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          第8回中央児童福祉審議会基本問題部会NO5
○保育課長  L委員のお尋ね、公費投入の理屈、理由ということかという具合に思いま
すが、1点、先生おっしゃられたように所得の移転ということで、これは児童福祉法と
いうことでございますので、法律上制度上は個人間の高所得者から比較的所得の少ない
方々に対する所得の移転を行うという意味が1つあろうかと思っております。
  それから、地域的な意味での所得の移転ということをおっしゃいましたけれども、こ
れは私どもとしては考えておりますのは、今の保育料の徴収のシステムが負担能力に応
じて保育料を徴収するということの結果と申しますか、反射的な結果だという具合に考
えておりまして、確かに各都道府県見ますと所得の高いところ、あるいは低いところ、
個人個人の所得を取ってみるとある訳でございますけれども、それはその結果的にそう
いう具合になるということだろうというぐあいに理解しております。
  それから、あともう一つはやはり先生のお言葉で申し上げれば公益増進ということが
あろうかと思います。産めや増やせよということではございませんですけれども、やは
り今日的な意味で、文脈で申し上げれば、少子化ということを踏まえて、たくましく子
どもを育てていく、その大人がまたいろんな意味で将来社会を担っていくということで
ございまして、これはそういう意味においてはお子さんを産んで育てておられる方々と
そうでない方々、そうでない方々もそういった意味での恩恵というものは受けるという
具合に考えておる訳でございまして、その2点だという具合に考えております。以上で
す。
○L委員  ちょっと誤解のないように申し上げたいんですけれども、私が先ほど申し上
げた公益の増進というのは子どもを産んだ人が偉いからそれは公益だということではな
くて、女性が働いてくれるということが公益にかなうという観点でございますから、そ
の点はちょっと間違いないようにしておいていただきたいと思います。
○保育課長  実際上、実態上、先ほど女性の子育てと就労の両立の支援ということで申
し上げた訳ですが、今委員のおっしゃった点につきましては、私ども児童福祉法という
法体系において何といいますか、女性の就労をしやすくするということで、女性が働け
ば当然その分例えば税金を収めるということになる訳ですけれども、その点については
やはり先ほどの地域間の所得移転の話と同様に結果として出てくるということでござい
まして、法目的として、あるいは保育所制度の目的として女性の就労を拡大していくと
いうことまでは今の法律の目的、保育所の目的からはそういうことは言えないんではな
いかと思います。勿論実態的にはそういうことがある訳ですけれども、制度論として申
し上げればそういうことかと理解をいたしております。
○部会長  ありがとうございました。ただいまのお話でございますが、公費負担のあり
方についてということで、先ほどC委員からの御発言があったかと思うのでありますが
、これがアタッチメントか何かそれは別にしまして、今ある保育所のスタンダードな保
育内容とは別なこと、いろんな要請があって、これに応えるときには経費の点はまた別
に考えてもいいのではないかというふうな御指摘があったと思うんですが、もう少しそ
の辺りを詳しくお聞かせ願えませんか。
○C委員  そうですね。いろいろ言い方が難しいんですが、今のままの仕組みでいいと
はきっと誰も考えていないんだと思うんですけれども、それをどう変えていくかという
ときに、私は以前から申し上げているように、やはりこの児童福祉法をどう改正しても
押えていかなければいけない公的な責任として子どもの健全な育成にちゃんと当たって
いくという、そういう意味での公費をちゃんと入れて、一定の質の保育はみんなに平等
に保証するということは私は絶対外すべきでないと思っているんです。
  ただし、それであと、例えば今、夜まで遅くの保育ですとか、それから乳児保育、今
いわゆる特別保育と言われている部分について、中心の8時間の保育をスタンダートな
保育としてあとは特別保育だから別料金取っていいかというと全然そういう話でもない
と思うので、ではどういう方法が考えられるかというと非常に難しいんですが、これは
