審議会等議事録 ホームページへ戻る 前ページ 次ページ
          第8回中央児童福祉審議会基本問題部会NO4
○H委員  若干重なり合うこともあるところもあると思うんですけれども、一般論とし
て申し上げる訳ですけれども、昔から今に至るまで、保育所の保母さんと父母とかうま
くいっている例もたくさんあるんでしょうけれども、大部分の人は、このごろは違って
きたとは思うんですけれども、こういう保育所に預けて働くお母さんの気が知れないと
いう言葉は保母さんから何度も聞いたことがある訳です。このぐらい労働が普遍化して
いくるとそうではないとは思うものの、それに近い意見をいまだに園長さんクラス、所
長さんクラスではあるような気がいたします。
  全くそれと同じことが福祉、介護の世界であらわれてきて、このごろヘルパーが人気
があって、それこそ保育科がヘルパーに変換しているところも随分あるようで、7倍か
の競争率だったそうなんです。
  その内容をちょっと聞いたんですけれど、作文にあなたのお宅におじいさん、おばあ
さん、あるいは家族がもし倒れたらあなたはどのようにしますかという論文を、そうい
う意味のことを書かせたら、7倍の志願者のうち、これが1人も、大げさじゃないんで
すかと私は聞いたんですが、本当に大げさではなくて、絶対に施設に預けたりせずに家
族でみますと答えたんだそうです。つまりこういう雰囲気ですね。
  ですから、そういう作文を全部置いておいて、この学校は施設その他で高齢者を支え
ようという人を養成する学校ですよと。それがいいことだからと書いてある訳です。う
ちで見るのがいいことで、私は施設に放り込んだりしないと。そういう言葉で書いてい
る人に、あなたは放り込まれた方々をかわいそうだからお世話するのでこの学校へ来た
のですかと言って、ぐうの音も出ないくらいにぎゅうぎゅう口頭試問で言いながら合格
者を裁定していったというんです。それは高校出たわずか18歳の子どもがそんなに現状
認識があって言っている訳ではないんです。うちでみるのがいいことよと、外で預ける
ことが悪いことよと言うから18歳の人たちはそう言った方が受かるだろうと思うからそ
う書いているだけの話なんです。自分たちが一体何のためにそこへ来たのかも忘れてい
る。
  それに近いことが私は保育所で教えられたかどうかは別として、まさか専門学校でそ
うお教えになったとは申しませんけれども、やっぱりもしかしたら中学、高校、学校教
育の中でも、それから社会的常識として、子どもはうちで育てるのがいいことだ、預け
られるのはかわいそうなことだと、ですから、私は今度の児童福祉法の根本的な改正を
本当に心から求めておりますけれども、保育に欠ける児童という言葉でどれだけ長い間
、母親たちが傷付きながら生きてきたか。この欠けるという言葉を変えられるのかどう
なのか、ここが出発点だと思っておりますけれども、基本的に今お話にありましたよう
な保育者なり介護者なりが、何か介護専門職、保育専門職にはなるけれど、広い意味で
の社会福祉の専門職になっていないんではないか。家族とか家庭とかどう変化したかと
いうことなどということについて最も基本的な認識の授業がないんではないか。あった
としてもそれが心に届くような形で教育されていないんではないか。その辺りの教育を
私はしっかりお願いいたしたいと思っております。
  この問題に関しては以上です。
○部会長  それではI委員。
○I委員  まず保育を担うマンパワーというところで、何点か申し上げたいと思うんで
すが、まず養成の問題もございますが、その前に配置の基準の問題が私は大事ではない
かなというふうに思っておりまして、子どもたちはやはり乳幼児のころというのは自分
で意思を伝えるという力も大変弱い。そうすると保育する側がその思いをつかんであげ
るということが大変重要になっております。そういう中で3歳児20人、4歳以上は30人
を1人の先生が見るというようなことになってきますと、結局一人一人の思いを大切に
する保育というのは無理になっていく。これは現実だと思いますし、どういう状況が起
こるかというと、安全性を確保することをまず第一に考える。したがいまして、その子
がどういうふうに健かに育つかということは二の次三の次になってしまうというのが実
態ではと思います。
  そういうことを考えますと、何が問題かといいますと、配置基準が足りていないとい
うことになると思いますので、そこはやはり是非とも改善をしていくところではないか
なというふうに思っております。
  それから養成の問題ですけれども、私が知っている保育園の中でいろいろ聞いている
話などを考えますと、非常に狭い範囲で申し上げて申し訳ないですけれども、重要なこ
とが保育所内でもう少し風通しがよくなるようなことがなくてはいけないんではないか
というふうに考えておりまして、それは全体的な養成の問題も充実していくことは別途
必要であると思いますけれども、保育所内においてそういうことが必要だと思います。
