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医薬品の臨床試験に関する基準改定素案の公表についてNO4

6−2−9 症例報告書等の記録及び報告

6-2-9-1 治験責任医師又は治験分担医師は、症例報告書を治験実施計画書の規定に従って作成し、記名捺印又は署名の上、治験依頼者に提出しなければならない。

6-2-9-2 治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告書については、それらが治験依頼者に提出される前にその内容を点検し、問題がないことを確認した上で記名捺印又は署名するものとする。

6-2-9-3 治験責任医師は、治験依頼者に提出する症例報告書及びその他の全ての報告書のデータが、正確、完全で、読み易く、提出の時期が適切であることを保証するものとする。

6-2-9-4 症例報告書中のデータのうち原資料に基づくものは、原資料と矛盾しないものでなければならない。原資料との何らかの矛盾がある場合には、治験責任医師はその理由を説明しなければならない。

6-2-9-5 症例報告書のいかなる変更又は修正も、これに日付及び記名捺印又は署名がなされ、重大な変更又は修正については説明がなされなければならない。また、変更又は修正は当初の記載内容を不明瞭にするものであってはならない(すなわち、監査証跡として保存するものとする)。このことは文書及び電子データの変更又は修正の双方に適用される。

6-2-9-6 治験責任医師は、症例報告書の変更及び修正の記録の写しを保管しなければならない。

6−2−10 治験中の報告等

6-2-10-1 治験責任医師は、治験の現況の概要を年に1回又は治験審査委員会の求めに応じてそれ以上の頻度で、医療機関の長を経由して治験審査委員会に文書をもって提出しなければならない。

6-2-10-2 治験責任医師は、治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、治験依頼者、医療機関の長及び治験審査委員会に速やかに報告書を提出しなければならない。

6-2-10-3 治験責任医師は、治験実施計画書及び治験薬概要書等の文書において緊急の報告が不要であると規定されている場合を除き、全ての重篤な有害事象を治験依頼者に速やかに報告しなければならない。緊急報告の後に、文書による詳細な報告を速やかに行うものとする。これらの報告においては、被験者識別コードによって被験者を識別すべきで、被験者の氏名、身元が特定できる番号及び住所等を使用してはならない。

6-2-10-4 治験責任医師は、治験実施計画書において安全性評価のために重要であると規定された有害事象及び臨床検査の異常値についても、治験実施計画書で規定された報告要件及び期限を守って、治験依頼者に報告しなければならない。

6-2-10-5 治験責任医師は、重篤で予測できない副作用が発生した場合には、医療機関の長及び治験審査委員会に速やかに報告しなければならない。

6-2-10-6 治験責任医師は、報告した死亡例について、治験依頼者及び治験審査委員会から要求された追加の情報をこれらに提出するものとする。

6−2−11 治験の中止又は中断

6-2-11-1 治験が何らかの理由で中止又は中断された場合には、治験責任医師は被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療及び事後処理を保証しなければならない。

6-2-11-2 治験責任医師が治験依頼者の事前の同意を得ずに治験を中止又は中断した場合には、治験責任医師は治験依頼者、医療機関の長及び治験審査委員会に速やかにその旨を通知しなければならない。また、医療機関の長、適切な場合には治験責任医師は、治験依頼者及び治験審査委員会に対して中止又は中断について詳細な文書による説明を行わなければならない。

6-2-11-3 治験依頼者が治験を中止又は中断した場合は、治験責任医師は、医療機関の長及び治験審査委員会にその旨を通知しなければならない。また、医療機関の長、適切な場合には治験責任医師は、治験審査委員会に対して、速やかに中止又は中断について文書で詳細に説明を行うものとする。

6−2−12 治験の終了

6-2-12-1 治験が終了した場合には、治験責任医師は医療機関の長にその旨を通知するものとする。また、医療機関の長、適切な場合には治験責任医師は、治験審査委員会に治験結果の概要を報告しなければならない。

7 被験者の選定とインフォームド・コンセント

7−1 被験者の選定

7-1-1 治験実施計画書の作成段階における治験への参加対象となる被験者のカテゴリーの選定及び治験中の個々の被験者の選定に当たっては、人権保護の観点から、及び治験の目的(例えば、治験が非治療的であるか否か、治験が緊急状況下で行われるものであるか否か等)に応じ、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否について慎重にされなければならない。

7-1-2 同意の能力を欠く患者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。

7-1-3 社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払わなければならない。

7−2 インフォームド・コンセント

7−2−1 原則

7-2-1-1 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、被験者又は、同意の能力を欠く等により被験者本人の同意を得ることは困難であるが、当該治験の目的上それらの被験者を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合にはその代諾者に治験の内容等を記した同意文書及びその他の説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について文書による同意を得るものとする。

