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96/10/16 中央児童福祉審議会基本問題部会第11回議事録NO4
NO3の続き
○部会長 ありがとうございました。
「3.放課後児童対策について」の方へ入らせていただきたいと思います。これは幾
つかのことが書かれておりますが、最初は、放課後児童クラブを法的に位置づけること
も検討する必要があるという御意見があったこと、それから放課後児童クラブにおける
処遇は、発達段階に応じて自主的な生活−自主的ということが大変強調されたことを覚
えております。
その次に、運営主体の問題、指導に当たる方の資格の問題というところであったと思
うのでありますが、ここにありますこと以外に御発言がありますれば、どうぞおっしゃ
っていただきたいのでありますが、駆け足で申し訳ございません。H委員がおっしゃっ
たことは、最後にこのような形で入れさせていただきました。いかがでございましょう
か。
○F委員 私、H委員とはちょっと意見が違うのでありますが、就学前児童は保護の対
象でございますし、児童クラブの児童というのは、安全な遊びの対象であるというのが
もっぱらの御意見であったというふうに今日までお聞きいたしました。そういたします
と、指導員について余り型にはめて定型的にものを考えるというのではなくして、指導
員の人的構成も多様でしかるべきだと思うし、施設の態様も多様であってしかるべきだ
と思うし、運営主体もまた多様であっていいんではなかろうか、そんなふうに思ってい
ます。先生のOBも指導員であって、また子ども会のリーダーも、指導員であってもい
いんじゃないかというふうに思っていまして、ここら辺は、現場の事情からいいますと
、地方の自主性に任せてはという感じを強く抱きます。
私にとりますと、児童クラブは指導員のことよりも、いつぞやもお話が出ましたけれ
ども、身近なところで小さくてもいいから、数多く児童クラブをつくる、そのことがよ
り大事ではなかろうか、そんな感じを持っています。
○部会長 それでは、H委員どうぞ。
○H委員 今のことについて多少申し上げたいんですが、昔の子どもは子ども子どもし
ておりまして、子ども集団の中で一種の教育力が働いて集団の中に入れておけばうまく
育っていった時代があったんですね。ところが、社会がいろんな形で変化して、子ども
が質的に変化したという言い方も変ですけれども、子どもの成長のスタイルが変わって
きた訳です。だから、確かに指導員というのは一定の資格要件を備えていなければいけ
ないという訳ではありませんが、直接的な指導員と間接的な指導員というか、そういう
子どもを集めて一種のコーディネートをしてきちんと目配りをする。ボランティアとか
、資格のない人たちも上手に使っていくような意味での指導員も必要なので、それがか
なりの割合を占めなければいけない。
例えばアメリカの学校に行きますと、専門の先生がたくさんのボランティアのお父さ
んやお母さんを使っているんですが、それには大きな力量が必要なんですね。力量がな
い人はボランティアもうまく使えない。そういう意味で指導員としての資格要件、専門
性をきちんと研修させて、どんな小さいところにも必ず配置しなければならないという
のが私の主張なんですが。
○部会長 一般論としてH委員のお話はよく分かります。恐らくF委員の体験の中でも
、それがあると思うんです。何人か人が集まっていれば、当然力量のある人がいないと
いい集団にならないと思いますし、それからまた、子どもの教育力というものが非常に
低下しているというのも事実でありますので、それが放課後児童対策というものによっ
て何らかのプラスがあるんじゃなかろうか、あるいはプラスを設けるべきではないか、
こう思っているんですが、放課後児童対策について、G委員は都内のをごらんになった
訳ですね。ちょっと御紹介いただければと思います。
○G委員 理想的にはしっかりした指導員がいることが望ましい訳ですけれども、現実
には、お母さんたちが自主的にやっているようなところもたくさんあって、一律にやり
にくいところがあるんですね。これをやれば、認可保育所、無認可保育所みたいに認可
