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96/10/16 中央児童福祉審議会基本問題部会第11回議事録NO3
NO2の続き
○部会長 いまちょうど1時間半余り熱心に話していただきました。私が受けた印象で
ございますが、これはどうしても座長席におりますとやむを得ないことなのであります
けれども、おっしゃっておられることは余り違わないことをおっしゃっておられる訳で
すけれども、表現をしようと思いますと非常に幅が広いんですね。したがって、どうい
うふうに中間報告として書き上げたらいいのか、これは大変なことで。そこで、基本問
題部会だということで中間報告の案をまとめさせていただいて、出来上がりましたもの
を再び皆様に御説明申し上げて、これでいいのかという部分で、この言葉を是非入れろ
とか、この部分はどうしてもいけないとか、例えば先ほどの「競争原理」という言葉は
いけないとか、そういうことにさせていただかないとちょっとまとまりにくいんじゃな
いか。
同時に、少し不謹慎な発言かもしれませんが、これだけ皆さんのように御熱心な議論
を闘わされる専門家がいらっしゃることは、我が国の子ども問題については非常に喜ば
しいことだとうれしい気持ちでいっぱいなんですが、それにしても、そのまとめ方とい
うものはとても大変だなというふうに思っております。
それから、子ども問題ということで考えますと、保育所だけが子ども問題じゃないの
で、それでは、幼稚園に対してはどういう補助があるのだろうか、あるいは公費が投入
されているんだろうか、またさらに、そこにも行っていない人がいるというようなこと
もお話に出ていたように思うのでありますが、これは公的責任と私的責任というお言葉
もどなたかから出ておりましたけれども、それとも関連があるのかなというふうな気持
ちがした訳でございます。
それから、整理の都合上申し上げますが、公正で公平な保育料の徴収という問題でご
ざいますが、これは今日は余りおっしゃらなかったんですけれども、これも非常に重大
な問題で、それがあるから文句が出る。負担が多いということになっていく訳ですね。
この問題もどこかに書き入れておかないといけないのかなという気持ちもいたします。
○M委員 私自身の個人的な考え方ということでお聞きいただきたいんですが、この問
題というのは、昔からそうなんですけれども、大変難しい問題でして、子育てがどうあ
るべきかということと、費用をどれだけ負担をしていただくか、あるいは徴収したらい
いかというのは意見が分かれるんです。今日も皆さん方の意見を聞いていますと、共通
なようで、また非常に違っている面があるような気がするんですね。
今おっしゃいました公平という概念もなかなか難しい概念でして、例えば税負担の公
平ということがよく言われますけれども、税金の負担の公平というのは一体何だという
ことと、保育料の徴収の公平というのは一体何だということも私は違うと思うんです。
同じ公平ということで、ややごっちゃにされているような御意見もあったかという気も
するんですが、E委員もおっしゃいましたように、公平といっても、範囲を保育所を利
用されている方の間の公平だけで考えるか、あるいは利用されていない、家庭で一生懸
命やっている方とのバランスの上の公平もありますし、受けるサービスとの関係での公
平ということもある訳で、サービスが違うのに、払う費用が同じというのはやはり不公
平ではないかというような考え方もあります。
私は今の児童福祉法の費用徴収の考え方というのは、与えるといっては語弊がござい
ますけれども、受けられるサービスと費用負担という関係が全く態様がないというのが
、今の制度上の一番問題なのではないか。サービスはサービスとして出来るだけ提供す
る。しかし、費用負担というのは、負担能力に応じて取る。負担能力というのは、所得
だけ−−特に所得といいましても、所得税、あるいは市町村民税だけを基本的にして、
負担能力に応じて徴収をするという仕組みになっていまして、もう少し費用徴収のあり
方に、受けられるサービスと費用負担との態様関係を強めるべきではないかという感じ
を非常に強く持っております。
しかも、保育所というものが特定な貧困階層といいますか、貧しい人だけが利用する
施設ではない。一般の人が広く利用される施設になってきたし、これからもしていかな
らぬ場合においては、受けられるサービスと費用する負担というのはもっと態様関係を
強める。端的にいいますと、そこまで実際にやれるかどうは適当でないと思いますけれ
ども、かかった費用は、原則としてサービスを受けた人が負担をするという基本的な考
え方に立って、そこまでやるのは適当でないという範囲内で公費を負担するとか、ある
いは一部免除をするというふうな考え方に、実際にすぐやっていいかどうかというのは
いろいろ御議論があると思いますけれども、基本的にはそれを変えていかないといけな
いんじゃないかという感じを持っている訳です。そうは言いましても、すぐにそうやり
