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平成9年1月30日

医薬品副作用情報No.141号(概要)


  1.  ロキシスロマイシンと血小板減少症
    該当商品名:ルリッド(ルセル森下)
          年間推定出荷額 約70億円(薬価ベース)
     ロキシスロマイシンの副作用としては「血液」の項に「ときに好酸球増多,白血球減少があらわれることがある」と記載して注意を喚起してきた。
     因果関係は必ずしも明らかではないが,ロキシスロマイシンの投与後に血小板減少症が発現したとする症例が報告された。現在までに報告された症例数は少ないものの,そのうち1症例は再投与により血小板減少が再発したと報告されていることから,当症例ではロキシスロマイシンと血小板減少症の発現との関係は否定できない。
     以上のことから,「重大な副作用」の項に血小板減少症を追記し,本剤の適正な使用を促すための情報提供を行うよう関係企業に対して指導を行った。

  2.  アロプリノールとシクロホスファミドの相互作用による血液障害
    該当商品名:ザイロリック(日本ウェルカム)
          年間推定出荷額 約120億円(薬価ベース)
     高尿酸血症に対しアロプリノール投与中の患者に、シクロホスファミドを併用したところ,白血球減少が発現した症例が報告された。また,海外においても,アロプリノールとシクロホスファミドの併用によりシクロホスファミドの半減期の延長等の文献報告がなされている。
     このため,アロプリノールとシクロホスファミドとの併用によりシクロホスファミドの作用が増強され,重篤な血液障害が発現する可能性があるため,相互作用の項に両剤の併用について記載し,注意を喚起する改訂を行った。

  3.  [解説]医薬品の適正使用のために
      血漿分画製剤とパルボウイルスB19感染リスクについて

     パルボウイルスB19は1984年に伝染性紅斑(リンゴ病)の病原ウイルスとして認知,命名されたウイルスで,一般的に飛沫感染により一過性の感染を起こすが予後は良好であることが知られている。今般,各種血漿分画製剤中にパルボウイルスB19のDNAがPCR法(ポリメラーゼ・チェーン・リアクション法)で検出されたとする文献が企業より報告された。パルボウイルスB19は他のウイルスに比べて加熱や膜(フィルター)などによる不活化・除去が容易でないため製剤中への混入の可能性を否定し得ないこと,また本ウイルス感染症が一般的には予後良好であるものの,一部患者において感染した場合には重篤な症状を招くことがあるとされているため,血漿分画製剤の使用上の注意事項を変更し,これら患者への使用に際し注意を喚起することが適当と考え,関係企業に指導した。

  4.  使用上の注意の改訂について(その101)
     次の医薬品についての「使用上の注意」の改訂内容等を掲載している。
     ロキシスロマイシン,アロプリノール,乾燥濃縮人アンチトロンビンⅢ,乾燥濃縮人血液凝固因子抗体迂回活性複合体,乾燥濃縮人血液凝固第Ⅷ因子,乾燥濃縮人血液凝固第Ⅸ因子,乾燥人血液凝固第Ⅸ因子複合体,乾燥濃縮人血液凝固第ⅩⅢ因子,加熱人血漿たん白,乾燥濃縮人C1‐インアクチベーター,トロンビン(ヒト由来),人ハプトグロビン,乾燥人フィブリノゲン,フィブリノゲン加第ⅩⅢ因子,フィブリン,活性化プロトロンビン複合体,人血清アルブミン,人免疫グロブリン,乾燥イオン交換樹脂処理人免疫グロブリン,抗HBs人免疫グロブリン,乾燥抗HBs人免疫グロブリン,乾燥抗D(Rho)人免疫グロブリン,乾燥スルホ化人免疫グロブリン,抗破傷風人免疫グロブリン,乾燥抗破傷風人免疫グロブリン,乾燥プラスミン処理人免疫グロブリン,pH4処理酸性人免疫グロブリン,乾燥pH4処理人免疫グロブリン,乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン,ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン,乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン,乾燥ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン,乾燥ポリエチレングリコール処理抗破傷風人免疫グロブリン,ヒスタミン加人免疫グロブリン(乾燥),トリアゾラム,フェニトイン,フェニトインナトリウム,フェニトイン・フェノバルビタール,フェニトイン・フェノバルビタール・安息香酸ナトリウムカフェイン,塩酸ビペリデン,乳酸ビペリデン,塩酸プロフェナミン,ヒベンズ酸プロフェナミン,塩酸マザチコール,ニプラジロール,塩酸プロメタジン(配合剤を除く),ヒベンズ酸プロメタジン,メチレンジサリチル酸プロメタジン(配合剤を除く),テルフェナジン

