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食中毒健康危機管理実施要領

厚生省生活衛生局

1 目的

 本実施要領は、「厚生省健康危機管理基本指針」を実施するため、食中毒発生時における厚生省生活衛生局の対応等について定めるものである。

2 食中毒発生時における生活衛生局の対応

2.1 食中毒の発生等に関する情報の収集

2.1.1 情報の窓口等

(1)生活衛生局においては、食品保健課(当該食中毒事件の原因が他課の所管に関わるものとされた場合においては、当該所管課。以下、特に断らない限り同じ。)を窓口として、食中毒に関連する情報の広範な収集及び分析に努める。
なお、食中毒に関連する省内他課は次のとおりである。

ア 乳肉その他動物性食品等の場合 ・・・乳肉衛生課
イ 添加物・農薬・容器包装等の場合・・・食品化学課
ウ 飲料水に関係する場合 ・・・水道整備課
エ 感染症である場合 ・・・結核感染症課
オ その他 ・・・その他関連課

(2)当該食中毒事件の所管を食品保健課から他の課へ移す 場合には、情報等を十分に引き継ぐ。

(3)食品保健課は、「食中毒処理要領」(昭和39年7月13日環発第214号環境衛生局長通知、平成9年3月24日一部改正)に定めるところにより、都道府県等の食品衛生主管課を窓口として、当該地域における食中毒の発生情報等の迅速かつ的確な収集に努める。

(4)食品保健課は夜間休日における連絡先を都道府県、政令都市及び特別区(以下「都道府県等」という。)に示し、都道府県等からの緊急の報告を受ける。


2.1.2 国立試験研究機関等を通じた食中毒に関連する情報の収集

 食品保健課は、国立感染症研究所、国立医薬品食品衛生研究所、国立栄養研究所及び国立公衆衛生院と連携して、又は世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)、食品規格委員会(CODEX)、米国食品医薬品庁(FDA)及び米国防疫センター(CDC)等を通じて、食中毒に関連する情報の広範かつ迅速な収集に努める。


2.1.3 入手した食中毒情報の関係部局等への伝達等

(1)食品保健課は、入手した食中毒に関する情報のうち、生命への危険が懸念されるもの、又は生命への危険は小さいが発生規模が大きい若しくは広域にわたると懸念されるものについては、生活衛生局企画課及び生活衛生局長に速やかに伝達する。生命への危険が強く懸念される場合等には、厚生大臣及び健康危機管理調整会議主査等に速やかに伝達する。また、食品保健課は、重篤かつ大規模な食中毒が発生した場合には、必要に応じて内閣総理大臣に伝達する。

(2)食品保健課は、食中毒の発生情報については、生活衛生局長、企画課、乳肉衛生課、食品化学課、水道環境部水道整備課、大臣官房(総務課、国際課及び厚生科学課)、結核感染症課、国立感染症研究所及び国立医薬品食品衛生研究所等に速やかに配布する。

(3)食品保健課は、入手した食中毒に関連する情報のうち、
他部局に関連するものについては、担当課((2)に掲げる部署に限らない。)に速やかに伝達する。

(4)食品保健課は、他省庁の所管する事務に関わる健康危険情報については、必要に応じて当該省庁に速やかに情報を提供するとともに、密接に情報交換を行う。なお、関係省庁を例示すると以下の通り。

ア 学校給食に関連する場合 ・・文部省体育局
イ 食品製造・流通業に関係する場合・・農林水産省
                   担当部局
                    水産庁
                    食糧庁
                    林野庁
ウ その他 関係省庁


2.1.4 入手した情報の評価

 食品保健課は、入手した食中毒に関連する情報の評価に当たっては、危険の程度等について国立試験研究機関等の専門家の意見を聴取するほか、必要に応じて設置された研究班が収集・整理した科学的知見に基づき、食品衛生調査会の意見を踏まえ、可能な限り客観的な評価を行う。


2.1.5 現地への職員の派遣による食中毒情報の収集

 食品保健課は、重大な食中毒が発生した場合であって、現地に職員を派遣して情報を収集する必要があると認められる場合には、生活衛生局長の了解を得て、現地へ職員を派遣し情報収集を行う。なお、必要に応じて現地と調整の上、専門家を派遣し、専門的見地からの情報収集・助言等を行う。


2.2 対策の決定過程

 食品保健課は、食中毒が発生した場合には、被害拡大及び再発防止の観点から対応を検討し、必要な措置及び都道府県等への指示等を行う。

2.2.1 対策の決定及びその伝達等

(1)食品保健課は、生命への危険が懸念される食中毒又は生命への危険は小さいが発生規模が大きい若しくは広域にわたると懸念される食中毒に関して重要な対策を決定する場合には、生活衛生局長の了解を経て行うものとする。また、他部局の所管に関する場合は、当該関係部局と協議を行う。

(2)生命への危険が強く懸念される場合の対策決定等特に重要な決定を行った場合には、厚生大臣及び健康危機管理調整会議主査等に速やかに伝達する。

(3)重篤かつ大規模な食中毒が発生し、政府全体の取組みが必要な場合には、内閣総理大臣まで伝達する。


2.2.2 資料の管理

 食品保健課は、食中毒に係る対策の適時適切な見直しを継続的に行うため、対策決定の諸前提、判断理由等についての資料を適切に管理する。


2.2.3 重大な食中毒に関する対策の公開等

 食品保健課は、食中毒対策の決定過程、その内容、前提条件等食中毒対策に関する情報を公開するため、食品衛生調査会の定めるところにより、会議及び議事録の公開を行う。


2.2.4 文書による指示

 食品保健課は、行政機関、関係営業者等に食中毒対策に関して指示する場合は文書により行う。なお、緊急やむを得ず文書によらない場合にあっては、追って文書により指示の内容を明らかにする。


