審議会等議事録 ホームページへ戻る 前ページ 次ページ
(引き続き高橋部長)
       次に夫婦の出生に関する考え方について、資料編の12ページのところを
     見ながらお話をさせていただきたいと思います。夫婦の完結出生率の動向は
     、これまで人口問題研究所が実施してきました出生動向基本調査のデータか
     らみると、夫婦の完結出生児数の水準は大きな変化は見られておりません。
     図表の28に見られるがごとく、結婚15〜19年を経過した夫婦について
     は2.20前後を維持していっております。しかも1970年代から90年
     までそういう状況にありました。
       ただし、これは結婚15〜19年を経過した夫婦のものであります。若い
     世代については図表の29によって手がかりを得ることができます。これは
     20代前半、あるいは20代半ばから30代前半の人々の予定子供数。これ
     まで生んだ子供の数にこれから生む予定の子供の数を足したものですけれど
     も、これを見ますと2.21という水準が見られております。
       しかしながら、次の13ページの資料を見ていただくと分かると思うんで
     すけれども、図表の31番をご覧いただきますと、横軸に第7次から第10
     回の調査によって得られたデータをベースにして、妻の結婚したときの年齢
     別に生み終えた時点の子供数の平均値を縦軸にとってプロットしています。
     これを見てみますと、明らかに妻の結婚年齢が上昇すると、一生涯にわたっ
     て生む子供の数というのが減少するという相互関係が存在しているというこ
     とが分かります。したがいまして、我々は夫婦の完結出生率の動向から、今
     後初婚年齢の上昇が見込まれますので、したがって夫婦完結出生率は今後若
     干低下するものと認識をしております。
       3番目としましては、長期の合計特殊出生率に関する考え方であります。
     説明の文章編の4ページをご覧いただきたいんですけれども。将来における
     全女子の出生率というのは、3つの要素によって決まっていきます。1つは
     将来の女性の結婚割合。これは生涯未婚率の余数ということになります。
     2つ目としましては究極的な夫婦の子供数。夫婦の生む子供の数の水準。な
     らびに離婚や死別によって生じる出生過程が中断する夫婦の影響の度合いが
     どの程度あるかによって決まります。
       3つ目の点については、いま説明をしておりませんので、資料編の14ペ
     ージのところに資料がございます。出生過程が中断する夫婦の影響度合いに
     つきましては、我々第9回、第10回出生動向基本調査によってその係数を
     推定することができます。この推定を見ますと、おおよそ0.95、あるい
     は0.96内外の値が得られておりまして、我々が知り得ている出生コーホ
     ートに関しては、離死別の効果による係数というのは、その程度見込まれる
     ということであります。
       したがいまして、長期的な予測に関しましては先ほどの完結出生率の水準
     低下が初婚年齢の上昇にしたがって見られるということを前提としまして、
     あるいは女性の結婚割合が生涯未婚率の上昇に伴って動くということを勘案
     しながら長期の平均出生率の仮定を考えていきたいと思っております。
       いままで述べましたように、まだそれぞれの個々の仮定値については、ま
     だ検討の必要な部分がそうとうございます。したがいまして、本審議会の先
     生方にお願いいたしまして、我々の現在の分析状況等について批評をいただ
     き、今後、一層仮定の精査を行っていきたいと考えているところでありまし
     て、将来人口推計の作業を進めたいと考えております。以上、私の報告は終
     わらせていただきます。
宮澤会長   どうもありがとうございました。大変組織的に整理した資料を用意してい
     ただきまして、ありがとうございました。この将来推計人口の評価と見通し
     について、ご意見、ご質問を賜りたいと思います。特に将来の結婚動向、結
     婚年齢変動の出生率の低下とか、あるいは生涯未婚率の変化とかいうような
     ことが推計のポイントになっておりますので、その点につきましても積極的
     なご意見をお願いしたいと思います。
大淵委員   資料編の7ページから9ページにかけて、晩婚化、非婚化が期間出生率に
     与える影響についての、非常に興味深いシュミュレーションをご提示いただ
     き、晩婚化、あるいは非婚化、またその両者がファティリティー(出生力)
     に与える影響というものを非常に分かりやすく記していただいたということ
