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(引き続き高橋部長)
       以上の基本的な考え方に則しまして、その当時予測にあたっては出生率予
     測法の研究を行ったわけです。
       次に平成4年推計の出生率予測の具体的な方法ということでございますけ
     れども、平成4年推計の出生率の予測の方法は、昭和61年推計とその後の
     人口動向によって明かになった問題点に対処するために、すでに述べました
     方針に則して出生率予測法の抜本的な改訂を行ったわけです。すなわちそれ
     はどういうものかと申し上げますと、まず第1に平均初婚年齢、2番目に生
     涯未婚率、それから夫婦の完結出生率という変数を制御パラメータとして用
     いて出生順位ごとの女子の年齢別出生率の数理モデルを用いてコーホート出
     生率の予測に適用したというものでございます。
      この予測法を用いて得られた結果というのが、資料編の2ページの図表4
     の中・高・低の趨勢ということになるわけです。この将来の予測結果につき
     ましては、平成4年出生率の予測結果についていくつかの論点がございます
     。例えば日経リサーチセンターの小倉先生によっていくつかの指摘もされて
     おりますし、各新聞社の方々から人口問題研究所の平成4年推計の趨勢につ
     いていくつかのご指摘がございます。これは前回の審議会でもご指摘いただ
     いたことも含んでおります。それらを要約してみますと、おおよそ3つのポ
     イントがあるのではないかと我々は理解しております。第1点目は、平成7
     年までの予測結果に誤差が生じていることについてであります。すなわち、
     資料編の2ページ目の図表6に見られますように、実績値が黒い実線で引い
     てありますが、中位推計の予測値が○で囲ってあります。●が低位推計の結
     果ということで、中位と低位の中間に位置しているのではないかということ
     です。そのことに関する誤差の問題です。
       2番目には、合計特殊出生率が将来反転することについての疑問でありま
     す。それから3番目としましては、長期的に2025年という時点ですが、
     中位仮定において1.80の水準に上昇することについての論点でございま
     す。
       それぞれこの3点につきまして、ご説明させていただきます。まず平成7
     年までの予測結果に誤差が生じていることについてであります。この図表の
     6からも分かりますように、平成4年推計によって予測された合計特殊出生
     率の年次推移は、その後人口動態統計によって観察されました趨勢におよそ
     沿っています。低位と中位の間の中に収まっています。平成7年の予測値1
     .50に対して観測値が1.43と。両者の間に0.07の差が生じており
     まして、先ほど申しましたように合計特殊出生率の趨勢は、平成4年推計の
     低位と中位の中間に位置しているという現状がございます。
       平成7年の予測された出生率と実際の値に乖離が生じた理由につきまして
     は、我々は2つの要因を理解しております。第1に掲げられますのは、仮定
     値の設定水準に起因して誤差が生じている可能性であります。生涯未婚率の
     仮定は平成4年推計におきましては、当時の4.2%台の水準が将来的に1
     1%台へ上昇すると仮定して人口推計を行っております。資料編の4ページ
     のところをご覧いただきたいんですけれども、この図表の8、あるいは図表
     の9によりまして、実際に予測された年齢別未婚率と、それから国勢調査に
     よって観察された未婚率、この両者の値を比較しております。平成7年時点
     についてのものです。この平成7年の年齢別未婚者割合について推計値と実
     績値を比較してみますと、この時点で若干の乖離が見られる。すなわち25
     〜29歳のところで予測値のほうが2.3%ほど低めであった。あるいは、
     30〜34歳のところでは1.8%ほど予測値のほうが低かったということ
     が見られます。
      したがいまして、生涯未婚率の仮定の誤差が合計特殊出生率の乖離した、
     少なくとも一部を説明するものと考えられます。今後この乖離が時間の経過
     とともに拡大していく可能性も考えられますから、仮定値の設定の段階にお
     ける誤差の原因について我々は精査して、新推計に際してはこの点について
     そうとう見直しを要すると考えております。
      第2点でございますけれども、年次ごとの出生率は、そのときどきの社会
     経済的な変動などによりまして一時的に変動を引き起こすことがあるわけで