今の対象にしている子どもたちについてもですけれども、どこにどう公費を入れて、ど
こを例えばある程度サービスに応じた料金を取るというようなこと考えられるかという
と、これは1つの考え方としては基本的な経費は公費でちゃんと見る。例えば施設の最
低の基準だとか、かなりの部分が人件費ですけれども、そのうちの例えば保母さんの部
分とかいろいろ考え方はあると思うんですけれども、基本部分とそれから付加的と言う
とちょっと語弊があるかもしれませんが、個々に応じたサービスを受ける部分というの
を例えば分けまして、その基本的な部分はきちんと公費でみる。
  あとは例えば長時間を受けるのであればある程度の時間の単位で切っていって、それ
で一定の利用料を取っていく。低い所得の人は、それはある程度外していくというよう
なことが例えば考えられるのではないか。1つには3時間とか4時間というような形で
保育時間を切るとしますと、午前だけ受ける人はこれぐらいとか、午後まで受ける人は
これぐらい、夜までいけばこれぐらいとか、これは単に例ですけれども、そういうよう
な基本的な公費をきちんと土台に入れた上でそれぞれのサービスに応じた料金を払うと
いうことは1つ考えられるのではないか。
  それから、先ほど申し上げたのは対象を広げる部分には、今一時的保育はどうかあれ
ですけれども、地域の子育て支援というのは、それこそおやつ代ぐらいを取って見てい
るようなケースが結構多い訳ですけれども、先ほどL委員はニーズがなければ縮小をと
おっしゃいましたけれども、私はそれは反対で、先ほどから言っているように新たなニ
ーズが増えている訳ですから、それにも私は大いに保育所は貢献すべきだと思いますの
で、対象を広げる部分がこれからもっともっと多くなるとすれば、そこについては例え
ば私は契約を取り入れるという考え方も出来るのではないかというふうに思っているん
ですが。
○部会長  ありがとうございました。それではE委員。
○E委員  その点に関しまして、基本的な理屈のアプローチはL委員のおっしゃるとお
りだと思うんですけれども、公益とは何かというので、これは女性の社会進出で、実質
それは大変意味がありますけれども、これを制度を裏付けるにはちょっと難しい点があ
ります。そして、そういう場合ですと、労働をすることに絶対の価値がある。社会的な
価値がある。そしてすべての人にそうしてもらおうというふうに行きがちなので、なか
なか制度論として難しい点はあります。
  だから、実質的にそういう点を考慮すること自体には賛成なんですけれども、やっぱ
り考えるときには次世代の養成と、次世代を健全に養成すること自体が全体公益である
という考え方を取るべきでなかろうか。現にもう次世代に今の世代はさんざん借金を背
負わせて、1人何百万も負わしている訳でしょう。これからまた公的介護保険取って、
ふんだくって養ってもらおうという訳ですから、それを育てるのが公益でなくて何だと
私は思います。
  そういうふうに考えれば、そして一番いい選択で、親の選択というのは親の勝手では
ない。親が子どもに一番いい選択をするという。そうすると、子どもにとってはそこに
入れらることが一番いい選択、それが社会にとってもいい子どもを育てる方法である。
これは公費である程度負担するのはあたりまえであると、こういうことになるんだろう
と思うんです。
  ただ、その場合にそれでは選択せずに自分で育てる親とのバランスをどう取るのか。
これもやはり親は子どもを育てることによって公益にも寄与しているということになる
。そこでまさにD委員のおっしゃるように、そういう自分のうちで子どもを育てる人た
ちに対しても公的にいろんな援助のシステムを考える。それによってバランスを取ると
いうのが公費負担の理屈が通る姿ではなかろうかというような感じがいたしますが。
○部会長  大変心丈夫なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
○H委員  私はやはり公費をつぎ込むべきだと思っておりますし、それが措置であると
か何とかそういう方法論はまた別でございますけれど、この方たちに年金払っていただ
いたり、保険料を払っていただいたりするのは、もう幼いときに十分に必要な保育を社