     で、大変有益だったわけでありますが。これについて2つほどご質問したい
     と思います。
       1つは、この仮定ですね。シミュレーションの前提というところで、婚外
     出生について何も仮定がないのではないかと。見落としているかもしれませ
     んが。つまり、婚外出生が0と仮定しているのではないかと。出生はすべて
     結婚の中で発生していると仮定してるんではないかと思います。
       現在は確かに、せいぜい1%程度しか婚外出生はありませんが、これが将
     来増えないという保証はありませんので、これについても何らかの仮定を設
     ける必要があるのではないかというのが1つです。
       それから、特に第1のこの晩婚化モデル、ここでは5歳初婚年齢のピーク
     が右へ動くという仮定でシミュレーションが行われていますけれども、これ
     がさらに例えば右のほうへ移るということもあり得ないことではないわけで
     。いってみれば超晩婚化というわけですけれども。そうなりますと、いわば
     生理学的にフィカンディティー(姓孕力)が低下してしまう。そうなると、
     この仮定では結婚したものはすべて2人を生むという仮定ですけれども、い
     わばマリタルファティリティー(有配偶出生力)そのものが低下するという
     ことが起きないとも限りません。
      ということをお尋ねしたいと思います。以上です。
宮澤会長   ありがとうございました。お願いします。
高橋部長   いまの大淵先生のご質問に対してお答えいたします。まず7ページ、8ペ
     ージ、9ページのモデルについては、ここでは婚外出生については一切配慮
     しておりません。これは仮定設定の問題と7、8、9ページの問題、まった
     く別のもので、結婚の変動が純粋に起きた場合に合計特殊出生率にどのよう
     な影響を与えるかと評価するためのものですから、出生に関しては全体が同
     じという条件をつくるために、出生に関しては全員が2名を生むという前提
     を置いております。したがいまして、婚外出生の仮定については、別のとこ
     ろで仮定値を設定するうえで考える必要がある問題だと考えております。事
     実婚外出生のパーセンテージは、ここ数年の間にわずかながら日本国内につ
     いても1%の水準ですけれども、0.01のレベルで徐々に変化をしている
     という事実がございますので、その点については今後考慮したいと思ってお
     ります。
       それから2番目のご指摘の晩婚化モデルについて、5歳動くよりもさらに
     右へ移っていくという要素があり得ないわけではないと。これも当然のこと
     でありまして、この7、8、9については晩婚化という構造変化が起きた場
     合に合計特殊出生率がどう動くかということを検討しておりますので、ここ
     でもフェタミティーの問題については考慮しておりません。しかしながら仮
     定設定に関しましては資料編の13ページにありますように、我々は第7回
     から第10回出生動向の基本調査をもとにして、結婚の年齢が上がれば最終
     的に生む子供の数が低くなるという関係を押さえております。したがいまし
     て、今回の出生率予測に関しては、仮定設定についてはこれを構造的にモデ
     ル化して入れるということを考えております。したがいまして、フェタミテ
     ィー低下の問題については対処できるものと思っております。以上です。
八代委員   私は時間節約のためにメモを用意しておりますので、見ていただきたいと
     思います。
       まず今日の資料は非常に貴重で分かりやすく説明していただいたんですが
     、やはり私のような素人から見ますと、基本的になぜこのようなことが起こ
     ってきたのかという仮説というか、理論というか。やはりそれが十分でない
     ために、将来どうなるのかと見るときに、結局過去のトレンドでしか追い方
     がないわけです。なぜ晩婚化が進んできたかというと、それは基本的には女
     性の経済的地位が上がってきた。つまり結婚の是非というのが選択できる対
     象になってきたということがあるのではないかと思います。
       それで将来どうなるかと考えたときに、もうすでに起こった少子化の影響
     によりまして労働力人口が2000年以降減少に向かうというのは労働省を
     はじめ、ほぼ多くの人の共通の認識となっている。そうなりますと、たとえ
     1〜2%の低成長であったとしても、労働力需給というのは将来逼迫するこ
     とが明らかになります。労働需給が逼迫すれば、これまで相対的に低賃金で
     あった女性の賃金は、さらに高まって、経済的地位は一層高まることが論理
