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96/10/16 中央児童福祉審議会基本問題部会第11回議事録NO2
NO1の続き
(引き続きI委員)
あと効率性の問題で、よく財源の効率性ということで、効率性といえば、出来るだけ
行政コストを小さくするということだと思います。行政コストを小さくすると利用が抑
制されるというような結果にもつながってくる。あちこち読ませていただくと、これか
らの21世紀を見据えた中での生産年齢の人口というものがずっと減ってくるといったら
いいんですか、いわゆる若年労働者が減ってきている。そういう意味合いで、中高年の
労働者を使っていく必要があるんだということと併せて女性の労働力を期待する、そう
いうこともあわさっているんだろうと思うんです。ここで余りコストを低く抑えちゃう
と、つまり公費負担の割合を低く抑えると、女性がそんなに高い費用だったら保育所に
預けるのをやめたというふうな形で、結果的に日本の経済を支える女性の参加が阻まれ
るというようなことにならないのかなるのかということで、つまり保育サービスは公共
財として見られるのか、あるいは私的財として見るのか。そこら辺をどういうふうに考
えたらいいのか。公共財だったら、公費をかなり積極的に導入すべきというふうにも思
っています。それは保育所を利用する人たちだけではなくて、子どもを家庭保育をして
いるところにも、何らかの形で費用を導入すべきだということも理屈としては成り立つ
のかというふうに思っているんですけれども、そんな考え方で費用問題を。
○F委員 国の徴収基準でございますけれども、高額所得者について保育に要する実費
、これが措置の保育単価ということになっている訳です。この全額を負担するというの
は一つの考え方としてべースにあるというふうに思っています。同時に、2の(5)の
1にもありますが、「中堅所得階層の夫婦共働き家庭を中心に保育料の負担感が強くな
っている。」、私はこのことはそのとおりだというふうに感じておりまして、ですから
、ほとんどの自治体は、何がしか市費を出して保育料を抑えているという実態にござい
ますので、そうした実態からいたしますと、自治体のやっているものと、国の基準との
乖離というものがある程度埋めなければいかぬのではなかろうか、そういうことをいつ
も考えています。
○J委員 I委員が言われた中に私が申し上げるべきことも含まれていると思うんです
が、公費負担というのを一般会計からの税による負担ということだとすると、要するに
子どもを持っている人も持っていない人も、みんなで一定の費用を子どもを持っている
人の子育てのために負担しましょうということですから、この前の会合で、申したかも
しれませんけれども、それは2つぐらい意味があると思います。
1つは、まさにI委員が言われたように、子育てというものがどのぐらい公共財の性
格を持っているかということだと思います。子どもを持つとか、持たないということは
本来確かに個人の選択の問題かもしれませんが、例えばこれからの高齢社会を考えた場
合に、出来るだけ多くの女性にも−勿論、総動員するという意味ではありませんけれど
も、働く意思のある女性が出来るだけ社会に進出して、具体的に言えば、それによって
税負担もしていただく、あるいは社会保険料も納めていただくということは、これは社
会全体の利益にもかなう訳ですから、そういうものの支援をするために、もし子育てと
いうものが障害になっているとしたら、そこのところの支援をするというのは、国民全
体が負担する一つの理由になると思いますし、またもうちょっと言いますと、後世代の
人口を確保するというようなことも、それなりの公共財的な意味があると思います。し
たがって、どのぐらい公共財としての性格があるかということは、それぞれの専門家の
いろんな御意見を聞かなければいけないと思いますけれども、子育てというものについ
て、国民全体の利益という意味での公共財的性格が一切ないということは恐らくないの
だろうと思いますので、そういう面からいうと公共財的な性格のあるものについて公費
を負担する意義というのは必ずある。ただ問題は程度の問題だと思います。
もう一つは、公費で負担するというものの機能として所得の再配分がある訳です。要
するに所得が少ないために育児の負担にあえいでいる人に対して、直接的に所得を移転
するのではなくて、そういうサービスの対価を一部国が負担するという形で所得移転を
するという理由があると思います。これも極端な意見を別とすれば、やはり何らかの形
の所得再配分が我々の社会には必要ですから、そういう面からいっても存在意義はある
と思います。ただし、所得再配分について、このように公費でサービスの費用を一部負
担するという形がいいのか、それとも費用はどんな人も同じように料金を払ってもらっ
