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第6回中央児童福祉審議会基本問題部会議事録NO2
○事務局 お答え申し上げます。まず最初の、行政で無認可の保育所なりの把握がすべ
て出来ているかどうかということでございますけれども、結論から申しますと、これで
すべてかどうかというのは分からないというのが正直なところだろうと思います。厚生
省といたしましては、都道府県に対しまして指導を行うということと、実態を把握して
もらうということでお願いをしておりますし、少なくとも年1回指導してもらい、その
結果を報告してもらうことにしておりますけれども、それですべてが把握し切れている
かどうかというのはあろうと思います。ただ、56年以降、いろいろ問題が起こりました
ので、地方行政の方でも問題意識を持ち、いろいろなやり方で、例えば電話帳なりを調
べるようなやり方もして把握に努めておるということだろうと思います。
それから、2番目の点でございますけれども、これは先ほど御説明の中で昭和60年か
ら今日に至るまでの数の推移を申し上げましたけれども、施設数、利用者数ともにそれ
ほど減っておるということではございません。56年当時から今日に至るまで、厚生省と
いたしましては、認可外保育所というものは当面存続を認めることとして、実際は、認
可保育所がそのサービスの提供をいろいろな面ですることによって、あるいは認可外保
育所というものが認可保育所になることによって、認可外保育所というのは減っていく
べきものというふうなことを考えていた訳でございますけれども、実態として見たとき
には、数的にはそれほど減少はしておらないということでございます。
○B委員 大変単純なお尋ねですけれども、20ページの認可保育所での保育料の月額で
国基準での平均徴収額というのは、これが所得スライドの部分の最高額というふうに理
解してよろしいですか。これよりも所得が低い方たちは補助によってマイナスになり、
これが平均額であるというふうに理解してよろしいのかどうか。先日の資料で最高額の
方たちが増えているというのがあったと思いますが、これは平均の徴収額ですから、本
来ならばある程度以上の水準の、年収 400万円とか 500万円の方たちの場合は、どの程
度の金額を払っておられるのかどうかということについてちょっと教えてください。
それから、15ページの在宅保育サービス助成事業ですが、ちょっと聞き漏らしたのか
もしれませんが、協会加盟ベビーシッター会社は 104社ということですが、雇用企業で
利用しておられるのは何社ぐらいか教えていただきたいと思います。
○事務局 まず第1点でございますが、20ページの資料の認可保育所の利用料金として
掲げた数字でございますけれども、これは平均値でございます。平均値という意味は、
国で言いますと認可保育所の事業費は1兆円ばかりになっており、そのうち保育料とし
て徴収するところが 5,000億円ぐらいになっておりますけれども、その数を年齢別に分
けまし て、それを児童数で割った数字ということでございます。従いまして、いわゆ
る平均値でありますから、これより所得が高い人の場合には、もう少し高い保育料とい
うことになります。
○B委員 もう少しというのは、具体的にどの程度か教えていただけませんか。
○事務局 いわゆる全額徴収になる場合には、保育単価ということでフルコストを徴収
するということになります。その保育単価ということで申し上げますけれども、0歳児
の場合には月額14万 6,000円、これが保育単価でございます。1〜2歳児の場合には8
万 6,000円でございます。3歳児の場合には4万 1,000円。それから、4歳以上の子ど
もの場合には3万 5,000円ということになります。0歳児の場合には、保育コストは14
万円でございますけれども、保育料という点での最高額は1〜2歳の場合と同じであり
ますから、0歳、1歳、2歳の場合の最高の保育料は8万 6,000円、3歳、4〜5歳の
場合には先ほど申した数字ということになります。ただ、この保育単価も平均というこ
とでございまし て、平均という意味は、保育所の規模とか、あるいは保育所がある地
域によって多少異なるということでございます。