医薬品副作用情報
Information on Adverse Reactions to Drugs No.141


  1.  ロキシスロマイシンと血小板減少症

  2.  アロプリノールとシクロホスファミドの相互作用による血液障害

  3.  [解説]医薬品の適正使用のために
     血漿分画製剤とパルボウイルスB19感染リスクについて

  4.  使用上の注意の改訂について(その101)


 この医薬品副作用情報は,厚生省において収集された副作用情報をもとに,医薬品のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。

【情報の概要】

No.1
医薬品 ロキシスロマイシン
対 策 使用上の注意の改訂
症例の紹介
 情報の概要 ロキシスロマイシンの副作用としては「血液」の項に「ときに好酸球増多,白血球減少があらわれることがある」と記載して注意を喚起してきた。
 因果関係は必ずしも明らかではないが,ロキシスロマイシンの投与後に血小板減少症が発現したとする症例が報告された。現在までに報告された症例数は少ないものの,そのうち1症例は再投与により血小板減少が再発したと報告されていることから判断して,当症例ではロキシスロマイシンと血小板減少症の発現との関係は否定できない。
 以上のことから,重大な副作用の項に血小板減少症を追記し,本剤の適正な使用を促すための情報提供を行うよう関係企業に対して指導を行った。

No.2
医薬品 アロプリノール シクロホスファミド
対 策 使用上の注意の改訂
    症例の紹介
 情報の概要 高尿酸血症に対しアロプリノール投与中の患者にシクロホスファミドを併用したところ,白血球減少が発現した症例が報告された。また,海外においても,アロプリノールとシクロホスファミドの併用によりシクロホスファミドの半減期が延長すると報告されている。
 このため,アロプリノールとシクロホスファミドとの併用によりシクロホスファミドの作用を増強し,重篤な血液障害が発現する可能性があるため,相互作用の項に両剤の相互作用を追加し,注意を喚起する改訂を行った。

No.3
[解説]医薬品の適正使用のために
血漿分画製剤とパルボウイルスB19感染リスクについて


 4 ロキシスロマイシン他(11件) 使用上の注意の改訂について(その101)



  1.  ロキシスロマイシンと血小板減少症


    成分名 成分名 該当商品名
    該当商品名 ロキシスロマイシン ルリッド(ルセル森下)
    薬効分類 マクロライド系抗生物質
    効能効果 ロキシスロマイシン感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属(腸球菌を除く),肺炎球菌,マイコプラズマ・ニューモニア,ブランハメラ・カタラーリスによる下記感染症
      ・毛嚢(包)炎,・,・腫症,癰,丹毒,蜂巣炎,リンパ管(節)炎,・疽,化膿性爪囲炎,皮下膿瘍,汗腺炎,集簇性・瘡,感染性粉瘤
      ・咽喉頭炎,急性気管支炎,扁桃炎,細菌性肺炎,マイコプラズマ肺炎
      ・中耳炎,副鼻腔炎
      ・歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎

    (1)症例の紹介
     ロキシスロマイシンは平成3年1月に承認された経口の抗生物質であり,咽喉頭炎,急性気管支炎,副鼻腔炎,毛嚢炎等の呼吸器系及び皮膚科系を中心とした感染症の治療に広く用いられてきた。本剤はマクロライド系抗生物質に分類され,その作用機序は,病原体細胞に対する蛋白合成阻害によるものと考えられている。
     本剤の副作用のうち血液障害に関しては,好酸球増多及び白血球減少が知られており,使用上の注意に記載して医療従事者の注意を喚起してきたところであるが,本剤との因果関係は明確ではないが本剤の投与により血小板減少症が発現したとする症例が4例報告されたことから,平成8年11月に使用上の注意に追記し,医療従事者の注意を喚起することになった。
     報告された症例の性別は男性3例,女性1例であり,年齢は39~85歳であったが,4例中3例が65歳以上の高齢者での報告であった。投与開始から症状発現までの日数は4~33日であったが,1例を除いて10日以上経過してからの発現であった。また,4例中3例については血小板減少の発現が知られている薬剤が併用されており,併用薬の関与も疑われるが,いずれの症例もロキシスロマイシン投与後に血小板減少が発現していること,また,1例は再投与により再発したとの報告であったことから,時間的経過等より本剤との関連は否定できないものと思われる。
     報告された症例の一部を紹介する(表1)。
    (2)安全対策
     これまでにロキシスロマイシンの重大な副作用としては,「ショック,出血性大腸炎,間質性肺炎」を平成7年7月に使用上の注意に追記しており,また,血液系の副作用についてはその他の副作用の項に「ときに好酸球増多,白血球減少があらわれることがある。」と記載して医療従事者の注意を喚起してきた。
     今回,因果関係は必ずしも明らかではないが,ロキシスロマイシンの投与後に血小板減少症が発現したとする症例が報告された。現在までに報告された症例数は少ないものの,そのうち1症例は再投与により血小板減少が再発したと報告されていることから判断して,当症例ではロキシスロマイシンと血小板減少症の発現との関係は否定できない。
     一般的に血小板数が10万/μL以下に減少した状態を血小板減少というが,臨床所見としては,血小板数が3万以下では紫斑や歯肉出血等の皮下,粘膜出血が出現し,1万以下になると頭蓋内出血,消化管出血等の重症出血を合併することがあるとされている。
     なお,出血症状は強度の血小板減少例においてのみ出現するため,軽度及び中等度の減少では認められないことが多く,血小板数の算定により初めて診断可能となるため,早期発見のためには血液検査の実施が重要である。
     このように重症の血小板減少例では,重篤な転帰をとる可能性もあることから,本剤においても他の抗生物質と同様に血小板減少症が発現する可能性が否定できないことに十分留意し,本剤の投与に際しては,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,検査値の異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う必要がある。
     以上のことから,重大な副作用の項に血小板減少症を追記し,本剤の適正な使用を促すための情報提供を行うよう関係企業に対して指導を行った。

