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          第3回中央児童福祉審議会基本問題部会議事録NO1

○企画課長  それでは、若干お見えになっていらっしゃらない先生方もいらっしゃいま
すけれども、時間になりましたので、そろそろ始めさせていただきます。
○部会長  本日は、大変御多忙のところをお集まりいただきましてありがとうございま
した。
  ただいまから、中央児童福祉審議会基本問題部会を開会させていただきたいと思いま
す。それでは、早速でございますが、審議に入らせていただきたいと思います。
 前回御議論いただきました子育てをめぐる現状と問題点、これをどう認識するか。子
育てに関する家庭の役割と社会的支援の関係をどう考えるか。こうしたことについて、
今回も御議論をいただいて、一層議論を深めていきたいと思っております。
  事務局の方で、前回の主な議論を整理されておりますので、これを御参考に御議論い
ただければ大変ありがたいと思います。
  それでは、資料の御説明をいただきたいと思います。
○事務局  資料について、御説明したいと思います。
  平成8年の4月23日付、資料番号1でございますけれども、前回御議論をいただきま
した「子育てをめぐる現状と問題点についての認識」、それから「子育てをめぐる家庭
の役割と社会的支援のあり方」についての御議論の要旨をまとめたものでございます。
議事録は別にお配りしておりますけれども、その中で主だった御意見をまとめさせてい
ただいたものでございます。
  大きく分けまして、「子育てをめぐる現状と問題点」、それから1ページ目の終わり
からでございますけれども、「子育てをめぐる家庭の役割と社会的支援のあり方」とい
うことでまとめさせていただきました。
  「子育てをめぐる現状と問題点」については、さまざまな御意見がここに出てきてお
ります。いろいろな立場からの御意見をいただいております。
  それから、社会的支援のあり方につきましては、これも大きく分けまして「子育てに
おける母親、家庭、社会の役割」がどのようなものになっているのかということを御議
論をいただき、ここに書いておりますような御意見をちょうだいしております。
  それから、前回大きな議論となりました「社会的支援の視点」につきましては、前回
メモで提出させていただきました分類に分けまして、ここで整理させております。
  1点目が、「補完的支援について」でございます。
  2点目が、「両立保障的支援について」の御意見でございます。
  3点目が、「健全育成的支援について」の考え方についてでございます。
  それから、3ページ目の真ん中くらいから、「再分配的支援について」の考え方につ
いてでございます。
  それから、「人口政策的な支援について」どのように考えるのかについての御議論を
掲げてございます。
  それから、最後のページでございますけれども、今後の「児童家庭施策の方向」につ
いて、どのように考えたらいいのかということにつきまして、さまざまな御意見をちょ
うだいしております。
  以上でございます。
○部会長  ありがとうございました。
  なお、前回御発言をいただかなかった訳でありますが、資料を御用意いただきました
A先生のメモが皆さんの資料の中にございますでしょうか。「子育てをめぐる現状と問
題点(メモ)」とあるものでございますが、これにつきまして先生にこの前、御発言を
いただくことが出来ませんでしたので、今日御発言をいただければありがたいと思いま
す。
  どうぞ。
○A委員  前回のお知らせのときに、メモを用意するようにというお手紙がありました
ので、6歳のときからずっと学校というところで宿題は必ずやらなければいけない習性
がつきまして、用意いたしましたら何と私1人だったので恥をかいてしまって、本当に
お恥ずかしゅうございます。
  それで、御用意いただいたのは先回のものですから、2週間たつと少し私の受け止め
方、感じ方も違っておりますが、お時間もないようですので、この中で1番と2番につ