会的に受けていること以外に理屈はないと思います。もうそれしかないです。
  それで、保育所というのも、これは私はL委員とC委員とのちょうど間ぐらいの考え
方ですけれども、あくまでも保育所のあり方も、どういうものを残すかというのも子ど
も本来から出発しなければいけないんで、組織の温存とか、職員の雇用問題から出発す
ることは私は絶対反対でごどいます。
  けれど、今、豊かな社会の中でこれだけ子どもの保育環境が貧しくなっている。私や
はり子どもの育つの一種のミニマムなものとして子どもの人間関係と豊かなヴァーチャ
ルリアリティではなくて本当のリアリティの持った体験を自然にも人にも触れていくと
いうことが、これがどんなお金持ちの家であっても、貧しくなっているときに、子ども
の豊かに育つ、健全という言葉が余り好きではないんですけれども、本当の意味で豊か
に育つためには公費をつぎ込んで、そして何と言ってもやはりこうなる普遍性の問題で
ありまして、B委員がおっしゃられた本当の意味で福祉に欠ける子どもに関してどう税
金をつぎ込むかというのは、これはまた豊かな社会の中に出てくる病理現象と言ってし
まうと変ですけれども、私先ほどから考えていたのは、パチンコ屋でやっているうちに
死んでしまった子は、あれは保育に欠ける子だったんだろうかどうなんだろうか、やは
りああいうとき、だけどとんでもないとおっしゃるだろうけれど、現代社会におかれた
その母親の個人的な状況から見るとパチンコが自己実現だったんですよ。という状況に
関して、また、これは余り審議会で論じることではないかもしれないけれども、でもそ
ういう状況もあるということを考えながらいかなければならないと思っております。
  ただ、この豊かな最も普遍的な、結構税金払っている人たちへの必要不可欠なサービ
スとして保育所をポストの数ほどつくったその普遍的な数のある保育所が普遍的に地域
の子どもに貢献しないでどうするんだろうかと、そういう場として利用していかなけれ
ばと私は思っております。
○部会長  ありがとうございました。F委員どうぞ。
○F委員  ちょっと今、H委員がおっしゃったことにちょっと近いんですけれども、公
益とは何かと言ったときに就労しているお母さんたちだけ、つまり女性の就労というこ
との多様な支援が出来ていればいいんです。多様なというのは一定の時間帯の一定の時
間の中だけがいわゆるオプションではないというところで保証するということになると
、それ以外のお母さんたちで最も援助が必要な人が外に出てしまうといったときに、や
はり議論が残ってしまうという問題があるんです。
  それからもう一つは、つまりかなり長時間働かなければならなかったり、それから小
さな赤ちゃんを抱えているという層のことなんです。それが保証されているということ
ならこの理屈付けは出来るんですけれども、定時出勤、定時退社で昼間のある一定の時
間を働いている人にだけ、所得について働いている人に対してだけいわゆる所得移転が
出来るということでは理屈付けはやはり難しいのではないか。そこをどうするかという
問題はやはり残ると思うんです。
  それからもう一点は、子育て支援ということがやはり前面に出るとすると、私ボラン
ティアのことをずっとやっているんですが、都内には 100万近い女性たちのそういうボ
ランティアをやっている方々がおられるんですが、その人たちが小さな子育てのサーク
ルをいろんな形でつくっておられるんですけれども、その人たちは赤ちゃんをおぶって
手を引いて、地域の中にお弁当を運んでくださる。給食をしてくださったり、それから
高齢者の支援に行ってくださったり、いろんなそういう形で社会的な還元をしていらっ
るんです。その方たちはおぶって、手を引いてです。そういう方々は将来年金がありま
せん。年金というのは国民年金だけなんです。働いている方はいわゆる地域を留守にし
ている人たちなんです。地域を留守をしているその人たちは年金で保障がある。私たち
は子どもと一緒に暮そうといって、つまり一人働きなんです。二人働きの場合には所得
は上がる訳ですね。その人たちには所得移転がある。しかし地域の中で社会的な支援を
やっている私たちは年金は国民年金だけで、しかも地域のために、それを全部お金に換
算したら大変なお金になる。つまりシャドーワークであってノーペイドワークである訳
