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第4回人口問題と社会サービスに関する特別委員会NO3
環境庁 環境庁の調査企画室長の石野と申します。よろしくお願いいたします。本日は
人口問題と環境政策として3つの話で資料をまとめてきました。1つは人口問題
と地球環境、2つ目は国内でのさまざまな環境問題、特に都市への集中、高齢化
が進むことによる環境問題、3つ目は、先ほどの人的資源という話と関係するか
もしれませんが、地域の環境を支え改善する民間活動の動向というふうにまとめ
てあります。資料8が文章で簡単にまとめたもの、資料9が主として図表をまと
めたものですが、まず資料8をごらんいただきたいと思います。
1.人口問題と地球環境問題
近年、世界全体の課題となっております地球環境問題の大前提として人口の議
論が高まっています。今日の地球環境問題は、一方では先進国の経済活動が巨大
化し、他方で途上国で人口が増えている、貧困であるために環境問題が起こって
いるという指摘があります。
資料9をごらんいただきますと、1ページに世界人口の推移の予測のグラフと
、世界の経済格差を示す図があります。これはUNDPがつくった資料でして、
国際社会ではこれをシャンペングラスチャートと言っているようですが、世界で
最も裕福な5分の1の人口が世界中の富の85%ぐらいを使って生産をしている。
他方で最も貧しい5分の1が1%に満たない量の資源を享受しているに過ぎない
という世界のアンバランスがさまざまな問題の背景にあるということです。
2ページをごらんいただきますと、地球環境問題として議論になっております
重要なものをチャートに結びつけています。先進国では経済が大きくなってきて
いることからオゾン層の破壊、地球温暖化、酸性雨など昔は公害が主であったも
のが更に大規模になって生じているということがあります。他方、途上国では人
口増加のために食料の生産を増やさなくてはいけないということで開発の圧力が
高まり、それによって熱帯林が減ったり砂漠化が起きたり、都市開発による公害
の問題が起きるということになっています。この図は白書に載せたことがありま
して、環境問題のつながりを示す際によく使うものであります。
その下のグラフは世界人口の増加と二酸化炭素排出量の増大を示すもので、温
暖化の議論をする際の大前提になる図です。これをつくったのはIPCCという
ところで、温暖化問題に関して議論をする国際的な場です。90年の53億人の時に
排出されていたCO2 の量は60億トンですが、2025年の予測としては、今のまま
いけば84億人の人口になって107 億トンのCO2 が出る。2100年には113 億人の
オーダーとなってCO2 の排出量は198 億トンに増えるということです。
OECD諸国の人口の伸びは微々たるもので8億人から9億人というオーダー
ですが、その他途上国は90年の27億人から2100年には79億人のオーダーで、途上
国での人口増加が顕著である。これに伴ってさまざまな資源、エネルギー、食料
に対する圧力が増えて環境問題を惹起するという議論がなされています。
以上のようなことが環境問題の大きな論点になっていますが、これを解決して
いくために、92年にリオデジャネイロで地球サミットが開かれましたし、94年に
はカイロで人口開発会議が開かれまして、世界全体の方向としては人口と開発と
環境をあわせて考えていくことによって持続可能な開発を目指すということが合
意をされてきました。
3ページにいくつかの公式な見解をまとめたエッセンスを載せています。92年
のリオ宣言では、持続可能な開発及び質の高い生活を実施するために、持続可能
でない生産及び消費のパターンを減らし、適切な人口政策を推進すべきだという
ことがいわれております。
人口開発会議の行動計画の中においても、人口、開発、環境の相互関係を考え
ながら、経済・社会開発と環境とあわせて人口問題についても統合するような方
向の政策を進めるべきだということが述べられています。
国連国際人口開発会議において河野外務大臣が行った演説でも同様な線に沿っ
て、人口問題、環境問題、資源の枯渇、先進国の生産・消費パターンなどを考え
合わせて政策を進めていきたいという立場を表明しています。
アジェンダ21を受けて我が国の行動計画が平成5年に策定され、その中で持続
可能な開発を進めるために、人口、環境、開発の3つの要素の相互の因果関係の