     す。例えば資料編の2ページに戻っていただいて、図表の4をご覧いただき
     たいんですけれども、典型例としては1966年の丙午といことがございま
     す。短期的な変動、人々の丙午という迷信によって出生率が年次的には非常
     に大きくコントロールされるという事態がございました。あるいは平成7年
     につきましては、資料編の5ページ目の図表の11をご覧いただきたいんで
     すけれども、5ページ目の図表11、図表12、図表13については人口動
     態統計によって得られる月別出生数を比較しております。特に図表の11に
     つきましては、トレンド除去法を用いまし1995年、平成7年についてど
     のような月別変動が見られるかということを見たものです。
      こうして見ますと、平成7年の場合は1つには前年の出生数の一時的な増
     加の反動効果や、特に阪神・淡路大震災の効果による出生数の減少が考えら
     れます。特に図表の11で表れている10月の近畿における出生数の大幅減
     少ということが見られます。これはすなわち10ヶ月前の1月の妊娠の結果
     の現れです。こうした短期的な出生変動が平成7年の合計特殊出生率の誤差
     については、その一部となっていた可能性があると考えております。
       このようにいくつかの誤差が重なって予測値と現実値の差を生じておりま
     して、今後誤差の要因については、これについても厳しく精査し、新推計に
     生かしていきたいと考えております。
      2番目の合計特殊出生率が反転していくことについてでありますけれども
     、平成4年推計における合計特殊出生率の反転は、コーホートと年次の出生
     率の構造的な関係によって生じていくと考えております。すなわち、コーホ
     ートにおいて結婚の上昇が続いたあと、これが終息する過程で、年次別に見
     た合計特殊出生率は一時的に低くなった後に反転するという人口学的なメカ
     ニズムが存在しております。この推計においては、合計特殊出生率の反転は
     このメカニズムを反映して表れているものであるということであります。
       これについて非常に構造的な問題がございますので、少し詳しく説明をさ
     せていただきたいと思います。資料編の6ページをご覧いただきたいと思い
     ます。6ページにおきましては期間の率、すなわち合計特殊出生率に代表さ
     れるようなものですが、それと出生コーホートの率の概念の関係について簡
     単に説明をしております。特にご理解しておいていただきたいことは、1つ
     は合計特殊出生率の定義についてであります。合計特殊出生率はどのような
     ものかといいますと、定義からいいますと仮にある年の年齢別女子の出生率
     にしたがって、1人の女子が出生を行ったときに期待される生涯の子供数と
     呼ばれるものが合計特殊出生率です。
       すなわち、この図からいいますと、ある年次に観察される率ですね。例え
     ば1995年にはそこに書いてあるような1995年の期間の率というとこ
     ろのそれぞれのボックスの出生率が合計されるわけです。合計特殊出生率は
     、この縦のボックスを積み上げたものを、これがあたかもコーホートで実現
     するものと仮定して置き換えて見ているのが、この合計特殊出生率という指
     標であります。すなわち、合計特殊出生率は異なる出生コーホートの断面を
     寄せ集めた指標なので、こういう指標の場合、結婚の変化が起きているよう
     な場合ですね。見かけ上の変化をすることがあります。
      これを詳しく検討するために、次のページ以降、7、8、9の3ページに
     わたって結婚の変化をコーホート的に引き起こした場合、合計特殊出生率が
     どのように動くのかということをシミュレーションを行いまして分析してお
     ります。7ページのケースですが、これは実際にコーホート上の初婚年齢が
     晩婚化をする場合、これが合計特殊出生率にどうなるかということを示した
     ものです。8ページ目の資料は、非婚化という現象が純粋に起きた場合、こ
     れが合計特殊出生率に対してどのように影響するかというものを見たもので
     す。9ページ目の資料は、晩婚・非婚化という、2つの性質の異なる現象が
     同時に起きた場合に、どのように合計特殊出生率に影響を与えるかというも
     のを見たものです。
       7ページ目のところから話をさせていただきたいと思います。晩婚化が純
     粋に起きた場合、図表の15に示したものが、いわばこのモデルの仮定値と
     いうことになります。晩婚化の場合は、いわば人々は何らかの年齢で結婚す
     るんですけれども、晩婚化というのは、いわば晩婚化によって結婚する年齢