○事務局 在宅保育サービスの会社数でございますけれども、平成7年度の契約の会社
数は 407社です。
○B委員 大変魅力的なメニューだけど、利用企業は少ないということですね。
○部会長 それでは、C委員。
○C委員 ちょっと解釈を伺いたいのですけれども、14ページでございます。3年半ほ
ど前の調査のように承りまして、ここまで細かく見たのは初めてなものですから、ちょ
っと意外でした。認可外保育所の満足点で、恐らく「融通がきく」とか「手間暇かから
ない」とか「家に近い」とか、そういうのが一番上にくると思ったんですが、「世話す
る人の質がよい」が一番上にきていて、かつ「料金が高い」のが不満点の一番上はいい
んですけれども、質の面でのクレームが少ないのは、これはもしかしたら調査するとき
、認可外保育所を通して調査なさったので、こういう結果に、先生の目が通ると、質が
悪いなんて言われるといけないと思ったのか。あるいは、本当に質がよいのだとすると
、認可保育所を管轄していらっしゃる厚生省としては、実はこれは逆に青くならなけれ
ばならない回答ではないかと思うのですけれども、いかがなものでございましょうか。
○事務局 現実のところを申し上げますと、先生がおっしゃったとおり、この調査は認
可外保育所を通して調査をいたしております。それから、ここの項目でございますけれ
ども、これも調査票の中にこういう項目を設定いたしまして、その中に複数回答で結構
ですから○をお付けくださいということで付けたものでございます。
○部会長 私も実はこの説明を聞きましたときに、これだったら認可保育所は顔色なし
だと思ったんです。今までは隙間産業だと思っていたのに、この方がいいのかなと思っ
た訳ですが、よく分かりました。今のようなことでしたら、必ずしも本音かどうかは分
からないと。
○B委員 でも、やはりこういうふうに割り引いて考えなければならないとは思います
けれども、私は、例えば労働条件とか、そういう点で認可保育所に比べると認可外保育
所は恵まれない方が多いと思うんです。にもかかわらず、そういうお仕事をしていらっ
しゃる方たちというのは、子どもが好きで、情熱をもってやっておられる方が多いと思
うんです。
もしお金だけが目的で事業をなさる方たちだったら、もっと割のいいがたくさんある
はずで、あえて認可外保育所で働いておられる方というのは、恐らく個人的に保育や、
そういったようなことがお好きな方、あるいは大事だと考えておられる方が多いという
ふうな好意的な評価も出来るのではないでしょうか。
○部会長 出来ますね。そういたしますと、ただいまのお話で、私が今の段階でお話し
することがいいかどうか分かりませんが、認可保育所の全く補完的、あるいは隙間だと
いう見方もないでもないけれども、もっと別にしっかりした存在感があるのかもしれな
いというようなことが今までのお話であったかと思います。続きまして、どなたか。
○D委員 今日はこの問題でお話があるということのためではありませんが、昨日、あ
る認可外保育所に行っておりました。そこの決算報告書なるものを見る機会がありまし
て、私はときどきそこへおじゃまをしているのですが、ここに出ました調査結果と非常
にピッタリしているので大変面白いと思ったんですが、規模が小さいということもその
通りです。今、立ち上げて3年目ですけれども、15人前後ということで、建物は、前に
パン屋さんだったところを借り上げて、お父さんたち8人で2階建ての家の内部を改造
して、63平方メートルぐらいの建物に15人ぐらいの子どもさんを預かっているという認
可外保育所です。
保母さんは、いわゆる資格を持っている保母さんが3人おります。そのほかに 4.5人
のパートタイム型といいますか、そういうことで15人の子どもさんをみているという保
育所ですが、なぜそこの認可外保育所をつくったかというと、ベビー産業のベビーホテ
ルの中におられたお母さんたちが、余りにも内容のお粗末さと、子どもさんの表情がな
くなって顔が真っ白になって、そういうことを言ってはなりませんけれども、お母さん
を見ても笑わなくなってしまったという事態で、お母さんたちが、その中には公務員の
方、お医者さんの方、それから医療関係の方、そういう定職で、しかも長時間労働の方
がおられて、その方たちがそこを出まして、いわゆる共同保育所という形で立ち上げた