     的に出てくるのではないかと思います。
      そうすると、これまでに起こった晩婚化というのが、極端なことをいます
     とこれで下げ止まりになるんじゃなくて、足元はともかく不況とかそういう
     影響があるんでしょうけど、長期的にはむしろ加速するという可能性も排除
     できない。ですから、非常に入れ方は難しいですが、経済学的な要因、つま
     り晩婚化をもたらす女性の経済的地位というような要因を将来何らかのかた
     ちで入れないと、やはりこれまでと同じような問題が起きるのではないかと
     考えております。
       第1点につきましては、これは前回の審議会でも問題になりました過去の
     人口推計の敗因分析ということが必要です。今日のご説明でもよく分かりま
     したが、平成4年の人口推計の考え方というのは従来のやり方から見れば格
     段に進歩している。しかし、それがどの程度過去の出生率の予測の誤りを修
     正できたかというのは、まだ分からないわけですね。実績等からの乖離とい
     っても、わずか数年しかありませんので、低位推計と中位推計の間を這って
     いるということしか分からないわけです。
       こういうときにやる1つの方法というのは、経済のマクロモデルなんかで
     やるやり方で、これはファイナルテストとか、いろいろな言い方があります
     けども、つまりシミュレーションの時点を大幅に過去に置いて、例えば昭和
     56年の推計時点で、いまこれからやられようと考えられていると同じよう
     な推計方法をその当時にやってみる。そこでやった予測とその後の実績値が
     どれぐらい乖離しているか。もしそれで完全に過去の落ち込みが説明できれ
     ば、いまやられようとしている予測というのは、かなり精度の高いものだと
     いうことがいえるわけで。やはりそういうバックヤードシミュレーションと
     いますか、そうしたチェックがないと、危ないのではないかと思います。そ
     れが第1点です。
       それから第2点は、晩婚化が続いている限りにおいて出生率が低下する、
     それが止まればいずれは回復するというご説明があったわけなんですが、い
     つそれが止まるかというのは、分からないわけです。それがやっぱり最近時
     点で、いまの足元の資料を見ると止まりかけているようでありますけども、
     しかし一方で女性の晩婚化にかなり大きな影響を与えるという4年制大学へ
     の進学率というのは、最近むしろ加速しているわけであります。特に11ペー
     ジの資料ですか、非常に貴重な年齢別で見た初婚率の上昇というものを単に
     トレンドで見ていいのかどうか。例えば一番最近時点の75〜79年に生ま
     れた女性というのは、大学に入る時点でいうと83〜87年ですね。その頃
     から正確にいえば、そのもう少しあとからですが、むしろ大学への進学率は
     加速しているわけです。そういう要因を考えたときに、本当にこのコメント
     どおりでいいのかどうかということがあるかと思います。
       3番目はよくいわれていることですが、DINKSの問題であります。つ
     まり結婚するけど子供は生まないという人たちの行動。これは1122ページで
     ご説明がありましたけど、図の28というのは最も最近の調査でも92年で
     あって、このときに結婚した人というのは73〜77年に結婚した人であり
     ます。しかし女性の就業率というのは75年から急激に上昇しているわけで
     ありまして、いわばこれまでのデータではまだそういうDINKSの行動と
     いうのは予測できない。図表29はそれを補うためにあるんですけど、これ
     はあくまでアンケート調査であって、実際の行動ではなくてあくまで予定数
     でありまして。別の言葉でいえば希望数でありまして、これが実際に実現す
     るかどうかは、まだ分からない。
      ですから、何らかのかたちで実績といいますか、先ほどの初婚年齢でやら
     れたと同じような分析をむしろ若いカップルの子供の生み方についてチェッ
     クする必要があるんじゃないかと思います。
       先ほどもご説明がありましたけど、13ページの平均完結出生児数という
     のは年齢が高まるほど下がっているわけで、やや言葉尻を捉えて恐縮ですが
     、これを見て若干修正されるということなんですが、本当に若干でいいのか
     どうか。そこがどれくらいの幅で修正されるのかというのが、非常に気にな
     るポイントであります。
       最後に地域別の変化でありますけども、例えば東京都の出生率がいま1.