  具体的に申しますと、実習というのが大変重要だと先ほどD委員もおっしゃっておら
れましたけれども、現場でやられているのであれば現場の中のいろいろな職員の方々の
資質がそれぞれ高まっていくというのが重要でありまして、それが常に風通しよく話し
合いが持たれるというのが重要なのではないかと思うんですが、それにかかわって申し
上げますと、やはり預ける側の親が、やはり自分の子どもをどういうふうに保育をして
もらいたいかということが伝えられるシステム、または意思決定に参画を出来るシステ
ム、そういったものが大変重要になってきているのではないかというふうに思います。
  管理運営体制の民主化とでも言うんでしょうか。そういうようなことが必要なのでは
ないかと思っておりまして、それで現場に保母さん全員で、または父母もかかわって意
思決定をしていくことが可能であるのであれば、そういうふうな形でなされた意思決定
が是非実現出来るような権限が現場に与えられていくというのがまた必要な側面なので
はないかなというふうに考えております。
  それから先ほどいろいろ保育児童の範囲についてというところで皆さん御議論をされ
ておりましたが、ここについてもちょっと一言だけ申し上げたいと思います。
 私も各委員の方々のお話を聞いていて、ほとんど同感だなと思いますが、保育に欠け
る子というのではなくて、やはり保育を必要とする子、子どもの事情に立って保育を行
うという姿勢に転換すべきではないかなと思っておりまして、ここに(2)のアのいろ
いろな対象をこういう場合どうするかというようなことが書いてありますけれども、こ
ういうのは当然受け入れていくべきであると思います。もう少し広げていってもいいと
思いますし、また幼稚園との関係が分からなくなるというような御指摘も一方でありま
したけれども、考え方によりましては幼稚園の方も幼稚園の対象年齢になれば集団保育
が必要なんだということで、当然どういう制限もされず入所したければ全部入所出来る
というシステムだと思いますので、保育全体、年齢で分けて幼稚園と保育園とするとい
う考え方もありましょうが、短時間、長時間と考える考え方もありましょうが、入所に
ついて保育が必要であれば制限をせずに受け入れると。こういう姿勢に転換するという
ことは大変必要なんではないかといふうに思っております。以上でございます。
○部会長  ありがとうございます。では、C委員。
○C委員  先ほどちょっとA委員がおっしゃったこともちょっと受けて申し上げますと
、選択に値する保育をするためにはこのマンパワーの配置の基準ももっとよいものでな
ければいけないというふうに思います。そのためにはやはり福祉の人材をどうやって確
保するかということが非常に大きな問題だと思うんです。2万か所以上ある訳ですから
、そこへ十分な人数が行くためには、とにかく福祉職に就きたいという人をどう養成し
て、きちんとした処遇をし、評価をしていくかということが非常に重要な問題だと思う
んです。それにつきましては1つは社会福祉士とか介護福祉士とか、きちんと評価され
て給料にも反映しているかということはともかくとしてそういう資格があるわけです。
それと同じように例えば児童についての福祉士みたいものを設けるとか、何かきちんと
評価と処遇に結付くような、必要な勉強をしたらそれがちゃんと報われるような職場に
していくことが必要なのではないかと思うのが一点です。
  それからもう一点はこの資料の10ページのところにもございますように、今保母さん
ということになっていて、これは福祉人材全体ですけれども、もう少し男性が入りやす
いような名称にしていかないと必要な人数は私は確保出来ないのではないかと思うので
す。今、男性の場合は保母の規則を準用するということで、正式には資格として保母と
書かなければいけないんですね、公式の文書などに書くときには。男性の中にはそうい
うことによってこの職に本当は就きたいんだけれども保母という資格になるのは嫌だと
いう人もあると聞いています。どのような呼び方にするか難しいとは思いますが、男性
、女性にかかわらない名称にすることと、それと、先ほど申し上げた処遇の問題などと
、とにかく人材を確保していかないと、いくら配置基準を上げようと思っても人手が足
りなくてはだめな訳ですから、障害になっていそうなことを現実的にクリアしていく手
立てを取っていく必要があるのではないかと思います。
○部会長  それではJ委員、K委員、それからB委員の順で。
○J委員  13ページの平均勤続年数を見ますと、保母さんが6年、幼稚園教諭で 8.7年
というのがありますけれども、どちらも大変短いように思うんです。結婚したら辞める
というのが大体暗黙のルールになっているような現場が多いような気がいたします。
  これは時間的な問題がヘビーでなかなか家庭と職場とか両立出来ないという問題と、
待遇がちっとも上がらないから余り勤め続けようという気にもならないというような、