ものです。
行政は、そうした0歳児の保育について、ほとんどその場所にはありません。それと
、時間外の援助がないというところから、そういうお母さんたちが自分たちで共同保育
所をつくろうということで立ち上げたところですけれども、今おっしゃったように、0
、1、2歳でございます。開所時間は朝7時半から始めまして、大体7時半から8時の
間に子どもたちのほとんどが来てしまいます。そして、最後の時間は8時ですけれども
、大体7時半から8時ぐらいのところにお迎えが集中するということですから、今、公
立あるいは認可保育所では対応出来ない性質の働きを持っているお母さんたちのための
施設なんです。ですから、最もニーズの高いお母さんたちは、そういう認可の保育所で
は子どもさんを育てられないというお母さんたちが集まってつくっている保育所ですが
、行政からもどこからも一銭の援助もありません。
一銭の援助もなくてやるとどうなるという結果になるので、私は半分興味もあって、
そこへときどき出掛けて行くということをやっているのですが、最初の年度で 250万円
ほどの赤字が出ました。次の年度でも 100万円ちょっとぐらいの赤字が出ました。そし
て、今度の3月31日の決算では77万 7,271円という赤字が出るんです。これは保母さん
に対して1人ボーナスを払わないで、12万 5,000円といういわゆる固定給の賃金を払っ
ているんです。それでやりまして、大体これぐらいの赤字が出ます。しかも、そこには
資格のある保母さんもいらっしゃいますし、中身はかなりよい保育をしております。質
の高い保育をしていますし、研修もやっています。
ところが、そういう認可外のところに対しては一銭の助成も行われないというのは、
私はいかがなものかというふうに思います。しかも、最も必要な保育を必要とする人た
ちが外側に出てしまう、出ざるを得ないという現実に、私もそういう思いをしましたの
で、やはりニーズに応えられる保育の対応というものをしていくためには、こうしたも
のがあったときに、恐らくこの審議会の中でそこをお取り上げになられた理由というの
は、やはりそこを見ていらっしゃるからではないかと思います。今のような例は、実は
保育室というのは自治体の助成が入っているところがございますね。認可外保育所でも
、今おっしゃったものの中に。今度、認可外のところで、しかも全く助成を受けていな
いところがその自治体では18か所あるということを行政がとらえています。ですから、
この18か所にも広げて、つまり行政がそこについてきていないとするならば、ニーズが
外側に出てしまった場合に、行政がとらえている18か所に支援してくださるかどうかと
いうことが1つの課題になっているのですが、そこの施設の場合を例にとりますと、多
分、助成が出ないのではないかと言われています。
なぜそう言われているかというと、そこはいわゆる2階建ての建物ですが、階段が1
つしかないんです。それで、先ほどおっしゃったように、そこの立入調査をされると、
避難通路とか建物をどうにかしろとか必ずおっしゃられるのですけれども、その費用が
ないんです。今のように累積の赤字を重ねていますし、お母さんたちはギリギリで働い
ておられる。そうすると、こういう施設は未来永劫に助成がないままに、しかも、質の
よい保育をしていても援助がないという実態が当然ついてまいります。これは、みんな
で借金をすればいいと思われるかもしれませんが、7万 8,000円の保育料を払っておら
れて、その中には給食費も全部入っています。人件費、光熱費、家賃、全部入れますと
、これでこれだけの赤字が出るという訳ですから、これ以上の負担というのは、保育料
を上げることも出来ないし、今のような建物の改善や、もっと大きなところを借りられ
たらいい訳ですけれども、恐らくここに 150万円から 200万円程度の助成が入っただけ
で、少なくとももう少し建物にゆとりのあるものを、今、19万 8,000円の家賃を払って
いるのですが、そういうふうなところが、今、18か所と申し上げましたが、この近くを
少し調べただけでもかなりたくさんあるんです。多分、助成が入ると思われのは、この
まちの中に企業型のところがあります。それから、同じ自治体の中にある書店がつくっ
