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中央社会保険医療協議会
全員懇談会議事概要


  1. 日時

    平成9年1月31日   9:30〜11:30

  2. 議 題

    ・検査等に係る製造業者からの申請の取扱い及び高度先進医療についての専門家会議の結果について
    ・診療報酬及び薬価基準の改定について

  3. 議事の概要

     事務局より、検査等に係る製造業者からの申請の取扱い(臨床検査3項目、医療用具2件について新たに保険適用すること)及び高度先進医療についての専門家会議の結果(島根医科大学附属病院等の医療機関3件、培養細胞による先天性代謝異常診断等医療技術5件について高度先進医療の承認を行うこと)について説明があり、了承された。その際、委員より以下の意見が出された。

    (二号側委員より)
    • 新たに保険適用になった検査、特定保険医療材料の点数や価格について、中医協の場で明らかにしてほしい。コスト意識を高めるためにも良いのではないか。
    (一号側委員より)
    • 次回から是非そのようにしてほしい。
    これらの意見に対し、事務局より、次回より資料に価格を記載する旨の答弁があった。
       
     次に事務局より、診療報酬の改定幅及び改定時期について、前回の当協議会の意見を踏まえて事務局から以下のような報告があった。
    • 診療報酬等については、消費税引上げに伴う改定分として、平成7年度の医療経済実態調査及び消費税関連詳細調査による保険医療機関等における消費税課税コストに基づき、0.77%引上げ(薬価分が0.40%、特定保険医療材料分が0.05%、診療報酬改定分が、0.32%)ることとする。
    • 診療報酬の合理化を図るための改定については、昨年末の中医協の意見の3に基づき0.93%引上げることとする。
    • 薬価及び特定保険医療材料については、医療費ベースで1.32%の引下げを予定。このうち薬価分については1.27%(薬価ベースでは4.4%)。この場合、先発医薬品以外の医薬品に対するR幅は、平成3年の中医協建議において、平成8年の11に次いで10とされていること、一定の準備期間を置かずに、本年4月より急激にR幅を縮小することは流通市場等の影響が少なくないこと等を    勘案して10とした。
    • 先発医薬品に対するR幅については、医薬品の安定的購入というR幅の趣旨を考えると通常より小さい数値を用いることが適当であることから、薬剤費の適正化を図る観点により、当面、平成9年4月の改定における措置として通常の10より小さい8とした。これは、従来R幅の縮小がほぼ2程度で行われてきたこと等を勘案したもの。
    • なお、これが一般の医薬品の次々回のR幅の先行指標を示すものではないということは、昨年末の中医協においても確認されている。
    • また、一般名収載を含む長期収載医薬品の価格設定の見直しについては、引き続き中医協において御議論をいただきたい。
    • 薬価改定の具体的内容については、現行の薬価に対する税込み実勢価格の下落率(乖離率)が約14.3%、薬価調査に基づく引下げが約4.4%、先発医薬品による引下げが約0.3%であり、一方で消費税改定の引上げが約1.4%、さらに不採算品目等についての価格の引上げが約0.3%で、ネットでは約3.0%の引下げ。
    • R8の適用を受ける先発医薬品については、現に同一成分を有する同一薬効群において、後発医薬品が収載されている先発医薬品ということであり、昭和42年10月以降に収載された品目等約900品目を見込んでいる。昭和42年10月以前の医薬品を調整の対象としないことにしたのは、これらの医薬品については、いわゆる薬事法にいう承認審査における新医薬品の定義が不明確だということ、先発医薬品の特定にかなりの時間を要すること等による。
    • 厚生省としては、今後先発医薬品の特定に努力し、もし次々回の薬価改定においても今回のような措置が講じられるということになれば、昭和42年以前のものについても調整の対象としていく予定。
    • 薬価の個別算定方式については、消費税率のアップ分について平成元年同様、一割の在庫調整を行うという形で整理。
    その際、委員より以下のような意見が出された。

