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第3回中央児童福祉審議会基本問題部会議事録NO4
(引き続きO委員)
そういったことからいろいろお話も出ておりましたけれども、今の子どもたちという
のは辛抱が出来ないですね。それから、精神的に非常に不満が多いですね。深谷さんの
お話にも関係しますけれども、非常に不満が多くて、そういった不満がオウムなどの信
者になったりする、あるいはいじめなどと無関係でないように思いますけれども、非常
に不満が多い。それから社会性といいますか、皆さんおっしゃいましたように協調性が
ないというようなことで、一体何が原因なのか。子どもが少ないということが一つの原
因なのかどうか。その辺は、そういうお話もちょっと出ましたけれども、何が原因かと
いうことを考えないと、では対策として何を考えたらいいかということは私は出てこな
いと思うんです。その人口政策とか何とかということではなしに、そういった観点から
そういうことが子どもが少ないということの原因なのかどうか。あるいは、ほかにもど
んな原因があるのかということをもう少しいろいろ皆さんからお聞かせをいただきたい
と思います。
それから、H委員さんがおっしゃいましたけれども、児童福祉法も実は問題を持って
いる要保護児童だけを対象に、行政なり、施策をしているのではありませんで、一応考
え方としてはすべての子どもが心身共に健やかに育成されるようにという旗といいます
か、理念は挙げているんですけれども、実際にはおっしゃったようにいろいろな障害を
持った子どもたちとか、保育に欠けると……。
これもまた余り私も好きな言葉じゃないと思うんですけれども、そういった言い方、
養護に欠けるとか、保育に欠けるとか、そういった言葉にもいろいろ今の時点で考えま
すと、どうかなと思う点が多いんですが、実際には確かに今そういう問題を持っている
のは一部の子どもだけではなく、皆が多かれ少なかれそういう問題を持っている。
しかし、すべての子どもを対象に行政として何が出来るか。何をすればいいか。行政
というとすぐ、予算を取って何かをするということになるんですけれども、すべての子
どもを対象に、どういう予算を取って、どういう施設をつくって、どういう人を置いて
、果たしてうまくいくんだろうかと。
今、強いて言えば、すべての子どもを対象にしている児童家庭局の仕事といいますと
、児童手当でありますとか、児童遊園を方々につくるとか、そんなことが具体的に行政
としてやっていることなんですけれども、実はこう言っては何ですが、例えば児童手当
を月に5,000 円とか1万円出して一体どれだけの効果があるんだろうかというような議
論も一方でありまして、なかなかすべての子どもたちを対象に何かを行政としてする。
特に厚生省の範囲内で何かをやるというのは非常に難しい面があります。
そういう点もこれから、実は役所の人間だけで考えているとなかなか出来ませんで、
また予算などを取ろうとするとすぐいろいろな各省の問題とか、大蔵省が査定をしたり
、なかなかやりたいということも出来ない面が多いんですけれども、その辺がこれから
のこの部会といいますか、この会の一つの議題ではないかと思います。
それから今、児童福祉法と言っておりますけれども、今までのお話を聞いていますと
、子どもたちを対象に何かをするということではなく、親とか、あるいは家庭とか、そ
れから社会とかを対象に働き掛けていくことが大事なんじゃないかという気がします。
児童福祉法というとすぐ子どもを対象に、何か問題を持っている子どもをどうこうする
というふうに考えがちで、そういうことも勿論大切ですけれども、親に対する働き掛け
、あるいは意識の持ち方ですね。それから、最初に言いましたような価値観、親とか、
社会とか、家庭にどういうふうに有効に働き掛けていくか。そういうことを、やはりこ
れから考えていく必要があるんじゃないかと思います。
以上です。
○部会長 ありがとうございました。
これで一通り委員さんの御発言をいただいた訳でございますが、お話を伺えば伺うほ
ど児童福祉法50年の歴史も大変な功績を上げてきたと私は思うんです。そしてまた、大
変高い理念を掲げて発足した訳でありますが、その理念が今、揺らいできている訳でも
ない。 ただ、時代が変わりますと、理念の表現としていろいろな施策には確かに問題
があるだろうということであります。そういう意味で、今日こうして吟味検討すること
は大変意味があると自画自賛しているところであります。
そこで、今日のお話はまた取りまとめまして皆様のお手元にお届けし、次の議論の材