解明のための研究を推進する必要性がうたわれています。これを受けて、人口問
題研究所にお願いして総合研究が行われています。
以上が国際的な目で見た場合の人口と環境の論点です。
2.人口の大都市への集中、高齢化に伴う環境問題
一つは、都市に人が集まることによって生じている問題があります。大量生産
、大量消費、大量廃棄型の活動が定着するとともに、人口や社会経済活動の都市
への集中が進み、大気汚染、水質汚濁、廃棄物の増大などが厳しい問題になって
きている。これらの問題は、通常の事業活動や日常生活に伴う環境負荷の増大に
起因しています。
資料9の4ページからいくつかの図表を載せています。4ページは大気の関係
の図で、東京周辺、大阪周辺の自動車から出てくる窒素酸化物による環境基準の
非達成局を表すグラフです。一般環境大気測定局でいえば、2割ぐらいの局が環
境基準を超えています。これ以外に自動車排出ガスだけを測定する局がありまし
て、それによれば6割ぐらいの局が環境基準を超えているという現状にあります
。
下の円グラフは発生源を示しています。自動車が東京、大阪いずれも50%を超
えています。人が集まり物資が行き来することによって環境問題を激化させてい
ることがデータ上もはっきり示されています。
5ページのグラフは、水質に関するものです。河川の水質の状況は、総じてい
えば若干なりとも水質汚染を示すBODが減ってきていますが、人が集まってい
るところでは決してそうではないというのが真ん中のチャートに示されています
。これは海域の環境基準を見ていますが、全体では一番上の黒い線が示すように
8割ぐらいのところにあります。その下の白い四角が瀬戸内海、その下が大阪湾
、東京湾、伊勢湾ですが、いずれも人がたくさん集まっているところでは海域の
環境基準達成率は低くなっています。これは主にその地域にいる人たちの生活に
起因しているということです。
その下の円グラフは発生源別汚濁負荷の割合を示しています。生活系の排水は
東京湾では約7割、伊勢湾では5割以上、瀬戸内海は約5割という数値が示され
ています。
6ページはごみに関するグラフです。上のグラフはごみ排出量と1日1人当た
りの排出量の推移です。60年代以降、バブル経済に伴って増えていたのが、バブ
ル崩壊に伴って若干減少しましたが、近年また少し上がりかけているという傾向
が見られます。
その下は産業廃棄物の排出量の推移です。昭和60年ごろまで3億トン強であっ
たのが今日では年間4億トンの産業廃棄物が生じています。埋立処分量の残余年
数が減ってきていることも示されています。
こうした問題を解決するための取組として、一昨年、環境基本計画ができまし
て、その中で「循環を基調とする経済社会」といってますが、できるだけ資源、
エネルギーを効率的に循環させることによって環境への負荷を減らし、経済社会
を持続可能なものにしていくという方向が示されています。
資料8に戻りまして、もう一つは自然の側面があります。人口の都市への集中
、人口高齢化に伴い、都市部における身近な自然が減少する一方、山地、里地等
における農林水産業など人間の営みにより保持されてきた自然環境の維持が困難
になるなど人間と自然の関わり、共生関係が変化しています。
資料9の7ページをごらんいただきますと、都市部における山林、平地林の減
少の数字を掲げています。60年から90年の間ですが、東京都、神奈川県、栃木県
などで平地林が大きく減っています。もう一つは都市の中の緑地の断片化が進み
、動植物の生息環境としても悪くなり、都市の緑地としての効用も減ってきたと
いうことが示されています。
8ページの上の図は板橋区におけるカブトムシの分布図です。むかし見られた
カブトムシが減っており、これも都市の自然が減ってきたことを示すデータとい
っていいかと思います。
もう一つは農林水産業の営みがだんだん弱体化してきたことによってさまざま
な影響が出ています。山地の森林や水田も自然環境を構成していたわけですが、
そういうところの維持が十分でなくなってきたために自然環境が悪化しているこ
とが示されています。
下のグラフは耕作放棄地を示しています。都市、平地、中間地、山間地、それ
ぞれ放棄された土地が増えてきたというデータが示されています。
こういった環境悪化がある一方、自然への関心の高まったことも数字で裏付け
られています。9ページをごらんいただきますと、自然とのふれあいを求める意
識が高まったというアンケート調査の結果があります。年代別に見ますと、高齢
の方のほうが自然への関心が高いという傾向があります。