    《使用上の注意(改訂部分)》
    〈ロキシスロマイシン〉
    副作用
    (1)重大な副作用
    血小板減少症:血小板減少症があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    表1 症例の概要
    No.1 患者 性・年齢 女・39歳
    使用理由〔合併症〕 扁桃炎〔皮膚筋炎疑い〕
    1日投与量・投与期間 300mg4日間(休薬7日間)3日間
    副作用、経過及び処置 
       扁桃炎に対してロキシスロマイシンの投与を開始した。
    投与3日目,血液検査で血小板数が16.4万から14.4万と減少を認めた。症状改善しないため,セファゾリンナトリウムに変更して3日間投与し,症状が軽減した。
    扁桃炎が再発したため,ロキシスロマイシンの再投与を開始。再投与3日目,血液検査で1.5万と血小板減少を認めた。再検査結果にて1.3万であったため,薬剤の投与を中止した。
    投与中止翌日,鼻出血及び筋電図検査施行部位に紫斑を認めた。鼻タンポンにて止血。血小板数0.4万であったため,ステロイドパルス療法並びに血小板輸血を施行。
     投与中止2日目,血小板数1.4万。鼻出血及び紫斑の新生は認めず。ステロイドパルス療法,血小板輸血。
     投与中止3日目,血小板数1.7万。ステロイドパルス療法,血小板輸血。
     投与中止4日目,血小板数4.4万。以降,血小板輸血を中止し,プレドニゾロン内服開始。
     投与中止7日目,血小板数0.6万。出血症状は認めず。以降,血液内科に転科。
     投与中止36日目,血小板数15.2万と回復。

    備 考 企業報告
    臨床検査値
      投与 投与 投与 再投与 中止 中止 中止 中止 中止 中止
      前日 2日目 3日目 3日目 翌日 2日目 3日目 4日目 7日目 36日目
    血小板数(×10^4) 16.4 16.7 14.4 1.5 0.4 1.4 1.7 4.4 0.6 15.2
    併用薬:セフジニル,セファゾリンナトリウム,ロキソプロフェンナトリウム,         フマル酸クレマスチン,プレドニゾロン,テプレノン
    No.2 患者 性・年齢 男・79歳
    使用理由〔合併症〕 肺炎、慢性閉塞性肺疾患〔陳旧性肺結核,急性右心不全,便秘〕
    1日投与量・投与期間 300mg 65日間
    副作用・経過及び措置 
      慢性閉塞性肺疾患,肺炎,急性右心不全に対して加療を受けていた。
    解熱,炎症所見の低下を認めたため,注射用抗生物質からロキシスロマイシンに変更した。
    投与2日目,血小板数40.6万。
    投与16日目,血小板数29.7万。
    投与33日目,血小板数が10.7万と減少を認めた。
    投与44日目,血小板数9.1万。
    投与62日目,血小板数6.5万。出血傾向は認められなかった
    投与65日目,CRPの正常化を確認し,ロキシスロマイシンを中止した。
    投与中止11日目,炎症所見が再発したため,レボフロキサシンを投与開始した。
    投与中止21日目,血小板数11.5万。
    投与中止46日目,血小板数20.1万と回復を認めた。
    備 考 企業報告
    臨床検査値 
      投与 投与 投与 投与 投与 投与 中止 中止
      6日前 2日目 16日目 33日目 44日目 62日目 21日目 46日目
    血小板数(×10^4) 29.4 40.6 29.7 10.7 9.1 6.5 11.5 20.1
    併用薬:フロセミド,ジゴキシン,酸化マグネシウム,パンテチン,センノシド,ピコスルファートナトリウム,レボフロキサシン