料にさせていただくということにいたしまして、次に進ませていただきたいと思います
が、よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、せっかく用意してあります資料の2と3を御説明をいただきたいと思いま
す。
○事務局 それでは、4月9日、第2回に御用意いたしました資料の2の方から簡単に
御説明を申し上げます。
審議項目は、要保護児童施策の対象範囲をどのように考えるべきかということでござ
いまして、資料の1ページが児童福祉法の対象年齢がどういう経緯で決まったのかとい
うことが書かれております。
それから、2ページが諸外国における児童の定義について若干触れてございます。
それから、3ページ目が児童福祉法の要保護児童の範囲をこのように一応分けており
まして、1番目が保護者のない児童、2番目が保護者に監督保護させることが不当と認
められる児童ということで、これは2つに分かれておりまして、保護者に原因がある場
合と児童自身あるいは心身上の障害等が主な原因となっている場合に分けられておりま
して、それの現行の対応方法が右の方に書かれております。
それから、4ページ目が要保護児童対策にかかわる対象課題と、現在行われている主
な支援方法を規定させていただきました。
次が、児童福祉施設入所児童の人口比でございますけれども、養護児童と教護児童の
人口比でございます。教護児童は、ご覧いただきますと分かりますように、かなり大幅
に減少しておりますけれども、養護児童はそんなに減っておりませんで、大体平均化し
ておりますということが書かれております。
それから、6ページ目が児童福祉施設の所得階層別の児童数の割合で、厚生省が調べ
たものでございますけれども、ここでご覧いただきますと、D階層というのは一番下の
方に書いてありますが、所得税課税世帯です。それが年々少しずつ増えてきているとい
うことと、母子寮をご覧いただきますと、後からまた御説明申し上げますけれども、母
子寮に 入所されている家庭の徴収率を見ますと、一定いたしておりまして生活保護世
帯が多いということと、B階層が非常に多いというのがどの時代でも同じになっており
ます。
それから、7ページが児童相談所における養護相談の中で虐待の件数を述べておりま
す。
それから、8ページ目は飛ばします。
9ページ目が、公・私立高等学校中退者の年度別推移が述べられておりますが、次の
ページをご覧いただきますとその率が出ておりますけれども、パーセンテージでいきま
すと大体2%くらいの数字でここ10年ほどは過ぎております。
それから、次の登校拒否児童、これは文部省の資料でございますので登校拒否と申し
上げておりますけれども、我々は不登校というふうに申しておりますが、登校拒否児童
の小学生と中学生の割合がここに出ております。
次に、12ページのいじめの件数でございますけれども、昭和60年度に取りましたとき
にはかなり多くなりましたが、だんだん減りまして、平成5年度は大幅に減った訳です
けれども、6年度でまた大幅に増えておりますのは、一番下にございますように、文部
省が定義を若干変えたということがございまして大幅な増加になっております。
それから、最後の13ページいじめに起因する事件の状況をここに書かせていただいて
おります。
以上が、要保護児童関係のものでございます。
それから、同じく9日に御用意いたしました資料の3、これは母子家庭・父子家庭の
関係の資料でございます。
まず1ページ目が、母子世帯・父子世帯の状況、母子世帯等実態調査結果から出てき
た数字でございまして、死別が昭和31年当時はかなり多くて離別が少なかったんですけ
れども、それが平成5年では全く逆転をいたしていることがお分かりいただけると思い
ます。それから、未婚の母が少しずつ増えてきている。母親の年齢も、40歳から49歳の
ところが一番多くなっております。平均年齢は、平成5年では41.7歳ということでござ
います。次に、2ページは末子の年齢別でございますけれども、平均が12歳ということ
でございます。
それから、住居の状況は調査をするたびにやはり持ち家率が少なくなりまして、集合
住宅に入る割合が少しずつ、それから民間アパートだとか何かを借りる率が多くなって
きている。
それから、就労状況も就労している割合は多くなってきておりますけれども、事業主
だとか常用雇用が少なくなって、パートの方に大幅に移行していることがお分かりいた
だけると思います。
次の3ページが収入金額でございますけれども、平均では平成4年の収入では215 万
円ということで、性別と死別では若干の差がありますが、一般世帯からみるとかなり差