ますと、いまの10段階が2段階ぐらいになるのかということもありますし、そんなこと
をやったら出来っこないと思いますから、G委員のおっしゃったように、ある程度段階
的に今の制度を変えていくということも必要だと思いますけれども、基本的にそうじゃ
ないかというふうに思います。
それから、昼間の保育と夜間保育、昼間を普通といい、夜間を特別保育というふうに
言うのも、確かに人によって何が普通か、何が特別かということもございますし、基本
保育とか、追加保育と言いかえても同じだと思いますけれども、基本と追加といっても
非常に難しいなという感じを持っております。医療なんかでも、基本的な医療と追加的
な医療という考え方もありますし、いろんな面で年金でも、基本的な生計費は公的な保
障、それ以上の追加的なものは、これは自己責任という考え方がありますから、そうい
う考え方が保育上でも入れられるかどうかということは、これからもう少し議論を詰め
ていく必要があると思いますけれども、今の段階では、今日おっしゃったようにお一人
おひとりみんな違うようですから、私自身も何を基本保育と言っていいか、何を追加的
な保育と言っていいかよく分かりません。日曜日だけの保育、あるいはその人のとって
は基本的な保育のかもしれませんし、そう考えますと、私はB委員のお書きになったも
のがいいんじゃないか と、率直に言いますとそういう感じを受けたんですけれども、
いろいろ御議論を承っていますと、やはりこれにもいろいろ問題があるなという感じが
いたします。さっき言いましたように、受けられるサービスに応じて費用を負担すると
いう基本原則の中で、それではおかしいじゃないかという部分を公費で負担するという
ことで、費用を減免するという言葉がいいかどうか分かりませんけれども、適正な費用
負担をする、そういう仕組みをとることが、これから先は人によって意見が分かれるか
と思いますけれども、これから保育所というものはもっと普遍的な多くの人が利用しや
すいような施設にしていく、あるいはサービスにしていく、多様なサービスを提供して
いくような制度にしていくためには、費用徴収のあり方も、そういう考え方を基本にす
るのが私はいいんじゃないかという感じを持っております。
○部会長 ありがとうございました。この前でしたか、N委員の方からこの問題につい
て御発言があったと思うんですが、今日は続けてお話しいただければと思います。
○N委員 前回、随分議論したと思うんですが、必ずしも議論したことがまとまってい
るのではないというふうに思います。先ほど来、議論がありまして、前回も私、申し上
げたんですが、M委員のお話にもありましたように、何が公平かというといろんな見方
があって、応能負担が公平という見方もあるし、受益に応じた負担というのが公平とい
う見方もある。冒頭のところに私の発言を生かしていただきましたけれども、しかし、
一番大事なのは、社会全体でこれからの子どもは支えなければいけない。だから、むし
ろ平等に支援の手が差し延べられなければならない。これが費用負担のところの基本に
なるのではないかというふうに思います。
それから、先ほど来、児童手当との関係が出ておりますが、今の児童手当は余りにも
貧しいと思います。したがって、結果的に保育サービスを拡充していくという中で、し
かも、そこに相当な公費を入れるという中で、家庭保育とのアンバランスな状況が出て
きていると思います。
それから、保育サービスの方で、かなりの所得のある人にも、ある程度の公費の支援
がいくようにという体制にしていくとしますと、児童手当に所得制限がある人とのアン
バランスが生じてくる、こういうことでございます。もう少し児童手当を上げていただ
いて、児童手当と自費で保育サービスを全て買っていただくというのが一番すっきりす
ると思いますが、そこまでいかないとすれば、現在の制度でも問題があると思うのは、
児童手当というのは、保育所に預けている家庭にも、家庭保育の家庭にも、児童手当は
支払われる訳でございます。いわばダブルで社会的な支援が行われているということで
、今程度の児童手当であれば、そんなに問題ないかも分かりませんが、この児童手当を
拡充していくということになりますと、保育所に預けている場合は支給停止すべきであ
るというふうに思います。以上でございます。
○部会長 この議論をさらに続けるとなれば、とても1時間、2時間やりましてもどう
にもならないと思うのでありますが、M委員の御発言でほぼまとめていただいたのでは
ないかというふうな感じがいたします。
○江草部会長 中間報告の案をいずれお示しいたしますので、その際には、今、N委員
からも話がありましたが、発言が盛られていないじゃないか、あるいは不適切な表現だ
ということがありますれば、その時におっしゃっていただくということで次へ進ませて
いただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○部会長 ありがとうございました。
では、続きまして、2の「(6)その他」というところがあります。