  2.  アロプリノールとシクロホスファミドの相互作用による血液障害


    成分名      成分名         該当商品名
    
    該当商品名  アロプリノール   ザイロリック(日本ウエルカム)他
    薬効分類   高尿酸血症治療剤
    効能効果   痛風,高尿酸血症を伴う高血圧症における高尿酸血症の是正
    
    成分名      成分名         該当商品名
    
    該当商品名  シクロホスファミド  エンドキサン(塩野義製薬)
    薬効分類   抗悪性腫瘍剤
    効能効果   抗腫瘍作用(詳細略)
    

    (1)症例の紹介  アロプリノールは昭和43年12月に承認されたキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有する高尿酸血症治療剤である。痛風,高尿酸血症を伴う高血圧症における高尿酸血症の是正を効能とし,広く使用されている薬剤である。
     高尿酸血症に対しアロプリノール投与中の患者にシクロホスファミドを併用したところ,白血球減少が発現したためアロプリノールの投与を中止し,G‐CSFの投与により回復したとの報告があったため,その症例の概要について紹介する(表1)。なお,当該症例はシクロホスファミドの血中濃度等のモニターはされていない。
    (2)文献の紹介  これまでにアロプリノールとシクロホスファミドの相互作用について述べられた外国文献が4報1-4)報告されている。この相互作用の発現機序については,シクロホスファミドは肝ミクロソーム酵素によって代謝される薬剤であり,一方アロプリノールは肝ミクロソーム酵素を阻害することが報告されている5)ことから,アロプリノールによるシクロホスファミドの代謝阻害,又は腎排泄の競合によると考えられている。報告されている文献の一部について紹介する(表2)。
    (3)安全対策
     アロプリノール,シクロホスファミドの併用により,シクロホスファミドの作用が増強し,重篤な血液障害が発現する可能性があるため,使用上の注意「相互作用」の項に,併用する場合には定期的に血液検査を行い,十分に注意する旨記載し,注意を喚起する。

    《使用上の注意(改訂部分)》
    〈アロプリノール〉
    相互作用
    併用に注意すること
    シクロホスファミド[併用により骨髄抑制があらわれるとの報告があるので,併用する場合には定期的に血液検査を行い,白血球減少等の副作用の発現に注意すること。]
    〈参考文献〉
    1)Yule, S.M., et al.: Br. J. Clin. Pharmacol., 41(1):13‐19(1996)
    2)Witten, J., et al.: Acta. Pharmacol. Toxicol., 46(5):392‐394(1980)
    3)Boston Collaborative Drug Surveillance Program: JAMA., 227(9):1036‐1040(1974)
    4)Bagley, C.M.Jr., et al.: Cancer Res., 33:226‐233(1973)
    5)Vesell, E.G., et al.: N. Engl. J. Med., 283:1484‐1488(1970)

    表1 症例の概要
    No.1 患者 性・年齢 女・24歳
    使用理由〔合併症〕 高尿酸血症SLE〔慢性腎不全,両側大腿骨頭壊死,門脈圧亢進症,食道静脈瘤,肝硬変〕
    1日投与量、投与期間 アロプリノール 200mg 99日間
    シクロホスファミド 50mg 11日間
    副作用、経過及び処置  
      高尿酸血症に対してアロプリノール投与中の患者にシクロホスファミドを11日間併用した。
    シクロホスファミドの投与中止5日目に,白血球減少が認められ,アロプリノールの投与を中止した。
    アロプリノール投与中止3日目よりG‐CSFの投与を開始し,投与中止7日目回復した。
    備 考  企業報告
    臨床検査値
         シクロホスファミド
      投与開始日 発現日 回復日
    白血球数(/) 2400 1000 4500
    併用薬:フロセミド,アゾセミド,シメチジン,塩酸チアラミド,プレドニゾロン,セフメタゾールナトリウム

    表2 文献の概要
    No.1
    対象 小児癌患者38名(2ヵ月~18歳)
    投与量 アロプリノール 300mg/㎡/日
    シクロホスファミド 370~2490mg/㎡
    文献の概要 基礎疾患が非ホジキンリンパ腫,急性リンパ芽球性白血病,神経芽細胞腫,横紋筋肉腫である小児癌患者を対象に試験を行った。シクロホスファミドは一定速度で1時間かけて静脈内投与した。
    3例で骨髄移植前にアロプリノールが併用されていた。これらの患者では,アロプリノールが投与されていない患者に比べ,シクロホスファミドの半減期が2倍以上に延長した(p<0.001)。
    備 考 参考文献1)

    No.2
    対象 癌患者9名、健常人2名(35~74歳)
    投与量 アロプリノール 200mg×3/日シクロホスファミド 25mg+20μCi14Cラベル化合物
    文献の概要 シクロホスファミドを14日間の間隔をおいて2回静脈内投与した。シクロホスファミドを投与していない14日間にアロプリノールを投与した。 シクロホスファミドの半減期は変化しなかった(Wilcoxon 検定:2α=0.33)が,シクロホスファミドの代謝物濃度が著明に上昇した(2α=0.016)。
    備 考 参考文献2)