両方いろんな面があると思うんですけれども、所長と園長がやはりなるべく若くて口答
えしない方が扱いやすいとか、いろんなことがあるというふうに思うんですけれども、
もっと就業形態を多様化して、出来るだけ勤め続けられるような気持ちが働くような就
業時間の多様化とそれから待遇の問題を改善していっていただきたいというふうに思い
ます。
  C委員が保父さんの問題をおっしゃいましたけれども、私も保父さんはもっと増やし
ていいと思うので、公立の認可保育所は保父さん目標何%雇用というようなのを設けて
もいいのではないかなというふうな気がいたします。
  これから認可と無認可、幼稚園と保育園といろいろな問題がありますけれども、保育
園に一部契約というようなものを入れていった場合、誰がどう契約を決めるのかという
ようなことでも、所長だけではなくて一般の保母さん、それから地域の方々とか、その
評価運営委員会みたいなものをこれからもしもつくるようなというふうに議論が行けば
、やはりそういう形でもっと職場を民主化していく必要がある、何しろ今は所長さんが
すごく偉くて、平の保母さんは何も口答え出来ないし、自分たちがやりたいことが出来
ないというような風通しの悪い職場もまだ多いような気がいたしますので、そこら辺を
いかに改革していくか。さらに保育園ごとに主体的な何か取り組みをやろうとするなら
ば、それをいかに保証していくかということまで考えていく必要があるのではないかと
いう気がいたします。
  それから、研修の問題なんですけれども、時代認識とか社会的視野を広げるような研
修をするのと同時に、実習でなるべく自然に対して触れ合う実習も必要なんではないか
と思います。ある保育園を見に行ったことがあるんですけれども、保母さんがたんぽぽ
がよく分からなくて、絵本を見ながらたんぽぽを説明して、散歩していてもたんぽぽが
子どもに教えられないみたいな保母さんがいらしたんですね。自然教育というのも保母
実習の中に入っているのかもしれませんけれども、もっと重点的に入れていただきたい
し、何か愛や宗教的情操といったようなものも学べるような、触れられるような機会が
ある新しいカリキュラム、場合によってはカリキュラムのリストラをして、新しいカリ
キュラムを入れるというようなことも必要ではないかというふうに思います。
○K委員  保育内容とか保育水準のことになるかと思いますけれども、医学的な面から
いわゆる保育内容、保育基準ということを考えてみたんです。
  最近保母さんでも大変熱心な方がいて、研修会とか、それから自分たちでグループを
つくって何か勉強会をする方が多い。私もその講師に招かれたり、あるいはそのセミナ
ーのときにちょっと出てきてくれと言われたりして、保母さんと接することがあったん
ですけれども、そのときに医学的に乳児を扱ってらっしゃる方が実際に十分に手をかけ
られないということを何度も言われる。例えば乳児では急に発熱するとか、急にひきつ
けるとか、それから転落するとか、そういう健康と思われる子どもでも急に異常が出る
ということがあるんです。そういうことに対しての対処の仕方というのを一つ一つ聞い
てみますと、非常に適切に対処されているところもあれば、あるいは今どきこんなと言
って、本当にそら恐ろしくなることもある訳です。
  例えば、熱が出た子どもを未だにしっかり暖めているとか、それからひきつけた子ど
もをパンパンたたいて早くひきつけを取ろうとしているとか、そういうような処置をし
ていることを聞きますと、実際に本当に保育が適切に行われているかどうか、これは認
可か無認可かよく分かりませんけれども、保母さんの集まりであったことなんですけれ
ども、そういうことで私どもがいろいろ現代の処置や何かを解説していく訳ですけれど
も、保母さんというのはやはりお子さんのともすると命にもかかわるようなことが起こ
るかもしれないので、是非医学的な処置というか、対処の仕方、本当の原則的なところ
をやはり養成項目の中に入れていただきたいなというのは実感として思いました。それ
が水準に関することです。
  それから内容としては保母さんの配置基準、先ほどA委員が言われましたけれども、
確かに乳児が6人に1人では例えば乳幼児突然死などというのも最近話題になっており
ますし、いつもかなりしっかりと乳児を観察していなければいけないのに、やはり理想
的に言えば3人に1人で、それで保育の原則というのが年齢発達段階に応じて乳幼児の
人格形成に役立つ訳ですから、ただ単に危険を防止するために観察して監視していると
いうだけではいけない訳で、そういうことも含めますと、マンパワーの問題というのは
現在の基準というのが非常に子どもにとっても不都合だと思っております。
  ですから、是非、子どもの側に立った、ただ預って怪我がなくてお母さんに返せばそ
れでいいというのではない訳ですから、そこのところがお子さんのためになるような配
置基準というのを是非考えていただきたいし、それから医学的な面でも是非レベルアッ
