たお尋でございますけれども、これにつきましては保育所保育指針というものがござい
ます。これは、前の指針は昭和40年に出来たものでございますが、直近のものは平成2
年に当児童福祉審議会の保育部会意見具申に基づきまして、認可保育所におきます保育
の内容についてのガイドラインというような形で、児童家庭局長通知でもってお示しを
している訳でございます。例えば保育の目標でございますとか、保育の方法でございま
すとか、保育の目標ということでございますれば健康面、それから人間関係の面、環境
の面、言葉の発達面、音楽とか絵画といったようなことでの表現の面、こういった面で
のガイドラインをお示しをいたしております。こういったものを念頭に置きながら、各
々保育所におきまして指導計画、月なり週なりの計画といったものをつくって保育が今
、行われているということでございます。
○児童家庭局長 正に今、D委員がおっしゃった点は基本中の基本で、むしろ私どもと
しては総論的な御議論をいただいたときに、その辺のところをもっと議論いただけるの
かなと期待しておったんですが、それはいつの時点でも構わないんですけれども、それ
に対するお答えとして、私もそんなに専門家ではありませんが、正にそこのところが非
常に分かれるところではないかというふうに思います。
そこら辺のところは恐らく、今日残念ながら専門の先生が何人かいらっしゃるのに御
欠席なので、また次回なりにその辺の学問的な研究状況等についても御説明いだたこう
かなと思いますが、私の承知しているところでは、そんなにはっきりとこれがいいとい
うところはないのではないかというふうに理解をしております。
そういった中で、中央児童福祉審議会総会のときにM委員から御質問を受けましたけ
れども、例えば1歳未満、いわゆる零歳児ぐらいは家庭で育てた方がいいのか、あるい
は公的な保育所などで育てた方がいいのかというお話がございまして、その辺の認識に
ついての御質問がございましたけれども、この辺も両論あるんだろうと。
ただ、常識的には家庭で育てた方がいいという方向なんじゃないかと思いますが、そ
ういった中で育児休業制度というのが出来てきた。
ただ、我が国の場合、まだまだ育児休業制度が普及していませんし、そういった中で
現実論としてはやはり社会的に受け止めざるを得ない面がありますし、そこら辺で両方
のニーズがあるんですが、それをきちんと受け止めていくことも必要だしというので、
そこら辺のところはまだこっちに持っていくべきだとか、そういった感じではなくて、
現実のニーズに対して行政面でどう受け止めていくべきなのか。それに対して必要なも
のは整備していかなければいけないというのが、例えばエンゼルプランに見られますよ
うに、今の厚生省のスタンスではないかと思います。
その辺のところを、正に物の考え方としてどういうふうに考えていくべきなのかとい
うことについて、今回の基本問題部会でも御議論いただいて、一定の方向なり、あるい
は多様な意見なりというものをおまとめいただいたければありがたいなと思っておりま
す。
○H委員 今のG委員のお答えに対しても、恐らく心理学の専門の先生がお答えいただ
けるような資料をお持ちだろうと思います。
と申しますのは、私も子どもをずっとベビーシッターと保育所で育ててもらったよう
なものですが、心理学の専門家に一度医師を前にお話をしていただいたときに、3歳ま
での子どもは母親に育ててもらわないと性格的にひずみが来るということを、ある高名
な心理学者が言っているということを話されて私たちは驚いてしまいました。それでは
大変だ。私たちの子どもはみんな心理学的にひずみが来てしまうというようなことにな
りましたが、勿論そういう意見もあるということです。
私は結論から言いますと、1歳までは家庭で育てなくてはいけないとか、3歳までは
母親が育てないとどうこうとかというようなことは一律に言える問題ではないと思いま
す。と申しますのは、親もいろいろですし、子どももいろいろですし、親の仕事に対す
る姿勢とか、あるいは育児に対する姿勢というのも非常に大きく関係してくると思いま
す。自分もそうでしたし、子どもを育てながらずっと医師を続けていた方をたくさん知