いてだけ、ほんの短く説明をさせていただきたいと思います。
  子どもの成長環境というのを我々は最大に保障をしていかなければならない訳ですが
、子どもの成長環境の中で最大の環境は母親だと言われております。実は、私は心理学
者でございますので、心理学者というのは心理的な大変小さな問題を一生懸命問題にす
るという視野の狭い、ある意味で言えば欠点であり、特徴であるかもしれませんけれど
も、そういう観点でお話をいたしますので、ちょっと御寛容のほどをお願いいたします
。
  母親というものが子どもにとっての最大の環境だとしたらば、一口に言ってしまって
、成長環境としての親の問題というのが今、重大な局面を迎えております。すなわち、
今の母親は大変不幸であります。なぜ不幸かと申しますと、母親は大きく分けて、いわ
ゆる働いている母親、ワーキングマザーと、それから家にいる母親に分けられるだろう
と思います。そのいずれの立場に身を置くにしても、母親たちは大変ストレスの強い葛
藤状況にあります。最大の環境がストレスと葛藤に満ちているというのは、子どもの成
長にとって非常にいいことではありません。
  その葛藤やストレスの種類というのはいろいろありまして、勿論これから御論議にな
ると思いますが、保育のシステムの完備だとか、労働条件の改善とか、それから住まい
の問題などもある訳ですが、そういうことは無論あるでしょうけれども、心理的に私は
問題を提出したいと思っております。
  そこに書きましたように、母親には今いろいろな心理的な条件に置かれている者がお
ります。まず、私はこれを最大の問題だと思っておりますが、伝統的な母親イメージか
ら脱却出来ないで、働くことに非常に罪障感というか、罪悪感を持っている母親たちが
多い。オーバーに言ったら、働く母親は皆このような心理的な状況にいると言ってもい
いだろうと思います。つまり、働くことは自己中心的な自分のためだけの自己実現であ
って、子どもに対して大変悪い母親であるというようなことです。
  例えば、私もそうですけれども、伝統的な明治生まれの母に育てられて、白いかっぽ
う着を掛けて、本当に家族に献身をしてくれました。その母親の下で育った娘というの
は、どうしても自分を育ててくれた母親が原点にありますので、何かにつけてそのエプ
ロンを掛けて学校から帰ってきたときに「お帰り」と言ってやった母親のイメージから
離脱することが出来ない訳であります。
  それで、働きながら子どもに大変すまないとか、夫にすまないとか、家族にすまない
という思いで仕事をしている人たち、その下で育てられる子どもというのは、いろいろ
な意味でマイナスの条件、マイナスの影響を受ける訳です。非常にサイコロジカルな問
題ですが、この辺りを何とかしていかなければ、本当に子どもにとって母親がいい環境
であるということは保障されないだろうと思います。
  そうかと思いますと、2番目に書きましたように、非常に安易に育児は社会化すれば
いいと。育ての母親にしろ、産みの母親にしろ、とにかく母親が1対1で子どもを育て
るよりも、赤ん坊のときから集団保育の中で育てることが子どもを最大に支援する、最
大に成長させることだということを非常にイージーに考えて、もっと自分の育児努力が
必要であるにもかかわらず、全部他人任せ、保育所任せというんでしょうか、そういう
人たちも出てきております。
  どうしてそう簡単に、育児は社会化すれば質が向上するというふうに思えるのか。こ
れは、学問的な根拠もまだ十分ではありませんし、それから御存じのように子どもとい
うのは10人いれば10人全部素質というんでしょうか、持って生まれた条件が違います。
  それは勿論、健常児もそうですし、その中で広い意味でいろいろな障害を持って生ま
れた子どもも一つの個性を持った人間としてとらえますと、子どもの個性によっていろ
いろだろうと思いますが、その辺はまだ十分な学問的な蓄積がないままに、すべての子
どもはとにかく集団の中で小さいときから育てたらいいというタイプの方たちもありま
す。
  それから、3番目に自分の母親の原点に忠実に、職業を放棄して家庭内でハウスワイ
