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              第7回中央児童福祉審議会基本問題部会NO2

(引き続きC委員)
  それで、例えばこの放課後児童対策に関して専門家というものを考えると、教員より
もっと多様な資質というんでしょうか。例えば、教員の場合には単位を取ればよかった
。採用試験に合格すればよかった訳ですが、採用の問題1つを取りましても、採用のと
きにある程度の基本的な子どもの健全育成についての勉強をしてきているということを
踏まえることが必要でしょうが、例えばもっと柔軟に採用のときにキャリアですね。そ
の人が子どもとどうかかわって、どんな実績を上げてきたかというようなキャリアの部
分にかなりウェートを増やして、それで採用のときに生かしていくということが可能だ
と思います。教員でも今、ボランティアとか、そのほかのキャリアを生かそうとしてい
ますが、実際にはうたい文句だけでそれは生かされておりませんので、そのウェートを
もっと増やしていく、そういう採用の在り方を考察することが1つだと思います。
  それからもう一つは、やはり採用した後で、例えば今の児童館の職員がそうですが、
専門的な研修機会を持っておりますね。それで、専門家というんでしょうか、知識的に
も構えとしての専門家も、そういう採用後の研修の中でだんだん深められ、高められて
いくのではないかと思います。ですから、そういう研修機会も与えられるようなシステ
ムをつくっていく。
  それから、くどいようですけれども、パートタイムというのは教員の世界にもおりま
すけれども、このごろはいろいろな予算措置の問題で、本当は10人教員が科目に必要な
のに、それを8人に抑えて2人、3人を非常勤で賄うというようなやり方をしておりま
すが、やはり本体をしっかりさせておいて、ある程度柔軟に非常勤の職員も採用してい
かなければならない。それをうまく活用出来るかどうかは、本体になっている専門性を
持っている人たちの力量の問題だろうというふうに思っております。
  ですから、全部がいわゆるフルタイムの専門家と言われる人ではなくて、むしろ上手
にパートタイムの人も、地域資源も、いろいろ子どもたちの健全育成に活用出来る人た
ちをうまく活用していく人、それを中枢的に配置しておく。それがかなりのウェートを
占めるという、そこが大事なのではないかと思っております。
○部会長  ありがとうございました。
  それでは、H委員どうぞ。
○H委員  前回、学童保育は大変に必要なものなので、やはり法制化を考えていく必要
があるのではないかということと、それから高学年も参加出来るようにしたらどうかと
いうことを提言させていただいたんですけれども、今の時代を見ますと、やはり小学校
に1つずつぐらい何かそういう空間、時間を過ごせる場所が欲しいなというふうに思う
んですね。
  それで、地方で二世帯同居でおじいちゃま、おばあちゃまがいらっしゃる御家庭の調
査をしたことがあるんですが、彼らは学校から帰ってくるとずっとファミコンをやって
いて、決して地方だから伸び伸びといい時間を二世帯同居だから過ごせているかという
と、必ずしもそうではないので、1つの小学校に1つずつ何かそういったような場所が
欲しいなというふうに思います。
  それで、うちの子は3人いまして、2人は近くの児童館をよく利用しておりまして、
3人目は学童保育に入れようと思ったんですが、スペースが狭かったことと定員がいっ
ぱいだったので入れられなくて今、割と自由なところに入っているんです。小学校5年
なんですけれども遊びに行かせてもらって、それはそんなに正規の学童保育ほど管理が
厳しくなくて、中におじいちゃま、おばあちゃまなどもいらして、G委員がおっしゃる
ような専門家の概念とはちょっと違うおじいちゃま、おばあちゃまで、きれいな日本語
をお話になられる方でいられるんですけれども、そういうふうにその場所に児童館がそ
ばにあるところはそれを活用すればいいでしょうし、ない場合は小学校の校舎をもっと
もっと積極的に活用すればお金も掛かりません。