    (一号側委員より)
    • 薬価基準改定の引上げ項目の中で、不採算品目に対する対応とあるが、不採算品目とはどれくらいの数となるのか。また、一般論からして市場経済における不採算品目の存在というものは当然のことと思うが、これらについて薬価基準の引上げによって補う必要があるのか。
    • 不採算品目については、従来からの長期収載医薬品問題の議論の過程において、我々委員の側からも、度々指摘をしてきたところである。長期収載医薬品については、今後とも議論を進めていくべきだが、その中で不採算品目についても議論を進めていく必要がある。
    • 不採算品目への対応として、薬価の引上げにより、どの程度まで補うものなのか。その判断基準を聞かせてほしい。
    • 医薬品の製造コストは、非常に安いという話も聞くが、その原価を下回る品目がそれほどあるものなのか。
    • 製造原価を基本にして、薬価引上げの対応をすべき不採算品目を判断しているということだが、不採算なら全て薬価引上げにより、面倒を見ていくということか。そうなると、生産性の向上やコストダウンといったメーカー側の努力がなくなってしまうような気がするが。
    (二号側委員より)
    • 医療に必要な医薬品の安定供給の確保という点から言えば、医療上必要な不採算
      品目についての配慮、対応も必要である。
      これらに対して、事務局より、以下のような回答があった。
    • 今回の薬価改定で、消費税引上げに対する対応が必要な品目と不採算に対する対応が必要な品目は合わせて約3,000品目である。
    • 医薬品の安定供給の視点に立ち、従来からも現行薬価において不採算である品目については、引上げの対応を行っており、一般的には、取引価格の実態を踏まえ    、その医薬品の製造原価等を勘案して判断している。
    • いずれにせよ、改定の内容については、改定素案がまとまり、告示がなされる段階で改めて報告したい。
    • 確かに自由主義経済において採算がとれない製品については、当然に淘汰されて然るべきという意見もあるが、ここでいう医薬品の不採算品目というのは、非常に薬価が下がってはいるが、医療上必要があり、その安定供給の確保が必要である品目のことを指しているのであり、一般的な不採算とは異なる。
     次に事務局より、前回取りまとめた中医協の意見を基本に作成した診療報酬改定の検討項目(案)及び参考資料について説明があった。これに対して出された主な意見は、以下の通り。

    (一号側委員より)
    • ここに出された診療報酬改定の検討項目(案)を見た限りでは、やはり消費税引上げの対応として、消費税が特に関係ある項目に改定の重点が置かれているのだろうが、指導料や検査料について、本当に消費税が関係あるのか。診療報酬の適正化、合理化の中で、急性期医療の評価について言えば、慢性期医療と急性期医療とで、平均在院日数の体系を整えて、明確な評価体系が作れないのか。
    • 医療保険制度改革が進められようとしている現在において、医療提供体制だけが現行のままでいいということはなく、診療報酬の簡素化からも、改定項目は絞るべき。
    • 中医協において、診療報酬や薬価基準が、どのような過程で決定されているのか公表すべき。また、医薬品のみならず、医療材料や技術料のコストについても議論すべき問題があるのではないか。
    (二号側委員より)
    • 今回の診療報酬改定は、消費税引上げに伴う臨時的、特例的な措置であるので、ここに掲げられた消費税関連の検討項目については、概ね了承できるものである。ただ、適正化、合理化に関連するものについては、もう少し項目を絞ることも必要ではないか。
    • 消費税引上げの度に、診療報酬の改定による転嫁を行うとなると、現在のように保険財政が厳しい状況において、困難な場合もあり得る。よって、医療に係わる消費税というものを、今後一体どうするかということを根本的に解決すべきではないか。診療報酬体系の中で消費税をどのように整理するかの議論を進めていくべき。
    • 時間的制限もあり、診療報酬改定の検討項目について、早急に議論を詰めてまとめる必要がある。

  問い合わせ先 厚生省保険局医療課保険医療企画調査室
     担 当 鳥井(内3278)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
         (直)03−3595−2577

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