     1という非常に低い水準であるわけなんですが、やはり今後の人口というの
     は、自然増は止まったとしても社会増でやっぱり都会で増えるのではないか
     。そうすると、やっぱり都会の人々の行動というのが非常に重要であって、
     これと同じような分析を東京都とか、あるいは首都圏、あるいは大都市でで
     きないものであろうか。やはり日本全体の動きの先行指標になるのは、こう
     いう都会の動きではないかと思う。しかし、残念ながら地域別および学歴別
     のクロスのデータというのは非常に乏しいのではないか。例えば初婚年齢と
     いっても、東京における4大卒の女性の初婚年齢というのはどこまで上がっ
     ているのかどうか。そういうような分析というものが必要ではないかと思い
     ます。以上です。
宮澤会長   ありがとうございました。
高橋部長   それでは、私のほうからお答えさせていただきます。非常に貴重なコメン
     トをいただきまして、まずお礼を申し上げておきたいと思います。
        さて、ご指摘の点については4点に先生に要約した資料までつくっていた
     だきました。まず第1の過去の推計の敗因分析ということでありますけれど
     も。実は前回、平成4年推計についても初婚率の予測に関しましては、過去
     のデータから最近のところまでそれを一旦予測して、その乖離の状況を見て
     おります。したがいまして、絶えず我々は予測される結果については現実値
     と比較しながら、モデルが的を射ているかどうかというのを絶えずチェック
     をしております。
       したがいまして、今回の新推計におきましてもそうとう前のパラメータを
     与えることによって数年分の過去とのトレースを行って、そのうえで延長を
     するという手法をとっておりまして、我々もファイナルテストと似た作業を
     同時に行いながら以後推計を行っていくということを基本的なやり方として
     おります。
       それから第2点目の、晩婚化が止まる時期の問題ですけれども、ご指摘の
     ように結婚年齢の上昇や未婚化というのは、まったく社会経済的な条件を抜
     きに進行するわけではなくて、その背景には高学歴化であるとか女性の社会
     進出であるとかというさまざまな要因をもとにして、それが結果として統計
     指標上には未婚化であるとか晩婚化という現象として表れるわけです。
       そして、将来を見通すということに関連しましては、晩婚化は現在も進行
     中でありまして、将来の推移を見通す統計情報としては、まず第一に1つの
     手がかりは現在における晩婚化の趨勢を観察することであります。先ほどお
     示ししました資料編の11ページの資料も、実は時系列趨勢というものの中
     には、過去の日本における女子の社会進出であるとか高学歴化ということを
     込みにした趨勢であります。したがいまして、そうしたものを手がかりに将
     来を見てみるということが1つであります。第二には若者、未婚者の結婚年
     齢に対する考え方ですね。これらを基本的に押さえていくというやり方がも
     う一つあります。
       それから、これは東京都の分析ということで先生もご指摘になりましたけ
     れども、先進的地域、東京であるとか首都圏であるとか、人口集中地区など
     について、それらを参考にするという考え方がございます。また、4番目に
     は、先進的な属性集団、高学歴者集団の平均初婚年齢を見てみる、初婚率を
     見てみる。これらについては、実は今年の厚生白書でずいぶん検証しており
     まして、データとしては1990年になりますけれども、1990年の東京
     都における大学・大学院の女性の平均初婚年齢は、我々32.13歳という
     推定も行っております。それぞれの学歴別に全国、東京都との比較分析も行
     っているというところでありますし、さらに出産力調査によりまして、就業
     状態別に平均初婚年齢がどのようになっているのかということも見ておりま
     す。
       したがいまして、我々仮定設定にあたりましては、こうしたさまざまな指
     標の晩婚化の趨勢というものを捉えながら考えていきたいと思っております
     。
       しかしながら、どのような理論、あるいは方法を用いようとも、いわば現
     在の統計情報の中で将来の、例えば晩婚化の終息時期の見通しについては、
     ある程度総合的に勘案して仮定を置かざるを得ないというのが、これは推計
     における限界であろうと考えております。したがいまして我々は、出産力調
     査などを利用しまして、そうした将来趨勢の手がかりというものを詳細に分
     析をして、この予測に役立ていいきたいと思っております。
       それからもう一つ、高学歴化の影響に関連しましては、例えば近年ヨーロ
     ッパにおいて行われた横断的な調査によって高学歴化のことが分析されてお