  それから、自治体が一律に学童保育は大切だと、児童福祉法でもうたわれるよなどと
いう形でぱっとやるのではなくて、勿論それは必要なんですが、PTAを巻き込んで、
地域を巻き込んで、うちの地域にどんな形が必要なのかという声が吸い上げられるよう
な場所をつくりながらつくっていくというような仕組みが必要ではないかなというふう
に思います。
○部会長  I委員どうぞ。
○I委員  先ほどから専門家論争というのがありましたけれども、ねらいというのはや
はり今までの学童保育がどちらかというとお世話型といいますか、預かり型といいます
か、そこでいいのかという問題提起が多分あるんだと思うんですが、広い意味での学童
保育というものを考えたときに、やはりお世話の部分と、人として成長していくことを
保障していく部分と、この2つが保障されていくことをねらいにするならば、一元的な
方法ではなくて多元的な方法がよいという発想は生きてくると思うんです。
  そうしますと、例えば今、児童館で働く児童厚生員という方々がおられますが、児童
厚生員の養成コースというのはつくられておりますね。そして、それについてはカリキ
ュラムも決まっておりまして、そしてその養成に従って児童厚生員の資格が取れるとい
うような専門学校とか、それから保育系の学校などもございます。それで、その科目を
取った人が児童厚生員というふうにいうだけではなくて、任用とか採用の方法でそれを
している自治体もありますし、いろいろな手法で今この問題は展開していると思うんで
す。
  それで、このままでいくのか。あるいは、これを拡大して、例えば子どもに語り掛け
ることに心を深くきちんと受け止められることとか、それから遊びを豊かにすることと
かというのはだれでも出来るようで、一方で研修をすれば更にそれが広がるという部分
がある訳ですから、どこかで研修の保障とか、それからある程度の単位を取れるという
ような辺りはきちんとしておいて、しかし、だれもが参入出来る参加型のものに変えて
いくという手法は、工夫次第では、G委員がおっしゃることも、C委員がおっしゃるこ
とも、実現の可能性はあると思うんです。
  そういう意味では、身近なところにそれの拠点をつくる。そして、何人以上でなけれ
ばいけないという何人以上ではなくて、小規模型でも構わないから出来るというような
弾力性を持たせた形で、身近なところで利用しやすい、そしていろいろな方が参加出来
るということを保障しながら工夫をしていく手法というのは、私はあるのではないかな
というふうに思うんですけれども、先ほどプライベート・ビジネスセクターでそれを伸
ばしていくというやり方もあるとG委員はおっしゃいましたけれども、一方で非営利の
いろいろな方が参加出来る道もつくっておく。
  そして、しかし、C委員がおっしゃったように、これは全部抱え込むというよりはい
ろいろな方が参加して出来る道をつくるためには、やはりコーディネート機能、児童館
の方々のカリキュラムの中にはマネージメントとか、それからコーディネートのプログ
ラムが入っておりますね。そうしたものも入ってこられるようなものをもう一度見直し
ながら、それを基本の部分と、それからだれもが参画出来る道と、その両方を考えなが
ら、出来るだけ地域で身近なところで、しかもそれを出来るだけ大勢の人が参加出来る
道で考えていくということぐらいにしておいて、こうでなければいけないということは
余り厳しくしてしまうと、またそれが孤立型になって閉じた世界になってしまう。そこ
の危険を出来るだけ排除して、参加出来る道を考えていくということがあり得るのでは
ないでしょうか。
  そのことによって、地域を逆に活性化出来るといいますか、地域の持っている資源を
そこに寄せていく道にもつながっていくことになるのではないか。子育てをみんなで社
会的なものに共有していく道を一方では探りながらやっていける方法を考えていくべき
だと、私はいろいろな子育てのボランティアなどを育てながらそんなことを思っていま
す。
  でも、一方で今、言ったような専門志向といいますか、そこをやれるような研修のプ
ログラムは既に厚生省などがお考えになってある訳ですから、それをどうするかという
