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エイズ動向委員会の結果報告について


目  次
委員会の結果報告について

HIV感染者情報

平成9年エイズ発生動向年報−総括−

平成9年エイズ発生動向年報

献血件数及びHIV抗体陽性件数


平成10年1月27日

委員会の結果報告について

1.  平成9年11月1日から12月末日までの間に、医師から各都道府県知事、指定都市市長、中核市市長に報告されたエイズ患者・HIV感染者は患者40名、感染者66名の計106名であった。
患者及び感染者106名の内訳は、

(1) 感染原因では、異性間の性的接触49名、同性間の性的接触26名、母子感染1名、その他1名、不明29名であった。(表−1
(2) 性別では、男性77名、女性29名であった。(表−1
(3) 年齢区分別では、10歳未満1名、20歳代37名、30歳代34名、40歳代21名、50歳以上13名であった。(表−2
(4) 国籍別では、日本人69名、外国人37名であった。
(5) 感染地域別では、国内51名、海外27名、不明28名であった。(表−1

2.  患者及び感染者106名の報告のうち、49名が異性間の性的接触によるものであった。このうち、日本人の報告は男性27名、女性4名の計31名(表−1)であり、感染地域は国内17名、海外11名、不明3名であった。
 また、外国人患者及び感染者37名の性別内訳は男性13名、女性24名であった。(表−1

3.  今回20名の死亡報告があり、「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの中間報告と合わせ累積死亡報告数は1,013名となった。
 平成9年1月から12月末日までの献血件数5,998,504件のうちHIV抗体陽性件数は54件であった。



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HIV感染者情報


 〔平成9年11月1日〜12月末日〕
 
1.性別・感染原因別患者・感染者数  (単位:人)
 男   性女   性合   計
異性間の性的接触32(5)17(13)49(18)
同性間の性的接触26(2)0(0)26(2)
静注薬物濫用0(0)0(0)0(0)
母子感染1(0)0(0)1(0)
そ の 他0(0)1(1)1(1)
不  明18(6)11(10)29(16)
合   計77(13)29(24)106(37)
注:( )内は外国人再掲数



2.性別・年齢別患者・感染者数  (単位:人)
 男   性女   性合   計
10歳未満1(0)0(0)1(0)
10〜190(0)0(0)0(0)
20〜2920(3)17(15)37(18)
30〜3924(8)10(8)34(16)
40〜4919(2)2(1)21(3)
50歳以上13(0)0(0)13(0)
不   明0(0)0(0)0(0)
合   計77(13)29(24)106(37)
注:( )内は外国人再掲数



3.性別・感染地域別患者・感染者数  (単位:人)
 男   性女   性合   計
国   内44(1)7(4)51(5)
海   外15(3)12(11)27(14)
不   明18(9)10(9)28(18)
合   計77(13)29(24)106(37)
注:( )内は外国人再掲数



(参 考)

1−2 患者内訳  (単位:人)
 男   性女   性合   計
異性間の性的接触9(3)5(4)14(7)
同性間の性的接触4(0)0(0)4(0)
静注薬物濫用0(0)0(0)0(0)
母子感染1(0)0(0)1(0)
そ の 他0(0)0(0)0(0)
不  明14(2)7(6)21(8)
合   計28(5)12(10)40(15)
注:( )内は外国人再掲数



2−2 患者内訳  (単位:人)
 男   性女   性合   計
10歳未満1(0)0(0)1(0)
10〜190(0)0(0)0(0)
20〜293(1)4(3)7(4)
30〜398(3)7(6)15(9)
40〜498(1)1(1)9(2)
50歳以上8(0)0(0)8(0)
不   明0(0)0(0)0(0)
合   計28(5)12(10)40(15)
注:( )内は外国人再掲数



3−2患者内訳  (単位:人)
 男   性女   性合   計
国   内13(0)3(1)16(1)
海   外5(1)4(4)9(5)
不   明10(4)5(5)15(9)
合   計28(5)12(10)40(15)
注:( )内は外国人再掲数



