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医薬品の臨床試験に関する基準改定素案の公表についてNO3

4−6 記録の保存

4-6-1 治験審査委員会は、業務手順書、委員名簿、委員の職業及び所属のリスト、提出された書類、会議議事録及び書簡等の記録を、治験終了又は中止後3年間或いは当該医薬品の製造(輸入)承認時までの、いずれか長い方の期間保存し、規制当局の要請に応じて提示できるようにしておかなければならない。また、治験責任医師又は治験依頼者から、治験審査委員会の業務手順書及び委員名簿の提示を求められた場合には、これに応じなければならない。

5 医療機関

5−1 医療機関の要件

5-1-1 医療機関は、十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができるなど、当該治験を適切に実施しうるものでなければならない。通常、次の条件を満たすことが必要である。
(1) 当該治験を科学的に、かつ、安全に実施するための設備が備わっていること。
(2) 治験責任医師、治験分担医師はもちろんのこと、当該治験に関係する薬剤師、検査技師、放射線技師及び看護職員等必要な職員が十分揃っていること。
(3) 治験薬管理者が治験薬の性質及び治験実施計画書を理解し、当該治験薬の適切な保管、管理及び調剤等を実施し得ること。
(4) 記録等の保存を適切に行い得ること。

5-1-2 医療機関の長は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れなければならない。これらの場合には、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じ、全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。

5−2 医療機関の長の業務

5−2−1 治験実施の手続き

5-2-1-1 医療機関の長は、治験の実施に必要な手続きについて文書により定めるものとする。

5−2−2 治験審査委員会との関係

5-2-2-1 医療機関の長は、当該医療機関における治験について、自らの医療機関に治験審査委員会を設置した場合(医療機関が小規模である等の理由により自らの医療機関に治験審査委員会を設置することが困難である場合であって、複数の医療機関の長の協議により、共同で治験審査委員会を設置した場合を含む)には、当該医療機関の長が設置した治験審査委員会に意見を求めるものとする。

5-2-2-2 医療機関の長は、当該医療機関における治験について、医療機関が小規模である等の理由により自らの医療機関に治験審査委員会を設置しない場合には、次のいずれかの治験審査委員会に意見を求めるものとする。
(a) 営利を目的としない組織又は団体の長が設置する治験審査委員会
(b) 他の医療機関の長が設置した治験審査委員会

5-2-2-3 医療機関の長は、適当と判断する場合には、上記に規定する治験審査委員会に加えて、他の治験審査委員会にも意見を求めることができる。

5-2-2-4 医療機関の長は、5-2-2-2又は5-2-2-3の治験審査委員会に意見を求める場合は、予め当該治験審査委員会の委員名簿及び業務手順書を入手しておかなければならない

5-2-2-5 医療機関の長は、治験審査委員会に提出する申請書類の一部として最新の治験薬概要書を提出する。治験中に治験薬概要書の改訂が行われた場合には、医療機関の長は最新の治験薬概要書を治験審査委員会に提出しなければならない。

5−2−3 治験の実施の了承等

5-2-3-1 医療機関の長は、治験の開始を了承する前に、治験実施計画書、同意文書及びその他の説明文書、被験者の募集手順(広告等)並びに治験審査委員会が必要と認めた文書を治験審査委員会に提出し、治験の実施について治験審査委員会の意見を求めるものとする。また、治験審査委員会から委員会の意見等を記した日付入り承認文書を入手しなければならない。

5-2-3-2 医療機関の長は、治験期間を通じ、治験審査委員会の審査の対象となる最新の書類を全て提出するものとする。

5-2-3-3 医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づいて、治験の実施を了承し、又は計画の修正等の必要な指示を与えるなどの決定を下し、治験審査委員会の意見とともに治験責任医師及び治験依頼者に対し文書で通知するものとする。ただし、治験審査委員会が却下とした治験については、その実施を了承することはできない。

5-2-3-4 医療機関の長は、8-1-8-1及び8-1-8-2の規定に係る文書の入手を求める旨の治験依頼者の申し出があった場合には、これに応じなければならない。

5−2−4 治験の中止、中断及び終了等

5-2-4-1 医療機関の長は、治験依頼者が治験の中止又は中断を決定し、その旨を通知してきた場合は治験審査委員会に対し、また、治験依頼者の事前の同意無しに治験責任医師が治験を中止又は中断し、その旨を通知してきた場合は治験依頼者及び治験審査委員会に対し、それぞれ速やかにその旨を通知するとともに、中止又は中断について文書で詳細に説明しなければならない。

