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第3回中央児童福祉審議会基本問題部会議事録NO2
○部会長 どうぞ、F委員。
○F委員 父親の育児参加ということが今、話題に出ておりますので、私は実際に健診
とか育児相談をしている現場から感じていることを話してみたいと思います。何十年も
育児相談をしておりまして、本当に最近育児が変わったと私は思っていますが、その変
わったなと思う中の1つに、父親の育児参加がある訳ですね。昔は健診に来るパターン
というのは大体おばあちゃんがおむつの袋を下げて、それから若いお母さんが赤ちゃん
をだっこしてというようなパターンだったんです。今は、お父さんがだっこすることが
多いかな。
とにかく若い夫婦で来る方が非常に多くなった。
それと同時に、私の質問に答えるのもお父さんが答える方が多いんです。ということ
は、決して育児を奥さんに強制されていないで、自分で楽しんでやっているというよう
なパターンだと思うんです。
あるとき、本当に後で笑い話になってしまったんですけれども、私が質問することに
すべてお父さんが答える訳です。それで、お母さんは傍らでいすに座って黙っているか
ら、私はもしかしたらこの方は障害者じゃないかと思いました。それで、普通に聞いて
いきますと、お父さんが全部答えてくださって、しかも母乳の回数とか、それから排便
の回数とかということまでお父さんがちゃんとお答えになる訳です。私は、お母さんが
にこにこ笑って傍らに座っていらっしゃるから、これは何か聴覚の障害がおありなのか
なと思いましたが、全部診察が終わって最後に立ち上がって、ありがとうございました
と言ったのがお母さんなんですね。あとは普通に2人で話をしていらしたから、これは
障害者じゃないと思ったんですけれども、それほどお父さんが育児に参加しているパタ
ーンというのは増えたと、感じております。
しかも、先ほど申しましたように、嫌々ながらではなくて生き生きと参加していらっ
しゃる。私の方が心配して、「あなた、今日会社はどうなさったんですか」と聞くと「
会社は休んでいます」というような、お答えで相談に見える訳です。ですから、本当に
これは自発的な意思から相談に来て、それで医師と相談事をして帰っていく。だから、
本当に育児が2人の作業というようなことで、非常にほほえましいと思っております。
それから、父親の育児参加というので大切なのは、私どもの病院では夫立ち会い分娩
というのをやっております。それで、その分娩というのもだんだん増えております。夫
が立ち会って分娩して、それでいいことは、その後、母乳の出がよくなるんですね。そ
れは私どもの病院のデータだけではなくて、ほかでもデータを出しておりますけれども
、精神的なサポートといいますか、母親を非常にリラックスさせるといいますか、そう
いうことで母乳の出がいいというデータが出ております。ですから、先ほど委員の方か
らいろいろそういう御発言がありましたけれども、やはり育児というのは母親だけのも
のではなくて、しかも自発的に育児は楽しいと思ってする父親の仕事でもあるというふ
うに私は思っております。
○部会長 どうぞ、B委員。
○B委員 幾つかのことで、ちょっと私のつたない体験も交えてお話し申し上げたいと
思います。
今、F委員から夫立ち会い分娩というお話が出ましたけれども、実は私はそれをいた
しました。というのは、たまたまアメリカで2番目の子どもが生まれたのでそういうチ
ャンスがあったんだと思うんですが、最初、日本で一番上の女の子が生まれたときには
病院の廊下で待っていまして、それでおぎゃーと向こうの方で聞こえたというだけの話
だったんですが、アメリカでは昭和45年、1970年でございましたが、もうそれが普通の
ようでした。大体その前の定期健診に1か月に1回ぐらいずつ連れていくときも、なる
べく一緒にいらっしゃいということで、男の先生でしたけれども、車を運転するのも必
要ですし、私が必ず連れてまいりました。それで、立ち会いをさせられたというのも変
ですけれども、勧められたので、では是非ということでいたしました。
それで母乳の出がよくなるというのは実は初めて伺いましたけれども、その後で、先
ほどA委員から、必ずしも十分ではないのではないかという御指摘があったんですけれ
ども、割合自然に育児の1割くらいは私が分担したような感じがございました。
その次に申し上げたいことは、企業社会のあり方ですね。これは一般の企業だけでは
なくて、先ほどお話に出ましたが、どうも霞ヶ関の皆さんは非常に残業が多いようでご
ざいまして、本当に御苦労様だと思っておりますが、ただ、そうは言っても日本の社会
全般がかなり昔と比べますと、そういう点でよくなってきているのではないかなという
気がいたします。