     エイズ患者等の届出状況等 〔平成9年12月末現在〕

1.日本のエイズ患者の届出状況  (単位:人)
 男  性女  性合  計
異性間の性的接触375(75)82(42)457(117)
同性間の性的接触 *1264(37)0(0)264(37)
静注薬物濫用11(7)0(0)11(7)
母子感染7(1)3(1)10(2)
そ の 他16(5)8(2)24(7)
不   明236(89)54(39)290(128)
 小   計909(214)147(84)1,056(298)
凝固因子製剤 *2619(...)9(...)628(...)
 患 者 合 計1,528(214)156(84)1,684(298)
( )内は外国人再掲数
注:*1 男性両性愛者(22人)を含む。
*2 平成9年10月末現在における「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの中間報告による数字である。なお、「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」施行後(平成元年2月17日以降)、凝固因子製剤が原因とされている者は、報告の対象から除外されている。




2.HIV感染者の届出状況  (単位:人)
 男  性女  性合  計
異性間の性的接触567(124)654(472)1,221(596)
同性間の性的接触 *1573(78)0(0)573(78)
静注薬物濫用14(10)0(0)14(10)
母子感染8(1)11(6)19(7)
そ の 他26(10)23(5)49(15)
不   明236(125)378(359)614(484)
 小   計1,424(348)1,066(842)2,490(1,190)
凝固因子製剤 *21,475(...)20(...)1,495(...)*3
 感 染 者 合 計2,899(348)1,086(842)3,985(1,190)
( )内は外国人再掲数
注:*1 男性両性愛者(29人)を含む。
*2平成9年10月末現在における「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの中間報告による数字である。なお、「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」施行後(平成元年2月17日以降)、凝固因子製剤が原因とされている者は、報告の対象から除外されている。
*3患者628名を含む。

 
3.累積死亡者数    1,013名       
*1 上記死亡者数には「発症予防・治療に関する研究班」からの累積死亡報告数485名が含まれる。




(参考)
・凝固因子製剤による感染を除く患者・感染者等の状況
・性別・年齢区分別・感染地域別患者・感染者数(法施行後)
 
 
 
男   性女   性合   計
国内海外不明国内海外不明国内海外不明
10歳未満15101676114227130
(患者再掲)(7)(0)(0)(7)(1)(2)(0)(3)(8)(2)(0)(10)
10〜1970181442359121423699
(患者再掲)(0)(0)(0)(0)(1)(0)(1)(2)(1)(0)(1)(2)
20〜293031471075571402683787864434154851,343
(患者再掲)(48)(51)(34)(133)(12)(13)(30)(55)(60)(64)(64)(188)
30〜39301257165723615783201362314248924
(患者再掲)(100)(104)(72)(276)(12)(19)(13)(44)(112)(123)(85)(320)
40〜4928314711754714171243297164129590
(患者再掲)(112)(68)(69)(249)(3)(8)(5)(16)(115)(76)(74)(265)
50歳以上1901018037136154222610285413
(患者再掲)(92)(58)(55)(205)(13)(1)(5)(19)(105)(59)(60)(224)
不  明012304150538
(患者再掲)(0)(0)(0)(0)(0)(0)(0)(0)(0)(0)(0)(0)
合  計1,0996544722,2252723955151,1821,3711,0499873,407
(患者再掲)(359)(281)(230)(870)(42)(43)(54)(139)(401)(324)(284)(1009)




(参考)世界のエイズ患者の状況(1997年11月20日WHO報告)
地  域患者発生状況 患 者 数人   口
アフリカ州
(54カ国)
 
 
617,463人
 
 
 
 タンザニア
ケニア
ジンバブエ
 
88,687人
74,754
61,037
 
23,126千人
21,433
10,412
 
アメリカ州
(45カ国)
 
 
839,189
 
 
 
アメリカ合衆国
 ブラジル
 メキシコ
 
612,078
110,845
30,970
 
248,709
146,825
81,249
 
アジア州
(43カ国)
 
 
74,431
 
 
 
 タイ
 インド
 日本
 
59,782
4,980
1,447
 
54,532
846,302
123,611
 
ヨーロッパ州
(40カ国)
 
 
197,374
 
 
 
 フランス
 スペイン
 イタリア
 
46,032
46,605
40,140
 
56,634
39,433
59,103
 
オセアニア州
(15カ国)
 
8,501
 
 
オーストラリア
 
 
7,386
 
 
16,850
 
 
計(197ヵ国)1,736,958   
( )内は、患者報告のあった国数である。注:※1日本の患者数は1996年12月末現在





   都道府県別患者・感染者累積報告状況
 患者・感染者 ブロック別
都道府県名報告件数構成割合患者・感染者
報告件数(件)
 
構成割合
(%)
 
    (件)(%)
1北海道34(2)1.0 
 
 
北海道・東北
 
 
93
 
 
 