5-2-4-2 医療機関の長は、治験審査委員会が承認の取消し又は保留を決定し、その旨を通知してきた場合は、治験責任医師及び治験依頼者に対し、取消し又は保留について速やかに通知するとともに、必要な指示を文書で与えなければならない。また、医療機関の長は、治験審査委員会の決定について、治験責任医師及び治験依頼者に文書で詳細に報告しなければならない。

5-2-4-3 医療機関の長は、8-1-8-3の規定に係る文書の入手を求める旨の治験依頼者の申し出があった場合には、これに応じなければならない。

5-2-4-4 治験責任医師が治験の終了を通知してきた場合には、医療機関の長、適切な場合には治験責任医師は、治験審査委員会に治験結果の概要を報告しなければならない。

5−2−5 治験事務局の設置

5-2-5-1 医療機関の長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指定し、又はその組織を設けるものとする(以下「治験事務局」という)。

5-2-5-2 治験事務局は、医療機関の長の指示により、次の業務を行うものとする。
1) 治験の契約等の業務
2) 治験実施計画書、同意文書及びその他の説明文書、被験者の募集手順(広告等)、治験薬概要書等、治験審査委員会の審査の対象となる書類が、治験依頼者又は治験責任医師から医療機関の長に提出された場合に、それらを治験審査委員会に提出すること。当該書類が改訂された場合にも同様とする。
3) 治験審査委員会の意見に基づく医療機関の長の決定に関する通知文書を作成し、治験責任医師及び治験依頼者に伝達すること
4) 記録の保存
5) その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務

5-2-5-3 治験事務局は、医療機関の長により設置される治験審査委員会事務局を兼ねることができる。

5−2−6 治験薬の管理

5-2-6-1 医療機関における治験薬の管理責任は、医療機関の長が負う。

5-2-6-2 医療機関の長は、治験薬を保管、管理させるため治験薬管理者を置き、治験薬の管理責任の一部又は全部を委任することができる。治験薬管理者には薬剤師をあて、医療機関で実施される全ての治験の治験薬を管理させることが望ましい。

5-2-6-3 医療機関の長又は治験薬管理者は、治験依頼者の定めるところにより、また本基準を遵守して治験薬を保管しなければならない。

5-2-6-4 医療機関の長又は治験薬管理者は、医療機関へ配送された治験薬の受領、医療機関での在庫、被験者毎の使用状況及び未使用治験薬の治験依頼者への返却又はそれに代わる処分に関して、記録を作成し、保存しなければならない。これらの記録には、日付、数量、ロット番号、使用期限(必要な場合)並びに治験薬及び被験者識別コードを含むものとする。さらに、治験実施計画書に規定された量の治験薬が被験者に投与され、また治験依頼者から受領した全ての治験薬の数量が正しく管理されたことを示す記録を作成し、保存しなければならない。

5−2−7 記録の保存

5-2-7-1 医療機関の長は、治験の実施のための必須文書を少なくとも当該医薬品の製造(輸入)承認時まで、治験を中止した場合にあっては中止後3年間、記録の保管責任者を定めて保存するものとする。但し、依頼者との合意により、必要とされる場合には、これよりも長期間保存するものとする。

5-2-7-2 医療機関の長は、これらの記録がこの保存義務期間中に紛失又は廃棄されることがないようにしなければならない。

6 治験責任医師

6−1 治験責任医師の要件

6-1-1 治験責任医師は、治験に関連する医学的又は歯学的な全ての判断に関する責任を負うものとする。

6-1-2 治験責任医師は、治験を適正に実施するのに必要な教育・訓練及び経験を有し、また本基準において求められる資格要件を満たしていなければならない。また、治験責任医師は、最新の履歴書及び治験依頼者、治験審査委員会あるいは規制当局により要求される適切な文書によりこのことを証明しなければならない。

6-1-3 治験責任医師は、治験依頼者と合意した治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び治験依頼者が提供するその他の文書に記載されている治験薬の適切な使用法に十分精通していなければならない。

6-1-4 治験責任医師は、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を熟知し、これを遵守しなければならない。

6-1-5 治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに規制当局による調査を受け入れなければならない。治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じて、全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。

6-1-6 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。

6-1-7 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していなければならない。

6-1-8 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。

6-1-9 治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させた場合には、分担させた業務とそのリストを保存しなければならない。