    No.3
    対 象 癌患者(白血病を除く)160名
    投与量 不明
    文献の概要 細胞毒性のある薬剤(シクロホスファミド,クロラムブシル,フルオロウラシル,メルファラン等)を投与されている癌患者においてアロプリノール投与と骨髄抑制について検討した。
    シクロホスファミドを投与されていた58名のうち,アロプリノール併用群での骨髄抑制発現率は15/26(57.7%),非併用群では6/32(18.8%)であった(p<0.001)。
    シクロホスファミド以外の薬剤を投与されていた患者ではそれぞれ17.9%と9.5%であり,有意な差はなかった。
    備 考 参考文献3)


  3.  血漿分画製剤とパルボウイルスB19感染リスクについて
     パルボウイルスB19は1984年に伝染性紅斑(リンゴ病)の病原ウイルスとして認知,命名されたウイルスで,一般的に飛沫感染により一過性の感染を起こすが予後は良好であることが知られている。今般,各種血漿分画製剤中にパルボウイルスB19のDNAがPCR法(ポリメラーゼ・チェーン・リアクション法)で検出されたとする文献が企業より報告された。パルボウイルスB19は他のウイルスに比べて加熱や膜(フィルター)などによる不活化・除去が容易でないため製剤中への混入の可能性を否定し得ないこと,また本ウイルス感染症が一般的には予後良好であるものの,一部患者において感染した場合には重篤な症状を招くことがあるとされているため,血漿分画製剤の使用上の注意事項を変更し,これら患者への使用に際し注意を喚起することが適当と考え,関係企業に指導した(平成8年11月11日)。

    成分名 該当商品名
    乾燥濃縮人アンチトロンビンⅢ アンスロビンP(ヘキスト)他
    乾燥濃縮人血液凝固因子抗体迂回活性複合体 ファイバ(日本臓器)
    乾燥濃縮人血液凝固第Ⅷ因子 クロスエイトM(日赤)他
    乾燥濃縮人血液凝固第Ⅸ因子 ノバクトM(化血研)他
    乾燥人血液凝固第Ⅸ因子複合体 プロプレックスST(バクスター)他
    乾燥濃縮人血液凝固第ⅩⅢ因子 フィブロガミンP(ヘキスト)
    加熱人血漿たん白 プラスマネート・カッター(バイエル)他
    乾燥濃縮人C1‐インアクチベーター ベリナートP(ヘキスト)
    トロンビン(ヒト由来) トロンビン‐ミドリ(ミドリ十字)他
    人ハプトグロビン ハプトグロビン‐ミドリ(ミドリ十字)
    乾燥人フィブリノゲン フィブリノゲンHT‐ミドリ(ミドリ十字)
    フィブリノゲン加第ⅩⅢ因子 ティシール(日本臓器)他
    フィブリン フィブリン膜(柔軟)(ミドリ十字)
    活性化プロトロンビン複合体 オートプレックス(バクスター)
    人血清アルブミン 赤十字アルブミン(日赤)他
    人免疫グロブリン グロブリン‐ミドリ(ミドリ十字)他
    乾燥イオン交換樹脂処理人免疫グロブリン ガンマガード(バクスター)
    抗HBs人免疫グロブリン ヘパトセーラ(化血研)他
    乾燥抗HBs人免疫グロブリン ヘブスブリン(ミドリ十字)他
    乾燥抗D(Rho)人免疫グロブリン 抗D人免疫グロブリン‐ミドリ(ミドリ十字)他
    乾燥スルホ化人免疫グロブリン ベニロン(化血研)
    抗破傷風人免疫グロブリン テタガムP(ヘキスト)
    乾燥抗破傷風人免疫グロブリン テタノブリン(ミドリ十字)他
    乾燥プラスミン処理人免疫グロブリン メリューVG(メクト)
    pH4処理酸性人免疫グロブリン ポリグロビンN(バイエル)
    乾燥pH4処理人免疫グロブリン サングロポール(富士レビオ)
    乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン ガンマ・ベニンP(ヘキスト)他
    ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン ヴェノグロブリン‐IH(ミドリ十字)
    乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン ヴェノグロブリン‐I(ミドリ十字)他
    乾燥ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン ヘブスブリン‐I(ミドリ十字)
    乾燥ポリエチレングリコール処理抗破傷風人免疫グロブリン テタノブリン‐I(ミドリ十字)
    ヒスタミン加人免疫グロブリン ヒスタグロビン(日本臓器)他