特に民間会社の場合には、前回にも私は申し上げたかもしれませんが、昔は企業戦士
的なメンタリティーを持つ人がほとんどで、例えば今日家内がどこかへ出掛けるので、
子どもの面倒を見なければいけないから休ませてもらいますなんていうことを言うと、
ばかじゃなかろうかというふうな感じで見られたと思うんですけれども、最近はそうい
う理由で休暇を取っても余り、私ももうすぐ60でございますが、実はそう違和感を感じ
ないんです。むしろ、そういう事例が出てきたように思います。
その点で私がむしろ心配しますのは、女性の方がせっかく育児休業制度が法制化もさ
れ、それから私どもの場合には実は法制化をされる5、6年前からその制度を社内でや
っておりまして、私どもの場合には比較的よく取られていると思うんですけれども、一
部にキャリア形成上マイナスになるから育児休業も取らないというような女性の方がお
られるようでございまして、これはもったいないなと思っております。
ただ、まだ日本の企業社会の中に幾分といいますか、かなりといいますか、そういう
ものが残っているとすれば、これは何とか積極的に直していかなければいけないのでは
ないか。つまり、年功序列だとか何とかということではなしに、やはり能力と仕事の実
績に基づいて評価がなされるようなことがだんだん当たり前になってきている訳ですか
ら、たとえ1年間育児休業あるいは18か月育児休業を取っても、それがキャリア形成上
マイナスにならないような、そういう社会を実現していくことが大事ではないかなと思
っております。
それから、ジェンダーフリー社会のお話でございますけれども、私は夫と妻が協力し
ていろいろなことをやるべきだということは、全くそのとおりだと思うんですが、しか
し、合理的な役割分担といいますか、そういうものを持つことは決して男女共同参画型
社会といいますか、あるいはお互いに協力し合って1つの家庭を運営していくという上
で、決して悪いことではないのではないか。言葉の極めて厳密な意味で本当のジェンダ
ーフリーということは、むしろちょっと無理ではないかなという感じを今でも実は持っ
ておりまして、またいろいろと御批判をいただきたいと思っております。
それからもう一つ、この前、社会的価値観ということを私は申し上げましたが、社会
的価値観というものが少しく振り子のように振れ過ぎる傾向がありはしないかなという
心配をしております。例えば、表現の自由とか、言論の自由とか、そういう価値は大事
にしなければならないと思うんですけれども、ただ、幾ら表現の自由が大切だからとい
って、極めて公序良俗に反すると思われるような写真を載せた、あるいはそういう文章
を載せた雑誌類が、私もあるとき人に言われて、へぇーっというのでコンビニの棚でち
ょっと気が引けたんですけれども、手に取って開いて見て実はびっくりしたことがあり
ました。
それで、なおびっくりしたことは、隣りで明らかに体格とか半ズボンをはいた服装と
かから考えますと、小学校の体は大きいですけれどもせいぜい6年生、場合によると5
年生くらいかもしれない。あれは絶対に中学生ではないと思うんです。そういう少年が
、私が開いてびっくりするような雑誌を立ち読みで一心不乱に見ている。こういう状況
を見て、果たしてこれがいいのかなと。
それからまた、私は必ずしもお上信奉者ではないのでありますが、見たい番組が多い
ということで、これはNHKをよいしょする訳では決してないんですけれども、NHK
にチャンネルを合わせておくことが多いんですが、民放の番組などをたまたま見て、こ
れが9時か10時ごろの時間に普通の家庭の茶の間にどんどん飛び込んできて果たしてい
いのかなという感じを持つ訳です。そういうことを言うと時代遅れというふうに取られ
がちかもしれませんが、だんだん麻痺してくるような傾向がございます。
そうかといって言論統制は勿論よくない訳でありまして、どうも価値観というか、物
事というのは、ある方向に進んでいって、やはり適度な部分というのがあって、オプテ
ィマムなエリアというものがあって、それを過ぎるとかえってマイナスになってしまう
のではないかというふうに感じております。
長々とそんなことを申しましたのも、この部会の中心テーマについても、何かオプテ
ィマムポイント、オプティマムエリアというものがあるのではないかというような感じ
を持ちましたので、あえて申し上げた訳でございます。
以上でございます。
○部会長 ありがとうございました。
では、G委員。
○G委員 子育てをめぐる現状と問題点ということでございますけれども、おととし合
計特殊出生率が1.50までちょっと戻したんですが、去年はまたどうも下がりそうだとい
うようなことで、低出生率時代が続いている訳でございますが、やはりこれは社会保障
とか 雇用とかの影響ということもさることながら、子ども自身にも随分影響を与えて