放課後児童施設と、そうでないところというふうにまた二分されていくと思うんです。
そういうのよりも、今、F委員がおっしゃったように、それぞれの自主性を重んじるよ
うなスタイルの方がいいんじゃないかと思うんです。もし厳密にH委員のようなことを
やると、全体の人数も20人以上とか、30人以上とか、別の規制をしないと指導員を置け
なくなっちゃうんじゃないかと思うんです。そういう点で、いま一番最後に書いてあり
ますように両面併記みたいになっていますけれども、そういうのが守られる地域は、H
委員のおっしゃるようなやり方をやられたらいいですし、まだ途上にある、今、増やす
のが第一だと考えているところはそっちでやられてもいいんじゃないかなという気がい
たします。
○部会長 A委員どうぞ。
○A委員 私もF委員、G委員の意見に賛成ですけれども、部会長に逆らう訳ではない
んですが、いいグループにする必要にあるのか。子どもたちが勝手に自分たちでいい施
設を担っていくものなので、あとそれをうまく引き出して見ていればいいんですね。う
まく引き出して見ている能力、これをどう測定するのか、私にはその測定方法が分かり
ません。実際にボランティアのグループをいろいろやって、リーダーになる人もある。
うまくまとめる人もいる。しかし、うまくまとめる人とまとめられない人とおりますけ
れども、うまくまとめる人の、どうしてその能力を測定するのか、これはペーパーテス
トでは全然だめです。憲法をたくさん知っているとか、心理学をたくさん知っていると
か、教育学を知っている、これは全然関係ないんですね。だから、資格の設け方が私に
は全然想像つかないし、やはりこれは自然に任せておいてやっていくのがいいだろう。
地方にお任せするのがいいだろうと思います。
○部会長 資格の問題については2つの御意見がありましたので、それを書かさせてい
ただくとしまして、運用上は、ただいまG委員のおっしゃったようなことになるだろう
と思います。
それから、A委員のおっしゃいましたこと、私は別に資格とか、能力の問題を出して
、これはよく御承知のように、集団があれば、大人の集団でも、子どもの集団でも何と
なく集団をリードするものが出てきます。ですから、もし指導員というものがいるとす
れば、その指導員は、子どもの集団がリーダーを生み、リーダーがリードしていくこと
を援助するといいましょうか、そしてまた、恐らく学校なり、公民館なりでやっている
訳ですから、公民館なり、学校なり、あるいは児童館なりへ話を取り次いでくれるよう
な人、そういうことになるんじゃないかというふうに思っております。
○O委員 H委員がおっしゃったように、少なくとも1人は、その人が強力なイニシヤ
チブ、リーダーシップをとるかどうかは別として、コーディネーションといいますか、
そういったものは必要じゃないかという感じで今の御反対の方々の御意見を伺っておっ
たんです。私も何でもかんでも資格要件をあれして、それをこそまた規制を増やすとい
うのは決して賛成はいたしませんけれども、しかし、相当責任のある仕事だろう。企業
社会にいる人間が、例えばスイミングスクールとか、スポーツ施設とかやりますと、か
なり責任を感じつつやる訳でございます。集まってきた人が適当にやってもらえばいい
というものではない訳です。ですから、変な話ですけれども、けがや事故が起きた時の
責任はどうするのか、保険は一体どう掛けるのかとか、そういう基本的なことは、がん
じがらめの規制ということではなしに、一つのあるべきミニマムスタンダードといいま
すか、多分H委員はそういう意味でおっしゃったのではないかというふうに私は理解し
たのでございますが、その辺も含めて自由に任せればいいんだという方々の、また追加
の御意見を伺わせていただければと思う訳でございます。
○A委員 言っているのは、どんな人が何をやってもいい、こういうことは決して言っ
ていない。しっかりした人がちゃんとやればいいし、確かに適正というものはあるんで
すね。ただ、誰かが何かの試験基準を設けたり、その基準をつくって、この人はある。
あるとなったら永遠にあるのか。これは人を扱う話ですから、最初は立派な人でも、後