っていますけれども、仕事をしながら子どもを育てて、私は中途半端じゃないかと思い
悩むのが一番よくないようでございます。どちらかに割り切って、私はもう家庭に入る
とぱっと仕事を辞めるとか、あるいは私は仕事と家庭を両立させると言って非常に精力
的になさるとか、そういうふうに割り切るのが比較的育児がうまくいくようでございま
す。
私はどちらかというと、家庭には不向きで仕事をしていた方が楽しかったものですか
ら、子どもには悪いとは思いましたけれども、子どもを預かってくれるベビーシッター
と保育所の方に非常に恵まれまして、むしろ私が育てたよりも預けた方がよかったんじ
ゃないかと今、思っております。
それは冗談としましても、子どもは何歳まで母親が育てるべきか、この問題を一律に
論じるということは私は不適当だと思っております。また、心理学の先生の専門的な立
場からお話があると思います。
それと、例えばグループをつくりまして、母親の育てたグループと、それから母親が
勤めていて他人が育てたグループとその後どうなったかというような比較調査というの
は恐らくないと思います。私の印象ですと、少産少子の時代で、どちらかというと育児
にのめり込んで育児不安を起こしながらお子さんを育てていらっしゃる方に、いわゆる
子どもの心身症とかいろいろな精神的なトラブルが出てくるような気もしますし、さっ
き申しましたように、割り切って仕事と育児とを両立させようと頑張っている方の方が
心理的なトラブルが少ないかなと、これはちょっと断定的には申し上げられないことで
飽くまでも私の印象ででございます。
○G委員 一律にいかないことは、人間ですのでそうであろうと思います。私は親がす
るのがいいとか、そんなものは一律にこれも決まらないだろうと思いますが、大切なの
は心身の健全な発達のため、親がいいという人ならば親のどういう点がいいのか、どう
いうやり方がいいのか。それで、親がやれない場合に保育所がやるときには、保育所は
一体どういう点に注意して、どういうことをすることが子どもの健全な発達のために大
事なのか、そこを確定する必要があるんじゃなかろうか。
それによって、これだけのことは最低限としないといけないということになれば、一
体保育所にどういう人を養成して、どういうことを教育して保育所に持っていって、そ
して何人ぐらいの人を扱うのが適当なのかということから答えが出てくるのではなかろ
うか。それによって保育所の在り方も決まってくるのではなかろうかと思ったものです
から御質問させていただきました。
○部会長 ありがとうございました。
H委員は印象という言葉をお使いになりましたが、どうぞ皆さんも御自由に印象を語
っていただけたらありがたいと思います。
○F委員 G委員が二度目に言われた御結論には、私は何も申し上げることはございま
せんで、また局長の言われた現実に立って今の子どもの置かれた状況に対して一体何を
施策としてするべきかというスタンスが、実はこの基本問題部会の最終的なスタンスで
いいんじゃないかと思っております。
ケース・バイ・ケースということは勿論ありますけれども、私どもの時代にいつの間
にか擦り込まれている、子育ては家庭、特に母親がするのが当たり前であるという考え
方は、実は本当に短い間につくられたあるイメージではあるまいかということを思って
おります。ですから、こういうことを考えるときに、一体母親の育児とか、家庭育児を
含む家族というか家庭の変化、急激な歴史の変化の中で、これは恐らく基本的なところ
で私はおりませんでしたのできっと御議論があったのだと思いますけれども、むしろ見
ておりますと、保育に欠ける児童という言葉を法律解釈ではなくて現状として解釈いた
しますと、多様な人々の声や息づかいや接触、そういうものに欠けた密室の……。
これはもう介護と一緒です。密室の中で、母親が社会的な関係から切り離されて育児
に当たるのと、それから密室の中で切り離された介護者が要介護者のおしりをつねるの
と、私は全く同じだということを自分自身も経験してつくづく思っております。
ですからこそ、今回の保育の問題は、保育に欠けるというか、就労している母親の問