フの役割を務める母親たちがおります。この母親たちは、少子化に伴いまして子どもを
大変道具化するというか、ペット化しております。子どもというのは最後の耐久消費財
という言葉がありますけれども、子どもに着飾らせて、最大のお稽古をさせて、教育を
付けさせてという、このごろ服を着た犬を見ることがありますけれども、犬にとってあ
の服を着せられた状態がいいのかどうか分かりませんが、多分不幸なことだと思います
が、あのように子どもを育てようとしている母親が非常に増えてきております。
  教員になった人たちが、昔の母親と今の母親の最大の違いというのは、自分の子ども
をとてもほめる母親が出てきた。昔の母親は、自分の子どもがいい子だと思っても、大
した子どもではないというふうに卑下して語り、また内心もそう思っていたんだろうけ
れども、今の母親は人前で堂々と、そこに書きましたように「うちの子どもすごいでし
ょ。こんなことも出来るのよ」みたいに、まるで自分はかわいい高価な犬を持っていて
、うまく育てていると言わんばかりに子どもをほめる母親が増えてきたという話をして
おります。
  そのように、働いてもよくない。それから、家の中にいてもよくないという状況の中
で、子どもは決してきちんとした成長環境の下で最大の成長が図られるということはな
いように思います。
  それからもう一つ、2番目に指摘したいことは、心理的に未成熟なままに母親になっ
てしまう人たちが非常に増えております。アメリカでは、御存じのように若年妊娠が非
常に増えてきておりまして、子どもが子どもを生んだというような言葉がよく比喩的に
使われます。
  しかし、ここで問題にしたいのは、若い母親、若過ぎる母親の問題ではなくて、30に
なっても、40になっても、心理的に非常に未成熟なままに母親をやっている人たちが非
常に増えてきております。
  そこで、3つ書いておきましたけれども、母親というのは今も昔もある程度忍耐とか
、献身とか、共感性を獲得していないと子育ては出来ないだろうと思います。
  しかし、今の時代は、忍耐とか献身というのは非常にはやらないコンセプトでありま
す。そういうものが身に付けられないままで母親になっている。
  または、その次に自己中心性とか、過敏性と書きましたが、過剰な過敏性というのは
心理的には非常に未成熟な証拠というふうにとる訳ですけれども、過剰に過敏な人々、
それから自分の攻撃性を抑制出来ない人々、一口に言って未成熟な母親が子どもを育て
ております。
  今、いじめの問題が非常に取り上げられておりますけれども、例えばそのような自己
中心性とか、過剰な過敏性とか、攻撃性を持った母親の下で、その母親のイメージとか
行動を内在化して、それを子ども自身の中に取り入れる場合に、いじめ行動が出てくる
という仮説も成り立つ訳であります。勿論、いじめる子どもというのは、いじめる特性
を持っているだけではなくて、いろいろな環境的なストレスやグループの中の問題、学
級集団の中の問題がありますが、非常に心理的なレベルで問題にしてみますと、どうし
たらこのような母親の自己中心性などをもう少し脱却させて母親を成長させられるかと
いう問題に直面していると思います。
  それから、3番目は子どもを愛せない母親が非常に増えてきておりまして、しかも最
近の母親はそれを人前で堂々と公言するんです。私はこの子が嫌いだ、私は子育てには
向いていない。何でも言える時代になったということは1つあるでしょうし、それから
そういうことを言うのが格好いいというふうに思っているのかもしれませんが、それは
とても違和感のある母親の姿でございます。
  しかし、これは今回のテーマにもつながってくるかもしれませんが、いわゆる母親と
いうよりも女性とか、1人の人間としての自己実現と子育てが両立出来ない社会システ
ムが我々の周りにあるものですから、それで自己献身というようなことが出来ずに、か
わいくないということをアピールする人々が増えてきているのかもしれません。
  このような非常に細かい心理的なレベルの問題、葛藤のようなものというのは、もし