7-2-1-2 治験責任医師又は治験分担医師は、予め治験審査委員会の承認を得た同意文書及びその他の説明文書を用いなければならない。

7-2-1-3 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師、被験者又はその代諾者及び必要に応じ公正な立会人が記名捺印又は署名し、各自日付を記入するものとする。なお、治験協力者が説明を行った場合には、当該治験協力者も記名捺印又は署名を行い、日付を記入することが望ましい。

7-2-1-4 被験者又はその代諾者は、被験者が治験に参加する前に、署名と日付が記入された同意文書の写し及びその他の説明文書を受け取るものとする。また、被験者が治験に参加している間に、同意文書及びその他の説明文書が改訂された場合は、被験者又はその代諾者は、その都度、新たに署名と日付を記入した同意文書の写し及び改訂されたその他の被験者への説明文書を受け取るものとする。

7-2-1-5 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者又はその代諾者に強制したり又は不当な影響を及ぼしてはならない。

7-2-1-6 同意文書及びその他の説明文書並びに説明に際して口頭で提供される情報には、被験者又はその代諾者に権利を放棄をさせるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、医療機関、治験依頼者の過失責任を免除する内容や語句が含まれていてはならない。

7-2-1-7 口頭及び文書による説明並びに同意文書には、被験者、その代諾者及び公正な立会人が理解可能な、可能な限り非専門的な言葉が用いられなければならない。

7-2-1-8 治験責任医師、治験分担医師又は治験協力者は、同意を得る前に、被験者又はその代諾者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は治験協力者は、全ての質問に対して被験者又はその代諾者が満足するように答えなければならない。

7−2−2 新たな情報が得られた場合

7-2-2-1 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情報に基づき同意文書及びその他被験者への説明文書を改訂し、予め治験審査委員会の承認を得なければならない。また、すでに治験に参加している被験者に対しても、改訂された同意文書及びその他の説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者又はその代諾者から自由意思による同意を文書により得なければならない。

7-2-2-2 治験に継続して参加するか否かについての被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて被験者又は代諾者の意思を確認しなければならない。この場合にあっては、当該情報が被験者に伝えられたことが文書に記録されなければならない。

7−2−3 被験者本人の同意取得が困難な場合

7-2-3-1 同意の能力を欠く等により被験者本人の同意を得ることは困難であるが、当該治験の目的上それらの被験者を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合(例えば、未成年者又は重度の痴呆患者を対象とする場合)には、代諾者に治験の内容等を記した同意文書及びその他の説明文書を用いて十分説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得るものとする。この場合にあっては、同意に関する記録とともに同意者と被験者本人の関係を示す記録を残すものとする。 治験責任医師又は治験分担医師は、この場合にあっても、被験者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者本人からも同意文書への署名と日付の記入を得るものとする。

7−2−4 非治療的治験

7-2-4-1 7-2-4-2に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予期されない非治療的治験においては、被験者本人から同意を得なければならない。

7-2-4-2 非治療的治験において、次のイからニに掲げる事項が全て満たされる場合には、代諾者による同意を得て治験を行うことができる。このような治験は、例外が正当化される場合を除き、治験薬の適応となることが意図された疾病又は症状を有する患者において行われるべきである。また、このような治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、もし不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には治験を中止しなければならない。
イ 治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。
ロ 被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。
ハ 被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、また低いこと。
ニ 代諾者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。

7−2−5 緊急状況下での治験

7-2-5-1 緊急状況下での治験であって、被験者による事前の同意が不可能である場合においては、被験者の代諾者が存在する場合は、その同意を得るべきである。被験者による事前の同意が不可能で、かつ、被験者の代諾者が存在しない場合には、被験者の権利、安全及び福祉が保護され、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を遵守して当該治験が実施されることを保証する方法を、治験実施計画書及びその他の文書に記載し、治験審査委員会の承認を受けることが必要である。このような場合でも、被験者又はその代諾者に対し、できるだけ速やかに当該治験に関する説明を行い、治験の継続に係わる同意及びその他の事項について(7−3参照)適切な同意を求めなければならない。

7−2−6 被験者が同意文書等を読めない場合

7-2-6-1 被験者又はその代諾者が同意文書及びその他被験者への説明文書を読むことができない場合には、説明に際して公正な立会人を要することとする。また、被験者又はその代諾者に加え、立会人も同意文書に署名し自ら日付を記入することにより、被験者又はその代諾者が治験の内容等を十分理解し、自由意思により同意を与えたものであることを証するものとする。