題だけではなく、家族全体の、社会全体変化の中でとらえていただきたいと思っており
ます。だんだん家庭というのがカプセルのように社会から切り離されて、勤めない限り
社会と接触が少なくなっている。
勿論今、青空保育とかいろいろな意味で地域保育を家庭にいらっしゃるお母さんが努
力しているのも、一種の家族の酸欠状況の解決策だと思っておりますので、何が理想的
な保育であろうかという理想の形は、そうワンパターンになったものではないというこ
とと、特に日本の社会は家族の変化が、この介護の問題から見ても急激な変化ですけれ
ども、実はそれは人生の初めの育児を取り巻く環境の変化と非常に並行しているんだと
いうことを申し上げたかったんですけれども、終わりの結論には賛成でございますから
、ただ一言申し上げました。
○G委員 F委員のおっしゃったことは当然の前提として、私は子どもの立場で物を申
しましたので。
○部会長 ありがとうございました。
私の偏見かも分かりませんが今、保育所で行うことを保育だと思って議論しますと話
が混乱してしまいますので、そうではなくて子どもが育つということを中心に考えるべ
きだと思うんです。
○E委員 この前ホスピタリズムのことを申し上げましたが、一ころそうした母子関係
のスキンシップ、濃密な関係ということで、特に抱いたりおぶったり、そういうことを
して母親の肌が必要だという議論から大分進んできて、子どもの体験する親とは何かと
いうような、いわゆる認知に入っていく過程の中で、一体親というものはどういうふう
な体験を与えているかということで、一貫性という物の感じ方とか見方に秩序を持つと
いうことが大事で、母親が子どもに濃密にかかわるのはそういう観点からも考えなけれ
ばならないんじゃないかという意見が出されたことは大変印象的なんです。
それから、発達心理学は結局は母子の相互作用というようなことにまた戻ってしまっ
てきているんですけれども、そういう認知とか感覚とか情緒のレベルでどういうふうな
発達理論が展開されているか。特に情緒は研究が遅れていますから、そういう点で私ど
もは障害児の研究の中で、その情緒というものを取り上げてきていて、それが重なるだ
ろうというふうに思っています。
その辺で、そういう体験として考えるということは、結局はいろいろな事例を持ち込
んでくるよりしようがないので、比較研究で、先ほどH委員が親のない子どもと親のい
る子どもの比較研究がなされていないとおっしゃっていましたが、あれは随分なされて
いるんですね。むしろ、そのことがホスピタリズムの研究になってきている。
ところが、それが先ほど申し上げましたように、研究条件をきちんと整理されていな
い研究が多い訳です。ですから、非常に目的を持った研究は数値の読み方とか、そうい
うものにいろいろな面で変動があるということはあります。ですから、事例研究の方に
今、恐らく小児神経学の学問的ないろいろな実績が上がってきているんじゃないかとい
うふうに思っています。
そういう点では、そういう御専門の先生の話も聞かれたらいいんじゃないかと思いま
すが、蒸し返すようですけれども、恐らくF委員が言われたことは大体我々の持ってい
る今の常識じゃないかと思っています。ですから、現状としては多様が状態があって、
その組み合わせの中で結果的にどういう事態が生じてきたかということはまだまだ探っ
ていく訳です。それで、これが確実に、例えば保育所育ちは非常に問題があるとか、あ
るいは非常に甘やかしの家庭でこうなったというようなことは非常に部分的なとらえ方
だというふうに思います。
ですから、もし厚生省がそのスタンスとして現在の例えば育児の状況というものを、
つまり施設保育がなされている状況をとらえて、これを昔に戻すということではなくて
、今のやり方だけに限定しないで、もう少し幅広くとらえ直していくということであれ
ば、これはもう少しいろいろな議論が出来るんじゃないかというふうに思っている訳で
す。
ただ、昔に返すという、自然で親と子が裸になって抱き合っているような育児に戻せ
ということは無理だろうと思います。ですから、その辺で施設の中で、この施設という