がある。
それから、離婚した場合の養育費の受給状況も、現在受けていると、受けたことがあ
るというのを足しても30%ちょっとということで、ほとんどが受けていないということ
が分かります。
次に父子世帯でございますけれども、年齢階級別ではやはり40歳から49歳が一番多く
なっておりまして、平均年齢が44.2歳、それから住居では持ち家が53%、母子は29.6と
なっているんですけれども、そういう意味では父子の方が住宅もきちんとしている。
それから、就労状況もかなり母子と比べますと、常用雇用の方が多くなっております
。平均所得の収入金額も423 万円ということで、母子が215 万円でございますので、倍
くらいになっております。
それから、5ページが就学状況別に見た児童、それから困っていることの内訳が次に
述べられておりますけれども、やはり父子家庭の場合には家事が大変であるというのが
1番で、次に健康、それから家計というようなことが分かります。
次からは、離婚件数の状況がずっと述べられております。
それから、8ページは同居期間別の離婚件数が述べられておりますけれども、下の方
ですが、同居が5年未満で別れるというのが大幅に増えてきているということがお分か
りいただけると思います。
次が、同居期間別の離婚件数の年次別推移でございますが、10ページは離婚の類型別
に見た年次別推移と率が述べられております。
11ページが非嫡出子の出生率と認知件数でございますけれども、一番右にあります認
知件数をご覧いただきますと、ほとんど1万1,000 件台でここのところずっと推移して
おります。
それから、12ページが離婚の調定の関係でございます。
それから、13ページが離婚観でございまして、相手に満足出来ないときは離婚すれば
いいという考え方についてどういうふうに考えるかというのが述べられております。
それから、離婚観の次が国際比較でございます。
それから、15ページが母子家庭の収入状況をもう少し詳しく調べたものがここに記入
されております。平成6年で見ますと、可処分所得が20万1,000 円であるのに、消費支
出が21万円ということで104 %とオーバーしてしまっているというのも一つの特徴では
ないかと思います。
それから、民間給与の状況がここに書かれておりますけれども、男女平均では一番下
の方に6年がありまして、455 万5,000 円となっておりますが、男子が560 万円である
のに対して、女子が270 万円ということで半分以下の所得しか受けていないということ
が分かります。
それをグラフにしたのが次のページでございまして、黒が男性でございまして、横に
引いた棒の方が女性でございます。ごらんいただきまして分かりますように、女性が非
常にそういう意味では差がついている。男性に比べて所得が低いということが分かると
思います。
それから、次の18ページは生活保護の状況を記入させていただきました。
次の19ページもそうなっております。
それから、20ページが母子世帯の保護開始理由がここで書かれております。
ずっと生活保護の状況でございますが、22ページが女子労働の状況で、年齢別、階級
別の女子労働の人口比率がここに出ておりますので、ご覧いただければと思います。
それから、産業別の雇用者数の構成比の推移が23ページです。
最後が、雇用形態別雇用者数とその構成比の推移ということで記入させていただきま
した。
以上が、前回御用意いたしました資料でございますが、本日お手元に御用意いたしま
した、今後議論していただく関係で素材をということで御用意いたしましたけれども、
資料2の方が要保護児童施策の対象範囲をどのように考えるかということについて、大
きく3つの点からここでは記入させていただきました。
1つは対象課題についてどう考えるかということと、施策対象をどういうふうにして
いくべきか。それから、その支援方法はどうすべきかということをここで素材として提
供させていただいております。
それから、資料3が母子家庭の方でございまして、母子家庭の置かれている状況をど
のように認識するかということが当面の課題でございまして、それを2つの方向から検
討すべきということで記入させていただいております。母子家庭に対する施策を今後ど
のような観点から検討すべきかということで、母子及び寡婦福祉法と児童扶養手当、あ
るいは21プラン研究会と我々は申し上げておりますけれども、そこでの議論。それから
、母子家庭の自立の視点から見て、児童扶養手当制度をどのように考えていくべきかと
いうことについて御議論いただければということで、素材として提供させていただきま
した。
