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医薬品の臨床試験に関する基準改定素案の公表についてNO6

8−2−3 モニタリングの範囲及び方法

8-2-3-1 治験依頼者は、治験が適切にモニタリングされていることを保証しなければならない。また、治験の目的、デザイン、複雑さ、盲検性、被験者に対する危険性のレベル、規模及びエンドポイント等を考慮してモニタリングの適切な範囲及び方法を決定するものとする。一般的に、モニタリングは、治験開始前、実施中及び終了後に治験責任医師、医療機関及びその他の治験に係わる施設を訪問して行う必要がある。しかし例外的な状況下では、治験依頼者は、中央モニタリングを採用することができる。その場合には、中央モニタリングが、治験責任医師の訓練及び会合並びに広範囲にわたるガイダンス等の手順を併用することによって、本基準を遵守した適切な治験の実施を保証できなければならない。統計学的にコントロールされた抽出法は、検証するデータの選定を行う際の適当な方法となり得る。

8-2-3-2 モニターは、治験依頼者の要求に従って、それが当該治験及び治験の実施に係わる施設に関して適切でかつ必要である場合には、次の事項を行うことにより、治験が適正に実施され、記録されていることを保証しなければならない。
(a) 治験依頼者と治験責任医師、医療機関及びその他の治験に係わる施設との間の情報交換の主役を務めること。
(b) 治験責任医師が適切な要件と資源を有し、それが治験期間を通して継続していること、また検査室、必要な装置及びスタッフを含む設備が、治験を安全かつ適正に実施するのに十分であり、それが治験期間を通して継続していることを確認すること。
(c) 治験薬に関し下記の点を確認すること。
i) 保存期間、保存条件が許容できるものであり、治験期間を通して十分な量が交付されていること。
ii) 治験薬が適格な被験者のみに、治験実施計画書で規定された用量で投与されていること。
iii) 被験者に対し、治験薬の適正な使用、取扱い、保存及び返却に関して、必要な指示がなされていること。
iv) 医療機関及び治験の実施に係わるその他の施設での治験薬の受領、使用及び返却が適切に管理され、記録されていること。
v) 医療機関及びその他の治験に係わる施設での未使用治験薬の処分が、薬事法第14条第3項及び同法第80条の2に規定する基準並びに本基準及び治験依頼者との合意に従ってなされていること。
(d) 治験責任医師が、承認された治験実施計画書に従っていることを確認すること。
(e) 各被験者から、治験に参加する前に、治験への参加について自由意思による同意が文書により得られていること。
(f) 治験責任医師が、治験を適正に実施し、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を遵守するのに必要な、治験薬概要書の最新版等、全ての文書及びその他の供給物を受領していることを確認すること。
(g) 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者が治験について十分情報を得ていることを確認すること。
(h) 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者が、治験実施計画書並びに治験依頼者と医療機関及び治験責任医師との間のその他の合意文書に基づいて、治験における各々の役割を果たしており、このような役割を資格のない者に委任していないことを確認すること。
(i) 治験責任医師が、適格な被験者のみを治験に組み入れていることを確認すること。
(j) 被験者の登録状況を確認し、治験依頼者に報告すること。
(k) 正確、完全かつ最新の原資料及び治験に関する記録が保存されていることを確認すること。
(l) 治験責任医師が、要求される全ての報告、通知、申請及び提出を行い、それらの文書が正確、完全で、適切な時期に行われ、読みやすく、日付が記載されており、該当する治験を識別できることを確認すること。
(m) 症例報告書の内容と原資料及び他の治験に関する記録類を照合して、これらが正確であることを確認すること。その際、モニターは特に次の点を確認すること。
i) 治験実施計画書が要求するデータが症例報告書に正確に記載され、それらが原資料と一致していること。
ii) 用量又は治療法の変更があった場合は、その全てが各々の被験者について記録されていること。
iii) 有害事象、併用療法及び併発症が治験実施計画書に従って症例報告書に記載されていること。
iv) 被験者が来院しなかった日、実施されなかった試験及び検査が症例報告書に明確に記載されていること。
v) 登録された被験者の全ての中止例、脱落例が症例報告書に記載され、その理由等が説明されていること。
(n) 治験責任医師に、症例報告書の記載ミス、記載漏れ又は判読不能事項を全て知らせること。また、適切な修正、追記又は削除がなされ、日付が記入され、必要な場合にはその理由等が説明されており、かつ治験責任医師又は治験責任医師に代わって症例報告書の変更に記名捺印又は署名することが委任されている治験分担医師によって、記名捺印又は署名されていることを確認しなければならない。かかる委任とその範囲は文書化されていなければならない。
(o) 全ての有害事象が、治験実施計画書、治験審査委員会、治験依頼者、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準によって要求されている期間内に適切に報告されているか否かを確認すること。
(p) 治験責任医師が必須文書を保存しているか否かを確認すること。
(q) 治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準からの逸脱事項を治験責任医師に伝え、そのような逸脱の再発を防止するための適切な措置を講ずること。