ことも一方では御検討いただきながら、その両輪の歯車を大切なセクターとして広げて
いくという方法を選択するのも一つの方法ではないか。
  そうしませんと、やりたくもない人がそこに非常勤で置かれて、そして職員同士が少
ない職員で非常勤で、片方は常勤でというところで、いろいろな児童館の人間関係を見
ていますとかなり確執がない訳ではない。その辺も十分に踏まえた上での御検討があれ
ばと思います。
○部会長  では、J委員どうぞ。
○J委員  部会長の先ほど出された点にうまく触れられるかどうか分かりませんが、私
自身の経験やら、あるいは私の周囲のたくさん就労している女性の育児状況をずっと見
ていまして、学校に入るまでは比較的積極的に保育をしてくださるんですね。いろいろ
しつけとか、それから生活習慣とか、あるいは何かある教育というと大げさですけれど
も、積極的に子どもを保育してくださるという姿勢がうかがわれることが多かったんで
すが、一たん学校に入ってしまうと、たとえ学童保育があっても積極的ではなくて、た
だ預かるというような消極的な面になってしまうように私は思いました。
  私自身の娘に関しても、保育所では非常に積極的な姿勢がうかがわれたにかかわらず
、私が彼女が小学校に入ったときに、周りを見回しても学童保育もないし、児童館もな
いしということで、しようがないから親戚を動員していろいろ頼み込んでなどという苦
肉の策をとったぐらいで、私の周囲の方を見ましても、そういう意味で保育所を卒業し
てしまうと非常に苦労をしてしまう方が多かったように思います。
  それで、以前、女子学生の亡国論などというのがあって、何の目的もなくただふらふ
らと大学へ行くという女子学生が非常に非難の対象になりましたけれども、女子医学生
亡国論などというのを某国立大学の医学部長が出しまして、女子学生というのは試験を
受けさせると上位に入ってしまうから入学させてしまう。国立であるから医学教育にお
金が掛かるにもかかわらず、卒業してからはさっぱり社会に貢献してくれないというこ
とを、余り公の席ではなかったけれども発言されました。それで私が反論しまして、女
性が働けるような環境をつくってくれればもっともっと社会に還元出来るということを
言ったんです。女子の医科大学で実際に卒業してから医師を続けているかどうかという
と、非常に心もとない数字が出てくるんですね。私はそこでいかにして女医さんを社会
的に貢献していただくかということで苦労をしていた時期があるんです。そのときにや
はり問題になったのが、乳児期と、それから学童なんですね。乳児期を通り越すと案外
うまくいく。
  その次に保育所を卒業してしまうとこれからどうしようと。その学童保育というのが
やはり非常に大きなネックになっていたことを思い出します。ですから、是非学童保育
も積極的な姿勢で子どもを預かっていただくというふうな体制にしていただきたいと思
います。
  それから、先ほどG委員が言われましたように、大人から見ますと自立心のある、社
会性のある子どもを育ててほしいんですね。
  というのは、私どもも職業柄いろいろ新しい職種の方が入ってくると、非常に自己主
体性のない、はっきりした自分の考えも言えない、ほかの人の意見に付和雷同するとい
うような方が非常に多いんですね。それは別に学童保育ではなくて普通の家庭で育てら
れた方もそうですが、学童保育がもし積極的な姿勢を打ち出してくださるんでしたら、
是非先ほどG委員が言われた自立心のある社会性のあるお子さんに育てるという、それ
が一番の周囲の大人の願いでもあると思います。
  それで、具体的にどういう指導員がいいかとか、専門家が必要かどうかということに
関して、これは私の意見ですけれども、やはり教育関係者と、それから心理をやってい
らっしゃるような方とか、保育を専門にする方とか、そういう方には必ず入っていただ
きたい。あとは、それこそボランティアでもよい、日本ではボランティアというのは余
りなじまないかと思いましたけれども、今度の震災などではボランティアが大活躍をし
たそうで、外国ではボランティアというのは非常になじんでいるんですけれども、あと
は本当の普通のおばさんでもいいし、それから何の資格もなくて積極的にやってみたい