いるような気がいたします。
それで、これはたしか93年ごろの厚生白書だったと思うんですが、子どもの持ち物調
査というのが載っていたと思うんです。自転車とか、ラジカセとか、テレビとか、単独
で子どもが持っているものを調査したものが載っておりまして、一般的に中学生は大部
分の人が持っているんだけれども、小学校の低学年とか未就学の子どもでも今、かなり
の人が 持っているものの中の一つに腕時計というのがありました。
私はそれで印象に残っているんですけれども、腕時計は今、中学生が70%以上持って
いるのは分かるんですが、小学校の低学年でも40%くらい持っている。それから、未就
学の子どもでもたしか10%を超えていたと思うんです。今ちょっと手元に数字がないん
ですけれども、たしかそんな数だったと思うんです。
どうして未就学の子どもが腕時計を持っているのか。経済的に豊かになったことも勿
論あるでしょうし、それから子どもが減ったことによって親が甘やかすといいますか、
今の子どもはよく言えばおっとりしているけれども、やはり甘やかされることによって
随分わがままな面もあるのでございまして、そういう原因かなと最初は思っていたんで
す。しかし、よく考えてみますと、小さい子どもでも、自分で時間のコントロールをし
ないとやっていけないんですね。つまり、お母さんがいない場合が多いんですよね。だ
から、何時から何をするというのを常に時計を見ながらやっている。一般的に夕方にな
って暗くなったらうちへ帰るというのは大昔の話でありまして、今は皆、自分で時計を
見てうちへ帰る、あるいは塾へ行く、あるいは自分の見たいテレビを見るためにうちに
帰るというような ことをやっているんです。
そういうことで、子ども自身の置かれている環境とか何かが随分変わってきたように
思うんです。それで、先ほどからいろいろ出ておりますけれども、子どもの環境をどう
いうふうにこれから変えていかなければならないか、環境変化に応じた対策をどういう
ふうに考えていくかということが一番の問題だろうと思うんです。そこのところを是非
この会で1歩でも2歩でも前進出来るようにしていきたいと思うんです。
そんなことを今、御議論を聞いていてちょっと思ったんですけれども。
○部会長 ありがとうございました。
それでは、H委員。
○H委員 子育てに関する社会的支援のあり方ということで、3つほど申し上げたいと
思うんです。
前回に問題点は申しましたので、対策という観点から、1つはやはり子育ても広い意
味での教育ですね。そういうことで、子育ての理念というのが今もう社会的にも各家庭
でもなくなってしまっている。これは、前回申し上げたとおりです。そこで、やはりそ
こは子どものころから教育なんだという理念、そしてその理念の中身をしっかり打ち出
して社会的合意をつくり、その理念の下で制度をつくるということが必要じゃなかろう
かということが1点であります。
それで、その理念の中身は前回も自立と社会性ということを申し上げましたけれども
、これは憲法、それからそれを引いた教育基本法に、これまた非常によく出来た法律だ
と思いますけれども、縮めて言えば自立と社会性を育てるという理念が打ち出されてお
りまして、これは今の社会で一番ぴったりした子育ての理念ではなかろうか。このどち
らも、今の子育ての中でむしろ後退している。知識教育ばかり進んで、自立性も後退し
ている部分が大きいし、社会性も育っていない。ここは非常に問題があるので、きちっ
とそういう理念を打ち出すことが必要じゃなかろうかと思います。
それで、自立というのは子育ての絶対的な理念で、これは動物でも全部やっておりま
して、本屋さんに行きますと、動物の子育てなどという本はいっぱいありますけれども
、つまり動物の子育てという本があれだけ出るということは、動物の子育ての方が人間
の子育てよりも優れている。だから、それに学ぼうということで出るのではなかろうか
。人間もずっとそれでやってきておりましたけれども、現代社会になってきて知識偏重
の方にいってしまって本来の自立ということが忘れられるような、そういう現状になっ
ているのではなかろうか。これはもう一度しっかりと基本の理念、自立と社会性という
ことを皆が認識し、そのための保育であり、そのための児童教育であり、そのためのい
ろいろな施設であり、そのための行政であるということをはっきりさせる必要があるの
ではなかろうか。児童福祉法を見ますと、健やかな心身という理念が打ち出されており
ますけれども、もう少しこれは中身を教育基本法とバランスをとって、中身をはっきり
させた方がいいのではなかろうかというふうに思います。それが1点です。
それから2点目は、その対象となる児童ですけれども、現在のいろいろな法律体系を
見ますと、やはり保育に欠ける児童を拾い上げると。保育に欠ける子は保育をしてあげ