「○保育サービスの安定的確保、信頼性、質の確保の観点からは、今後も認可保育所
が保育サービス供給の中心となると考えられる。
一方、認可外保育施設については、実態上、認可保育所で応えきれないサービ
スの提供を図るという役割も果たしてきている。しかし、安全・衛生面や保育の
質の面では、不十分な面もあり、今後、その基準のあり方の検討、利用者への情
報提供、劣悪な施設の改善等が必要である。
○また、各々の地域において、認可外保育施設、ベビーシッターサービス、保育マ
マ、子育てサークルなどについても、サービス内容の質の確保がなされているも
のについては、地域における子育てを支援する計画などにおいて、地域の保育資
源として位置付け、活用が図られるべきである。」
このくだりについて御意見をちょうだいしたいと思います。G委員でしたか、認可外
保育所についてごらんになったというお話がありましたね。そのあたりからまず口火を
切っていただけませんでしょうか。
○G委員 私が前に申し上げたのは、放課後の児童対策だったと思うんですけれども。
○部会長 失礼しました。
○G委員 この認可外についても共通しているところがあるんですけれども、放課後児
童対策についても、今のままいきますと、余りきっちりと決めちゃうと、現在、保育所
があるような認可と認可外というふうに二分法みたいになってしまうというお話をした
と思うんです。これを読みましても、先ほどもM委員からお話がありましたけれども、
二分法みたいなものがはやっちゃって、何でも2つに切り分けていくような、全体のト
ーンが中間的なものがいつも欠落しているような感じがするんですね。やはり認可、認
可外というのも、役所的にいえば、確かに2つしかないということなんでしょうけれど
も、実際に子どもさんの立場とか、あるいは預ける方の立場からすると、二分法でいい
のだろうかという気がいたします。
○部会長 それでは、D委員どうぞ。
○D委員 ここでは「認可保育所」という言葉を使うものですから、ここは「認可外」
という言葉を使っていますけれども、一般的に無認可保育所という言葉ですね。例えば
企業がやっている事業内保育所もそうですし、新興団地なんかはゼロ歳児が足りません
ので、共同保育でやっています。さらにベビールームという形で行われている、あるい
は駅型保育という形で行われている、こういうものが認可保育所という言葉では使われ
ていないんですね。それで質的な面ですごく差があるということと、今度そこに預けて
いる親たちの保育料負担、お金がもらえないものですから、足りないために親たちがバ
ザーをやったりしてお金集めの苦労をするということを考えると、「認可」という言葉
を使えば、出来るだけ認可保育所の中に抱え込んでいく努力というのは必要だというふ
うに思うんです。
それで、前に説明をされた認可保育所の設置基準、いわゆる施設の面と人の面と2つ
あります。ですから、人の面で、例えば保母さんの配置基準が足りない、こういうのは
論外ですけれども、もう少し丁寧に議論しないとよく分かりませんが、施設の面で、例
えばこういうものがたくさんあるというのは都市の問題でして、都市でそういうことに
なってしまうというのは、土地の値段が高いということともまた関係してくる訳です。
ですから、例えばある一定の公園がないということであれば、なるべく抱え込んだらど
うでしょうか。というのは、ある一定の条件付きで、勿論いい環境で子どもが育つこと
は当然必要ですから、それのかわりの部分をどういうふうに補うことによって子どもた
ちにいい保育が提供出来るかということも、例えば近くに公園があります。その公園を
使う可能性はありますというふうなことであったらいいんじゃないでしょうか。安全と
か、衛生については絶対だめですけれども、そうではない部分について、もし抱え込む
ことが出来るならば、なるべく抱え込んでいって、無認可と言われるような部分は減ら
していく努力をするというのが、さっきの話からいえば公平の議論になってくる訳でし
て、親の過重な負担も減らすことが出来ますから、ここはもう少し丁寧に議論をしなが
ら出来るだけ。
それから、事業所内保育所でも、あるいは労働省が雇用保険からやっている部分があ
りますけれども、なるべく1ヵ所だけの事業内保育所でやらないで、これからサービス
産業が増えてきて、夜遅くまで店を開くことが増えてくる訳ですけれども、そういう場
合でも幾つかの事業体が共同してやるような形を進める。そういうものに対して優先的
にお金が出るような仕組みをやって、保育所のレベルを高めていく。なるべく望ましい
需要を、施設の完備ということと関連させながら費用を出していくような形でなるべく
抱え込んでいく仕組みというのが検討出来ないのかという感じがいたします。
○部会長 今お話の点が最初の○の中の「今後、基準のあり方の検討」ということであ
りますが、大体それに含まれていると考えてよろしいでしょうか。
その次に「利用者への情報提供」とあるんですが、その間に「運営の仕方の検討」、
つまり2つ、3つのものが一緒になってやったらいいんじゃないかというような、御趣