東京都区部、指定都市、中都市に住む人たちが自然とふれあう機会を増やした
いという意識が強いことがうかがわれます。
今後の方向として、10ページですが、環境基本計画の中で自然と人間の共生と
いう方向が示されています。基本計画では山地、里地、平地、沿岸海域という4
つの類型を設けて、各地の自然特性に応じた自然と人間の共生をめざしています
。山地は人口密度が非常に低いが自然性が高いところで、そうした優れた自然を
生かした人の暮らし方を目指す。里地は二次林があったり、人の手が加わった自
然がたくさん残されている。そうした自然をうまく生かして自然とのふれあいを
しながら暮らしを立てていく。平地は人口密度が高い都市地域ですから、自然を
復元する、あるいは残された自然を守るなどの政策を進めていくということが基
本計画で示されています。この先の具体策を我々がこれから実行していく必要が
あるということです。
自然とのふれあいの例として、11ページ以下に環境庁がやっております施策を
書いておきました。平成7年に自然環境保全審議会から「ふれあい答申」が出さ
れました。人間性を回復する、自然を大切にする意識を醸成する、この2つのね
らいから自然とふれあう機会を積極的に増やそうということで、テーマとして、
学習する、参加する、歩くという3つの考え方を軸にして、いまある自然公園を
うまく使う、ふれあいの拠点ネットワ−クをつくるなどの政策を打ち出していま
す。
その次に色刷りのページが2枚あります。最初のページは「緑のダイヤモンド
計画」というものですが、国立・国定公園の中で自然が比較的よいところを使っ
て、自然を保全修復する事業、自然を体験するためのフィールドをつくる事業、
利用の拠点をつくる事業をやる。これらを組み合わせながら、観光でではなくて
、優れた自然から学ぶためのフィールドとして積極的に生かしていこうではない
かというのが政策の目的です。
もう一つの色刷りの紙は「環境と文化のむら」という政策です。里地から平地
にかけての地域の機能、生活文化をみんなで守り育てていこうということで、こ
れもモデル的に事業を行っているものです。巨木とかチョウが住んでる森を守る
とか、自然ふれあいセンターをつくって人が集まってきて、さまざまな体験をす
ることを通じて自然とのふれあいを増やしていこうという政策です。
以上が第2の論点です。
3.地域の環境を支え改善する民間活動
環境保全に関する活動を各地で行っている非営利の団体が注目されてきていま
す。国際社会ではNGOと呼んでいますが、国内では4500団体ほどあります。非
常に広い範囲の団体を含んでいまして、小さい村や町の中でやっているものから
始まって国際的なものまでありますが、緑化、リサイクル、啓発、調査等の活動
を行っています。
資料9の17ページのグラフをごらんいただきますと、活動内容と民間団体の活
動の地域が書いてありますが、多くの団体は小さい領域で活動をしていることが
わかります。やっていることは自然保護、清掃、リサイクル、消費・生活、環境
教育等々があります。
18ページをごらんいただきますと、予算が乏しい、スタッフも少ないというこ
とで、日本のNGOは十分な取組をしていくだけの力がないという実態がうかが
われます。世界の中で環境政策を政府だけでなく幅広くいろんな主体がかかわっ
てつくっていこうという場合、こういった問題をどうしていくかということが今
後の課題になろうかと考えております。
19ページに「民間活動に必要な人材」ということで、NGO組織運営実態等ア
ンケート調査の中で聞いたものを挙げておきました。ボランティアスタッフの数
が7割近くが10人未満であり、また、いろんな人が必要であるということです。
地域で活動している団体の場合は実践活動のリーダーを求めていますし、国内全
域あるいは海外まで活動している団体では専門知識を有するスタッフが求められ
ています。
20ページは、一般の人に対して環境保全活動への参加・協力の意向を聞いた総
理府の調査結果です。意識としては積極的に地域の環境をよくしていくことにか
かわりたいという人が多いことがうかがえます。年代が高いほど快適な環境づく
りへの参加意向が高いようです。開発途上国での活動に対しても積極的に参加し
たいという意向がうかがわれます。
今後、さまざまな形で環境政策を行っていく際に、地球規模の問題、都市での
環境の悪化と山間地における自然の維持能力が減ってきたことを考え合わせなが
ら、こういった人的資源をどのように活用していくかということも併せて考えて