プして、どこの保育所に行っても同じような処置が受けられるというようなふうにして
いただきたいと思っております。
○保育課長  事実だけですので簡単に申し上げさせていただきますが、先ほどK委員の
お話でございますが、保母養成所の就業教科科目としてこれは必修科目になっておりま
すけれども、乳児保育、これは講義でございますが2単位入ってございます。以上でご
ざいます。
○B委員  基本的には今先生方もおっしゃったように、保育所の保母さんが単に子ども
を保育するというだけの仕事ではなくなってきている訳でして、そういう意味では親へ
の対応あるいは家族への対応という意味で、あるいは子育て支援というような、そうい
う業務を拡大していくというふうなところで、そういった意味あいでの教育というもの
がやはりなされなければいけないんだろうというふうに思っています。
  ただ、2年制という中ではたしてどこまで出来るのかということで、そこら辺は非常
に問題視している訳ですけれども、3年にという声も現場の中では出ているようですけ
れども、多くの先生から実習が大切だというふうなことで、確かに施設を2週間程度実
習しただけで随分学校へ返って先生たちの評価というのが一皮むけたようだというふう
には言われてはいますけれども、最近社会福祉士のいわゆる受験資格に実習が義務付け
られて、保育所はともかくとして、保母実習がほとんど出来なくなって、全部社会福祉
士で四大で占められてしまっているというような、そういう状況になって、今年も保母
の実習というのがほとんどないという、要請はあるんですけれども、いわゆる社会福祉
の四大の方でというふうなことになってしまって、これはまた問題だなというふうにも
思っていまして、そういう意味でも実習の問題についても少し考えた方がいいのかなと
思っています。
  もう一つはいかに学校の中できちっと教育したところで年齢的に見て二十歳そこそこ
でして、私もかつてずっと都立の保母養成校にかかわった経験があって、最後はとても
、特に偏差値の教育のあらわれなのか、だいぶ保母養成校に登場してくる学生たちの問
題は質がだいぶ落ちてきたというような時代を経験しているんですけれども、いずれに
してもそういった学生が職場に入っていく中でいろんな研修を重ねていくということが
必要ですけれども、それと同時にやはりある年数が経ったらもう一回リカレントの教育
を施すような、そういうことをやはり考えていくべきで、それで何年経った保母さんは
もう一回学校に戻って1年なり何なり勉強をし直すというようなシステムをつくらない
とどうもうまくいかないのではないかというふうに思っています。
  特に保育所というのは地域型の施設にもかかわらず、広域型の施設の方が逆に施設と
地域との結び付きが弱いためにかなり地域社会に対して向こうを意識しながらいろんな
サービスを展開していこうとか、かかわろうとしている。それにもかかわらず、地域型
の保育所の方はもともと地域の親の子が来るのでという形で余り地域のいろんな行事に
参加していくというのが少ないような感じを経験的に持っているということで、そんな
ことで実習の問題とかリカレントの問題とかということをちょっと考えていったらどう
かなというふうに思っております。
○部会長  ありがとうございました。
  次に、公費負担のあり方についてどう考えるかということでございますが、先ほど来
の保育を担うマンパワーの問題あるいはその他配置基準などもすべて運営費と大きく関
係している訳でありまして、お金は全く心配ないんだということになれば幾らでも出来
る訳ですが、そうはいかないということでございますし、更に言えば、負担水準をどう
考えるべきかということであろうかと思いますので、その辺りについてL委員からお話
をまず伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○L委員  少し経済学的にこの問題を整理させていただきたいと思いますが、公費負担
というふうに言われる訳ですけれども、これは別な言い方をすれば国民の税金を充てる
ということになる訳でございますので、要するに利用者以外の人も費用を負担するとい
うことになります。したがって、恐らくこれ厚生省にしろ、あるいはそれぞの地方公共
団体にしろ、納税者に対して税金を使うということについてのアカウンタビリティとい
いますか理由を説明しなければいけないと思います。
  その場合、多分保育所について言えば2つぐらい、この理屈をどういうふうにお考え
になっているか、これを質問としてひとつ伺いたい訳でございますが、私の見るところ
多分2つぐらいあるかなと思います。1つは所得移転ということで、もう一つは実際に
は利用していない人についても利益が増進する、いわば公益が増進するという、所得移
転と公益増進という2つが一般の税金を投入することの理由付けになるかと思います。
  所得移転については先ほど来、救貧政策ということもありましたけれども、要するに