という方でもいいし、でもやはり中核になる方には専門家を置いていただいて、あとは
本当に子どもが好きでやる気のあるようなチームづくりをしてほしい。
  それから、前にもこれは出ましたけれども、学校の延長ではなくしてほしい訳ですね
。私の娘などもそうでしたけれども、ただいまと帰ってきたときにだれもいない。お帰
りと迎えてくれる人がいない。それを、非常に小学校の低学年のときに私に申しました
。だから、ストレスがあるかどうか分かりませんけれども、今はストレスがあるそうで
すが、学校から帰ったときに温かく迎えてくれる人、それからそこでゆったり出来る。
だから、何も集団の中に入らなくて、自分でファミコンをしたければファミコンをして
も構わない。あとはスポーツをしたい人は何かグループでしてもいい。それから、趣味
みたいなものがあればということで、そういう学校から帰ったときの家庭の延長のよう
な雰囲気であって、しかもその中で自立心のある、社会性のある、そういう子どもに育
てていただけるようなグループと申しますか、それを私は大いに期待したいと思います
。
○部会長  それでは、K委員どうぞ。
○K委員  いろいろ伺っていて、私自身ますますこの問題の難しさを感じて、実は戸惑
いのようなものを感じている訳です。
  どうしてかと申しますと、何点かについて皆様方の御意見も随分多様性があるような
感じがしたんです。いろいろおっしゃっておられるんですけれども、それでは学童保育
に一体何を求めるのか。どうあるべきかということについて、そのこと自体が必ずしも
統一される必要はないのかもしれませんけれども、非常に幅があるように思うんですね
。具体的に何点かについて申し上げますと、フォーマル度といいますか、それはどの辺
のことを想定しておられるのか。また、想定して制度化すべきなのか。全くの純粋なプ
ライベートみたいな、どなたかおっしゃいましたね。例えば、お母さん方、ワーキング
マザーたちが数人集まって、それではみんなでポケットマネーを出し合って、学生のア
ルバイトないしは元教師の経験のあるリタイアした人でも頼んで、どこかで私塾的な雰
囲気でやるみたいなものから、あるいは御意見の中にもいろいろありましたけれども、
片方は完全な公的資格制度みたいなものをあれして、それでそういう資格を取った人が
、すべてではないにしても、少なくとも1人ぐらいは1施設に置かなければ制度として
認めないというような、そういうフォーマルなものを求めるのか。どの辺を考えたらい
いのか。それはいろいろあってもいいのかもしれませんが、それがまず1つ考えられま
す。
  それから、サービスの多様性についても随分いろいろな御意見が出ていましたが、A
委員のメモにもありますけれども、個々の個性に合わせての内容というようなことが書
いてございます。確かに、子どもの個性というのはいろいろでありますし、個々のニー
ズに対応した方がいいというのは確かにそのとおりなのでありますが、しかし、家庭教
育の場合にそれが出来るのは、多分親に対して子どもの数が集合教育などの場合と比べ
たらどんなに子だくさんでもうんと少ない訳ですから、それと親自身の子どもに対する
思い入れみたいなものですね。そういったものもありますから、多分それはかなりの程
度まで出来るんだろうと思いますが、こういう集合形態の教育の場合、それと同じよう
な個々の子どもへの本当にきめ細かな対応というのは果たして求め得るのかどうか。非
常に難しいのではないかなという気がするんですね。
  勿論、学校の先生方も、1学級のサイズが、例えば40人ならば40人ぐらいでしょうか
。出来るだけ一人一人の子どもの個性なり何なりというものをきめ細かく見て教育をし
ていただいているんだろうと思いますが、しかし、家庭において親がやるような程度ま
でそれを求めるというのは、恐らく土台無理な話だろうと思うんですね。ですから、例
えばテキストも同じものを使うとか、40人を相手にして説明をすればどうしたって結局
一律の説明になる訳ですから、そのスペクトラムのうちでどの辺を求めたらいいのかと
いう問題ですね。
  それから、そもそも学童保育に何を求めるか。それ自体がフォーマル・エデュケーシ