いく必要があります。大ざっぱな説明ですが、以上、3つの話を申し上げました
。
委員長 どうもありがとうございました。ただいまのお話に対してご意見、ご質問をお
願いいたします。
河野 資料9の2ページの上のところに「問題群」としての地球環境問題という図が
ありますが、これが地球環境問題を考えるフレームワークだと思うんです。最近
の研究で、有名なポール・アーリックのアイパットというのがありますよね。I
イコールPATで、Tはテクノロジーですが、それはただ環境を悪化させるだけ
のものだと考えられて、善玉としての要素はないような感じなんですが、この場
合もそれに似たようなところがあると思うんです。技術は片方で環境を悪化して
る、片方では環境をよくするようなものがあるんじゃないかと思うんですが、そ
のへんのところをどうお考えなのか。
もう一つは制度ですね。人口が増えるとすぐ砂漠化が起こるとか熱帯林が減少
するわけでもなくて、いろんなケーススタディがあって、ある場合には起こるけ
ど、ある場合には起こらないというのが出ています。それは社会制度というか、
環境保全制度というか環境保全思想というか、そういうものがないところはすぐ
環境破壊が起こるけど、あるところは起こらない。日本はけっこうあるほうです
よね。日本は環境保全制度があるということで褒められるんですけど、制度のよ
うなものがあると思うんです。アカデミックな話で申しわけないけど、制度とか
技術をどう考えておられるのか、これにはないような気がするんですが。
環境庁 おっしゃる通り、図式的にIイコールPATというふうに割り切って考えたわ
けではありません。日本の公害問題の例を国際社会で引いて、日本はすごく汚し
たけど、他方でものすごく頑張って技術開発をして、それによって解決をしてき
たといわれています。それは今日でもかなりの部分でいえることですが、これか
らの問題は、単に技術だけではできない。社会、経済のあり方を根本から変えて
いかないと解決できないということでありまして、その際に新しい面での技術、
要するに汚染をきれいにするというだけではなくて、クリーンな製品をつくって
いく技術とか、自然の力を利用して環境をよくする技術とか、そういった面も両
方合わせてやっていく必要があるというのが環境基本計画以来のさまざまな議論
の中に出てきております。温暖化の問題を考える際にもそういったことを積極的
にやるべきだという議論があります。
制度の面もご指摘の通りでありまして、この図はそういうものを捨象していま
すから、いきなり砂漠化とか熱帯林の減少というのが出てきますが、よく国際的
に知られているのはブラジルの例です。ブラジルの熱帯林を切り開いている人た
ちは土地を持たない人たちで、あの国では耕作のできる土地の60%を土地所有者
の2%が支配していまして、全く土地を持たない農民はああいうふうにして暮ら
していくしかないという社会制度になっている。まさにこれが持続可能な開発で
問われている公平さとか、社会的なバランスをとった開発戦略をどのようにつく
っていくかということにかかわっているわけでありまして、これも極めて重要な
論点だと思っています。
阿藤 2番目の人口の大都市圏への集中、高齢化に伴う環境問題のところで、都市な
ら都市、里なら里、それぞれについて環境問題があるというお話があったんです
が、環境庁としては日本の都市化を緩和することが望ましい、もっと地方分散を
進めたほうがいいとか、そういう人口政策的なお考えがどこかにあるんでしょう
か。
環境庁 環境政策の観点から人口分散まで主張した文書はないだろうと思います。ただ
、ここにいくつか図で示されましたように、人口過密の都市圏、東京、大阪、名
古屋などでは、そのゆえに環境問題が生じているというのは事実でありますし、
図表はありませんが、ヒートアイランドという現象は人間活動そのものを分散さ
せることを考えないかぎり解決のめどがないという議論もありまして、大きい方
向としては、もうちょっとバランスのとれた国土利用の方向を目指すというのは
あると思います。先ほど山地、里地、平地と申しましたが、全体がバランスのと
れた国土の住まい方、自然の利用の仕方がなければならないということで、ご指
摘のような論点も何ほどかは含まれていると思いますが、人口の分散というとこ
ろまで主張したものは今のところありません。
委員長 ほかに何かございますか。それでは最後になりますが、外務省の方にお願いい
たします。