言葉を使わないとするならば、人為的に育児というものを他人がするとするならば、や
はりそこで子どもを育てる条件というものがごく自然になされたときにはどういう条件
なのかということを踏まえた上で、それを人工的に計画的にメニューをどういうふうに
つくって考えていくかということにならざるを得ないだろうというところまで申し上げ
ておきたいと思います。
○部会長 それでは、今、H委員のお名前が出たので先に発言していだたいて、それか
らI委員とどうぞ。
○H委員 私の言い方がちょっとまずかったのかもしれませんけれども、私の比較研究
というのは親のない子と親のある子というのではなくて、就労している女性の子どもと
専業主婦、育児を専業にしているお母さんとの比較研究という意味ですので、私はちょ
っとそういう研究は聞いたことがないんですが、ありますか。
それと、私は育児の質の問題だと思っておりますので、子どもにかかわる密度と申し
ますか、先ほども申しましたけれども、育児に対する姿勢というか、そういう問題だと
思いまして、もし比較研究があったら是非お願いいたします。
○部会長 それでは、その資料はこれは何回かやりますから、その間に御提供いただけ
ればありがたいと思います。
それでは、I委員どうぞ。
○I委員 1つは、今も出ていますように一律に何歳からがどうだとか、どういうのが
いい子育てだということは、まず無理だというふうに思うんです。それはその子にもよ
りますし、その親にもよるし、やはり親が一番いい状態になければいい子育ても出来な
いと私は思いますので、その家庭の状態によって一番親子がいい形でいられるような選
択の出来る、育児休業を取りたい人は取れるし、保育所に預けて専門の方に昼間見てい
ただきたい人は見てもらえるしというような、そういう意味の多様性が必要なんだとい
うふうに思います。
もう一点は、先ほどG委員も最初におっしゃいましたように、やはり保育の議論をす
るときも必ず子どもが中心にいなければいけないというふうに思うんです。今のような
いろいろな現状の中で、必ずいろいろな働き方をしている親の子を保育所である程度見
てほしいというニーズがありまして、それにはこたえていただきたいと思いますので、
その際に勿論、財源論も一方にあるんですけれども、中心には子どもにとって何が平等
で本当に質のいいに保育なのか。21世紀に向けて、社会的に子どもをどう育てていくの
かということを是非中心に置いておいていただきたいというふうに思うんです。
もう一つは、全体を見ましての注文というか、印象なんですけれども、一番最後にい
ろいろな審議会からの抜粋がございましたり、ここの論点に挙げられたりしていること
を見ますと、大体選択が出来る方がいい。余りいろいろな規制がない方がいいというふ
うに、私の印象からするとちょっと偏っているようにも思うんです。ここにも何人かそ
の当時の委員だった方がいらっしゃいますけれども、その保育制度を見直すかどうかと
いうので、保育問題検討会というのが検討いたしましたが、あの中に確かに選択は出来
る方がいい訳ですが、選択を出来ることにしたことによって得られるものと、失われる
というか、問題だなというものを整理してあると思いますので、こういう選択の仕組み
を取り入れた場合に、子どもたちにとってどうなのかという論点も是非出していただき
たいなというふうに思います。
その際に、これは私の意見ですけれども、児童福祉法の特に2条にあります国とか地
方公共団体の保護者とともに子を育てる責任といったようなことは、時代によって形は
変わると思いますが、この精神は絶対に失ってはいけないものなんじゃないのかなとい
うふうに思っていますので、そうした観点から、なるべく多角的に議論が進められるよ
うな進め方と材料を出していただければと思います。
NO4に続く
問い合わせ先 厚生省児童家庭局企画課
担 当 朝浦(内3113)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
(直)3595-2491
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