2.3 食品衛生調査会及び研究班での検討

2.3.1 食品衛生調査会での審議

 食品保健課は、食中毒が疑われる問題等については、必要に応じ、食品衛生調査会を機動的に開催し、必要な対策等について専門的見地からの意見を聴くこととする。
なお、必要に応じ、厚生科学審議会から大局的見地からの審議又は提言を受ける。


2.3.2 研究班の設置

 食品保健課は、食中毒について専門的かつ学問的観点からの知見の集積を行うため、必要に応じ厚生科学研究食品衛生調査研究事業等により機動的・弾力的に研究班を設置する。


2.3.3 研究班の研究成果の行政施策への反映

 食品保健課は、本実施要領2.3.2により研究班を設置する場合には、設置要綱等において、検討事項の範囲、責務等を明確にするとともに、対策決定に関わるような研究班については、研究班における検討状況の適時の食品衛生調査会への報告を行う等、研究班と食品衛生調査会の連携を図る。


2.4 輸入食品

 食品保健課は、国内外で発生した食中毒の原因となる、若しくは原因として疑われる食品が輸入され又は輸入されるおそれがある場合には、以下により検疫所、都道府県等に必要な指示を行い、関係業者等に対して当該食品の回収等必要な対策を講じさせる。


2.4.1 情報の収集及び評価

(1)食品保健課は、食中毒の原因である、若しくは原因として疑われる輸入食品の輸入件数、輸入重量等輸入届出に関する情報を輸入食品監視支援システム等を使用して検疫所から収集するとともに、当該食品の流通状況を都道府県等を通じて収集する。さらに、在外公館及び外務省等を通じて海外における被害の発生状況、当該食品の生産・加工・流通状況等の把握に努める。

(2)食品保健課は、情報収集及び評価に際しては、本実施要領2.1に準じて行う。特に専門的な見地からの検討が必要な事項については、食品衛生調査会の意見を聴くものとし、その具体的な方針は本実施要領2.3に準じる。


2.4.2 対策の決定、指示等

(1)食品保健課は、上記2.4.1の結果に基づき、当該食品の監視強化、輸入禁止、回収、廃棄等の重要な措置(自主的な対応の指導を含む。)の決定を行う場合には、生活衛生局長の了解を経て行う。また、検疫所及び関係都道府県等に必要な指示を行うとともに、関係営業者等への情報提供を図る。
この場合、2.1.3により、関係部局等に情報を伝達する。

(2)食品保健課は、(1)の対策をとった場合には、輸出国政府に対し在外公館又は外務省を通じて通報するほか、必要に応じ世界保健機関(WHO)及び世界貿易機関(WTO)等の国際機関に情報の提供を行う。

(3)その他の対策の方針は本実施要領2.2に準じる。


2.4.3 食品衛生調査会及び研究班での検討

 対策の決定に当たって、専門的な見地からの意見が必要な事項については、食品衛生調査会若しくは必要に応じて設置された研究班の意見を聴くものとし、その具体的な方針は、本実施要領2.3に準じる。


2.4.4 対策の効果に関する監視等

 食品保健課は、検疫所及び関係都道府県等が輸入食品について監視強化、回収等講じた措置の結果を収集するとともに、その効果について確認し、これに係る記録を保存する。

2.4.5 その他

 食品保健課は、輸入禁止措置を講じた食品の輸入の再開に当たっては、必要に応じて輸出国政府等の協力を得て、原因が除去され安全であることを確認する。


2.5 情報提供

2.5.1 都道府県等に対する情報提供

 食品保健課は、食中毒に関連する情報を都道府県等に提供するに当たっては、文書により行うほか、電子媒体の活用等により、迅速な提供を図る。

2.5.2 医療機関への情報提供

 食品保健課は、医療機関に対して情報を提供する場合には、都道府県等を介して行うほか、関係団体の協力を得て行う。さらに、緊急に情報提供が必要な場合には、インターネット上の厚生省ホームページ等の活用により迅速な提供を図る。

2.5.3 国民に対する情報提供

 食品保健課は、食中毒に関連する情報について、インターネット上の厚生省ホームページ、政府広報その他各種広報媒体の活用により、国民や関係者に対して広く提供する。


2.6 その他の対応

 食品保健課は、食中毒の発生に際して、本実施要領において定めのない対応等を行う必要が生じた場合は、関係部局及び健康危機管理調整会議等との調整のもと、迅速かつ的確に対応する。


3 食中毒発生時等の都道府県等の対応

 生活衛生局は、地方公共団体に対して、「食中毒処理要領」(昭和39年7月13日付衛発第214号厚生省環境衛生局長通知、平成9年3月24日一部改正)等に基づき適切な対策を講じるよう指導する。

4 その他

 生活衛生局は、食中毒対策の見直しを行った場合は、必要に応じて本実施要領を見直す。


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