    (1)パルボウイルスB19とその感染症について
     パルボウイルスB19はエンベロープ(脂質膜)を持たない極めて小さいDNAウイルスで,赤血球の前駆細胞や胎児肝細胞など分裂が盛んに行われている細胞で増殖する。
     本ウイルスの感染経路は主として飛沫感染であり,流行期における抗体保有率は各年齢層によって違いはあるが36~89%であるとされる。本ウイルス感染症で最も一般的な症状は小児に好発する伝染性紅斑(リンゴ病)で,成人においては多発性の関節炎が知られている。これらの症状は一般に軽度で,予後も良好であり,また不顕性感染も小児で30%,成人では60%程度もあるとされる。これらのことから,その感染はごく普通にみられ,危険性の比較的少ないウイルスであると考えられている。
     しかしながら,妊婦に感染した場合には流産,胎児水腫や胎児死亡の原因となることがあり,また免疫不全患者や免疫抑制状態にある患者においては持続性感染による持続性の貧血が,溶血性貧血や失血性貧血の患者においてはaplastic crisis(無形成造血障害発作)が起こることがあるとされている。
    (2)血漿分画製剤によるパルボウイルスB19感染の可能性
     このたび報告された英国の文献1)の要旨は以下のとおりであった。
    ・アルブミン12ロット中3ロット,凝固第Ⅷ因子製剤7ロット中7ロット,静注用免疫グロブリン製剤15ロット中3ロット及び筋注用免疫グロブリン製剤4ロット中3ロットに,PCR法でパルボウイルスB19のDNAが検出された。
    ・これら製剤の原料血漿プール75ロット中64ロット(85%)にDNAが検出された。
     上述のように本ウイルスはエンベロープを持たずウイルス粒子径も小さいため,有機溶媒/界面活性剤処理による不活化や,膜(フィルター)による除去が他のウイルスよりも難しく,また熱にも強いために,他のウイルスに比べ加熱処理による不活化も難しいという特性を持っている。PCR法でDNAが検出されたことをもって製剤が感染性を持つとは言い切れないが,このようなウイルス特性を考えれば,DNAの存在が感染性を示していると考える方が安全対策上妥当であると考えられる。
     また臨床的には,製剤投与後にパルボウイルスB19に感染し,発熱,発疹,関節痛,ヘモグロビン低下,好中球減少症,汎血球減少症や敗血症などの症状を呈した例が,凝固第Ⅷ因子製剤2,3),凝固第Ⅸ因子製剤2,3)及びアンチトロンビンⅢ製剤4)について海外の文献で報告されている。
     以上の事実関係や,スクリーニング段階での適切なチェック方法が開発されていないことなどを考慮すれば,血漿分画製剤によってパルボウイルスB19が感染する可能性は否定し得ない状況であり,一部患者においてはその感染が重篤な症状につながることがあるとされているため,血漿分画製剤の「使用上の注意」を変更し,それら患者への使用について注意を喚起することとした。なお,免疫グロブリン製剤については,製剤中の抗体により感染性が失われている可能性も考えられるが,そのことを示す十分な根拠がないため,他の製剤と同様に使用上の注意事項を変更した。
    (3)安全対策
     平成8年11月11日付で使用上の注意の改訂を指示し,注意を喚起することとした。添付文書の追記事項は次に示すとおりである。
     対象製剤すべての「一般的注意」の項に,「血漿分画製剤の現在の製造工程では,ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため,本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので,投与後の経過を十分に観察すること。」を追記し,「慎重投与」の項に,「溶血性・失血性貧血の患者(ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には,発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。)」「免疫不全患者・免疫抑制状態の患者(ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には,持続性の貧血を起こすことがある。)」を追記し,「妊婦への投与」の項を,「妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産,胎児水腫,胎児死亡)が起こる可能性を否定できないので,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。」と改めた。
     なお,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人が「禁忌」となっているヒスタミン加人免疫グロブリンについては「一般的注意」「慎重投与」の項のみを上記のとおり改めることとした。
     今回の使用上の注意事項の変更により,血漿分画製剤がより適切な判断のもとに有効活用されることが期待される。

    〈参考文献〉
    1)Saldanha, J., et al.: Br. J. Haematol., 93:714‐719(1996)
    2)Santagostino, E., et al.: Lancet, 343:798(1994)
    3)Yee, T.T., et al.: Br. J. Haematol., 93:457‐459(1996)
    4)Mosquet, B., et al.: Therapie, 49:471‐472(1994)


  4.  使用上の注意の改訂について(その101)
     本情報No.140掲載分以降に改訂を指導した使用上の注意について,改訂内容,主な該当商品名,参考文献等をお知らせいたします。