8−2−4 モニタリングの手順

8-2-4-1 モニターは、治験依頼者によって確定された標準業務手順書、及び当該治験のモニタリングに関して治験依頼者が特に定める手順に従わなければならない。

8−2−5 モニタリング報告書

8-2-5-1 モニターは、医療機関及びその他の治験に係わる施設への訪問又は治験に関連した連絡を行う度に、治験依頼者にモニタリング報告書を提出しなければならない。

8-2-5-2 モニタリング報告書には、日時、場所、モニターの氏名、治験責任医師又はその他の接触した相手の氏名、モニターが点検した内容の要約及び重要な発見事項あるいは事実、逸脱及び欠陥、結論、並びに講じられた若しくは講じられる予定の措置及び遵守を確保するために推奨される措置に関するモニターの見解等が記載されていなければならない。

8-2-5-3 モニタリング報告書に関して治験依頼者とともに行った点検とフォローアップについては、治験依頼者の指名する者が文書化しておかなければならない。

8−3 監査

8−3−1 監査の目的

8-3-1-1 監査の目的は、治験の品質保証のために治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を遵守して行われているか否かを、通常のモニタリング及び治験の品質管理業務とは独立、分離して評価することにある。

8−3−2 監査担当者の選定及び要件

8-3-2-1 治験依頼者は、治験のシステム及び個々の治験に係わる業務とは無関係の者で、教育・訓練と経験により監査を適切に行いうる要件を満たしている者を監査担当者として任命しなければならない。

8-3-2-2 治験依頼者は、監査担当者の要件を文書に記述しなければならない。

8−3−3 監査の方法

8-3-3-1 治験依頼者は、治験のシステムに対する監査及び個々の治験に対する監査のそれぞれについて、監査対象、方法及び頻度並びに監査報告書の様式と内容に関する監査手順書及び監査計画を作成し、監査が当該手順書及び監査計画に従って行われることを保証しなければならない。

8-3-3-2 個々の治験に対する監査は、治験の規制当局に対する申請上の重要性、被験者数、治験の種類と複雑さ、被験者に対する治験の危険性のレベル及びモニタリング等で見出されたあらゆる問題点を考慮して、監査の対象及び時期等を決定した上で行うものとする。

8-3-3-3 監査担当者は、監査で発見した事項を文書に記録しなければならない。

8−3−4 監査報告書

8-3-4-1 監査担当者は、監査の記録に基づき、監査報告書を作成し、治験依頼者に提出するものとする。

8-3-4-2 監査機能の独立性と価値を保つために、規制当局は、監査報告書を通常の調査の際に要求すべきではない。ただし、重大なGCP不遵守が認められる場合、又は法的に必要とされる場合には、監査報告書の閲覧を求めることができる。

8−3−5 監査証明書

8-3-5-1 監査担当者は、要求される場合は、監査証明書を作成し、提出しなければならない。

8−4 開発業務受託機関

8-4-1 治験依頼者は、治験に関連する業務を適切な範囲において開発業務受託機関に委託することができるが、治験データの品質と完全性に関する最終責任は常に治験依頼者が負わなければならない。開発業務受託機関は品質保証及び品質管理を履行するものとする。

8-4-2 治験依頼者が開発業務受託機関に委託した治験に関連する業務は、全て文書に明記されなければならない。

8-4-3 治験に関連する業務のうち、開発業務受託機関に明確に委託されていないものは、全て治験依頼者が担うものとする。

8-4-4 本基準の治験依頼者に関する取り決めは、開発業務受託機関が受託した治験に関連する業務の範囲内において、開発業務受託機関にも適用される。

9 治験の契約

9-1 治験の契約は、治験の実施について治験審査委員会の承認を受けた後に、治験依頼者と医療機関の間で文書により行うものとする。なお、治験責任医師も、確認のため署名することができる。

9-2 契約書には、次に掲げる事項が含まれていなければならない。
[東芝ユー1][東芝ユー2]
1) 薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準、治験審査委員会が承認した治験実施計画書を遵守して、治験を実施すること。
2) データの記録及び報告に関する手続を遵守すること。
3) 治験依頼者が行うモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れること。
4) 治験依頼者のモニター及び監査担当者並びに治験審査委員会及び規制当局の求めに応じて、全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること。
5) 治験責任医師及び医療機関は、治験に関連する必須文書を、治験依頼者によって保存の必要がなくなった旨の通知がなされるまで保存すること。
6) 契約年月日
7) 契約者名
8) 医療機関の名称、所在地
9) 治験依頼者の名称、所在地
10) 治験課題名
11) 治験内容
12) 目標とする被験者数
13) 治験責任医師及び治験分担医師の氏名及び所属(複数の場合には全員)
14) 治験期間
15) 治験薬等により健康被害が発生した場合の補償に関する事項
16) その他必要な事項