旨はそういう言葉でいいでしょうか。
病院などはよくやっておりますが、2つか3つの近隣の病院が一緒にやった方が保母
さんたちの勤務のローテーションを組む場合でもいいし、それぞれの病院が応援をする
体制が整っておりますので、うまいこといくんじゃないかと思うことがありました。い
まおっしゃっているのを聞いて、サービス産業−病院もサービス産業ですけれども、そ
の他のサービス産業でも同じかなと思いまして、もっともだと思ったんですが、基準の
あり方という点について、例えば今、遊び場がなくても、ほとりに公園があったらとい
うのは何かあるのでしょうか。
○保育課長 今の部会長のお尋ねの点でございますが、児童福祉最低基準上も、園庭を
保育所で持っていなければならないとは書かれておりませんで、近隣に公園のようなも
のがあれば、そこを使うということであれば、それは使い得るということになっている
訳でございます。したがいまして、認可外の保育施設はございますけれども、そういっ
たところにおいては、例えば駅型保育というところにおきましても、園庭が確保出来な
いということであれば、近くの公園等を利用するという形で保育は行われている。その
こと自体、現在の最低基準に違反をしているということではないと思っております。
今、D委員からお話があった訳でございますが、無認可の関係を抱え込むということ
でおっしゃられた訳でありますけれども、第1点申し上げたいのは、物理的な保育所の
キャパシティという意味におきましては、公立と社会福祉法人立とで少し違います。認
可保育所の方に17%ぐらいの定員の空きがあるという状況の中で、さらにお話としては
、今、無認可と言われているようなものを抱え込んでいくというふうに私は受けとめさ
せていただいたんですけれども、そういう考え方について、委員の先生はどのようにお
考えになるかということと、その場合、今、認可外、無認可と言われている様々な累計
がございますけれども、いわゆるベビーホテルもそうでございますけれども、不特定多
数のお子さんが入所している保育施設、つまり事業所内でありますとか、こういったも
のを除いたものでございますけれども、これにつきましては、正直に申し上げまして、
質の点で確保されているものもあるという面もございますけれども、いろいろな意味で
質のばらつきが多いということでございます。先ほど委員のおっしゃる言い方の中で、
安全・衛生面については基準として確保して、保母さんの数等についてはというお話が
あった訳でございますけれども、委員のお話では、そういった場合に、保母さんの数も
含めまして、認可の施設の中で今の最低基準が守られているものと、そうでないものと
両方出てくるような感じにも受けとめた訳でございますけれども、その辺のことを、さ
らに御教示あるいは御議論をいただければという具合に思っております。
○K委員 行政の立場で今のようにお考えになることは分かる訳ですけれども、先ほど
のC委員と違っているものとして言いたいのは、今、民間の独自性というものが消えて
いるんですね。それをどういふうに再生していくかという課題がありまして、サービス
の提供側を考えないと、全部公的にサービスを提供する公立保育所がいいんだというこ
とは現段階では認められていないだろうと思います。民間の自主的な活動を支援する上
では、同じ認可外保育所という形で無認可保育所を取り上げているんですけれども、地
方自治体では組み込まれているところもある訳ですね。独自の制度で援助しているとい
うところも出てきているということがあります。そういう実態を調べられて、これから
の行政の方向を考えられるということはあっていいんじゃないか。
その際の私の主張は、自分自身の体験で、無認可の状況から社会福祉にかかわってき
て痛感するのは、職員のモラルの点からいって、競争の原理といってはあれですが、自
己主張が積極的に出来るような時代の方がいい仕事をしているという感じがありまして
、無認可の場合でも、調べられると非常にいい仕事をしているところがたくさんあるん
じゃないかと思うんです。特に非常に大事なのは、子どもさんの保育もさることながら
、家庭への援助としてのケースワーク的な機能というものを小さいところほどよくやら
ないとお客さんが来ない訳ですからやる訳ですね。そういうことは、介護の場合には、
家族と縁が切れていく。縁が切れていくというのはおかしいんですが、そういう意味で
別建ての支援を考えているんでしょうけれども、これからの保育の内容を考えていく時
に、保育の場合は親子のつながりを補完していくものをやらなければならないとするな
ら、そういう意味の親と矛盾する中でケースワークをしていく、子どもから離れないと
仕事が出来ないけれども、子どもを離さないように援助していくような仕組みがあるん
だということは考えていただいて、行政の立場から難しいのでしょうけれども、内実を
踏まえた政策というものをとっていただきたいという希望を持っている訳であります。
○部会長 それでは、E委員どうぞ。