たところがあります。それらは建物が非常にしっかりしています。ですから、恐らくこ
こには助成がいくのではないか。つまり、逆の現象が起こっています。
ここはなぜ人が集まるかというと、最初の保育料が基本が5万円ですが、その後オプ
ションが付きまして、お食事は、いいお食事と、もっといい食事と分かれているんです
。悪い食事というのはないのですが、いい食事というのは 500円で、もっといい食事に
なると 1,000円、これは全部自己負担です。それから、おむつも自己負担です。お布団
も自己負担。それから、お散歩に1回連れて行くと、それも全部オプションになってい
きます。それから、おむつの交換もやはりオプションになりますから、全体では10万円
ぐらいになっていくということになるので、オプション型と基本の保育料と2段構えに
なっているんです。
そうしたことなどを念頭に置いて考えますと、認可外保育所というのは、自治体によ
ってですけれども、そうしたお母さんたちが非常に劣悪な条件の中で、でも必要だとい
うことで、何とか保育を高めようという形でやっている。そういう保育の無認可のとこ
ろがたくさんあります。それらの助成の在り様といいますか、助成の仕方といいますか
、今、私は1つの例を挙げて、どれぐらいの赤字が出て、毎日保育日誌をつけておられ
ますので、それも全部見せてもらいましたけれども、そういう状況で、中にはこれと近
いような保育所が幾つかありますけれども、そういうところに助成がいかないで、お母
さんたちが最も必要な保育を抱えながらやっている実態の中で、どのようにご援助の道
筋をお考えになっておられるのか。また、そういう条件が整わなければ未来永劫に助成
の対象にはならないものであるのか。昨日、お母さんたちが半分涙をこぼしながら、も
う私たちの家計ではこれ以上一銭も出せない。でも、私たちは働かなければならない。
しかし、保育の対応はないという、そのお母さんたちの声を代弁させていただいて、こ
うした認可外保育所にも何かの方法で援助の道があるかどうかを探っていただければと
いうふうに思います。
○E委員 今のようなお話を伺いますと、そういうところへ是非援助を、補助をという
話になると思うんですけれども、今、無認可のいい方のお話ばかり出ていましたけれど
も、中には営利を目的にやっているかなりひどいところもあるということを一方で考え
なければいけないと思うんです。昨年、一昨年あたり、よく取り上げられた「○○○○
○」という認可外保育施設があります。ここでは、あるところでは0歳から学童まで50
人前後の子どもたちを3〜4人の職員でみている。そうすると、赤ちゃんが泣いても、
おむつが汚れていても、換える手がなくて、日光浴などさせられないのは勿論のこと、
泣いていても放っておくので、初めは泣いていた赤ちゃんが泣きもしなくなる。先ほど
の表情がなくなるというのはこういうことだと思うんですけれども。それから、仕出し
弁当を取って何人分かに盛り分けて食べさせているとか、24時間やっているのに午前2
時から午前7時までは深夜の勤務なのに勤務時間とされていないとか、働く人の労働条
件も子どもの保育状態も、こんなのとんでもないというような営業をしている訳です。
ですから、こういうところに対しては、やはり指導基準をもっと厳しくするとか、一方
でちゃんとチェックする体制があっての話だということが1つ。
それから、私、基本的には、前に連合が調査なさったものでも、認可外に子どもを通
わせている人たちのうち、新年度になって、ある年齢になり、認可保育所に入れるよう
になると、かなりの人が認可保育所に入っているんですね。これは、認可保育所が足り
ないから、やむを得ずそこへ行っているという人が結構多いという実態がありますので
、やはりなるべく認可の保育所で法的な最低基準の中でいろいろなニーズを受け入れら
れるようにするのが第1であって、お金の方も、たくさんあればいろいろなところへ助
成するのがいいでしょうけれども、やはり公的保育をどうやって充実するかというふう
にメインは置いておいて、あとは、認可外の最低基準のチェックをきちんとやった上で
のことでないと、なかなか認可外に補助をどんどんという話にはならないのではないか
というふうに思います。
○O委員 私は、今の認可保育所というのは学校のイメージで経営されていると思うん