9-3 治験に関わる金銭の支払いについては、治験依頼者と医療機関との間で、文書で取り決めておかなければならない。

10 治験実施計画書

 治験実施計画書(改訂版を含む)には、一般に、次の事項を記載しなければならない。ただし、施設に特有の情報が治験実施計画書の分冊又は別の合意文書に記載されている場合もあり、下にあげた情報の一部は、治験薬概要書など、治験実施計画書に引用されている他の文書に記載される場合もある。

10−1 治験実施体制

(1) 治験実施計画書の標題、それを特定する番号及び日付。改訂が行われた場合には、改訂番号及び日付。
(2) 治験依頼者の氏名及び所在地。モニターが治験依頼者に所属していない場合には、モニターの氏名、所属及び所在地。
(3) 治験依頼者を代表して治験実施計画書に署名する権限のある者の氏名及び役職名。
(4) 当該治験に関する治験依頼者側の医学専門家の氏名、役職名、住所及び電話番号。
(5) 治験責任医師の氏名及び役職名、並びに医療機関の所在地及び電話番号。
(6) 治験に関連する臨床検査施設及びその他の医学的及び技術的部門の名称及び所在地

10−2 背景情報

(1) 治験薬の名称及びその他の説明
(2) 非臨床試験及び臨床試験から得られた臨床的に重要な所見の要約
(3) 被験者に対する既知及び可能性のある危険と利益の要約
(4) 投与経路、用法・用量及び投与期間に関する説明と根拠
(5) 当該治験が治験実施計画書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を遵守して実施される旨の陳述
(6) 治験対象集団の説明
(7) 治験に関連し、その背景を明らかにする参考文献及びデータ

10−3 治験の目的

治験の目的について詳細に記述すること。

10−4 治験のデザイン

 治験の科学的完全性及び治験から得られるデータの信頼性は本質的に治験のデザインに依存する。
治験のデザインの説明には、次の事項を含めなければならない。
(1) 治験中に測定される主要エンドポイント及び(それがある場合)副次的エンドポイントに関する説明
(2) 実施される治験の種類及びデザインの説明(例えば、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験など)、並びに治験のデザイン、手順及び段階等を図式化した表示
(3) 治験におけるバイアスを最小限にする又は避けるために取られる無作為化及び盲検化等の方法の説明
(4) 治験治療並びに治験薬の用法・用量の説明、治験薬の剤型、包装及び表示に関する記載
(5) 被験者の参加予定期間、及びフォローアップ(必要な場合)を含む全ての治験の順序と期間の説明
(6) 個々の被験者並びに治験の一部及び全体の中止規定又は中止基準の説明
(7) プラセボ及び対照薬(用いられる場合)を含む治験薬の管理の手順
(8) 治験治療の無作為化のコードの保管及びコードの開封手続き
(9) 症例報告書に直接記入され(すなわち、その記入以前に文書又は電子的に記録されたデータがなく)、かつ原データと解すべき資料の特定

10−5 被験者の選択、除外、中止基準

 被験者の人権保護の観点から、及び治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、他の治験への参加の有無等を考慮し、被験者を治験の対象とすることの適否について慎重に検討されなければならないことを明らかにする。

(1) 選択基準
(2) 除外基準
(3) 中止基準(すなわち治験薬治療/治験治療を中止する基準)と手順については、次の点を明らかにする。
i) いつ、どのようにして被験者の治験を中止するか
ii) 治験を中止した被験者に関して、どのようなデータをどのようなタイミングで集めるか
iii) 被験者の交代があるか、どのようにして行うか
iv) 治験薬治療又は治験治療を中止した被験者に対するフォローアップ

10−6 被験者の治療

(1) 用いられる全ての薬物の名称、用法・用量、投与経路、投与期間等の内容(各治験薬治療、治験治療、治験群の被験者に対するフォローアップ期間を含む)
(2) 治験実施前及び治験実施中に許容される治療法(緊急時の治療を含む)並びに禁止される治療法
(3) 被験者の服薬、その他の取り決め事項の遵守状況を確認する手順

10−7 有効性の評価

(1) 有効性評価指標の特定
(2) 有効性評価指標に関する評価、記録及び解析の方法並びにそれらの実施時期

10−8 安全性の評価

(1) 安全性評価指標の特定
(2) 安全性評価指標に関する評価、記録及び解析の方法並びにそれらの実施時期
(3) 有害事象及び併発症を収集し、記録し、報告する手順(治験責任医師が治験依頼者に報告すべき重要な有害事象及び臨床検査の異常値の特定並びに報告の要件及び期限を含む)
(4) 有害事象発現後の被験者のフォローアップの種類及び期間

NO7に続く
  問い合わせ先 厚生省薬務局審査課
     担 当 稲荷(内2911)、小野(内2738)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
         (直)03-3595-2431

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