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医薬品の臨床試験に関する基準改定素案の公表についてNO5

8−1−5 治験薬概要書の作成等

8-1-5-1 治験依頼者は治験の実施に必要な非臨床及び臨床試験の成績をまとめた治験薬概要書を作成しなければならない。

8-1-5-2 治験依頼者は、重要な新たな情報が得られ次第、治験薬概要書を改訂し、治験責任医師及び医療機関の長に提出しなければならない。治験依頼者は、必要な場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、治験責任医師及び医療機関の長にこれらの情報を報告をするものとする。

8−1−6 治験計画の届出

8-1-6-1 治験依頼者は、治験を開始する前に、薬事法第80条の2に従って、規制当局に治験の計画届を提出しなければならない。

8−1−7 治験の依頼

8-1-7-1 治験依頼者は、治験責任医師と当該治験の実施について合意をする前に、治験責任医師に治験実施計画書及び最新の治験薬概要書その他必要な資料・情報を提供しなければならない。

8-1-7-2 治験依頼者は、治験責任医師が8-1-7-1の規定により提供された治験実施計画書等の資料・情報を十分検討し、治験依頼者と協議するのに必要な時間を治験責任医師に与えた後に、治験責任医師と治験実施計画書及び当該治験の実施について合意しなければならない。治験依頼者と治験責任医師は、この合意を証するため、治験実施計画書又はそれに代わる文書にそれぞれ記名捺印又は署名し、各自日付を記入するものとする。

8-1-7-3 治験依頼者は、医療機関の長に対して治験の依頼をする前に、被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いられる同意文書及びその他の説明文書を治験責任医師が作成するのに必要な資料を、治験責任医師に提供するものとする。

8-1-7-4 治験の依頼は、治験依頼者が医療機関の長に対して、以下の資料を添えて、文書により行うものとする。
1) 治験実施計画書
2) 治験薬概要書
3) 同意文書及びその他の説明文書
4) その他の必要な資料

8−1−8 治験審査委員会による審査結果の確認

8-1-8-1 治験依頼者は医療機関の長から次の文書を入手しなければならない。
1) 治験審査委員会の名称と所在地
2) 治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を治験審査委員会が自ら確認した文書
3) 治験審査委員会の承認の記録並びに、治験依頼者が要求する場合には最新の治験実施計画書、同意文書及びその他の説明文書、被験者の募集手順、被験者に対する支払と補償に関連した文書及び治験審査委員会から要求されたその他の書類の最新版

8-1-8-2 治験依頼者は、治験審査委員会が治験実施計画書、同意文書及びその他被験者への説明文書並びにその他の手順の修正等、治験に係わる何らかの修正を条件に承認をした場合には、医療機関の長から治験審査委員会が承認した修正後の文書及びその承認の日付並びにこれに関する医療機関の長の指示、決定の文書を入手しなければならない。

8-1-8-3 治験依頼者は、医療機関の長から、実施中の治験に関する治験審査委員会における再審査の承認に関する記録と日付、承認の取消又は保留に関する記録と日付及びこれに関する医療機関の長の指示、決定の文書を入手しなければならない。

8−1−9 治験薬の製造、包装、表示及びコード化

8-1-9-1 治験薬又はその容器若しくは被包に、次に掲げる事項を記載しなければならない。
イ 治験用である旨
ロ 治験依頼者の氏名及び住所
ハ 化学名又は識別記号
ニ 製造番号又は製造記号
ホ  貯蔵方法、有効期間等を定める必要のあるものについては、その内容

8-1-9-2 治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)に、次に掲げる事項を記載してはならない。
イ 予定される販売名
ロ 予定される効能、効果
ハ 予定される用法又は用量

8-1-9-3 治験依頼者は、治験薬等(実対照薬及びプラセボを含む)がその開発段階に応じた適切な特徴を有し、GMPに準拠して製造され、該当する場合には、盲検性が維持されるような方法でコード化され、表示されていることを保証しなければならない。

8-1-9-4 治験依頼者は、盲検下の治験では、治験薬のコード化に際して、医療上の緊急時に当該治験薬がどの薬剤であるかを直ちに識別できるようにし、かつ盲検性が破られたことを検知できるようにしておかなければならない。

8-1-9-5 治験依頼者は、治験薬の許容される保存温度、保存条件、保存期間、溶解液及び溶解方法並びに注入器具を定め、これらの事項を治験に関与する全ての者(モニター、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験薬管理者等)に知らせなければならない。

8-1-9-6 治験薬の包装は、輸送及び保存中に汚染や許容範囲外の劣化を防止するものでなければならない。

8-1-9-7 治験依頼者は、開発期間中に治験薬又は対照薬の製剤組成が大きく変更される場合、製剤組成に関する追加の試験(安定性、溶出性又は生物学的利用性等)により、それらの変更が当該治験薬又は対照薬の薬物動態上の性質を大きく変えるか否かを評価するのに必要な成績を、新しい製剤組成の薬剤の使用前に入手しておかなければならない。

