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2.給付の見直しの手法

(2) スライド制


裁定後の老齢基礎年金の政策改定及び老齢厚生年金の賃金再評価を廃止し、物価スライドのみとする。


【考え方】

○ 現行では、5年ごとの財政再計算において、基礎年金は高齢者の消費支出等を勘案して政策改定し、厚生年金は年金額計算の基礎となる受給者の過去の賃金を現役世代の手取り賃金の伸びで伸ばすことによって、年金額を改定している。これは、現役世代の生活水準が向上した場合に、年金受給者も現役世代と同程度の向上が図られるよう、年金額の改定を行っているものである。また、財政再計算の間の年は、毎年度、前年の物価の伸びに応じて額を改定している。

○ 本手法は、年金の実質的な価値は、物価が上昇した場合に購買力を維持することにあるとの考えに立って、年金の裁定後は物価スライドのみとするものである。


【影響】 
〔ケース1;賃金上昇率4%、物価上昇率2%の場合〕
厚生年金最終保険料率 (対標準報酬34.3%)
  (対総報酬26.4%)
  (34.3%からの変化) ▲  6 %
  (26.4%からの変化) ▲  4 1/2 %
国民年金最終保険料(24,300円)
  ▲ 5 1/2 千円
〔ケース2;賃金上昇率3%、物価上昇率2%の場合〕
厚生年金最終保険料率 (対標準報酬35.8%)
  (対総報酬27.5%)
  (35.8%からの変化) ▲  3 1/2 %
  (27.5%からの変化) ▲  2 1/2 %
国民年金最終保険料(24,300円)
  ▲  3千円
〔ケース3;賃金上昇率2.5%、物価上昇率2%の場合〕
厚生年金最終保険料率 (対標準報酬36.6%)
  (対総報酬28.2%)
  (36.6%からの変化) ▲  1 1/2 %
  (28.2%からの変化) ▲  1 1/2 %
国民年金最終保険料(24,300円からの変化)
  ▲ 1 1/2 千円

(注)経済的要素の前提を変更した場合、最終保険料(率)の値が異なるが、ここでは、それぞれの場合の最終保険料(率)からの変化をみている。



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