外務省 資料10に沿って簡単に説明させていただきます。その前に、外務省の体制的な
ことをご参考までにご説明させていただきますと、私ども総合外交政策局という
ところで見ると同時に、経済協力の観点から人口問題は非常に重要な問題ですの
で、総合政策局および経済協力局が二人三脚となってこの問題に対応していると
いう体制になっております。その中で私がおりますのは地球規模問題課という名
称でございまして、比較的新しい課ですが、まさしく人口問題は地球的規模の問
題であるという認識のもとに、ほかの環境あるいは麻薬、南極等がありますが、
そういう問題とともに地球規模的な問題として扱っております。
それでは資料に移ります。すでに委員の皆さんご案内のことが多かろうかと思
いますが、外務省なりに2枚紙のレジュメにまとめてみました。
1.我が国の人口問題への関わり
我が国は戦後の人口増加を経済発展の中で比較的短期的に解決した経験を有す
る国として人口問題に従来より深い関心をもっておりました。
その中で我々がいつも引かせていただく例として、1967年、ドレーパー米国人
口危機委員会名誉会長が来日され、当時の岸総理と会われて、「人口問題は人類
の生存に関わる問題」という認識を共有されました。岸総理はJOICFP(家
族計画国際協力財団)の創設者で、かつ初代総裁でありました。そのような認識
も踏まえ、71年より国連人口基金への拠出を開始しています。
人口問題について女性活動家の皆様の活動が大きかったと我々は認識しており
ますが、加藤シズエ女史が1988年に初めて我が国として国連人口賞を受賞されま
した。このような方々の地道な活動が我が国における人口問題の取り組みに多大
な貢献をなされているのではないかと考えております。
2.人口問題の現状
世界人口について簡単な資料を後ろに載せておりますが、大きな流れとしては
途上国においては人口急増による食糧不足、雇用問題、都市への人口集中のため
にスラム拡大、治安悪化などが経済・社会開発の大きな阻害要因になっています
。先進国においては高齢化、途上国からの人口流入ということで、先進国間にい
ろんな問題を投げかけています。
途上国、先進国の枠を超えて地球規模においては砂漠化の進行、特に途上国の
人口急増による農地開拓で緑が減少しています。また、経済・産業活動に伴う二
酸化炭素の排出増加によって地球温暖化という問題等がありまして、人口問題に
対して世界的に取り組まなくてはいけないという認識が高まっています。
3.国際人口・開発会議の成果
1994年にカイロで開催されたこの会議は、国際的な人口問題の中においては非
常に重要であったと認識しています。カイロの会議は5回目でありまして、第1
回が54年にローマで、第2回が65年にベオグラードで開催され、ここまでは専門
家の方々が参加した会議でしたが、第3回が74年にブカレストで開かれた時から
政府の人間も参加するようになり、この時は135 カ国が参加しました。第4回が
84年にメキシコで開かれた時は148 カ国、カイロの時は186 カ国となり、参加人
数も2万人ということで、こういう数字からも人口問題に関する国際社会の関心
の高まりがうかがえると思います。
内容的にいろいろ細かい議論がされましたが、国際会議の観点から私どもは次
の3点が重要だったと認識しています。
(1) 日本代表団にNGOが参加したこと。この種の会議では初めてでしたので
、この後のいろいろな国際会議におけるNGOの参加の形態の参考になるという
意味で画期的であったと認識しています。
(2) マスコミの関心の高さ。会議の開催中、日本国内においても連日のように
報道されておりましたし、主催国であるエジプト、ほかの国々においてもかなり
関心が高かったことは最近行われた大きな会議の中でも例がなかったのではない
かと思っております。
(3) 「行動計画」のコンセンサス採択。国際会議はコンセンサス採択という形
式が多いんですが、参加国の合意を票決という形をとらずにまとめあげるという
方式です。論点がいろいろあったにもかかわらず、それなりにコンセンサスとい
う形で成果を上げたということは積極的に評価していいのではないかとか考えて
います。
問い合わせ先 厚生省大臣官房政策課
担 当 真鍋(内2250)、大内(内2931)
電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
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