以上でございます。
○部会長 ありがとうございました。
今日この要保護児童施策の対象範囲の問題、それから母子家庭の置かれている状態を
どう認識するかという問題、この辺りをやりたいのでございますが、ちょっと時間が十
分ございません。
そこで、本格的な御議論はまた次回に譲るといたしまして、ただいまの資料について
御質問がありましたらどうぞ。あるいは、御意見でも結構でございます。
○O委員 ちょっと質問をさせていただきます。
先ほどのA委員のメモにありましたように、子どもに愛情が持てない母親とか、ある
いは共感とか忍耐心を欠いてる子ども、そういうのを要保護児童というふうに考えてい
いのかどうか、その辺はどうなんでしょうか。
○家庭福祉課長 伝統的な要保護児童ということを今回資料で出させていただきました
が、その伝統的な要保護児童の範囲内でいいかどうか、この審議会で実は御議論いただ
きたいと思っております。
○O委員 なかなか心理的に未熟なままに母親になってしまった子どもたちを要保護児
童……。
私は、やはり大きな問題だと思うんですね。そういった子どもたちは親を考えないと
いう訳にはいかないと思うんですけれども、それは一応対象に私は考えるべきだと思い
ますが、ほかの委員の先生方からもいろいろ御意見があろうかと思います。
しかし、実際にはなかなか何をやるかというのは難しいと思います。それも、あるい
はこれからの議論かもしれません。
○部会長 では、対象課題ということで今お話が始まっておりますので、今日は要保護
児童施策の対象範囲というところでまず御議論いただき、時間があれば次へ進むという
ことにしたいと思います。
○N委員 資料でちょっと質問なんですが、よろしいですか。
この養護相談等々の児童相談所あるいは入所している児童がいらっしゃる訳ですけれ
ども、それは全部だれかといいますか、例えば民生委員ですとか、第三者の方がこれは
要保護だとか、あるいはこれは虐待されているから相談しようとかという形で表に出て
くるんですか。ヘルプのように、子ども自身がひどい目に遭っているので何とかしてく
れと言って申請してくるということはまずない訳ですね。
○家庭福祉課長 要保護児童の措置ということになりますと、これは児童相談所が決定
する訳でございますけれども、今、N委員がおっしゃったような、子ども自身がやって
くる場合というのも例外的にはございます。決定は、措置という施設の入所措置を中心
に申し上げておりますけれども、これは児童相談所の方で、つまり県の方で行っている
ということでございます。
○N委員 決定はそうだろうと思うんですが、発見するといいますか、どこにそういう
問題のある子どもがいるかというのを見つけるのは。
○家庭福祉課長 警察等の機関もございますし、それから近所の方が児童相談所に持ち
込むという場合が多いと思います。それから、親自身が多いと思います。
○N委員 そこのところがうまく機能しているかどうかというのが一つの疑問だろうと
思うんですね。本当に全部救われているのかどうなのか。どこかに忘れられて救い上げ
られないで残っているお子さんたちがいらっしゃるんじゃないかというのでちょっと伺
いました。
○部会長 ほかに、どうぞ。
○E委員 要保護児童施策の対象範囲の問題については、幾つか提起しておきたい問題
があるんですけれども、現在の要保護児童施策の問題点としては、先ほど簡単に資料説
明があって、その中にも出ていたことは出ていたんですが、いわゆる自立支援対策が行
政で 努力はしてきて対策は講じられつつあるけれども、必ずしもそれが十分ではない
というふうなことで、特に施設を出てからの社会の中での処遇というものが決して十分
じゃないだろうというふうに思っております。
これは、施設に入所している子どもの問題で言えば、児童福祉法では満18歳未満とい
う形で、18歳になったら出るような仕組みになっている訳でして、現在の社会のように
非常に複雑な社会において、そういう年齢が来たから自立出来るかというと、そこに大
きな困難な問題が横たわっている訳です。特に、さまざまなハンディを持っている要保
護児童については、なかなか社会適応が難しいというふうなことがある訳です。
そこら辺で、18歳という年齢がいいのかどうかという問題はあるんですけれども、現
行法の中でも在所期間の延長の条項があったり、あるいは年齢延長の条項があるんです
が、特に教護児童とか、あるいは情緒障害児のような、そういった治療とか教育を目的
とした施設の子どもたちについては、いわゆる効果が上がったところで判断をしなけれ
ばいけないんじゃないかというふうな気がしている訳です。