て、むしろキャッシュの部分で再配分するのがいいのかということについては大いに議
論の余地があるかと思います。私は以前にも申しましたけれども、むしろ所得の再配分
、あるいは公的負担の方法として、理論的に言えば、多分バウチャーのような形で公費
が支出されて、それを使って親御さんが自由に、あるいはそれに自分のお金も足したり
して保育所を選ぶ、あるいは保育サービスを選択するという形がすっきりするのではな
いかというふうに思っております。
○部会長 関連したことで、E委員、A委員、お願いいたします。
○E委員 この保育料の公平な負担に関して言えば、いまJ委員がおっしゃったことと
も共通するんですが、どうしても働く女性の中での負担の公平ということに議論が集中
しがちなんですけれども、家庭にあって、御自分で子育てをしておられる方たち、ある
いは幼稚園を利用しておられる方たちから見ると、保育所の保育サービスは、どの程度
の費用負担を親がすることによって、利用していない人たちにとって、どういう公平感
を与えるのかということは検討しなければならないのではないかと思います。もう少し
平準化した費用負担の方がよくて、親の側に所得補助、所得移転をした方がいいのでは
ないかということは、考えてみれば保育所に入っている人たちだけではなしに、子ども
を持っておられる家庭全てをカバーして考えるべき課題だろうというふうに思います。
児童手当の問題についても、そこで関連が出てくるのではないかと思います。
○部会長 それでは、A委員どうぞ。
○A委員 一通りの議論が終わってからにしようと思ったんですが、今、J委員からバ
ウチャーという制度についてお話があって、これも私は大賛成でありまして、既にバウ
チャーということは、E委員の方も前からおっしゃっていましたが、これは出た議論を
まとめたものであると、こうおっしゃいますけれども、「バウチャー」という言葉が一
言も出ておらないので、どうなっておるのかと。それから、先ほどE委員がおっしゃい
ませんでしたので、確かにこの議論の筋から外れて書きにくいのかなと思いますけれど
も、中間報告はこれでまとめるにしても、将来の検討課題としては、バウチャーという
ことは非常に有力な選択肢ではなかろうかと。J委員がおっしゃったように、まさに公
共財の部分、所得再配分の部分、バウチャーの配布の仕方で決まりますし、しかも、そ
の時の状勢に応じて国民の合意で、しかも負担部分を決められて非常に特徴があります
し、費用負担という観点から見た特徴ですが、それがいいのは、子どものための多様な
選択肢を保障するというところに最大の特色があるだろう。ここで議論されているよう
に、どれだけ公が負担し、どれだけ応能負担させるのか。その配分、負担の仕方をどう
議論しても、結局、支出するのを決めるのは公の方になってしまう。そうなってしまう
と、一番大切な子どもの立場に立った親の選択、親の至らざるところはまたいろいろ補
うとして、子どもの立場に立った多様な選択というのはどうしても衝突してしまって選
択肢が非常に狭まってくる、やり方が決まってしまう、そういうことになると思います
。
ですから、あくまで子どもの立場に立った多様な選択を許すということになれば、そ
れぞれの保育所の主体、そして、そこに従事される保母さん、保父さん、この方々の努
力によって多様なものが提供され、いろんな選択肢の中で親が子どもの立場に立ってそ
れを選ぶ、その中で負担の部分はバウチャーによって解決するというのが非常にダイナ
ミックで全てにとってよい。これは働く人にとってもいいと思います。いい経営のとこ
ろにどんどん移っていって、親たちを満足させる努力をしているところには当然子ども
たちが集まると思います。そこへやる気の保母さん、保父さんが集まるということにな
ろうと思います。怠惰に一生国から金をもらって生きようという人にはちょっと辛い案
かもしれませんけれども、やはりみんなのこれから目指す方法としては大きな選択肢で
はないかと思います。
○K委員 話の流れが大体向いてきたので発言させていただきます。
公平なという考え方に非常に重点を置かれる訳ですけれども、そういう考え方が当然
あってもいい訳ですが、社会の進行を公正に考えていくという立場があると思うんです
。それは特に行政の関係の方々が責任をもって民意をくみ上げてやってくださるんだろ
うと思うんですけれども、私の主張は、かねがね言っているように、どうして今の措置
制度のような公平な負担というところに重点を置いた制度を続けてきているのかという
ことなんです。このことは制度論からいろいろあると思いますけれども、一方、高齢者
福祉においては、御承知のように介護保険の制度をこれからつくっていこうということ
で、ですから、バウチャー制度というのは、ここの会議の提案としては私も支持したい
と思っておりますけれども、その際に、当然ながら利用者である。僕は第1利用者とい