でだめになる人もたくさんおる訳ですね。どうやってそれを見つけ出すのか、私はそこ
の見つけ出し方が分からない。実際に、ボランティアグループをやっておりましてもそ
うです。出る人は自然に出てきます。それは自然の法則が働くんですけれども、だめな
人がやったら、ほかの人はついていきません。だめになっていきます。それ以外に発見
の仕方がないんじゃないか、そういうふうに思っている訳です。
○H委員 これは「指導員」という言葉が誤解を生むんだと思うんです。指導員という
言葉が現場でも使われておりますが、指導員は指導はしないんですよ。例えば集団のグ
ループセラピーみたいなものがありますね。ちゃんとしたセラピストというのは、子ど
も集団の教育力を、または治癒力をある子どもに働かせるようなやり方でコーディネー
トしていく訳です。だから高度の専門性が必要な訳ですね。ですから、先生が指導する
。例えばこうしなさい、ああしなさいと、そういう意味ではないので、この言葉が悪い
のかもしれません。
○O委員 コーディネーターにしたらどうですか。
○H委員 コーディネーターよりもう少し何かないですか。確かにA委員のおっしゃっ
られたように、誰が資格を認定するのか、大学で単位を取ったとか、キャリアとか、そ
ういうことだけで評定してはいけないと思うんですが、よく普通のお母さんという言い
方で、昔のお母さんのように何の教育も経験もなくて、普通のお母さんというようなイ
メージでとられてしまいますが、普通のお母さんというのは、実は子どもを育てていま
すし、今は男性以上にキャリアをいろんな形で持っている訳です。どういう形で認定し
ていくのかというのは難しいんですが、ただ、私が申し上げたいのは、誰でもいいよじ
ゃなくて、どういう認定の仕方をするかどうかは別として、やはり子どもが集まるとこ
ろには、子どもに目配りをして、成長を支援するような誰かが必要なんだという理解を
みんなが持つようなシステムがほしいなというふうに思っています。
○部会長 F委員、どうぞ。
○F委員 私もどんな人でもいいということを単純に申し上げているのではないので、
やはり研修も必要だと思いますし、そうした方々の身分はきちんと保障してあげなけれ
ばならないなというふうに思っています。現実問題としますと、町会でそういう人を選
んでみたり、あるいは運営の主体が社会福祉協議会であるということでありますと、そ
の社会福祉協議会で人の選択をしますので、それほど心配はなくて、むしろ逆にいい形
で選ばれる可能性は十分あるというふうに思いますので、こういうことは地方の自主性
にお任せしたらいいのではないでしょうかと、実はこう申し上げているんです。
○部会長 P委員、それからD委員の順でお願いします。
○P委員 学童保育は、放課後ということで、子どもたちとすると、そこに自由に参加
して勝手に帰ってもいいように見えていても、実際的にはそこにいなければならないよ
うな宿命を持った子どもたちが生活しているところだというふうに思います。したがっ
て一時期的には家庭にかわる場ということですから、その子どもたちのいろんな思いを
受けとめられるような指導員といいますか、職員が必要だということで、そういう意味
ではH委員のおっしゃるとおりだと思います。
○D委員 ここで「多様な運営形態」とか、「多様な社会資源を有効活用すべきである
」と書かれています。これはこれでよろしいんですけれども、そういう中で、それでは
指導員のような形で働かれる方がどういう人になるのか。そして、どういう給料が払わ
れるかということを考えてみますと、安定的にずっとやる人が必ずしもいるとは限らな
い。それから、そこで雇われていて、こういうのでも、いろんな経験をなさるとよりい
い指導者というか、担当者になられるのでしょうけれども、1ヵ所でずっと働いていく
ことになっていく。そこで、働く人がどういうふうな働き方をするんだろうかというこ
とから考えてみますと、そういう面では、こういうところで指導員として働かれる指導
員の人たちの賃金だとか、労働時間、職業能力ということを考えながら、先ほどから話
が出ていますように、必ずしも資格ということにこだわらなくても、よりいい指導員で