6-1-10 治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者等に、治験実施計画書、治験薬及び各人の業務について十分な情報を与えなければならない。

6−2 治験責任医師の業務

6−2−1 被験者の選定

6-2-1-1 治験責任医師及び治験分担医師は、被験者の選定に当たって、人権保護の観点から及び治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否について慎重に検討しなければならない。

6−2−2 被験者の同意の取得

6-2-2-1 治験責任医師及び治験分担医師は、本基準の規定に従って、被験者、又は同意の能力を欠く等により被験者本人の同意を得ることが困難であるが、当該治験の目的上それらの被験者を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合には、その代諾者に、治験の内容等を記した同意文書及びその他の説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について文書により同意を得るものとする。

6-2-2-2 治験責任医師は、治験依頼者の協力を得て、被験者から治験への参加の同意を得るために用いる同意文書及びその他の説明文書を作成し、必要な場合にはこれを改訂するものとする。作成又は改訂された当該文書は、予め治験審査委員会の承認を得なければならない。当該文書の作成及び改訂にあたっては、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準、及びヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則を遵守しなければならない。

6−2−3 被験者に対する医療

6-2-3-1 治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、併発症に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。

6-2-3-2 治験責任医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。

6-2-3-3 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、治験責任医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。

6−2−4 治験審査委員会への書類提出

6-2-4-1 治験責任医師は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる書類の全て(改訂されたものを含む)を、医療機関の長を経由して治験審査委員会に提出しなければならない。

6−2−5 医療機関の長の了承、指示

6-2-5-1 治験責任医師は、治験開始前に、治験審査委員会の意見に基づく医療機関の長の治験の実施に関する決定が文書で通知された場合は、その決定に従わなければならない。

6-2-5-2 治験責任医師は、治験実施中に、治験審査委員会の決定に基づき、医療機関の長から治験の中止、中断、取消し又は保留に関する指示が文書で通知された場合には、その指示に従わなければならない。

6−2−6 治験薬の使用等

6-2-6-1 治験責任医師は、治験薬が承認された治験実施計画書を遵守した方法でのみ使用されることを保証しなければならない。

6-2-6-2 治験責任医師又は治験責任医師が指名した者は、治験薬の正しい使用法を各被験者に説明し、当該治験にとって適切な間隔で、各被験者が指示を守っているか否かを確認するものとする。

6−2−7 治験実施計画書の合意及びその遵守

6-2-7-1 治験責任医師は、当該治験の実施について治験依頼者と合意する前に、治験依頼者から提供される治験実施計画書及び最新の治験薬概要書その他必要な資料・情報及び治験依頼者との協議に基づき、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討しなければならない。

6-2-7-2 治験責任医師は、6-2-7-1の検討の結果に基づき、治験実施計画書に合意し、これを遵守して治験を実施する旨を証するため、治験実施計画書又はそれに代わる文書に記名捺印又は署名し、日付を記入するものとする。治験審査委員会の意見に基づく医療機関の長の指示により治験実施計画書が修正された場合も同様とする。

6−2−8 治験実施計画書からの逸脱等

6-2-8-1 治験責任医師は、治験依頼者の事前の同意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものである場合又は治験の事務的事項(例えば、モニターの変更、電話番号の変更)のみに関する変更である場合には、この限りではない。

6-2-8-2 治験責任医師又は治験責任医師が指名した者は、承認された治験実施計画書から逸脱した行為を全て記録し、その理由等を説明しなければならない。

6-2-8-3 治験責任医師は、被験者の緊急の危険を回避するために、治験審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、逸脱又は変更の内容及び理由並びに適切な場合には治験実施計画書の改訂案を可能な限り早急に医療機関の長及び治験審査委員会に提出してその承認を得るとともに、治験依頼者の同意を得なければならない。

6-2-8-4 治験責任医師は、無作為割付の手順が規定されている場合にはこれに従い、キーコードが治験実施計画書を遵守した方法でのみ開封されることを保証するものとする。盲検法による治験において予定よりも早い段階での開封(事故による開封、重篤な有害事象のための開封など)を行った時は、治験責任医師はこれを速やかに文書に記録し、その理由を治験依頼者に説明しなければならない。

NO4に続く
  問い合わせ先 厚生省薬務局審査課
     担 当 稲荷(内2911)、小野(内2738)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
         (直)03-3595-2431

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