     が右側シフト、これが純粋に起きる晩婚化であります。したがいまして、生
     涯の未婚率等には一切変化がございません。
       このような仮定のもとに、合計特殊出生率を観察してみますとどのような
     結論が得られるかといいますと、図表17のような図が得られます。1つは
     コーホートの合計特殊出生率です。もう1つが期間の合計特殊出生率です。
     黒いドットによって結んであるものがコーホートの合計特殊出生率です。
       このモデルの場合、結婚の年齢が上昇するだけでありますから、それぞれ
     の出生コーホートは最終的にはすべて2人の子供を生むという前提でモデル
     を動かしてみますと、合計特殊出生率はコーホート別に見て変化はございま
     せん。まったく同じ水準であると。ところが、期間の合計特殊出生率にはそ
     れがどのように作用して表れるかと申しますと、図表の17をご覧いただく
     と分かりますように、結婚が変化しはじめて6年目ぐらいから徐々に、年次
     別の期間の合計特殊出生率は徐々に低下をしはじめます。そうして20年ぐ
     らい経過したところで、1.4前後の合計特殊出生率の水準になりまして、
     その後、合計特殊出生率は以前の2.0の水準へ戻っていくというメカニズ
     ムを持っております。
       晩婚化のモデルから得られる知見というのはどういうことかといいますと
     、一切非婚化という現象が起きていない状態で晩婚化のみ起きている場合、
     一時的に合計特殊出生率は極めて低い水準を構造的なメカニズムとして出現
     させてしまうということであります。そして、長期的にはもとの合計特殊出
     生率の水準に戻るということであります。
       これはあくまでも子供の生み方、出生に関しては一切変化がなくて、結婚
     のみ変化した場合どうなるかということを示したものです。8ページ目の場
     合が、非婚化の場合であります。図表の18が仮定値ということになります
     。もともと外側に書かれておりますのが、先ほどの晩婚化のモデルのときと
     まったく同じかたちをした年齢別の初婚率の分布であります。コーホートが
     このような以前のかたちから20%低下をして、やや縮小したかたちの年齢
     別初婚率の分布へとかたちを変えますとどうなるかということなんですけれ
     ども、全体でいうと全員結婚する、未婚者割合が0%の世界から、10年間
     で20%の未婚者割合に増加するケースとしてこれを見てみますと、どのよ
     うなかたちが起きるかといいますと、図表の20をご覧いただきたいと思い
     ます。
       図表の20は、こうした非婚化ということのみ起きた場合。晩婚化という
          ことは起きなく、非婚化のみ起きた場合どういうことが起きているかといま
     すと、コーホートの出生率は生涯未婚率が0%から20%へ増加しますので
     、それに則してコーホートの合計特殊出生率でいいますと1.6の水準へと
     向かって、これは直線的に低下をしている。その後、20%の未婚率の上昇
     に見合う水準である1.6の水準を維持して、最終的にその水準を維持する
     というかたちになります。
       ところが、期間の合計特殊出生率、年次別の合計特殊出生率はどのように
     なるかといいますと、期間の合計特殊出生率は横這い状態から徐々に低下し
     ていって、そして25年ぐらいたったのちに1.6の水準へと徐々に低下を
     していく。その後、一定となる。つまり、晩婚化と非婚化が起きるときには
     、期間の合計特殊出生率に表れる様子というのが、まったく違うという性質
     があるということであります。
       次に9ページの資料によりまして、晩婚化と非婚化が同時に起きた場合、
     これはどうなるかということを見たものが、この9ページの資料でございま
     す。図表の21に示してあります年齢別初婚率分布というのが、仮定で用い
     た2つのパターンです。最初、全員結婚をするという年齢分布が示してあり
     まして、その後、結婚年齢が、平均初婚年齢が5歳上昇しまして、なおかつ
     初婚率の年齢分布が20%縮小する。すなわち、生涯未婚率の割合が0から
     20%に上昇する。その前提のもとでシミュレーションを行ってみますと、
     その結果表れるコーホートと期間の合計特殊出生率の様子が図表の2233に示
     すものです。
       図表の23を見ていただくと分かりますように、コーホートの合計特殊出
     生率は、この晩婚・非婚化が起きますと同時に、その水準が低下をしてまい
     りまして、10年後に1.6という水準に到達して、その後一定であります
     。
       年次別の合計特殊出生率について見ますと、この変化が起きてしばらく、