    1 〈マクロライド系抗生物質〉
    ロキシスロマイシン
    [販売名] ルリッド(ルセル森下)
    [副作用(重大な副作用)] 血小板減少症:血小板減少症があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    2 〈高尿酸血症治療剤〉
    アロプリノール
    [販売名] ザイロリック(日本ウエルカム)他
    [相互作用(併用に注意すること)] シクロホスファミド[併用により骨髄抑制があらわれるとの報告があるので,併用する場合には定期的に血液検査を行い,白血球減少等の副作用の発現に注意すること。]
    フェニトイン[フェニトインの肝代謝を抑制することによりフェニトインの血中濃度を上昇させるとの報告があるので,併用する場合にはこれらの用量に注意すること。]
    〈参考〉 企業報告
    Yule, S.M., et al.: Br. J. Clin. Pharmacol., 41(1):13(1996)
    Witten, J., et al.: Acta. Pharmacol. Toxicol., 46(5):392(1980)
    Bagley, C.M., et al.: Cancer Res., 33:226(1973)
    Boston Collaborative Drug Surveillance Program: JAMA, 227(9):1036(1974)
    Yokochi, K., et al.: Ther. Drug Monit., 4(4):353(1982)

    3 〈局所用止血剤,血漿分画製剤,生理的組織接着剤〉
    乾燥濃縮人アンチトロンビンⅢ,乾燥濃縮人血液凝固因子抗体迂回活性複合体,乾燥濃縮人血液凝固第Ⅷ因子,乾燥濃縮人血液凝固第Ⅸ因子,乾燥人血液凝固第Ⅸ因子複合体,乾燥濃縮人血液凝固第ⅩⅢ因子,加熱人血漿たん白,乾燥濃縮人C1‐インアクチベーター,トロンビン(ヒト由来),人ハプトグロビン,乾燥人フィブリノゲン,フィブリノゲン加第ⅩⅢ因子,フィブリン,活性化プロトロンビン複合体,人血清アルブミン,人免疫グロブリン,乾燥イオン交換樹脂処理人免疫グロブリン,抗HBs人免疫グロブリン,乾燥抗HBs人免疫グロブリン,乾燥抗D(Rho)人免疫グロブリン,乾燥スルホ化人免疫グロブリン,抗破傷風人免疫グロブリン,乾燥抗破傷風人免疫グロブリン,乾燥プラスミン処理人免疫グロブリン,pH4処理酸性人免疫グロブリン,乾燥pH4処理人免疫グロブリン,乾燥ペプシン処理人免疫グロブリン,ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン,乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン,乾燥ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン,乾燥ポリエチレングリコール処理抗破傷風人免疫グロブリン
    [販売名] アンスロビンP(ヘキスト)他,ファイバ(日本臓器),クロスエイトM(日赤)他,ノバクトM(化血研)他,プロプレックスST(バクスター)他,フィブロガミンP(ヘキスト),プラスマネート・カッター(バイエル)他,ベリナートP(ヘキスト),トロンビン‐ミドリ(ミドリ十字)他,ハプトグロビン‐ミドリ(ミドリ十字),フィブリノゲンHT‐ミドリ(ミドリ十字),ティシール(日本臓器)他,フィブリン膜(柔軟)(ミドリ十字),オートプレックス(バクスター),赤十字アルブミン(日赤)他,グロブリン‐ミドリ(ミドリ十字)他,ガンマガード(バクスター),ヘパトセーラ(化血研)他,ヘブスブリン(ミドリ十字)他,抗D人免疫グロブリン‐ミドリ(ミドリ十字)他,ベニロン(化血研),テタガムP(ヘキスト),テタノブリン(ミドリ十字)他,メリューVG(メクト),ポリグロビンN(バイエル),サングロポール(富士レビオ),ガンマ・ベニンP(ヘキスト)他,ヴェノグロブリン‐IH(ミドリ十字),ヴェノグロブリン‐I(ミドリ十字)他,ヘブスブリン‐I(ミドリ十字),テタノブリン‐I(ミドリ十字)
    [一般的注意] 血漿分画製剤の現在の製造工程では,ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため,本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので,投与後の経過を十分に観察すること。
    [慎重投与] 溶血性・失血性貧血の患者(ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には,発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。)
    免疫不全患者・免疫抑制状態の患者(ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には,持続性の貧血を起こすことがある。) [妊婦への投与] 妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。 本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産,胎児水腫,胎児死亡)が起こる可能性を否定できないので,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

    4 〈血漿分画製剤〉
    ヒスタミン加人免疫グロブリン(乾燥)
    [販売名] ヒスタグロビン(日本臓器)他
    [一般的注意] 血漿分画製剤の現在の製造工程では,ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため,本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので,投与後の経過を十分に観察すること。
    [慎重投与] 溶血性・失血性貧血の患者(ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には,発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。)
    免疫不全患者・免疫抑制状態の患者(ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には,持続性の貧血を起こすことがある。)