     りますけれども、高学歴化の晩婚化に対する効果というのは、例えば意識や
     ライフスタイルの変化に対して効果を与えるよりも、むしろ物理的に在学の
     年数の効果のほうが結婚年齢に対しては影響が大きいというような分析もご
     ざいます。
       そうしたことも踏まえながら検討していきたいと考えておりまして。いず
     れにしろ高学歴化、晩婚化に対して単独で最も強い効果を示す社会経済的な
     要因であるということは認識しておりますので、今後こうした因果関係をモ
     デルに対してそうとう加味して仮定設定の段階においては考えていきたいと
     思っております。我々も学歴の及ぼすいろいろな影響については分析を行っ
     ておりますけれども、高学歴化の晩婚化に与える影響というのは、5年前の
     そうとう古いコーホートについては56%程度の影響を持っていたと分析し
     ております。その後のコーホートについては寄与率が30%に減少している
     ということも明かになっておりますから、そうしたことを加味しながら考え
     ていきたいと思っております。
       それから東京都の分析については、つい先日の9月30日に国勢調査の1
     00%で未婚率等に関するデータが出てまいりました。これらについてもこ
     うした新しいデータをもとにして、特に東京圏、あるいは首都圏のデータを
     もとにして分析を行っていきたいと思っております。
      それからDINKSの影響等につきましては、出生児数の分布の問題であ
     りますけれども、これについても動態統計の観察をしておりまして、これを
     いかにモデル化するかということが非常に大きな問題でありますけれども。
      基本的には先ほど説明しました資料編の13ページの図表31をもとにし
     まして、ここでは平均値だけを示してありますけども、実際にはこのもとに
     無子の人々が何%、一人っ子だけを生んでいる人が何%という、いわば分布
     がこれにはつながっております。したがいまして、その分析を踏まえてモデ
     ル化を図っていきたいと考えております。以上でございます。
宮澤会長   ありがとうございました。他に何かございますか。はい、どうぞ。
阿藤委員   八代委員からご質問がございました、結婚持続期間別の平均出生児数(完
     結出生率)は確かに出産力調査ですと、92年の、しかもこのデータでは結
     婚持続期間15〜19年ですか、いくぶん古いデ−タになるのですが、もう
     少し標本の小さい、例えば民間の、毎日新聞が2年ごとにやっている全国家
     族計画世論調査というのがあります。その一番新しいのは1996年です。
       そのデ−タによりますと、例えば妻が年齢40歳に入ったところの夫婦の
     平均出生児数は、あい変わらず2人を超えています。もう少し新しいデータ
     を見ても、もちろん微妙な増減は標本数も小さいので難しいかもしれません
     けども、基本的に出生児数が2人を超えているという線では変わっていない
     と理解しています。
宮澤会長   熊崎さん、どうぞ。
熊崎委員   私のまわりには共働きの人が多いわけなんですけれども、この調査の中で
     は結婚しても仕事を続けるという、なお子供を生むというような、そういう
     環境といいましょうか、そういうようなデータはこれから出生率を高めてい
     くという点での資料だとか、考え方の中には入らないんでしょうか。質問し
     たいんですが。
宮澤会長   お願いします。
高橋部長   1つはそれは、要するにシナリオということになると思うんですけれども
     。
       将来女性が働ける社会経済的な環境をどの程度整備すれば出生率がどうな
     るかということだと思うんですけれども。現在、我々がやっておりますこの
     推計については、その点については配慮しておりません。すなわち、将来、
     政策的な効果がどの程度及ぼすかということについては、非常にこれは難し
     い問題であります。
       例えば児童手当の額をどれぐらいにするか、あるいは完全育児休業制度で
     取れる年数を増やすといったことが、どの程度出生率に対する影響でどうな
     るのかという、この因果関係がいろいろ検討はされておりますけれども、こ
     れをキチッとした数値に表せる状態までまだ研究が進んでおりません。した
     がいまして、我々としては残念ながら、今回の人口推計についてはそれをモ
     デル的に考慮するということは、技術的に不可能な状態であるとご報告させ
     ていただきます。
NO4に続く
  問い合わせ先  厚生省大臣官房政策課調査室
     担 当 真鍋(内2250)・大内(内2931)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]

審議会等議事録 ホームページへ戻る 前ページ 次ページ