かしたらこの審議会で、いろいろな形の政策決定なども含めてなじまないのかもしれま
せんが、一番のベースにはこういうものがある。それで、これを解消していくために我
々は外側からどう母親を支援すればいいのか。または、時には教育なのかもしれません
が、余り母親を教育するという言葉は使わない方がいいのかもしれません。
  ただ、どう支援していけば、この1と2に掲げたようなメンタリティーがなくなるだ
ろう、薄らいでいくのかということが問題かと思います。
  それから、その後に中国でついこの4月の何日かに少し聞き取りをしてまいりました
のでそこに入れておきましたが、これは後でお読みいただければと思います。
  つまり、中国というのは予想以上にジェンダーフリーの社会でありまして、例えば子
育ても母親に父親が協力するのではなくて、全く家事、育児は平等な分担が行われてお
ります。これは建前ではなくて、インタビューいたしますと本当にそれを実感させられ
ます。  私は、資料の5ページ目に一応一覧表として、5人の夫婦を呼んで座談会をし
たときの結果をまとめたんですけれども、この間、B委員でしたか、自分は結構小さい
ときに子 どもをお風呂に入れたりしていい父親だったんじゃないかということをおっ
しゃいまして、私もその時点ではいいお父様だったと思うんですが、今の時点ではその
程度では協力しない訳ではないが、非常に不足ではないかと実は申し上げたかったんで
す。申し訳ありません。
  それで、どのように分担しているかの例をちょっとだけお話させていただきます。朝
食の準備ということが非常に特徴的だと思いますので、朝食の準備と夕食の準備のとこ
ろをごらんいただきますと、5つの夫婦のうちで夫が朝食の準備をするのが2家族いる
訳です。それから、夕食の準備を夫がするのがやはり2家族です。これは、日本の家庭
では考えられません。共働きであっても、必ず朝食は母親が準備いたします。
  この場合、私は大変戸惑いまして、夫が朝食の準備をして子どもに食べさせている間
、妻は何をしているのか聞いたんです。そうしましたら、簡単な掃除をするとか、結構
テレビを見ているとかと答えておりますけれども、本当に母親は堂々と何の良心の呵責
もなく夫に朝食をつくらせている訳です。それは、先ほど申しました罪障感に満ちあふ
れている日本の母親からは到底想像がつきません。
  それで、AとBの夫婦以外のCとDの夫婦は、夕食の準備を夫がしております。あと
は掃除の分担とか、洗濯だとか、子の世話というようなこともありますけれども、ごら
んいただきますと、本当にこれはジェンダーフリーというか、性別にこだわらないで好
きな人が好きな家事をする、子育てをするという図があるような気がいたします。
  勿論、社会主義の社会ですし、いろいろな歴史的な問題、政治的な問題、労働条件も
違いますので、だからこのようにということを申し上げるつもりはありませんが、ちょ
っと海から4時間隔てたところで、これだけジェンダーフリーに育児と家事をやってい
る社会があるとしたら、私たちももう少しその辺りを取り入れていかないと、幾ら社会
的な支援システムが整っても、それぞれの家庭のレベルで非常に昔の男らしさ、女らし
さとか、夫の役割、妻の役割にこだわって不幸な状況、過重な心理的、身体的な負担を
妻に課しているような状況、その中での子育てがいい質で行われる訳はないだろうとい
うふうに思いました。
  ちょっと長くなりましたけれども、以上であります。
○部会長  ありがとうございました。大変説得力のあるお話を聞かせていただきました
。いかがでしょうか、B委員。(笑)
○B委員  私も、ときどき掃除もやっております。(笑)
○部会長  これから後の御議論に、こうしたものも含めてやっていただく訳であります
が、清家委員さんから「少子化問題の捉えかたについて」というメモが入っております
が、これはお目通しいただくということで、時間の関係もございますので、お話を進め
させていただきたいと思います。
  この前の会の御議論でかなり深まっている訳でございますが、引き続きまして、今日
の時間は前の御議論の続きということで進めさせていただきたいと思います。
