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医薬品の臨床試験に関する基準改定素案の公表についてNO2

2-37 直接閲覧
 治験の評価に重要な記録や報告を検証、分析、確認し、複写すること。直接閲覧を行ういかなる者(例えば規制当局並びに治験依頼者のモニター及び監査担当者)も、被験者の身元及び治験依頼者に帰属する情報に関する秘密の保全を図るため、法令の定めに従って、あらゆる妥当な予防措置を講ずる。

2-38 独立データモニタリング委員会
 治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価し、治験依頼者に治験の継続、変更、又は中止を提言することを目的として、治験依頼者が設置することができる独立した委員会。

2-39 被験者
 治験に参加し、治験薬の投与を受けるか又はその対照となる個人。

2-40 被験者識別コード
 個々の被験者の身元に関する秘密を保護するため、治験責任医師が各被験者に割り付けた固有の識別符号で、治験責任医師が有害事象及びその他の治験関連データを報告する際に、被験者の氏名の代わりに用いられるもの。

2-41 被験者の福祉
 治験に参加する被験者の肉体的及び精神的な健全性。

2-42 必須文書
 治験の実施及び得られたデータの質を個々にかつまとめて評価することを可能にする文書等の記録。

2-43 秘密の保全
 治験依頼者に帰属する情報及び被験者に関して得られた情報を、正式に認められた者 以外には開示しないこと。

2-44 標準業務手順書
 各々の業務毎に、その業務を均質に遂行するための、詳細に記述された指示書。

2-45 非臨床試験
 人を対象としない生物医学的試験及びその他の試験。

2-46 副作用
 治験薬(対照薬として用いられる市販薬を除く)については以下のとおり:
 投与量にかかわらず、投与された治験薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む)。すなわち、当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。

 市販薬については以下のとおり:
 疾病の予防、診断、治療、又は生理機能の調整のために用いられる通常の投与量範囲で投与された医薬品に対する有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む)。

(なお、本基準において、副作用という用語は、薬理作用の中で主作用に対する副作用を意味する英語の side effect ではなく、薬物有害反応 adverse drug reaction に対応する意味で用いられる。)

2-47 無作為化
 バイアス(偏り)を軽減するために、被験者を無作為に処置群又は対照群に割り付ける方法。

2-48 盲検化又は遮蔽化
 治験に参加する単数又は複数の当事者が、治療方法の割付けについて知らされないようにする措置をいう。単盲検法は通常、被験者が割付けの内容を知らされないこと、二重盲検法は被験者、治験責任医師、モニター、及び一部の事例ではデータ解析者が割付けの内容を知らされないことを指す。

2-49 モニタリング
 治験の進行状況を調査し、治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準に従って実施、記録及び報告されていることを保証すること。

2-50 モニタリング報告書
 モニターが、治験依頼者の標準業務手順書に従って、医療機関を訪問したごとに、及び治験に係わるあらゆる交信の後に作成し、治験依頼者に提出する報告書。

2-51 有害事象
 治験薬を投与された被験者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごと。必ずしも当該治験薬の投与との因果関係が明らかなもののみを示すものではない。すなわち、有害事象とは、治験薬が投与された際に起こる、あらゆる好ましくないあるいは意図しない徴候(臨床検査値の異常を含む)、症状又は病気のことであり、当該治験薬との因果関係の有無は問わない。

2-52 予測できない副作用
 副作用のうち、治験薬に関する適用可能な情報(例えば、未承認の治験薬では治験薬概要書、既承認医薬品では添付文書や特性を記した説明書)と、その性質や重症度が一致しないもの。

3 治験の原則

 治験は、次に掲げる原則に則って実施されなければならない。

3-1 治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、本基準を遵守し、及び法令の定めに従って行われなければならない。

 

3-2 治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予期される危険及び不便とを比較考量するものとする。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。

 

3-3 被験者の人権、安全及び福祉に対する配慮が最も重要であり、科学的、社会的利益よりも優先されるべきである。

 

3-4 治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。

3-5 治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。

 

3-6 治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施しなければならない。

 

3-7 被験者に対する医療及び被験者のためになされた医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うべきである。

 

3-8 治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていなければならない。

 