     5年ぐらいそのままの状態で2.0という水準が維持されまして、その後急
     速に年次別の合計特殊出生率が低下をして、そうして20年後ぐらいに向け
     て非常な水準低下を示す。ここで観察される水準というのは、コーホートの
     合計特殊出生率よりも一段と低い水準であるということが分かります。そし
     て、一旦1.25内外の合計特殊出生率の水準を示したのち、この年次別の
     合計特殊出生率は30年後ぐらいに1.6の水準へ戻っていって、その後安
     定すると。このようなことが見られます。
       以上、この晩婚化モデル、非婚化モデル、そして晩婚・非婚化モデルとい
     う、この3つを検証してみますと、晩婚化現象には必ず一時的に極めて低い
     合計特殊出生率が表れて、その後、合計特殊出生率は反転上昇するメカニズ
     ムが存在すると。あるいは、晩婚・非婚化同時に起きている場合においても
     、このようなメカニズムが存在することをこのシミュレーションの結果は示
     しております。
       こうしたモデルによる検討を踏まえまして、次に現実のデータから、この
     ようなことが本当に起きているのかどうかということを確認したいと思いま
     す。
       次のページをめくっていただきまして、10ページの資料を見ていただき
     たいと思います。最初の図表の24といいますのは、人口動態統計によって
     観察されています年次別の年齢別の初婚率であります。これを1970年か
     ら1995年についてプロットし、比較したものです。この図を見ますと、
     どのようなことが70から95にかけて起きているかといいますと、25歳
     未満のところでは非常な勢いで初婚率の低下が起きている。つまり、25歳
     未満の若いところでは、結婚する人々の勢いというものがどんどん低下をし
     てきているという経過がございます。そして、25歳以降30歳代後半にか
     けてどういうことが起きているかといいますと、この部分の年齢別の初婚率
     というのは、70年代から95年にかけて上昇傾向にあるということが理解
     できます。これは人口動態統計からの確認です。
       さらに図表の25におきまして、国勢調査からも同様の傾向を確認するこ
     とができます。図表の25では、波線によって示されていますのが、198
     0年代後半における1985年から1990年の女子の年齢別初婚率の増加
     率を計算したものであります。もう一つ示してあります実線によるカーブが
     1990年代における、すなわち1990年から95年の年齢別初婚率につ
     きまして増加率を見たものです。
       これを見てみますと、1980年代後半ではいったい何が起きていたかと
     いますと、20代の前半を中心として非常にマイナスの増加率が強かったと
     いうことが分かります。すなわち、初婚率がどんどん低下をしていった。そ
     の勢いが非常に強かったというのが1980年代後半の時期であります。そ
     して、30代について見ますと、ここではプラスの値が見られております。
     すなわち、1980年代後半におきまして30代においては初婚率が増加を
     する傾向に、勢いが見られた。
       これを1980年代後半と90年代前半との違いというところで見てみま
     すと、どういうことがいえるかと申し上げますと、20代につきましては増
     加率がマイナスであったものがマイナスの勢いが徐々に減ってきております
     。すなわち、20代において初婚率減少傾向がやや1990年代後半にかけ
     て緩やかになってきた。つまり、未婚化の勢いが20代前半については弱ま
     ってきているという兆候がここで見てとれます。
       さて、20代後半から30代についてどういうふうになっているかといい
     ますと、1980年代後半よりも1990年代後半のほうが初婚率の増加率
     が高くなってきている。すなわち、20代後半から30代で結婚する勢いと
     いうのは、80年代後半よりも90年代後半のほうが強くなってきていると
     いう経過が見られます。このことは先ほどのシミュレーションの結果と合わ
     せて総合してみますと、晩婚・非婚化現象が認められるということでありま
     す。そして、こうした晩婚化、あるいは非婚化という現象は、いまだ199
     0年代に入っても続いているということを示唆しております。
       さて、次に資料番号3の3ページに戻りたいと思います。3の長期的に1
     .80の数字に上昇することに関しましてご報告させていただきます。平成
     4年中位推計の結果によれば、合計特殊出生率は反転ののちに最終的に1.