 
 
 
 
2.6
 
2青森県8(0)0.2
3岩手県7(0)0.2
4宮城県16(0)0.5
5秋田県6(0)0.2
6山形県7(0)0.2
7福島県15(0)0.4
8茨城県356(7)10.0 
 
 
 
関東・甲信越
 
 
 
 
2,690
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
75.9
 
9栃木県92(2)2.6
10群馬県69(2)1.9
11埼玉県171(5)4.8
12千葉県293(11)8.3
13東京都1,169(41)33.0
14神奈川県298(13)8.4
15新潟県35(0)1.0
16山梨県51(1)1.4
17長野県156(2)4.4
18富山県7(0)0.2 
北陸
28
 
 
 
0.8
 
19石川県3(0)0.1
20福井県18(0)0.5
21岐阜県27(1)0.8 
東 海
 
294
 
 
 
 
8.3
 
22静岡県91(3)2.6
23愛知県121(4)3.4
24三重県55(2)1.6
25滋賀県9(0)0.3 
 
 
近 畿
 
284
 
 
 
 
 
 
8.0
 
26京都府45(0)1.3
27大阪府158(4)4.5
28兵庫県41(2)1.2
29奈良県19(0)0.5
30和歌山県12(1)0.3
31鳥取県2(0)0.1 
 
 
 
中国・四国
 
 
 
60
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1.7
 
32島根県5(0)0.1
33岡山県6(0)0.2
34広島県17(0)0.5
35山口県8(0)0.2
36徳島県3(0)0.1
37香川県4(0)0.1
38愛媛県8(0)0.2
39高知県7(0)0.2
40福岡県46(2)1.3 
 
 
九州・沖縄
 
 
 
97
 
 
 
 
 
 
 
 
2.7
41佐賀県1(0)0.0
42長崎県11(0)0.3
43熊本県6(0)0.2
44大分県3(0)0.1
45宮崎県1(0)0.0
46鹿児島県11(0)0.3
47沖縄県18(1)0.5
合  計3,546(106)100.03,546100.0
注:凝固因子製剤による患者・感染者は除く        (平成9年12月末現在)
 ( )内は今回報告件数(平成9年11月〜12月分)である


平成10年1月27日

委員長コメント

1)  今回(平成9年11月から12月末日まで)のエイズ動向委員会への報告は、患者40名(前回48名)、感染者66名(前回88名)の合計106名(前回136名)、うち転症例は2名(前回2名)でした。
2)  平成9年の1年間における患者・感染者の報告は、患者250名(過去最高)、感染者397名であり、それぞれ前年を上回る増加傾向を示しています。
3)  欧米諸国の幾つかでは新規感染が減少に転じていると報じられているのに対して、我が国においては異性間性的接触、同性間性的接触による感染の増加傾向が認められ、国籍・性別では日本人男性が、感染地域別では国内が多数を占めており、関東・甲信越ブロックに大多数が集中しております。
 従って、我が国では依然として感染の拡大傾向が続いているという認識、特に日本人男性の国内における性感染症としての増加傾向が高まっているとの認識を持つ必要があります。
4)  また、日本人のHIV感染について年齢別にみると、男性異性間性的接触 による感染は40歳代が、男性同性間性的接触による感染及び女性異性間性的接触による感染は20歳代がピークとなっており、こうした年齢層を中心としたきめ細かい啓発活動に結びつける必要があります。
5)  なお、年報については、近年の治療法の劇的な改善や薬害エイズの和解を踏まえた医療体制の整備等により、エイズを取り巻く環境が大きく変わりつつあることから、年間のエイズ発生動向について詳細な分析を加えるとともに添付資料の充実等を図りました。
 1997年11月20日現在のWHOの報告によると世界のエイズ
患者の届出数は173万人を越え、この1年間で約19万人が新たに報告されております。
6)  1997年11月20日現在のWHOの報告によると世界のエイズ患者の届出数は173万人を越え、この1年間で約19万人が新たに報告されております。




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平成9年エイズ発生動向年報−総括−

厚生省エイズ動向委員会

 エイズ動向委員会は、2ケ月毎に委員会を開催し、都道府県・政令市・中核市からの報告に基づき患者発生動向を把握し、公表してきた。また、1年間の発生動向を取りまとめた総括的報告も毎年1回行ってきた。今回は、従前に比べより詳細な解析をし、我が国における対策の基礎資料とすべく、年報作成作業部会を設けて、報告書を取りまとめた。なお、国際的比較を容易ならしめるため図表の形式なども工夫した。
 平成9年の発生動向については分析結果に詳細に述べられているが、委員会として特に注目した点は以下の通りである。