    5 〈ベンゾジアゼピン系睡眠導入剤〉
    トリアゾラム
    [販売名] ハルシオン(住友)他
    [相互作用(併用に注意すること)] エリスロマイシン,クラリスロマイシン,リン酸オレアンドマイシン,ジョサマイシン,シメチジン,ジルチアゼム[本剤の肝臓での代謝が阻害され,血中濃度を高めることが報告されている。]
    〈参考〉 Anu, V., et al.: Clin. Pharmacol., 59:369(1996)

    6 〈抗てんかん剤〉
    フェニトイン,フェニトインナトリウム,フェニトイン・フェノバルビタール,フェニトイン・フェノバルビタール・安息香酸ナトリウムカフェイン
    [販売名] アレビアチン(大日本)他,アレビアチン(大日本),複合アレビアチン(大日本),ヒダントール(藤永)
    [副作用(重大な副作用)] 再生不良性貧血,無顆粒球症,単球性白血病,血小板減少,溶血性貧血,赤芽球癆:無顆粒球症,血小板減少,また,まれに再生不良性貧血,単球性白血病,溶血性貧血,赤芽球癆があらわれることがあるので,このような場合には,減量または投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
    〈参考〉 企業報告
    森田悟他:Int. J. Haematol., 56(Suppl.1):29(1992)

    7 〈抗パーキンソン剤〉
    塩酸ビペリデン,乳酸ビペリデン
    [販売名] アネキトン(大日本)他,タスモリン(吉富)他
    [慎重投与] 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者[Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい。]
    [副作用(重大な副作用)] Syndrome malin(悪性症候群):抗精神病薬,抗うつ剤及びドパミン作動系抗パーキンソン剤との併用において,本剤及び併用薬の減量または中止により,発熱,無動緘黙,意識障害,強度の筋強剛,不随意運動,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には,体冷却,水分補給等の全身管理及び本剤の投与量を一旦もとに戻した後慎重に漸減するなどの適切な処置を行うこと。本症発症時には,白血球の増加や血清CPKの上昇があらわれることが多く,また,ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下があらわれることがある。
    〈参考〉 鈴木道雄他:精神科治療学,7(6):669(1992)
    西嶋康一他:精神医学,36(7):721(1994)
    今泉寿明:精神医学,38(3):334(1996)

    8 〈抗パーキンソン剤〉
    塩酸プロフェナミン,ヒベンズ酸プロフェナミン,塩酸マザチコール
    [販売名] パーキン糖衣錠(吉富),パーキン散(吉富),ペントナ(田辺)
    [慎重投与] 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者[Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい。]
    [副作用(重大な副作用)] Syndrome malin(悪性症候群):他の抗パーキンソン剤(ビペリデン等)で,抗精神病薬,抗うつ剤及びドパミン作動系抗パーキンソン剤との併用において,他の抗パーキンソン剤(ビペリデン等)及び併用薬の減量又は中止により,発熱,無動緘黙,意識障害,強度の筋強剛,不随意運動,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には,体冷却,水分補給などの全身管理等の適切な処置を行うこと。本症発症時には,白血球の増加や血清CPKの上昇があらわれることが多く,また,ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下があらわれることがある。

    9 〈β遮断剤〉
    ニプラジロール
    [販売名] ハイパジール(興和)
    [副作用(重大な副作用)] 完全房室ブロック,洞停止,高度徐脈:まれに完全房室ブロック,洞停止,高度徐脈があらわれることがあるので,異常が認められた場合には減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
    〈参考〉 企業報告

    10 〈抗ヒスタミン剤〉
    塩酸プロメタジン(配合剤を除く),ヒベンズ酸プロメタジン,メチレンジサリチル酸プロメタジン(配合剤を除く)
     [販売名] 塩酸プロメタジン(陽進堂),ヒベルナ(吉富),ピレチア(塩野義)
     [慎重投与] 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者[Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい。]
     [副作用(重大な副作用)] Syndrome malin(悪性症候群):抗精神病薬及び抗うつ剤との併用において,本剤及び併用薬の減量又は中止により,発熱,無動緘黙,意識障害,強度の筋強剛,不随意運動,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には,体冷却,水分補給などの全身管理等の適切な処置を行うこと。本症発症時には,白血球の増加や血清CPKの上昇があらわれることが多く,また,ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下があらわれることがある。
    〈参考〉 臨床精神医学,14(12):1845(1985)
    精神科治療学,7(6):669(1992)
    精神医学,31(7):735(1989)

    11 〈その他のアレルギー用薬〉
    テルフェナジン
    [販売名] トリルダン(日本ヘキスト・マリオン・ルセル)
    [副作用(重大な副作用)] ショック:ショックを起こすことがあるので,観察を十分に行い,症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。

  問い合わせ先 厚生省薬務局安全課医薬品適正使用推進室
     担 当 山本、池田(内)2756
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
     (直)3595-2435
     (FAX)3508-4364


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