保育サービスを利用せざるを得ないんだけれども、しかし民間ベースでその料金を払う
だけの所得がないという人たちに対して所得移転をする。ただし、これについては私は
先ほどのアンケートでは7%しかなかったというところになるかとも思うんですけれど
も、価格で所得移転をするのではなくて、むしろ所得移転は所得保障という形で所得移
転をして、価格は一律にするというのが正しいやり方だと思います。
  それから、所得移転についてもう一つは地域間の所得移転というのがあると思います
。つまり例えば過疎地のようなところで民間ベースでのこういう育児サービスが提供さ
れない部分についてはこれは公的部門が直接にサービスを提供するという形での所得移
転をするということが考えられるかと思います。
  もう一つは先ほどE委員のおっしゃったことすごく私も正しい見方だろうなというふ
うに思うんですが、要するに、個人の選択をいろいろ認めるということは逆から言えば
子どもの立場に立って親がどんな選択をしても困らないようにしようというものの考え
方に立つということだと思うんです。ただ個人の選択について、子どもを保育所に預け
ざるを得ないというようなことではなくて、個人がみずから何かの行動を選択すること
に対して公的な費用負担を行う場合には、これはやはりそれによってほかの人の利益に
もつながるという公益増進の観点がないと、ちょっと理屈付けに難しいかなという気が
いたします。
 そういう観点から言いますと、1つは先ほど来出ているような女性の労働、就業を促
進するという観点です。就業を促進するということは社会全体にとってみますと、社会
の生産力が上がる。それに伴って税収が上がる。あるいは場合によっては社会保険料が
入ってくる。それじゃ税金も払わない社会保険料も払わない人はどうかという問題が出
てくるかもしれませんが、そこは仮に問わないとして、一般的にはしたがって個人の選
択の中でも労働という選択をする人に対して公的な費用負担をするというのは他のそれ
を利用していない納税者に対してもそれなりの説得力を持つのではないかというふうに
思います。
  あと2点だけ小さい点を申し上げたいんですが、これは前回まで何度もお話したこと
のちょっと繰り返しになりますけれども、私はやはり認可保育所という考え方、特に認
可保育所というものが公的資金を入れるということと結び付けられて定義されていると
いうことには違和感を持つ訳でございまして、もしこの認可というものが子どもの保育
のためのスタンダードを定めたものであるという考え方に立つとすれば、これは公的資
金が入っていようといまいと一定の基準は必ず満たしていてもらわなければいけない。
あるいは一定の基準を満たさなくてもよろしいのであるとすると、それはスタンダード
自体の設定の仕方がやはりおかしいということになると思います。基本的にはすべての
保育所というのは安全上、あるいは衛生上、あるいは医学上の基準といったものはどこ
でもきちんと満たしたものであるべきであって、それは公的資金が入っているとか、あ
るいは公立であるとか、私立であるとか、そういうこととは関係のないことにすべきだ
と思います。
  すなわち、先ほどのお話にちょっと戻りますが、施設だとかあるいはマンパワーにつ
いての基準というのは公的資金とは関係なく保育サービスを提供するところではすべて
満たしていないければいけないというルールにするのが分かりやすいと思います。
  それからもう一点だけ申し上げたいのは、先ほどからちょっとお話が出ているので気
になる訳でございますが、G委員も先ほど御指摘になっておりましたけれども、公的、
特に公立の保育所の稼働率が8割ぐらいだと。したがって、これをもうちょっと活用し
ようという考え方、それは確かに分かりますけれど、これは別の見方をすると、民間部
門で出来る部分がそれだけ多くなったんだということを示しているともいえます。
  E委員が言われたようにこれからの考え方は、基本的には子どものためにどういう保
育が必要なのかというのが第一であって、その次ぐらいに親の都合というのがあると思
うんですが、公的施設の都合といいますか、あるいは公的施設の存続とか、行政の都合
というのがまず第一にあって、話が逆に進んでいくというようなことがあってはならな
いのでございまして、その点だけは是非注意していただきたい。本当に必要であれば、
残りの2割を埋めるのはいい訳ですけれども、事実上それが必要がないために2割が利
用されていないのであれば、そこのところは縮小するなり他の行政サービスに活用する
のが筋ではないかというふうに思います。以上です。
○部会長  ありがとうございます。それでは保育課長。
NO5に続く
    問い合わせ先 厚生省児童家庭局企画課
     担 当 福田(内3113)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3501-4781


審議会等議事録 ホームページへ戻る 前ページ 次ページ