なければいけない。そのために保育所があると。要するに、ある面で特殊であってどう
も扱い切れない、このグループを拾い上げようという体系でいろいろな施設が出来、い
ろいろな法律が出来ていると思いますけれども、私はこれからはそういうことではなく
て、すべての児童を対象とするという体系で考えなければいけないんじゃなかろうか。
これが、申し上げたい2点目であります。
かつては、それぞれも自立を目指し、家庭もなかなか兄弟がたくさんいてしっかりや
っていたと思うんですが、落ちこぼれたら落ちこぼれたでそれはそれでいいとなってい
たと思うんですけれども、今はもう1人も落ちこぼれさせない。全部を拾い上げて、し
かもしっかりやっていこうという社会でありますので、これは家庭だけでしょい込める
とか、学校だけでしょい込めるとか、そういうことはもうあり得ないんじゃなかろうか
。
ところが、その家庭の現状を見ますと、先ほどからも出ておりますし、前回もよく出
ましたように、私はすべての家庭がむしろゆがんでいるというふうに言い切っていいく
らいの現状になっているのではなかろうか。
これは、社会自体がいわば悪い訳でありまして、要するに覚え込まなければ競争に負
けるということで、小学校の高学年から低学年までこのごろは大変な詰め込み知識にな
っておりまして、父親、母親もそういう教育の中でおかしいなと思いながら、しかし、
それ以外にどうしていいか分からない。とりあえずそうなんだから、皆そうやっている
んだから塾に通わせなければいけない。もっと覚えさせなければいけない。そちらの方
にほとんどのエネルギーと力を注ぎ込まれてしまって、結局一番基本の人間性、つまり
自立性、社会性といったようなところが欠けてしまっている。だから、いじめる方がい
じめに回ったり、そういうことが全く普通になっているという現象は、要するにもうす
べての児童が障害児の候補者であるというふうに言っていいような現状になっているん
じゃなかろうか。
これは、やはり少子化したとか、いろいろな社会現状からきている訳ですから、特定
の子どもを取り上げるということではなしに、全体を対象として、その中で対応策を考
えていくという視点がどうしても必要になるだろうというふうに思います。これが、2
点目であります。
3点目でありますけれども、今度はそういう保育から教育、児童を扱う側であります
が、これもばらばらでやるのではなしに、全体として取り組む必要があるだろう。与え
る側も全体としてネットワークを組み、取り組むという発想が必要であり、そういう点
からシステムをつくることが必要であるのではなかろうか。これが3点目であります。
その全体の中には当然家庭も入り、これは母子家庭から何から全部入るんじゃなかろ
うか。すべての家庭が入り、勿論学校教育、学校も入り、地域も入り、ボランティアも
入り、社会も入り、企業も入り、すべてが子育てを、子どもたちに自立と社会性を備え
つけるために連帯してやっていく。そういう考え方でそれぞれの役割を持ち、しかも連
帯しながら役割を果たしていくという構造をつくる必要があるんじゃなかろうかという
ふうに思います。
実際に、厚生省も幾つも施設をお持ちであります。あの施設も連帯しなければいけな
いので、精神障害者の施設も、身体障害者の施設も、作業所も、保育所も、あるいは一
般の家庭、これはすべて同じような問題を抱えた同じような人たちを扱うんだというこ
とで総合的にやっていく。そういうシステムづくりの発想が必要だろう。その中で、児
童相談員でありますとか、福祉員とか、それぞれ連帯を組む1つのコーディネーターと
しての役割を付与して考えていくという発想が要るのかと思います。
以上、3点でございます。
○部会長 ありがとうございました。
まだまだ御意見があろうかと思いますが、I委員どうぞ。
○I委員 やはりちょっと触れておかなければならないことがあるように思われるので
、2、3、皆さんの発言に関連して申し上げたいと思うんです。
今、H委員が言われたことは誠にごもっともなんですが、やはりそれは教育基本法と
いう考えの中にすべて盛り込まれているということよりも、むしろその前提としての個
々の幸せという福祉の問題というものがあって、初めて自立とか社会化というものが成
し遂げれらる訳で、そこが脅かされているという説明をされた上で、今、多くがゆがん
でいるというふうにおっしゃるなら納得出来るということですね。
それと、家庭の問題で、育児は家庭で完結出来るという幻想があるんじゃないか。父
親が参加すればもっとよくなる、それは間違いないんですけれども、今の状態は単に家
庭のそういう問題ではなくて、地域社会との関連において、いろいろな育児支援の体制
がひずんでいるというか、不足しているということが問題で、それを洗いざらい出して