ョンとしての主体的な役割を求めるのか。あるいは、学校教育と家庭教育の間のつなぎ
の時間を、一応子どもの面倒を見るという程度の補完的な役割でいいのか。これについ
てもいろいろ御意見を伺っているうちに、私はだんだん分からなくなってきた訳ですね
。
  コスト負担の問題も個人負担をベースとするのか。完全な受益者負担でいくのか。そ
れとも、勿論全部は無理だとしても、公的負担のウェートをかなり高くして制度化して
いくのか。これももっともっと現実的に詰めていく必要があると思いますね。
  最後に設備の問題ですね。ただいまと帰ってくる。私もどこかでたしか見た記憶があ
るんですが、こたつみたいなものがしてある保育園に、学校を終えた後の子どもが帰っ
てくる場所があったように覚えておるんですが、そういう別施設を設けるのか。それと
も、先ほどお話がございましたね。設備の重複を避けるために、学校の設備をそのまま
利用するのか。これも、現実に別の設備を設けて、本当に家庭と同じような雰囲気で戻
ってこられるようなものを全国、今のワーキングマザーたちのニーズに合わせてつくる
としたら、これは恐らく目の玉が飛び出るような大変な額になるだろうと思います。
  私はどちらかというと、放課後どうせ空いているんだから学校の設備をフルに利用し
たらいいのではないかなと思っているんですけれども、ちょっとそれも味けないような
感じもいたしますし、皆さん方のイメージの中に果たして、そういうスペクトラムのう
ちどの辺のことを考えておられるのか。ちょっと幾つかのイシューを申し上げておきた
いと思います。
○部会長  分かりました。
  皆様方から正に多様な御意見をちょうだいしたのでございますが、L委員からお話を
まず聞いて、それから取りまとめをしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いい
たします。
○L委員  難しく考えれば、それは難しいんでしょうけれども、そこは割り切り方かな
と。要は、子どもさんを大事にするということではなかろうかというふうに思っていま
す。
  それで、私の市の例でいいますと、大体小学校の校区ごとに1つクラブがございまし
て、国からは助成金をいただくんですが、そのこととは別に市が基準をつくりまして、
お子さんの数に応じて基準をつくりまして、そして運営費を市から出す。その場合、運
営は校区の社会福祉協議会でやってくださいよと、こういうことにしています。ですか
ら、社会福祉協議会がお世話をしてくださる。責任も随分と被ってくださるということ
であります。それで、おやつ代は御父兄に出していただく。あとは市が県の助成金と合
わせて社会福祉協議会へ委託金として出すと、こういうことをいたしております。
  このやり方でありますけれども、お母さん方の間から是非塾みたいに教科を教えてほ
しいという声がかなりありますが、私はこのことについては、学校の教育をまた放課後
持ち出すということについてはいかがなものかという論者の一人なのでありまして、こ
れはしない方がいいというふうに思っています。
  先ほどもお話がございましたが、安全というのは児童館運営のキーワードではなかろ
うかというふうに思いますので、お子さんが自由に遊んで、しかし、危ないことだけは
してくれるなよという意味で、指導員の役割というのは受け身の積極性といいますか、
そういうものであるのが一番いいのではなかろうかというのが私の個人的な考えなので
あります。
  ですから、指導員というのは多様であっていい。ボランティアも含めていいのではな
いか。しかし、お子さんがかわいくてしようがない。安全については最大限の配慮をし
て、そしてあとは自由に遊んでください。そういう雰囲気をつくることに一生懸命努力
をする。これが一番いい形ではなかろうかなというふうに私は考えております。
  ただ、そういうことをしてくださる人の身分の保障といいますか、やはり長い間お勤
めであれば退職金の仕組みもきちんとしていなければ、安心して精を出すことは出来ま
せんので、そういう身分保障という点はきちんとやる必要があるのではなかろうか。私