  つまり、子育てをめぐる現状と問題点ということで始めていた訳でございますので、
どうぞ御遠慮なくお話を進めていただければありがたいと思います。どなたからでもど
うぞ。  先ほど、事務局の方からつまんで御説明をいたしましたが、お目通しいただき
ましたでしょうか。もし不十分でございましたら、もう一度説明をお願いしてもようご
ざいますが、4月23日の資料の1というところでございます。「子育てをめぐる現状と
問題点についての認識」「子育てをめぐる家庭の役割と社会的支援のあり方」について
の議論の要旨という資料でございます。
  それでは、この中で1と2に分かれておりますので、1の「子育てをめぐる現状と問
題点」について、続いて御発言をいただく方がありましたら、どうぞお願いいたします
。先ほどのA委員の御意見は、その次の「子育てをめぐる家庭の役割と社会的支援のあ
り方」に入るのかも分かりませんが、いかがでございましょうか。
  どうぞ。
○C委員  私どもの新聞社で主婦向けの新聞をつくっているんですけれども、10年前に
あなたは幸せですかみたいな調査をやりましたら、20代の主婦が一番幸せだったんです
。20、30、40、50とだんだん年齢が高くなるにつれて幸せ度が薄くなっていった。
  ところが、最近調査し直しましたら、50代の主婦が一番幸せだといって、50代、30代
、40代、20代の順だったんです。つまり、たった10年前に一番幸せだったと言っていた2
0代の主婦が今どん底で、一番幸せ感が薄かった50代が今、一番幸せだと言っている。
  これは、女性が自己実現ということに対して非常に重要な価値を見出すようになった
ためではないかと思います。それから、20代の独身生活が余りにもいい意味でわがまま
好き放題に出来たものですから、子どもが生まれて主婦になった途端に自由がなくなっ
て、お金と経済、時間の自由を失って、今ものすごく閉塞感、それから孤立感で、子ど
もを持って幸せじゃないかというのは普通の男の人の感覚だと思うんですけれども、そ
うではなくて今、若い主婦はどん底状態にある。それは時代の気分とか、いろいろな価
値観でそういう流れになってきたんだというふうに思います。
  それで、私は結婚して子どもが生まれたときに、運命を質に入れたと思え、権利が10
分の1になって義務と忍耐が10倍になるんだ。だけど、それはすばらしい義務と忍耐だ
ぞというふうに教わりまして、その言葉をかみしめながら子育てを実らせていったよう
な気がするんですが、今はそうではなくて権利が減ることはすごくいけないことだみた
いな、義務が増えて権利が減る生活なんていうのは地獄だみたいな社会的気分にあふれ
ておりますので、子育てというのが非常に苦痛なものになってきているのではないかと
いうふうに思います。
  それで、お母さんだけやはり孤軍奮闘するという状態は異常で、この前、D委員がパ
パクォーター制をおっしゃいましたけれども、乳児の時代から保険所できちんとお父さ
んが沐浴指導とか、トレーニングを受けるということを義務づけるくらいのことを、も
うしてもいい時代ではないかなというような気がいたします。経済的にも今、夫婦2人
共働きでないとやっていけない時代で、企業も男性が女房、子どもを養うというような
形で給料を払っていた時代というのは終わりを告げつつあります。今、小学校のママの5
0%、中学校のママの65%、高校のママの70%が働いております。小学校の低学年でも43
%が 働いている訳で、それに対して学童保育の法律的な位置づけも今は明確化されて
おりませんので、人とか、広さとか、時間というのが場所によってばらばらで、これを
もう少し保障していく必要があるのではないかなという気がいたします。
  それから、胎児を児童と認めるかどうかというのは議論はあるでしょうが、産婦人科
の意識改革もしていただかないと、陣痛剤をばんばん射って引き出すみたいな、WHO
でさえこういうことはやってはいけないということを、日本の産婦人科は割合平気にや
っているというような現状でございますので、胎児は児童福祉の範囲内には入らないの