     80の水準に上昇するとなっております。この水準につきましては、その後
     明らかになった結婚動向に関するデータを検討したうえで、現在のところ再
     評価をする必要があると考えております。この点に関しましては、この資料
     の4ページのところの次の新しい見通しの考え方に関連する部分であります
     ので、のちに述べさせていただきます。
       続きまして3ページの3の「新推計の基本的な考え方」というところをご
     報告させていただきます。資料編でいいますと、15ページの図表の33番
     のところを参照していただきたいと思います。
       中位推計の仮定の基本的な考え方ということで、新推計の欄のところに考
     え方が比較表の中で示してありますけれども。まず第1に、新推計の出生率
     予測法に関してであります。新推計において用いる出生率予測表は、平成4
     年推計においても用いた統計数理手法によるパラメータモデル、すなわちコ
     ーホートの年齢別出生順位別出生率を平均初婚年齢、生涯未婚率、夫婦の完
     結出生児数によって推定する方法であります。2番目としましては、短期の
     出生率予測法の見直しに関してです。コーホートの出生率の予測法に短期の
     出生率トレンドを反映させるために、時系列の趨勢との間でイタレーション
     仮定、これは統計手法の1つでありますけれども、イタレーション仮定を設
     けてパラメータの調整を行って出生率の予測精度の改善を行う。技術的な改
     良を行うと新推計では基本的には考えております。
       3番目としまして、4ページ目ですが、長期の出生率仮定の見直しに関し
     て報告させていただきます。1としまして結婚に関する考え方。晩婚・非婚
     化の動向に関してであります。現在の結婚の動向の分析に基づいてみますれ
     ば、晩婚化の趨勢と非婚化の趨勢が同時に進行しておりまして、その趨勢は
     変化の途上にあると考えられます。資料編の11ページをご覧いただきたい
     と思います。資料編11ぺージの図表の26には、国勢調査の結果からコー
     ホート別の初婚率を計算しまして、年齢階層ごとの初婚率の趨勢を示したも
     のであります。
       これについて見てみますとどのようなことがいえるかと申しますと、まず
     15〜19歳から20〜24歳への初婚率が現在どのような趨勢にあるかと
     申しますと、現在低下傾向にある。◇の実線で示してあるものが実績部分、
     そして◇の最後のところから先へ伸ばしてある部分が予測ということなんで
     すけれども、15〜19歳から20〜24歳の初婚率については、この低下
     傾向に見られるように、将来においても減少傾向が続くであろうと考えられ
     ます。20〜24歳から25〜29歳の初婚率につきましても、古いコーホ
     ートの横這い状態から1945〜49年コーホート以降、徐々にこの年齢層
     の初婚率というのは低下傾向にあって、この趨勢は先々のコーホートにおい
     ても低下が考えられるということであります。
       さらに△の線で結んであります25〜29歳から30〜34歳への初婚率
     はどのようになっているかと申しますと、コーホート的に見て右上がりの増
     加傾向を示している。この25〜29歳から30〜34歳の初婚率が今後ど
     のように動いていくかということが、将来の生涯未婚率や、あるいは結婚の
     年齢を考えるうえで重要なことになるわけです。
       さらに30〜34歳から35〜39歳の初婚率に関しましても、増加の勢
     いはそれほどではないんですけれども、これも実績部分で右上がりの増加に
     なっていて、将来も今後ある程度の増加をしていくものであろうと見られま
     す。
       したがいまして、将来の趨勢というのは、これまで続いている晩婚化現象
     、すなわち20代、10代における初婚率の現象に見られるような晩婚化現
     象が続くと同時に、20歳代後半から30歳代前半にかける初婚率の上昇に
     よって晩婚を取り戻すとしても自ずと限界があります。したがいまして、年
     齢別初婚率の検討から将来の生涯未婚率は、現在の4.5%の水準から前回
     推計で予測した水準をそうとう上回っていくものと考えられるわけです。ま
     た、年齢別初婚率の年齢分布の変化から見て、平均初婚年齢はさらに上昇す
     るものと予測されるわけです。
       そのことを概念的に図示したものが、図表の27となります。いわば若い
     ところの年次別の初婚率は減少して、そしてそれが小さくなりながらやがて
     は年齢層の高いところにピークが移っていくという動きが考えられるという
     ことであります。
NO3に続く
  問い合わせ先  厚生省大臣官房政策課調査室
     担 当 真鍋(内2250)・大内(内2931)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]

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