はそんなことを思っております。
○部会長  ありがとうございました。
  今、具体的にお取りまとめいただいたような気がいたしますが、学童保育と申しまし
ょうか、放課後児童対策が非常に重要であるという認識はみんな持っておりますし、そ
れからまた一人一人の子どもの尊重、これは個性というようなお言葉でお話なさった方
もありますが、これは当然のことである。それから、学校の延長ではないということも
、これは当然である。
  そういう中で、安全であること、あるいは健康であること、あるいは多少の宿題のお
世話もしてもらいたいというふうなこと、それから情緒の安定、自立心、社会性の育成
と、こういうふうないわば子育ての原点をこの放課後児童対策に求めるということでは
なかったかと思うのであります。
  そうしますと、ではだれがどのような形でどこでやるのかという問題についてでござ
いましたけれども、これはF委員が、日本は大変広い。都会と田舎でも違うだろうし、
それからまた地域間格差というものもあるだろうと、そういう諸条件の中で最もふさわ
しいものは一体何なのかという形を求めるべきではないかというお話もあったように私
は聞きました。そんなことから、放課後児童対策に携る指導員の資質と、それから授業
が行われる場所の問題でございますけれども、この資質という点から申しますと、どう
も皆さんのお話を聞いておりますと、現在児童福祉法に定められておりますところの保
母及び指導員というのがございますね。指導員というのは大体皆さんが今おっしゃった
ような心理学だとか、教育学だとか、あるいは社会福祉についての勉強をして学士と称
することが出来る人、あるいは教員免許状を持っている人などあります。あれがそのま
まいいかどうか分かりませんが、大体それに網羅されておるんじゃなかろうかというふ
うに思います。
  それから、授業が行われる場所でございますけれども、これまたE委員は御自分の比
較的お子さん時代のお話もなさいました。私も実は小学校から帰るときにプロテスタン
トの教会へ寄りまして、別にキリスト教でも何でもないんです。そこに女の牧師さんが
おられまして、その方が遊びの指導をしておられまして、私もその中に入っておりまし
た。いつとはなしに行かなくなってしまったんですが、2年生、3年生ぐらいは専らや
りました。そして、その方のお父さんが小学校の元校長さんだった。その人に習字を習
ったりしたのを覚えていますが、その2人の方から受けた影響というのはやはり今も残
っているように思います。
  だから、その人が保育の専門家であるとか、あるいは教育の専門家であるだけではな
くて、社会人として立派な人でなかったならば困るんじゃないかなというのを私は自分
の経験では思っていますけれども、それはこうして条件を言うときに言うべき言葉じゃ
ないと思うんです。やはり、目に見えるものを言わなければ仕方がないと思うのであり
ますが、そういうふうなことでありまして、ある方はお寺へ、ある方は教会へというの
は、そういうものがある集落に育ったから出来る訳でして、それが全然ない人もある訳
です。そうなると、学校の空いたところを使うとか、あるいは児童館あるいは公民館、
いろいろなものがあると思うんですが、そこは列挙するにとどめるぐらいでよろしいん
じゃないだろうか。余り具体的にこうでなければならないとか、別に建物を建てて設置
基準はどうのこうのと言い出したならば、幾らお金があってもたまらない。すべてをや
めて放課後児童対策だけやらなければいけなくなります。
  あるいはまた児童福祉施設が地域で活躍出来るようなところであれば、そういうとこ
ろでやることも出来るのかもしれない。こんなふうなお話であったように思うのでござ
いますが、いかがでございましょうか。
NO3に続く
  問い合わせ先 厚生省児童家庭局企画課
     担 当 福田(内3113)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
                  (直)3595-2491

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