です。つまり大規模保育です。それで、質が非常に均質ですね。どこに入れても、そん
なに大きな差はないと思います。それは、多子時代の、しかも世の中が貧乏だったとき
の選択の仕方だと思うんです。これからは子どもがどんどん少なくなっていく訳ですし
、もう少なくなっておりますが、経済的にもあるゆとりが出てきます。そうすると、年
齢が低い者、例えば赤ちゃんもそうですし、1歳、2歳がそうですけれども、小さい子
どもの立場に立つと、どういう保育の条件が満たされれば一番いいかというと、まず安
全ということは当然のことですけれども、その次に、子どもにとってどのぐらい安定感
が得られる保育環境かということだと思うんです。安定感が得られるというのは、まず
建物的のサイズ的に小さくて、どういう人が保育をしてくれるか、どういう関係を結び
、どういう扱い方をしてくれるかということだろうと思うんです。
そうしますと、勿論、E委員がおっしゃったように、狭間にあって劣悪な環境の中で
儲けている人もいるだろうとは思いますけれども、これからは高齢者と非常に年少の者
は地域の中で受け入れて、地域の中で育てるなり介護をしていくのが一番理想の在り方
だと思っているんです。先ほど御指摘になった14ページの「世話する人の質がよい」と
いうのは、つまり地域の中では、だれがどういう育児理念を持って、どういう質の保育
をしているかということが、例えば東京の保育ママの制度にしろ、とにかく小規模保育
の場合には地域の目が行き届きますから、もしも劣悪な条件で保育をしていれば、地域
の人たちが分かりますので、それは選択しないと思うんです。そうなると、地域のみん
なが目配りをして、ちょっと理想論かもしれませんけれども、時には地域のボランティ
アが見に行って、何とかちゃんの子どもがあそこに預けられているからちょっと行って
遊んでやろうかとか、そういう感じで地域ぐるみの高齢者と乳幼児の保育ということを
考えていくと、もっと小規模保育、それは認可外か認可されているかということは問わ
ずに、出来るだけ小規模で、しかも、どういう人が経営しているか。保育理念がきちん
と分かるような人によって保育をしていくべきだと思うんです。
そうしますと、むしろこれからはそういった保育の質を、利用者が多少お金を出して
も、私はあの人にみてもらいたいと。だって、自分のかわりに子どもを預ける訳ですか
ら。こういう人に影響されて大きくしていきたいというような、そういう選択が働かせ
られる必要があると思います。それは、今までの学校型の大規模保育ではなかなかカバ
ー出来ない。だから、もっと積極的に、非認可かもしれませんけれども、それを非認可
という形にしないで、認可の非常に小規模な保育所をつくっていくような形。それから
、例えば隣近所のわりと近いところで、だれかが自分の子どもを生んで、どうせだった
ら1人、2人、他人の子どもも育てようかというようなことになれば、自分が子どもを
たくさん生むことも収入につながって両立が出来ていく訳ですから、何も人に子どもを
預けて、電車に乗って1時間も行って遠くの仕事場で働かなくても、子育て好きだとい
う自分の特質を生かして収入を図っていくというのはこれからの保育の在り方じゃない
かと思います。それをどういうふうに制度的に確立していった方がいいのか私はよく分
かりませんけれども、そういう方向性みたいなものを提示してみたいと思います。
○部会長 ありがとうございました。それでは、今までのお話を私なりに取りまとめて
みますと、保育サービスは選択可能な状態にすべきだというのがこの前の回でしたね。
今日は、保育サービスの選択という意味で、認可外保育所にすばらしいのもあるし、そ
うでないのもあるけれども、ともかく、これも選択肢の1つとして考えていいのではな
かろうかということではないだろうかと思います。
○F委員 今、論点が3つあったと思うんですけれども、認可保育所と認可外保育所の
関係をどうするかということと……。
○部会長 ただいま私が申し上げたのは、その点を申し上げているつもりです。
○F委員 それからもう一つは、水準をどうするかということですね。それから、行政
はどうするかということですけれども、これは多分一体のものだと思うんです。
1つ、基準の方から少し申し上げたいと思うのは、今までお話を伺っていて不思議な