8−1−10 治験薬の交付

8-1-10-1 治験依頼者は医療機関に対し治験薬を交付する責任を有する。

8-1-10-2 治験依頼者は、全ての必要とされる文書(例えば、治験審査委員会による承認)を受けるまでは、医療機関に治験薬を交付してはならない。

8-1-10-3 治験依頼者は、治験責任医師及び治験薬管理者が治験薬の取扱及び保存並びにそれらの記録に際し従うべき指示を記載した手順書を定めなければならない。当該手順書は、受領、取扱、保存、処方並びに未使用治験薬の被験者からの返却及び治験依頼者への返却又はその他の処分が適切で確実に行われるように規定しなければならない。

8-1-10-4 治験依頼者は、治験薬の適正な取扱いを保証するため、次の事項を行うものとする。
1) 適切な時期に治験薬が治験責任医師に交付されるようにすること
2) 治験薬の出荷、受領、処分、返却及び廃棄の記録を保存すること
3) 治験薬の回収及びその記録のためのシステムを保持すること(例えば、欠陥品の回収、治験終了後の回収、使用期限切れの治験薬の回収)
4) 未使用の治験薬の処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること

8-1-10-5 治験依頼者は、治験薬が使用期間中安定であることを保証しなければならない。

8-1-10-6 治験依頼者は、必要な場合には、規格を再確認できるような十分な量の治験薬を確保し、ロットサンプルの分析と特性の記録を保存しなければならない。安定性が確保される限りは、ロットサンプルは治験データの解析が終わるまでの期間保存されなければならない。

8−1−11 データの取扱い

8-1-11-1 治験依頼者は、電子データ処理システム及び遠隔操作電子データシステムを用いる場合には、次の事項を実施しなければならない。
1) 電子データ処理システムが、完全性、正確性、信頼性及び意図された性能についての治験依頼者の要件を満たしていることを保証し、文書化すること(すなわちバリデーションされること)。
2) これらのシステムを使用するための標準業務手順書を整備すること。
3) 入力済みのデータを消去せずに修正が可能で、データの修正の記録を文書で残すことができる(すなわち監査証跡、データ入力証跡、修正証跡が残る)ようにシステムがデザインされていることを保証すること。
4) データのセキュリティ・システムを整備すること。
5) データの適切なバックアップを行うこと。
6) データの修正を行うことを許可された者の名簿を整備すること。
7) 盲検化を行う場合には、盲検性を保持すること。

8-1-11-2 処理中にデータの変換を行う場合には、観察記録及び処理前のデータと処理後のデータを常に対比し得ることを保証しなければならない。

8-1-11-3 治験依頼者は、各被験者について報告された全てのデータの識別を可能にする明確な被験者識別コードを用いなければならない。

8-1-11-4 治験依頼者は、治験の実施に先立って、治験責任医師及び治験分担医師等の治験責任医師が指名する者に症例報告書のデータの修正に関する手引きを提供するものとする。また、治験依頼者が指名した者によって行われた症例報告書の変更又は修正においては、それらが文書に記録され、必要なものであり、かつ治験責任医師が承認したものであることを保証するための手順書を作成しておかなければならない。

8-1-11-5 データの所有権を譲渡した場合は全て、治験依頼者は規制当局に報告しなければならない。

8-1-11-6 治験依頼者又は他のデータの所有者は、治験依頼者が保存すると規定された治験関連の必須文書の全てを本基準及び薬事法施行規則第26条の2の3に従って保存しなければならない。

8−1−12 多施設共同治験

8-1-12-1 治験依頼者は多施設共同治験に当たっては、次のことを保証しなければならない。
1) 全ての治験責任医師が、治験依頼者が作成あるいは改訂し、治験審査委員会が承認した治験実施計画書を厳密に遵守して治験を実施していること。
2) 症例報告書が全施設において必要なデータが収集できるようにデザインされていること。追加的データを収集する治験責任医師にはそれを記載するために設計された補足的な症例報告書が併せて提出されなければならないこと。
3) 治験調整医師及び治験に参加するその他の治験責任医師の責務が、治験開始前に文書で定められていること。
4) 全ての治験責任医師に対し、治験実施計画書の遵守方法、臨床上及び検査上の所見の評価に関する統一基準の遵守方法並びに症例報告書の記入方法が説明されていること。
5) 治験責任医師の間の連絡が容易であること。

8−1−13 被験者に対する補償

8-1-13-1 治験に関連して被験者が被った損害につき、法令の定めるところに従って賠償をなすべきものとされる場合には、治験依頼者がこれを負担するものとする。ただし、もっぱら治験責任医師又は医療機関の故意又は過失によって生じた損害については、この限りでない。