それで、これは単に施設内処遇のみではなくて、やはりこれは少年法との関係でいろ
いろと学んできているんですけれども、少年法では社会内処遇ということで、補導委託
の機関があったりとか、あるいは保護司がそういった子どもを指導して委託をされてい
る訳でして、同じ少年である児童福祉法でいう教護院の子どもたちについては、そうい
う社会内処遇というのが決して十分ではないというふうに思っている訳です。
そういう意味で、これからの児童福祉サービスの中で、もう少し対象範囲を広げて保
護司という制度が十分にうまく機能しているかどうかはともかくとして、そういうもの
があったりしている訳で、児童福祉法でもかつてあった、今もあるんでしょうが、保護
受託者制度というのをもう一回現代の社会に合わせた形で機能させるというようなこと
とか、あるいは保護司に匹敵するような主任児童委員とか、あるいは民生児童委員とい
うのをやはり社会内処遇の一つの手だてとして考えるべきで、そういう意味では民生委
員と児童委員とを分けて、児童委員がそれに当たるというふうにした方がいいとは思う
んですけれども、ここら辺の問題もいろいろ難しいみたいでして、そうだったら主任児
童委員の数をもっと増やすというようなことで、そういったサービス、社会的な資源を
つくって対応していくということも考えるべきだろうというふうに思っています。
2点目は、いじめとか、不登校とか、そういった子どもたちが確かに施設に要保護児
童として登場してきている訳ですが、多くは学校教育の場で発生をしている訳で、学校
は教育の分野でもかなり最近ではスクールカウンセラーを置いたりしながら対応してい
っている訳です。また、児童福祉法でも資料の中にも載っていたように、不登校に対す
るいろいろな施策も講じられていて、教育の場と児童福祉の場とどういうふうに役割分
担をしていくのかというふうに考えさせられる訳です。
これは児童虐待の問題でも同じで、保健とか医療の場とどう福祉の分野がドッキング
してそれに対応していくべきなのかというふうに思っているんですけれども、学校教育
の場で、学校などはやはり要保護児童を扱っている児童相談所に対するイメージという
のは、特別の階層の特別の問題としてしかまだまだ見ていないということがあって、イ
メージ的にも児相を活用するというのは最後の最後の手段というふうな形で、必ずしも
児童相談所のイメージがよくない、あるいはそのあり方も問題であるというふうに思っ
ています。
今の児童福祉施策が健全育成での分野とか、あるいは要保護児童分野とかというふう
に区分けをしてやってはいますけれども、やはりこれは両方にまたがるというんですか
、健全育成の施策というのは要保護児童施策にもつながっていく問題で、そのグレーゾ
ーンにある問題をどうするのかというふうなことも出てくる訳ですけれども、いずれに
しましても、先ほどN委員の方から話があったように、虐待などの問題でも今の施策自
身が申請主義的な色彩が割合濃い訳です。そういう意味で、児童相談所の窓口に出向い
ていって、申請をして、受理されて初めて要保護児童というふうな形で認定をされて、
サービスを受けるという仕組みになっていく訳です。
したがって、虐待とか放任されていても通告がない限りは児童相談所が機能しない、
動かない。それで、動かなければ要保護児童の施策に乗ってこないというふうな矛盾が
ある訳です。あるいはまた、児童相談所の一時保護所に入れたとしても、親が同意をし
なければ、すべて施設に入れればいいとは思ってはいませんけれども、施設入所につな
がっていかないというような問題があって、ここら辺はいじめの問題とか不登校の問題
を取り扱うというふうに思ったら、やはりいろいろネックになってくる問題なのかなと
いうふうにも思っています。
いずれにしましても、事件が発生しなければ要保護児童にならない、あるいはその施
策に乗ってこない。つまり、破綻をして初めてというふうな、危機的状況の中ではなか
なか乗ってこない。それで、手が出せない、あるいは手を出さないというようなところ
が今の状況にある訳です。
今そういった問題がある訳で、その意味では児童相談所の行政の第一線の機関がどう
動くかという問題にもかかってくる訳でして、これは前回も言わせていただいたんです
けれども、要保護施策が単に事後的な対応で終始していくということでは、それも一つ
の大きな役割ですが、もっと予防的な役割を担うような、そういう範囲を考えていくと
いうふうなことがどうしても必要なのかなというふうに思っております。
NO5に続く
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