いって解決するような、今そういう知恵を出していかなければならないというふうに思
うんです。 ただ、これは大変難しい問題で、私はむしろ今の状態というもの、つまり
つくられている育児に関する社会支援の社会的なシステムというものはそう簡単には変
わらないだろうと思うんです。それに対するインパクトをどういうふうに与えていくこ
とが必要かというような発想しかないんじゃないかなというふうに思っている訳なんで
す。
そういうことで、実際に厚生省が保育所等にいろいろ働き掛けているようなことを、
もう少し詰めていった方がいいんじゃないかというふうに思います。これは保育所だけ
ではなくて、養護施設もそうですし、その他のいろいろな施設等の施設政策をどういう
ふうにこれから動かしていったらいいかということになるんじゃないかと思っている訳
です。
これは皆さんが非常に具体的な事実から述べられたんですが、実は私のところは今3
世代の生活をしていて、子どもの養育に対して手が4人いる訳なんですけれども、誠に
不完全なんですね。それを補い合っても非常に息詰まっていくというようなことを体験
していまして、これは私は多少専門的だと思っていても、なすすべがなく見ているとき
に、保育所に通うことによって解決されていく訳です。
つまり、乳児で保育所に通うことなんてとんでもないなんて、私自身は思っていた訳
ですけれども、1歳代になって保育所に通うことによって非常に強力な、ある意味で言
えば支援をされたという感じがするんですね。それと同時に、家族の中で子どもをめぐ
っていろいろニューロティックになっている状態が一挙に変わるということを体験する
と同時に、それを反映して子どもが非常に大きく変わっているんですね。そういうこと
は、やはり今の育児の、ある意味で言えば施設育児ですね。そういうものの持っている
利点というものが目の前に表れてきたというふうに私は思っているんです。
ただ、それがそのまますべてを肯定するのではなくて、やはりおっしゃるような家庭
の中にもっと持ち込まなければならないものがたくさんあって、そういうものについて
も検討していかなければならないんですけれども、それよりももっと望まれるのは、今
、相当広がっていると思うんですが、育児に対して甘やかしとか、いろいろペット化す
るというような御指摘もありましたけれども、それよりも誤った情報が家庭に入りやす
いということがあるのではないかと思うんです。そういうことについて、どこがそうし
た育児についての基本的な専門性を確立し得るかということになる訳です。
少し先走りますけれども、1つの課題として、今いろいろな育児に対して幅の広い支
援システムを考えようとしているんですけれども、そのことを統合して何かそこに中心
になるというか、核になる働きというものが合わせて考えられなければならない。
ですから、今、申し上げたことは現在の状態を、現実をともかくあるがままに受け止
めたときに何が問題なのか。そして、それを改善する余地は何なのかということを考え
たとき、当然出てくることはどうも専門性じゃないんだろうかというふうに思いまして
、一言付け加えさせていただいたような訳です。
○部会長 それでは、盛り上がっているところでありますが、次にも進まなければいけ
ませんと私は思っております。
しかし、せっかく今、A委員が手を挙げられまして、多分I委員の御意見ではないか
と思いますので、伺って次に進ませていただきたいと思います。
どうぞ。
○A委員 時間がないところを申し訳ありません。実は、H委員のおっしゃった詰め込
み教育の問題ですが、私は詰め込み教育は悪くないと思っております。これは文部省の
問題でありますから申し上げるつもりはないんですが、学校はもっと詰め込んでいいん
ですね。
ただ、詰め込み教育でいろいろなひずみがあるかもしれませんが、それを解消して大
きく成長していく放課後の自由時間が保証されなければいけない。そうすると、これは
厚生省が取り組もうとなさっている健全育成施策にかかわってきます。
それで、時間が保証されるだけではなくて、やはり子どもの数が必要なんですね。先
回、人口政策的支援という言葉で引っ掛かって大分議論になりましたけれども、これは
将来の社会を担うために出生率を上げろと言われるので女性としてはかちんとくるので
、子どもは子どもの中で成長させておけば、これがもう完全に社会性も自立性も育つ訳
ですから、こういう刺激的な言葉を使わないで、子どもが本当に健全に成長するために
はもっと子どもを産みたい人は産もうじゃないか。それを支援しようじゃないか。そう
いう形で運動を進めていただくと、かなりの問題が解決するかと思っております。
NO3に続く
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