8-1-13-2 治験依頼者は、治験に関連して被験者に生じた健康被害の治療に要する費用その他の費用の支払いに関する方針及び手順を定めるとともに、被験者に対する損害賠償義務の履行を確保するために、保険その他の措置を講じておかなければならない。

8−1−14 安全性情報

8-1-14-1 治験依頼者は、治験薬の安全を継続的に評価する責任を有する。

8-1-14-2 治験依頼者は、被験者の安全に悪影響を及ぼし、治験の実施に影響を与え、又は治験継続に関する治験審査委員会の承認を変更する可能性のある情報を、治験に関係する全ての治験責任医師、医療機関の長及び規制当局に速やかに通知しなければならない。

8−1−15 副作用報告

8-1-15-1 治験依頼者は、重篤で予測できない全ての副作用を全ての関係する治験責任医師、医療機関の長、治験審査委員会及び規制当局に速やかに報告しなければならない。

8-1-15-2 かかる緊急報告は、薬事法第80条の2及びICHガイドライン「治験中に得られる安全性情報の取扱いについて」に従わなければならない。

8−1−16 不遵守

8-1-16-1 治験依頼者は、治験責任医師、医療機関及びその他の治験に係わる施設又は治験依頼者のスタッフが治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を遵守していない場合は、遵守を確保するべく迅速な措置を講じなければならない。

8-1-16-2 治験依頼者は、モニタリング及び監査によって治験責任医師又は医療機関等による重大又は継続した不遵守が発見された場合には、当該治験責任医師又は医療機関等の治験への参加を打ち切らなければならない。不遵守のため治験責任医師又は医療機関等の参加が打ち切られた場合には、治験依頼者は規制当局に速やかに報告するものとする。

8−1−17 開発又は治験の中止並びに中断

8-1-17-1 治験依頼者は、治験薬の開発(すなわち、その効能・効果、用法・用量又は製剤のいずれかあるいは全てについて)を中止する場合には、その旨とその理由を全ての治験責任医師、医療機関の長及び規制当局に通知しなければならない。

8-1-17-2 治験依頼者は、治験が中止又は中断された場合には、全ての治験責任医師、医療機関の長及び規制当局にその旨とその理由を速やかに報告しなければならない。

8−1−18 記録の閲覧

8-1-18-1 治験依頼者は、モニタリング、監査、治験審査委員会の審査及び規制当局の調査時に治験責任医師及び医療機関が原資料を直接閲覧に供することを、医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記しなければならない。

8-1-18-2 治験依頼者は、モニタリング、監査、治験審査委員会の審査及び規制当局の調査時に、被験者の原医療記録が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認しなければならない。

8−1−19 記録の保存等

8-1-19-1治験依頼者は、治験に関連する必須文書を少なくとも当該医薬品の製造(輸入)承認後5年間、治験又は開発を中止した場合にあっては中止後3年間保存するものとする。ただし、薬事法の規定により承認後の再審査を受けなければならない治験薬で、かつ再審査が終了するまでの期間が5年を超えるものについては、治験依頼者は必須文書を再審査が終了するまでの期間保存しなければならない。

8-1-19-2 治験依頼者は、治験責任医師及び医療機関の長が保存する必須文書について、その保存の必要がなくなった場合には、その旨を治験責任医師及び医療機関の長に対して通知しなければならない。

8−1−20 治験の総括報告書

8-1-20-1 治験依頼者は、治験の終了又は中止にかかわらず、治験の総括報告書が薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準に従って作成され、規制当局に提出されることを保証しなければならない。治験依頼者はまた、製造(輸入)承認の申請における総括報告書が、ICHの「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」の基準に則って作成されていることを保証しなければならない。

8−2 モニタリング

8−2−1 モニタリングの目的

8-2-1-1 治験依頼者は、被験者の人権と福祉が保護されていること、治験責任医師から報告された治験データが正確かつ完全で、原資料に照らして検証できること、及び治験が最新の治験実施計画書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を遵守して実施されていることを確認するため、モニタリングを実施する責任を有する。

8−2−2 モニターの選定及び要件

8-2-2-1 治験依頼者は、適切な訓練を受け、治験を十分にモニターするために必要な科学的及び臨床的知識を有するモニターを任命しなければならない。モニターの要件は文書に記述しなければならない。

8-2-2-2 モニターは、治験薬、治験実施計画書、同意文書及びその他の被験者への説明文書、治験依頼者の標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を熟知していなければならない。

NO6に続く
  問い合わせ先 厚生省薬務局審査課
     担 当 稲荷(内2911)、小野(内2738)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
         (直)03-3595-2431

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