7−3 被験者に対する説明事項

 同意文書及びその他の説明文書には、以下の事項が含まれていなければならない。

1) 治験の研究的又は試験的側面。
2) 治験の目的。
3) 治験の方法(無作為割付が行われる場合は割付の確率も含む)。
4) 予期される臨床上の利益及び危険性又は不便。
5) 患者を被験者にする場合には、当該患者に対する他の治療方法の有無及びその治療方法に関して予測される重要な利益及び危険性。
6) 被験者の治験への参加予定期間。
7) 治験への参加の継続について被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には速やかに被験者又はその代諾者に伝えられること。
8) 治験に参加する予定の被験者数。
9) モニター、監査担当者、治験審査委員会及び規制当局が原医療記録を閲覧できること。その際、被験者の秘密は保全されること。なお、同意文書に被験者又はその代諾者が署名することによって閲覧を認めたことになること。
10) 治験の結果が公表される場合であっても、被験者の身元の秘密は保全されること。
11) 治験に関連する健康被害が発生した場合に被験者が受けることのできる補償及び治療。
12) 被験者が治験への参加に同意しない場合であっても不利益は受けないこと。
13) 被験者が治験への参加に同意した場合でも随時これを撤回でき、それによって不利益を受けないこと。
14) 治験への参加を中止させる場合の条件又は理由。
15) 被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容。
16) 被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容。
17) 被験者が治験及び被験者の権利に関してさらに情報が欲しい場合に照会し又は治験に関連する健康被害が生じた場合に連絡をとるべき医療機関の担当者。
18) 被験者が守るべき事項。

8 治験依頼者

8-1 治験依頼者の業務

8−1−1 治験の品質保証及び品質管理

8-1-1-1 治験依頼者は、治験の実施並びにデータの作成、記録及び報告が、治験実施計画書及び本基準を遵守して行われることを保証するために、標準業務手順書に基づく品質保証及び品質管理システムを履行し、保持する責任を有する。

8-1-1-2 治験依頼者は、治験に関連する全ての施設、原データ/原資料及び報告書を治験依頼者によるモニタリング及び監査、並びに規制当局による調査に関して直接閲覧が可能であるよう関係者の同意を治験前に得ておくものとする。

8-1-1-3 治験依頼者は、治験に関連する全てのデータの信頼性とその適正な処理を保証するために、データ取扱いの各段階に品質管理を適用しなければならない。

8-1-1-4 治験依頼者は、医療機関の長、治験責任医師及びその他治験に関与する者との合意を、医療機関との治験契約書及び治験実施計画書の一部又は別個の合意文書として文書化しておかなければならない。

8−1−2 体制

8-1-2-1 治験依頼者は、治験を開始する前に治験に関連する全ての業務を確定し、割り当てるものとする。

8-1-2-2 治験依頼者は、治験に関する業務の総括的な監督、治験実施計画書、症例報告書及び治験薬概要書の作成及び改訂、データの取扱い及び検証・統計解析の実施並びに治験の中間報告書及び総括報告書等の作成等、治験の全過程を通じ、適格な者(例えば、生物統計学者、臨床薬理学者、医師)を活用しなければならない。

8-1-2-3 治験依頼者は、治験に関する医学的な問題について速やかに助言を得るために、適格な医学専門家を指名しなければならない。

8-1-2-4 治験依頼者は、治験の進行、安全性情報及び重要な有効性エンドポイントを適宜評価し、治験依頼者に治験の継続、変更、又は中止を提言するために、独立データモニタリング委員会を設立することができる。独立データモニタリング委員会は、業務手順書を作成し、全ての会合の記録を作成、保存しなければならない。

8−1−3 治験責任医師の選定等

8-1-3-1 治験依頼者は、治験責任医師及び医療機関を選定する責任を有する。治験依頼者は、訓練と経験により当該治験を適切に実施しうる要件を満たし、かつ十分な資源を有した治験責任医師及び医療機関を選定しなければならない。また、多施設共同治験においては、治験依頼者は、治験調整医師を選定し又は治験調整委員会を設置することができる。

8−1−4 治験実施計画書の作成等

8-1-4-1 治験依頼者は、治験実施計画書の作成時及びその改訂に当たっては、当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの安全性及び有効性に関する十分なデータが非臨床試験及び他の臨床試験から得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることを保証しなければならない。また、そのための手続きを文書で定めるものとする。

NO5に続く
  問い合わせ先 厚生省薬務局審査課
     担 当 稲荷(内2911)、小野(内2738)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
         (直)03-3595-2431

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