3-9 全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得なければならない。

 

3-10 治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い及び保存しなければならない。

 

3-11 被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、法令の定めに従って、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。

 

3-12 治験薬の製造、取扱及び保存は、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)に準拠して行うものとする。治験薬は承認された治験実施計画書を遵守して使用するものとする。

 

3-13 治験のあらゆる局面の質を確保するための手順を示したシステムが、運用されなければならない。

 

4 治験審査委員会

4−1 治験審査委員会の設置等

4-1-1医療機関の長は、医療機関が小規模である等の理由により自らの医療機関に治験審査委員会を設置することが困難である場合を除き、治験の審査を行うため、治験審査委員会を自らの医療機関に設置するものとする。

4-1-2医療機関の長は、医療機関が小規模である等の理由により自らの医療機関に治験審査委員会を設置することが困難である場合には、複数の医療機関の長の協議により、共同で治験審査委員会を設置することができる。

4-1-3 営利を目的としない組織又は団体の長(4-1-1及び4-1-2に掲げる医療機関の長を除く)は、治験の審査を行う治験審査委員会を設置することができる。

 

4-1-4 医療機関の長、営利を目的としない組織又は団体の長は、治験審査委員会を設置する場合には、治験審査委員会の運営に関する事務を行う者を指定し、又はその組織を設けるものとする。(以下「治験審査委員会事務局」という)。

 

4-1-5 医療機関の長又は営利を目的としない組織、団体の長は、治験審査委員会を設置する場合には、治験審査委員会に関する構成、運営、業務の手順及び記録の保存に関する事項を文書により定めるものとする。

4−2 治験審査委員会の責務

4-2-1 治験審査委員会は、全ての被験者の権利、安全及び福祉を保護しなければならない。社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払わなければならない。

4-2-2 治験審査委員会は、その責務の遂行のために、次の資料を入手しなければならない。
1) 治験実施計画書
2) 同意文書及びその他被験者への説明に用いられる文書
3) 被験者の募集手順に関する資料
4) 治験薬概要書
5) 安全性に関する資料
6) 被験者への支払及び補償に関する資料
7) 治験責任医師及び治験分担医師の最新の履歴書及び治験責任医師の要件に関するその他の資料
8) 予定される治験費用に関する資料
9) その他治験審査委員会が必要と認めた資料

4-2-3 治験審査委員会は、治験の実施について、適切な期間内に審査を行い、その意見を文書で表明し、医療機関の長に報告しなければならない。文書には審査対象の治験、審査した資料、審査日及び当該治験に対する治験審査委員会の意見が次のイからニのいずれに該当するかについて明確に示されていなければならない。
 イ 承認する
 ロ 修正の上で承認する
 ハ 却下する
 ニ 既に承認した事項を取り消す又は保留する

4-2-4 治験審査委員会は、医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができるなど、当該治験を適切に実施することができるが否かを検討するものとする。

4-2-5 治験審査委員会は、治験責任医師及び治験分担医師が当該治験を実施する上で適格であるか否かをその最新の履歴書等により検討するものとする。 

 

4-2-6 治験審査委員会は、進行中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも1年に1回以上の頻度で継続的に審査するものとする。

 

4-2-7 治験審査委員会は、被験者の権利、安全及び福祉を保護する上で追加の情報が意味のある寄与をすると判断した場合には、同意文書及びその他の説明文書に求められる事項(7−3参照)以上の情報を被験者に提供するように要求することができる。

4-2-8 被験者の代諾者の同意に基づき、非治療的な治験が行われることが計画されている場合には、治験審査委員会は、提案された治験実施計画書及びその他の文書が、関連する倫理的問題を適切に配慮しており、かつ適用される法令の定めに従っているものであることを確認しなければならない。

 

4-2-9 治験実施計画書において、被験者又はその代諾者の事前の同意を得ることが不可能であることが明らかにされている場合には、治験審査委員会は、提案された治験実施計画書及びその他の文書が、関連する倫理的問題を適切に配慮しており、かつこうした治験(緊急的状況下における治験など)に対して適用される法令の定めに従ったものであることを確認しなくてはならない。

 