うのは子どもで、第2利用者が親だと思うんですけれども、第1利用者のためになると
いうことを一体誰が考えるかということの問題だと思うんです。そうすると、A委員が
書かれているような発達の原理等をきちんと現場が踏まえて保育が実施出来るように、
いわゆる養育者としての親も含めた家族支援、それは保育所に来ていない家庭の子育て
支援ということが今、制度化されてきている訳ですけれども、それの実を上げるために
、B委員が書かれた保育の質の確保のための公的な責任というものが、公平なという原
理だけじゃなくて、そこにもう一つは、保育サービスの提供側の状況というものをどう
いうふうに考えるかという課題があると思うんです。
これは取捨選択を行政がきちんとやればいいと言えばいいんですけれども、認可保育
所を中心に行うべきだとか、あるいはベビーシッターとか、あるいはベビーホテル、駅
型ホテル等も含めて保育を体制化していくという考え方もあっていい訳ですが、その際
にどういう費用の投入というものが必要になってくるか。費用の投入の場合に、これは
公平にしてしまうと、大枠が決まっているものを不十分な形になるとすれば、そこに競
争原理というものの導入を認めざるを得ないのではないか。むしろ私はそれを前から主
張している訳ですけれども、その際に、現場の保育所に混乱が起きないような過程とか
、そういうものを当然検討すべきだろうと思います。やはり制度の再編の方向としては
、いい保育、質の高いサービスが提供出来る仕組みというものを考えるべきで、これは
競争の原理を導入して、いい保育活動をしている、そうした活動体を支援していくよう
な補助金の使い方というものに目を向ける訳で、これが行政だけが負えないとするなら
ば、評価システムをつくって、そういう形で、その力を借りてもやるべきじゃないかと
いうふうに考えております。
特に乳児保育とか、障害児保育等の非常に難しい個別的な理解と援助というものにな
ってきますと、簡単に誰でも出来るという形ではなくて、優れた指導者がよい研修指導
を行うという一つの活動単位というものをつくっていかなければならない。そういうも
のを今までの制度下の中である程度は出来たとしても、その辺を押さえてきたというこ
とはあるんじゃないか。そういう点で、そういう競争活動に参加出来る条件を規制緩和
で考えていったらどうか。ある一定の大きさで、ある一定の資産がないと保育所が出来
ないというのもおかしな話で、今でも小規模の活動をしているところはたくさんある訳
です。それを一概に認可されないものは質が悪くなるというふうな切り捨てをしないで
、それは過程の中できちんと審査して、その内容を吟味していくようなシステムがあれ
ば、いい保育サービスが提供されるんじゃないかと思っております。ですから、そんな
ことで委員会の中間報告をされる場合でも、是非私の意見の御検討をお願いしたいと思
っておりますので。
○部会長 それでは、L委員どうぞ。
○L委員 費用負担ということで、公費で負担する、私費で負担するということの面で
いろいろ御意見がありましたことと関連する部分が多いかと思いますが、私の考えを述
べたいと思います。
先ほど来出ていますように、1つは不公平という時に、保育園に通わせている保護者
の間の利用者間の不公平というのはかなり議論の対象になっていましたけれども、今い
ろいろお話がありますように、利用している人と全く保育園を利用していな人の間の不
公平感、これが先ほど来いろいろ出てきている重要な点だと思います。今、審議会で保
育について話していることと確かに無関係ではないと思いますし、それが先ほど来出て
いますようにバウチャー方式ということと一番結ぶついているかと思うんです。そうい
う意味では、現実論、理想論、全部踏まえて考えてみても、費用負担のあり方というの
は、国なり、地方自治体なり、社会が子どもを育てる責任を持つという公的責任の面か
らみんなで税を負担する、あるいは社会保険方式にしろ、何らかの負担をして育ててい
こうという部分で、それは具体的には、例えば日本でしたら児童手当制度がそれに一番
近い部分だと思うんですが、世界的に見ましても、児童手当制度のこれからの姿という
のは、今の面で最も有効な方法ではないかというふうに思います。
そうしますと、子どもを生み、育てている親が何歳かになるまで十分な公費の負担を
する。それは税金だけか、社会保険かはともかく、あるいは企業負担をどのぐらいにす
るかとか、いろいろあると思いますが、そのような中で、先ほど来出ていましたような
親が選択して保育園に通わせるようにするとか、そのほかのいろんなサービスを受ける
ということが、1つは、利用している人と利用していない人の不公平の問題を基本的に
解決出来る部分だと思いますし、もう一つは、専業主婦の人と働いている人、働いてい
るから当然税金も払っているし、これだけ大変なんだという部分と同時に、専業主婦−