あっていただきたいという面からいえば、例えばこういう施設が全部公立だったら横に
異動されて、東京の場合だったら、児童館がやっていれば、よそのところへ転勤してい
く訳です。ほかの運営形態でやると、転勤なんてまずあり得ない。ずっと同じ人がいる
。嫌になって辞めるとか、もっと条件のいいところがあればかわるとか、そういうこと
が当然考えられますから、やはり必ずしも1つに限定する必要はありません。それをど
ういうふうに補っていくのかという点は、市町村がやるのか、もうちょっと上のレベル
でやるのか知りませんけれども、ここに「指導員の研修等を通じて」とありますが、ア
ドバイザー的な、あるいは監査的な−−けしからぬという意味ではないんですけれども
、よりいいものにしていくような機能をどういうふうに持たせるのかということは考え
てもよろしいのではないでしょうか。
○部会長 とても具体的な御意見ですばらしいと思います。それでは、そうしたことも
盛りまして中間報告の素案をつくらせていただきたいと思います。
A委員のメモを事務局の方で御説明いただけますでしょうか。
○事務局 それでは、A委員の御意見ということで、御説明させていただきます。
まず、第1点といたしましては「子育ての理念と方法」ということで、項目といたし
まして、1の(1)の 1の次の議論としておいたらどうかということでございます。内
容を御紹介いたします。
「◎子育ての理念と方法
○ 子どもにとって最善の子育てとは、それぞれの子どもの成育段階に最適の養育を
することである。
人間の脳や心理の発達が十分には解明されていないことなどから、子育てについ
ての多様なサービスを用意し、子育ての責任者が、その子に最も適した方法を選ぶ
システムが、現段階では最もすぐれている。
○ ただし、関係分野における研究の進展の結果、以下のことが説かれている。
・乳幼児期においては、養育に当たる者が子どもに豊かな愛情をもって接すること
により子どもに安心感を与えることが情操や知識欲を育てる上で必要であること
。
・また、子どもの人間性や社会性を伸ばすためには、仲間同士がつくる社会環境の
中でこれを導くことが大切であること。
○ 子どもの最善に利益を考えるに当たっては、これらの基本的方向に沿って、多様
なやり方を具体的に考案していくことが望ましい。
◎2.(2)保育所における多様なサービスについて
○ 子どもが最善の保育を受けることよって人間性と能力を最大限に伸ばす素地をつ
くることは、特に少子化の傾向が定着した現段階においては、国や社会にとって最
も優先して実現すべき課題の一つである。
○ 養育責任者において家庭保育を選ぶ時には、国(行政)や社会は、子どもの人間
性や社会性を育成するのに最善の方法がとられるように支援する必要がある。また
、養育者において、保育所における保育が子どもにとって最善であると希望する時
は、これに対応できる多様な保育サービスを提供することが必要である。
○ 保育所サービスの対象は、「保育所における保育を必要とする子ども」又は「家
庭で適切な保育を受けられない子ども」くらいに緩やかにすべきである。
例示はなるべく緩やかにし、「子どもの家庭などにおける環境からして、保育所
における保育がその子の養育上、より好ましいと認められる子ども」などが望まし
い。」
以上でございます。
○部会長 ありがとうございました。こういう御意見があったということを御承知おき
いただきたいと思います。
なお、今回の議論を踏まえまして、児童保育施策について事務局の方で中間報告のた
たき台をまとめていただこうというふうに考えており、そのたたき台を御審議いただく
ということにさせていただきたいと思っております。要保護児童対策や母子家庭対策に
つきましては、専門調査会の方で審議を続けているところでございますが、これもまと
まり次第、改めて部会で審議するということになっておりますので、御了承を賜りたい
と思います。
本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
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