4-2-10 治験審査委員会は、被験者に対する支払がある場合には、その支払額及び支払方法を審査し、これらが被験者に治験への参加を強制したり、不当な影響を及ぼさないことを確認しなければならない。被験者への支払いは参加期間等によって案分されなければならず、被験者が治験を完遂しなければ支払いが全くなされないような方法は不適当である。

4-2-11 治験審査委員会は、被験者に対する支払いがある場合にはその支払方法、支払金額、支払時期等の情報が、同意文書及びその他の説明文書に記述されていることを確認し、参加期間等による案分の方法が明記されていることを確かめなければならない。

4−3 治験審査委員会の構成

4-3-1 治験審査委員会は、治験について科学的、医学的及び倫理的観点から審議及び評価するのに必要な資格及び経験を、委員会全体として保持できる適切な数の委員により構成するものとし、次に掲げる要件を満たさなければならない。
1) 少なくとも5人以上の委員からなること
2) 少なくとも委員の1人は、自然科学以外の領域に属していること
3) 少なくとも委員の1人は、医療機関及び治験の実施に係わるその他の施設とは関係を有していないこと

4-3-2 委員は医療機関の長又は営利を目的としない組織又は団体の長が指名するものとする。

4-3-3 治験審査委員会は、委員以外の特別な分野の専門家に出席を求め、その協力を仰ぐことができるものとする。

4−4 治験審査委員会の運営

4-4-1 治験審査委員会は、あらかじめ開催が通知され、業務手順書に規定する定足数又はそれを超える数の委員が出席した会議においてその意思を決定するものとする。

4-4-2 採決に当たっては、審議及び討議に参加した委員のみが採決への参加又は意見の表明をすることが許されるものとする。

 

4-4-3 当該治験の治験依頼者及び治験責任医師と関係のある委員は、治験審査委員会における当該治験に関する事項の採決への参加及び意見の表明はできないものとする。

4-4-4 治験責任医師は、その関与する治験について情報を提供することは許されるが、治験審査委員会の討議及び採決には参加できない。

4-4-5 治験審査委員会は、審議及び討議に参加した委員名簿と各委員の資格に関する記録を保存しなければならない。

4−5 治験審査委員会の業務の手続き

4-5-1 治験審査委員会は、業務手順書に従ってその業務を行い、またその活動及び審議の記録を保存し、かつ薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を遵守しなければならない。なお、業務手順書には、以下の事項を含む手続きを規定するものとする。

1) 治験審査委員会の構成(委員の氏名及び資格)及び治験審査委員会の組織上の位置づけを明確にすること。
2) 会議の成立要件を定めること。
3) 会議の開催日程を決定し、委員に通知し、会議を運営すること。
4) 治験開始前の審査及び治験開始後の継続審査を実施すること。
5) 継続審査について、適切な頻度を決定すること。
6) 治験審査委員会により既に承認された進行中の治験に関わる軽微な変更に関して、迅速審査と承認を行う場合の条件を定めること。
7) 治験審査委員会が治験を承認する旨の文書を発行する前に被験者を治験に参加させないよう求める規定を定めること。
8) 被験者に対する緊急の危険を回避するために必要な場合、又は変更が事務的事項に関するものである場合(例えば、モニターの変更や電話番号の変更)を除き、治験審査委員会から承認の文書を得る前に治験実施計画書からの逸脱又は変更を開始しないよう求める規定を定めること。
9) 治験責任医師が以下の事項について治験審査委員会に速やかに報告するよう求める規定を定めること。
i) 被験者に対する緊急の危険を回避するために行った治験計画書からの逸脱又は変更
ii) 被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす治験に関する変更
iii) 全ての重篤かつ予測できない副作用
iv) 被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報
10) 次の事項について、治験審査委員会は医療機関の長に速やかに文書をもって確実に通知すること。
i) 治験に関連する委員会の決定
ii) 決定の理由
iii) 委員会の決定に対する異議申立て手続き
11) 記録の保存に関すること。
NO3に続く

  問い合わせ先 厚生省薬務局審査課
     担 当 稲荷(内2911)、小野(内2738)
     電 話 (代)[現在ご利用いただけません]
         (直)03-3595-2431

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