−専業主婦という言葉は私は余り好まないんですが、要するに多くの時間を家庭とか、
その地域の中にいる母親や女性の場合のシャドーワークといいますか、それはいろいろ
議論されていると思います。そのシャドーワークの中で子育ての負担を費用に換算した
らということでいろんな試算が出ていますけれども、そういう面で見ましても、やはり
何でこんなに違いがあるのかと逆に疑問になる面が日本では余りにも出ているのではな
いかというふうに思います。
そういう意味でも、公平なという点から言えば、まず全ての子どもに対しての公的責
任で費用をどう負担するか。その中に保育料ということが組み込まれる。今のところは
理想でしょうけれども、先生方が何人もおっしゃられているように、やはりこれからは
その考え方はいつも重視するといいますか、その方向を考えながらという方が基本的に
はいいのではないかというふうに思います。
そうは言いましても、具体的な費用負担という点でいいますと、もっとしっかり保育
料ということで受けとめる必要があるのではないかと思います。つまり国がどのぐらい
負担してとか、地方自治体がどのぐらい負担してとか、実際に子どもが保育園に行って
いる時、私は毎月このぐらい負担しています。このぐらい負担しているということだけ
に少しとらわれ過ぎているかと思います。要するに自分が保育園に入っている場合、こ
の子は1ヵ月幾らかかっているのか。本来的な負担をもっとはっきり認識しながら、こ
れを考えていかないと、ただ負担が低ければいいという議論にどうしてもなってしまう
のではないかと思うんです。これが保育だけではなくて、制度の成熟化といえば、そう
かもしれませんけれども、例えば健康保険などでも、仮に病院に行った時に、これが7
%ぐらいの負担だとか、10%だとかいちいち意識しないで額だけで判断していて、一体
どのぐらい費用がかかっているのかついつい忘れがちで、これは制度がすばらしいから
だとは思うんですが、保育料に関しても、同じ問題、むしろデメリットとして出てくる
部分があるのではないかと思うんです。
そうすると、自分の子どもにどのぐらい費用がかかっているかという本来的な保育料
をいつもきちんと受けとめる方向で保育ということを考えて、そうした場合に、先ほど
来何人かの先生がおっしゃられている公的責任といいますか、今の形でいえば、措置費
になるのでしょうが、それとはむしろ別に公費負担分というのはどの子どもにもかかる
公費でかかっていいと思います。それから応能負担分と、さらには応益負担分、この3
つでこれだけの子どもについて1人幾ら費用が計上されていますというようなとらえ方
といいますか、これはほかのサービスですと全くあたりまえのことですが、福祉という
分野で、このあたりはかなり曖昧になっているかと思います。私は何も保護者負担をも
っと強めろということではありませんけれども、基本的には児童福祉法も保護者負担を
原則としていますから、全部か一部かはともかく、まず公的責任と私的責任という両方
しっかり受けとめた上で公的責任がどこまでいくか。それで費用負担をもう一回考えて
、その中で保育料の体系というのがあるべきではないかと思います。
そういう意味では、例えばC委員がおっしゃったような一つの基本単位として4時間
という時間でみていく場合もあるでしょうし、休日保育を利用している子どもの場合に
は、休日保育自体が保育に欠けている訳ですから、休日保育だから応益負担というのに
はやはり私もならないと思いますし、基本単位として公費負担をどうするか。それプラ
スの部分は、応能負担と応益負担は両方かかると思いますが、むしろ応益負担の、つま
り保護者がサービスを受けるところが選択出来れば出来るほど、応益負担は我々はそれ
なりに重視した方がいいのではないかというふうに思います。
○部会長 それでは、D委員どうぞ。
○D委員 先ほどE委員がおっしゃられた保母さんの話で、全部資格のある人がという
話をされましたよね。
○E委員 フルタイムのね。
○D委員 はい。それで、前回、私は2の「(4)保育サービスの質の確保と運用の弾
力化」というところで、「人員面の質の確保」という言葉がありまして、その次に保育
所の人員の基準については、基準の運用の弾力化が図られるようにすべきであるという
ふうな読み方をする場合に、例えば現在の基準では3歳児未満は6人に対して保母さん
1人というふうな基準になっている。国の基準どおりにやれば、こういうことになる訳
ですね。これではとても足りないというところで、実際に3人に1人ぐらいに地方自治
体が上積みしているという意味で、全部が保母さんの資格を持っている人でなければな
らないかということは議論の余地がありますけれども、しかし、この基準でいいですか
といったら、私はまず絶対的に人の配置が足りない。まず人員配置の充実は絶対必要で
す。しかし、配置の中身については弾力化があってもいいんじゃないかという感じを持