○E委員 疑問なんですけれども、例えば認可保育所の中で17%も定員割れがあるとい
うのは、恐らく多様なサービスを十分に提供していないというのが1つ理由であろう。
もし認可保育所が延長保育なり、夜間保育なり、多様なサービスを提供したとしても、
認可外保育所を選ぶ親が多いとしたら、そこのところでは提供されている保育サービス
の質的な差というものがあるじゃないか。そこのところをどういうふうに評価していく
かというのが一番のポイントかなという気がいたします。
そして、これは余談になりますが、17%も定員割れをしているのに、措置に甘えてと
いう言葉は本当は言ってはいけないんですけれども、自分のところでもっと魅力的な保
育サービスをしようという努力がされていないというところが今の保育所問題の一番大
きな問題じゃないかという気がいたします。
○部会長 それでは、L委員どうぞ。
○L委員 認可外の保育施設といいますか、その面で見ていきますと、ここにもありま
すように、基本的には保育サービスの供給の中心は、これからも民間保育所だというこ
とは、量的にいっても、全国的な動向からいっても、そのとおりだと思います。ただ、
今度法制度として改革していくという場合には、前にも申し上げたんですが、日本の保
育制度というのは、保育所一本だということの限界があるのではないかと思います。先
ほどE委員のおっしゃった部分もかかわってくるかと思うんですが、いわゆる家庭的保
育と呼ばれる保育ママとか、家庭保育室とか、日本と似通った保育政策をとっている国
では、制度として取り入れていない国がないというぐらいだと思います。その意義とい
うのは大きいと思いますし、例えばイギリスなどでは、ここにありますベビーシッター
サービス、ナニーという職も児童法の中に規定して、体系の中に含めている訳ですね。
そうしますと、ナショナルミニマムといいますか、その部分の中にこのような制度を全
部組み込むかどうかについてはもっと議論が必要でしょうし、場合によっては、国より
も、都道府県、市町村レベルで、シビルミニマムといいますか、その段階では保育サー
ビスが本当に必要となっている訳ですから、その部分で設置運営していくような体系も
考えられますし、その場合に、国がどの部分に助成していくか、補助していくかという
、私はどちらかというと後者の方がこれからの方向を考えた時は望ましいのではないか
。いずれにしても、制度の中にそのようなものは明記するか、あるいは保育サービスと
か、保育施設とか、何らかの形で保育所以外のものも位置づけるということは不可欠で
はないかと思います。
ただもう一つ、以前にも申し上げたかと思うんですが、里親の中に昼間里親というの
は制度上日本ではあった訳ですが、実際にこれを保育サービスとの関連で、現にそのよ
うな名称で保育ママ的に行っている自治体もある訳でして、これはむしろ養護的なサー
ビスとは別に昼間里親をどう位置づけるか、これはかなり重要な意味を持っている。里
親ですから、両親というよりも、母親−−里母の方の仕事になるでしょうが、それこそ
日中のケアとか、緊急のケアというのは、里親的なケアと関連する部分が多いですから
、これを制度上強化するか、あるいは延長のものをもっと生かすか、むしろ里親の中か
ら昼間里親というものは取り除いて、保育ママ的な部分でしっかり位置づけるというこ
とは課題としてはあるのではないかと思います。
さらに、最近、労働省がファミリーサポートセンターを設けて、縦割という点でいい
まと、育児と仕事の両立、支援としての労働省のいろんな政策を見ていきますと当然競
合してしまうのですが、この動きを見ましても、あるいはベビーシッターに対しては、
保護者が利用した場合に保育料を減額するという、厚生省でもいよいよそれが始められ
ていますが、そのような面でいいますと、民間の保育サービスに対して、利用者がそこ
を活用した場合に、何らかの形で公的に責任の一旦を少し担う。それが子育て支援にも
なるし、保育サービスになるという点でいいますと、民間の育児サービスに対する運営
の補助という色彩よりも、利用者への補助という形でよりよい民間サービスはきちんと
サポートしていくということは制度上も非常に望ましいのではないかというふうに思い
ます。
○部会長 この問題については、恐らく御異論はないだろうと私は思うのであります。
特にベビーシッターサービス、保育ママ、子育てサークル、こうしたものを地域におけ
る子育てを支援する計画において、保育資源として位置づけ、活用を図るべきであると
いうところに全てが含まれているんじゃないかと思うのでありますが、そういう形でま
とめてもようございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
NO4に続く
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担 当 福田(内3113)
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