のは、基準と基準外があるということです。つまり、もともと基準というのは、安全だ
とか、あるいは衛生だとか、そういうような面でこれだけは譲れないというものがある
から基準なので、例えばホテルとか、多くの人が集まる学校とか、みんなそうですけれ
ども、それは公的資金が入っているとか援助されているとか、そういうことは関係なく
、基本的に基準が満たされていなければいけない訳です。労働基準法などにも、労働時
間の規制などを中小企業はおまけするとかある訳ですが、基準と基準外を設けるという
のは、そういう例がいいかどうか分かりませんけれども、例えば道路を安全に通行する
ためには、速度制限は50kmじゃなければいけないけれども、そうは言っても守れないか
ら60kmまではおまけすると。先ほどの文章の中にも「指導」という言葉がありましたけ
れども、これは、ここに限らず、日本の行政の非常に不透明なところだというふうに言
われている訳ですが、やはりこの基準はきちんと法定で決めて、そして、基準というの
はまさに原則ですから、すべての施設で満たされるようにすべきだというふうに思いま
す。
そう考えると、最初のポイントですけれども、認可保育所と認可外保育所という分け
かた自体余り意味がない。つまり、それが公営や民営で認可保育所になっているところ
であろうと、あるいは民営で認可外になっているところであろうと、すべてが基準を満
たした保育所でなければいけない。そうすると認可対認可外ではなく、公的サービスと
民間サービスの役割分担をどうするかということになる。ここのところは第3の点に絡
んでくると思いますが、公的セクターというのは、過疎地とか、基本的には民間サービ
スが行き届かないところですね。そういうところに安定的に、それから先ほどお話があ
りましたように、かなり均質的な、どんなところに行っても同じようなサービスがきち
んと受けられるというものを提供することが大切で、それ以外のいろいろな特色を出す
とか、いろいろなオプションが整っているというのは民営に任せるべきである。
前回も申しましたけれども、私は、皆で負担している公的サービスは、そんなに多様
なニーズに応じるのはもともと定義的におかしいと思うんです。勿論、もう少し融通を
きかせて時間を延長するとか、そういうことは大切ですけれども、基本的には多様なニ
ーズに対応するためにマーケットがある訳です。公的なサービスというのは基本的に安
定的かつ均質なサービスを提供して、多様なサービスは民営に委ねる。そのとき、公営
であろうと民営であろうと、基本的には満たすべき基準は満たしておいてもらわないと
いけない。民営だから満たさなくていいということはないと思うんです。
では、公的セクターの役割は、あるいは行政の役割はどんなものかというと、1つは
お金の援助ですね。お金の援助というのは、これも前回申したかもしれませんが、基本
的には認可施設だから、施設に対して直接補助を与えるというのではなくて、そのニー
ズがある需要者に対して、バウチャーとかクーポンとか、そういう用途を限定した資金
援助を行う。多分、バウチャーの水準というのは、例えば公的なサービスを受けられる
最低限の価格はそれで保障するといったものになる。
もう一つは、さっき言ったことの繰り返しですが、法律に基づいて、必要な規制は厳
密に行う必要があると思うんです。基準を置いておきながら、基準を満たさなくてもい
いところを残しておくというのでは基準といえない訳ですから、それは基準がおかしい
か、実態がおかしいか、どちらかだと思います。指導というものではなくて、基準はし
っかりと法律に基づいて満たしてもらうか、そうでなければ、そのビジネスから退出し
てもらうというふうにすべきだと思います。それからもう一つの公的部門の役割が、民
間サービスの提供されないところについては、しっかりと公的部門が供給を安定的に、
かつ均質的に保証するということが大切だと思います。
NO3に続く
問い合わせ先 厚生省児童家庭局企画課
担 当 朝浦(内3113)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
(直)3595-2491
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