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メラトニン原料と狂牛病について

平成9年3月26日

メラトニン原料と狂牛病について


1 背景

  メラトニン製剤は、我が国では医薬品に区分されているが、現在までのところ、その有効性及び安全性について科学的な資料を整えた上で、薬事法に基づく製造又は輸入の承認の申請を行なった者はいない。このため、我が国ではメラトニンを輸入又は製造することは薬事法により禁じられており、この状況は、欧州諸国においてもほぼ同様である。

  しかしながら、米国においては栄養補助食品として市場に供給されており、一部の製剤には、原料として脳の「松果体」から抽出したメラトニンを用いていると表示されているものがあり、狂牛病の原因とされる異常プリオンに汚染されている可能性も懸念された。このため、我が国の旅行者等が、これらの製品を購入する可能性に鑑み、米国(食品医薬品庁、FDA)を始め、海外の事情について状況を調査することとした。

2 調査結果

(1)  欧州諸国では、我が国と同様、メラトニンは「医薬品」に相当するものとして規制されているが、米国では「栄養補助食品」として扱われている。
(2)  米国においては、医薬品とは異なり、個別の製剤ごとには監督されていないため、狂牛病の原因となる異常プリオンに汚染された原料が用いられる可能性が、完全には否定されるものではない。
(3)  しかしながら、米国においては、狂牛病(BSE)発生国からの牛及びその製品の輸入は禁止されており、さらに食品医薬品庁(FDA)は、栄養補助食品の製造・輸入業者に対して、それらを材料として製品を供給してはならない旨を一般的に注意している。
(4)  メラトニン自体は、「松果体」の他、植物などにも、ごく微量であれば見出されるものであり、また、容易に化学合成で製造できるものでもあることから、市場にあるものの多くは、化学合成によるものと考えられている。


3 結論

 以上の点を踏まえれば、厚生省健康危機管理調整会議としては、現時点において、海外旅行者等に対して積極的に注意喚起を行う必要性はないと判断するが、今後とも狂牛病の原因となる異常プリオン汚染に関する情報の収集に努めるとともに、現時点で得られた情報知見を広く厚生省ホームページ等を通じて公開し、国民に提供していくべきであると考える。


(参考資料)


  問い合わせ先 厚生省大臣官房厚生科学課
     担 当 矢島(内3806)、依田(内3804)
          電 話 (代)[現在ご利用いただけません]

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