っています。
それから次に、先ほど私は中途半端な申し上げ方をしましたけれども、働いている人
と働かない人という公平性の話が出ましたが、この点については、生産性本部が先ごろ
、そういう費用計算をしています。保育園でフルタイムで夫婦が働けば、その人が公費
負担を受ける部分と、その人が税金だとか、社会保険料を払う部分を計算すれば同じで
す。ですから、かえってパート的な働き方を促進するような保育所の形態は、むしろ社
会的にマイナスですという費用計算をしていますので、この計算がこのまま正しいとす
れば、そういうことをもう少し丁寧に説明をして、保育所というのは、社会的に費用と
して不公平になっていなくて、社会のためには、むしろ保育所に預けてきちんと働いて
もらえるような状況をつくっていくことの方が、社会全体にとってプラスになっていき
ますという説明をした方がいいというふうに思います。
例えば終わりの時間が6時までというと、どうしても5時までに仕事が終わらない人
は、6時まで迎えにいくことはかなりきつい。しかも、6時を過ぎたら費用負担がさら
に追加負担をされるぐらいなら、その負担の部分を考えて、私はパートでいいんですと
いう働き方をもし選択する人が出てきたとすれば、先ほどH委員は、子どもの保育の中
身の話をされましたけれども、そういう選択を促すような時間の切り方と、費用負担の
あり方をつくってしまったら、私は労働の質を上げる方にはマイナスに働くという感じ
がしますので、時間設定だとか、費用のあり方というのは、保育のことだけじゃなくて
、全体の中でどうあったらいいのかという議論が非常に重要だと思います。
○部会長 C委員どうぞ。
○C委員 先ほどのK委員の競争原理ということに表面的には反論になるかもしれませ
ん。K委員がおっしゃっている基本的な部分についてはかなり同意する部分が多いので
す。ただし、表現上競争原理という言い方をしますと、以前の保育論争と同じになって
しまうんですけれども、同意する部分というのは、よい保育の活動体を支援する。その
ためにきちんとした評価システムをつくって、その評価システムというのは、以前から
言われている保護者、保育者、行政あるいは学者などの専門家も含めた、そういうシス
テムをつくって、これは保育内容の評価とともに、こことは直接関係ないかもしれませ
んが、自由になるべく必要な子に広げて、入ってくる入口の問題の評価にもつながる部
分かと思うんですが、そういうようなシステムをつくって、よい保育の活動体を支援す
る。これは大賛成なんですが、その時に、ただ競争原理導入と言ってしまいますと、こ
れは誤解も含めて市場原理を直接福祉の現場に持ち込んで、極端に言うとおむつを1回
かえれば幾らだというような話になるんじゃないか。また、そういう疑心暗鬼が起こっ
てきてしまう訳なので、競争原理といった場合に、やはり子どもの保育の質の確保と労
働者の労働条件の確保ということが危うくなるのではないかという危惧がかなりござい
ますので、余り「競争原理」という言葉自体を使うことは私は反対です。
規制緩和にしましても、規制緩和と言えば全部オーケーというような風潮があります
けれども、やはり人間の福祉にかかわる社会的な規制の部分についてはすべて緩和して
いいということではないと思っています。競争原理が入ることが保育の質とか、基本的
な部分での競争ではなくて、表面的な、例えば通園バスがあるとか、あるいは保育の時
間が長いとか、給食サービスがあるとか、一部の私立の幼稚園の間で行われているよう
な競争になってしまうのではないかというような心配もございますので、ですから、よ
い保育の活動を支援するあり方として「競争原理」という言葉は使わない方がいいと思
います。
それから、保育のこととは別建てかなと思うんですが、先ほどから出ている預けてい
ない子どもとの公平ということでいいますと、児童手当の充実というのは、これはまだ
別の次元の問題かもしれませんけれども、私はこれはあってしかるべきだと。社会的に
子育てを支援するとすれば、各国の育児休業などを見ましても、育児休業について所得
保障している国というのはほとんどありません。全くないといっていいかもしれません
。どこでやっているかというと、全ての家庭にいる子も含めた児童手当という形で各国
はやっていることが多いので、児童手当の充実ということは、保育の費用負担の問題と
は別建てになると思うんですけれども、そこの部分も考えていく必要があるのかと、そ
んなことを思います。
NO3に続く
問い合わせ先 厚生省児童家庭局企画課
担 当 福田(内3113)
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(直)03-3595-2491
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