(1) 欧米諸国の幾つかでは新規感染が減少に転じていると報じられているのに対して、我が国の平成9年の報告数は、HIV感染者397件、エイズ患者250件となっており、いずれも前年を上回った(エイズ患者は過去最高)[図ア]。その結果、累積感染者・患者数は、それぞれ2,490件、1,056件となっている。従って、我が国では依然として感染の拡大傾向が続いているとの認識を持つ必要がある。

図ア


(2) 異性間性的接触・同性間性的接触による感染の増加傾向が認められ[図イ]、平成9年においては国籍・性別では日本人男性(HIV感染者の58.9%, エイズ患者の68.0%)が多数を[図エ]、感染地別では、国内感染が多数(HIV感染者の56.7%, エイズ患者の46.8%)[図オ]を占めている。従って、特に日本人男性の国内における性感染症としての側面の重要性が高まっているとの認識を持つ必要がある。

図イ

図ウ

図エ

図オ


 日本人の場合、HIV感染について年齢別に見ると、男性異性間性的接触による感染は45〜49歳、男性同性間性的接触による感染は25〜29歳及び女性異性間性的接触による感染は20〜24歳がピークとなっており[図カ]、こうした年齢層を中心としたきめ細かい啓発活動に結びつける必要がある。

図カ


 平成9年の患者・感染者の報告は、関東甲信越ブロック(HIV感染者の75.8%, エイズ患者の74.8%)の比重が大きいが[表ア、イ]、前年と比べ全てのブロックで患者感染者の増加が認められ、地域に根ざした予防から医療体制の整備にまで及ぶ総合的対策の強化が望まれる。

表ア HIV感染者のブロック別報告数        (人)
 北海道東北関東・甲信越東海北陸近畿中国・四国九州合計
HIV感染者(H9)243013813786397
HIV感染者(累積)13321,9341941819943572,490
人口10万対(累積)0.230.334.281.330.570.960.360.391.98
          
表イ エイズ患者のブロック別報告数(人)
 北海道東北関東・甲信越東海北陸近畿中国・四国九州合計
エイズ患者(H9)5101871612119250
エイズ患者(累積)2127756100108517401,056
人口10万対(累積)0.370.271.670.690.320.410.140.270.84


 「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」において、「当該感染者が血液凝固因子製剤の投与により感染したと認められる場合には、当該感染者について報告することを要しない」となっているため、かかる感染者の状況は「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」の調査研究の報告によっていたところ、平成10年1月に研究班中間報告を受けたので、参考までに関連諸表に記載した。研究班では、今まで把握しえた症例の重複報告などの整理作業を続けており、確認できた症例のみ報告を頂いたものと理解し、協力に感謝するものである。


問合せ先
厚生省保健医療局エイズ疾病対策課
   池田(内線2358)
   大澤(内線2355)





献血件数及びHIV抗体陽性件数

献 血 件 数
( 検 査 実 施 数 )
陽性者数
( )内女性
 10万人 
 当たり 
 
1987年
(昭和62年)
8,217,340 11
( 1)
0.134
1988年
(昭和63年)
7,974,147
( 1)
0.113
1989年
(平成元年)
7,876,682 13
( 1)
0.165
1990年
(平成2年)
7,743,475 26
( 6)
0.336
1991年
(平成3年)
8,071,937 29
( 4)
0.359
1992年
(平成4年)
7,710,693 34
( 7)
0.441
1993年
(平成5年)
7,205,514 35
( 5)
0.486
1994年
(平成6年)
6,610,484 36
( 5)
0.545
1995年
(平成7年)
6,298,706 46
( 9)
0.730
1996年
(平成8年)
6,039,394 46
( 5)
0.762
1997年
(平成9年1〜12月)
5,998,504
( 速 報 値 )
54
( 5)
0.900
注) ・昭和61年は、年中途から実施したことなどから、3,146,940件、内陽性件数11件(女性0)となっている。
・抗体検査陽性の献血血液は、焼却されており、使用されていない。
照会先:医薬安全局血液対策課
担当者:山 本,本 多
TEL:[現在ご利用いただけません](内線 2905,2904)
    03-3595-2395(直通)



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