かもしれませんけれども、そういうような小児科以前の産科の状態からもう少しすばら
しい愛がある雰囲気の中で子ども、それから母親というものを尊びながら産み育てられ
る状況づくりというところにも目を向けていただければいけないときかなという気がい
たします。
○部会長  ありがとうございました。
  どうぞA委員。
○A委員  今のC委員の御発言を面白く拝見しましたが、一部分補足をさせていただき
たいんです。
  最近やたらにはやっているのは、育児なり家事への父親の参加でありまして、とにか
くどこへ行ってもそれを言えば確かにそうだという賛同を得られるような感じがいたし
ますが、私はそれを余り言いたてることはどうかなというふうに思っております。
  というのは、私がお配りした先ほどの5ページ目の表をもう一度見ていただきたいん
ですけれども、ジェンダーフリーだということを大変強調いたしましたが、今E委員に
も指摘されたんですけれども、帰宅時間というのを見ていただきたいんです。そうしま
すと、夫Aだけが深夜に帰って、あとは7時、5時、5時というように、非常に夫の帰
宅時間が早いんです。
  それで、この中で我々の社会の夫婦と似ているのはA夫婦でありまして、夫が経済の
自由化に伴って社長をやっております。妻は看護婦ですけれども、看護婦でも4時半に
はうちに帰っております。勿論、これはフルタイムです。それで、夫が深夜まで接待で
遅いものですから、この夫婦の家事分担を見ていただきますと、ほとんど朝食の準備以
外は妻がやっております。そうすると、やはり在宅時間が短い、または帰宅時間が遅け
れば、これは疲れて帰ってくる夫をつかまえて、お風呂は勿論いいんですけれども、掃
除をしろとか、食事をつくれとかというのは無茶な話であります。
  ですから、例えばこちらに並んでいらっしゃる厚生省のお役人も、恐らく深夜までお
仕事だと思います。うちにファックスが入ってきたのが11時半とかというときもござい
ますので、男性であっても子どもが生まれたら3年間は絶対残業させちゃいけないとか
、そのような労働条件でも整えていただければ、我が子はかわいいし、育児は面白いの
で、放っておいても参加するだろうと思うんです。
  それから、例えば北京の場合には乗物の状況が余りよくない。電車がございませんの
で、皆自転車で20、30分のところで帰りますから、4時半に終わっても5時にはうちに
着いている訳ですね。ですから、そういう外側の条件を整えて嫌でもというか、大変喜
んで夫も参加出来るようなシステムづくりを考えていくべきなのかなというふうに思っ
ております。
○部会長  C委員さん、どうでしょうか。
○C委員  ジェンダーフリーというのは、本当にきれいごとを言っても片付かない問題
で、まず女房の稼ぎが多い家庭は結構ジェンダーフリーなんですよね。だから、金の力
は大きいなというふうに思いました。
  それから、やはりフレックスタイムとか、そういうようなものを組み合わせられるよ
うな労働環境というものを進めていかないと、確かに無理であろうというふうな思いが
いたします。私、2人目は割と外国人の夫婦が産む病院でお産をしたんですけれども、
健診のときからお父さんが1時間遅刻して妻の健診に立ち会っていたりするんですよね
。そういうふうに、どうして日本のお父さんというのは、やはり会社の絞めつけが厳し
いんでしょうけれども、自分たちのところに生まれてくる命の神秘さを徹底的にもっと
楽しもうとしない気がします。それだけ企業の右ならえというのが厳しいせいもあるん
でしょう。それから、マイナスを1つしてしまうと、一生出世出来ないということが今
まであった訳です。
  でも、これから終身雇用年功序列がだんだん崩れてきておりますので、じわじわとジ
ェンダーフリーが出来るような環境というのは整っていくんだろうというふうに思うん
ですけれども、やはり企業のトップの判断で本当に雰囲気が変わりますので、是非経団
連の方でお願いしたいんです。
 NO2に続く


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