です。そういうふうにその女性たちは言う訳です。
  その人たちは、今度は例えばなぜ私たちにはプールは開放しないの。なぜ私ちたちに
はこの素敵な園庭は使えないの。私の子どもたちは小さなマンションに閉じ込められて
いるのよというふうに私たちを責め立てる訳です。そう言われたときにやはり一時的な
保育をやろうということで一時的な保育のことをやった記憶があるんですけれども、そ
うすると、公益性とは何かといったときに、ペイドワークは公益性があるけれどノーペ
イドワークは公益性がない、あるいはシャドーワークは広域性がない。つまり選択は働
くということによって自己実現する人と、それから就労にはつながらないけれども社会
的に貢献している女性たちには何の還元もないという問題が残ってしまうんです。
  そのことを考えるとやはりE委員のおっしゃる理屈は1つの理屈になる。子育てとい
うことに社会的に普遍的な支援をするとなると、今度は保育に欠けるという理論と矛盾
してくるんです。そこをどういうふうに理論化するかということをしないと、今度は幼
保と一元化の問題とバッテイングしてくるという問題が残ってしまって、この辺の議論
は理屈付けのかなり難しい側面を持っているのではないかなというふうにも思うのです
。
○M委員  やはり今皆さんがお話になっているように、保育の形態には確かにいろいろ
あって、認可されている保育所でも幅があるし、そのほかに無認可のいろいろな保育の
形態があります。今、F委員もおっしゃっていましたけれども、私は今の保育のそれぞ
れの形態に見合う方がそれを使っている。ですから、認可の保育施設などいろいろアン
ケートをとって、あなた方はもっと時間を延長してほしいですかとか、あるいは早くか
ら始めてほしいのですかと聞いても恐らくその幅はごくわずかというデータしか出てこ
ないと思う。というのは、その保育形態に見合う方がその保育園を使っていて、初めか
ら無理な方はそういう保育園に行っていないのが実態だろうと思うんです。それぞれの
方が今自分に一番合うところの保育の施設を使っている。私も仲間の職員が福祉の仕事
をやっていながら預けているのは家庭保育室といいますか、保育ママのところに預けて
いる方がむしろ多かったがそこしか使えないというのが実態だと思います。
  今話題になっているのは保育を必要とする子どもたちに必要な保育なり援助をするん
だということであれば、現実にそういう子どもたちがそこで保育を受けている訳ですか
ら、そういったいわゆる無認可と言われてる施設に対する何らかの公的な資金を援助す
ることは可能ではないかなと思います。いわゆる公的資金を出すときの根拠としては最
低基準を維持するために必要な経費ということになるが、その最低基準がないのが無認
可の施設なので、その辺のところの理論構成は難しいかもしれませんが、現実に子ども
たちがそこで保育を受けている。保育の状態に置かれているということから、そこに対
する支援が考えられるのではないかと思う。
  実態として、市町村やあるいは県という単位では、そういった無認可施設に対する具
体的な単独補助を行っている場面もありますので、更に広い範囲からの援助を考えてい
ただければと思います。
○部会長  ありがとうございました。今お話を伺っておりますと、公費負担のあり方と
いう部分では基本的なものは公費負担でいいのではないか。しかし付加的なサービスに
ついては別個考えてもいいのではないかというようなお話ではなかったかと思います。
  まだまだ御意見はあろうかと思いますけれども、いままでにありました御意見を整理
いたしまして、改めてまたお示しをし、御意見を伺うということにさせていただくとい
うことで本日の審議をここまでで止めさしていただければありがたいと思います。
 これで今日は閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

    問い合わせ先 厚生省児童家庭局企画課
     担 当 福田(内3113)
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                  (直)3501-4781


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