医薬品の臨床試験に関する基準(GCP)については、本年9月に設置された中央薬事審議会GCP特別部会においてその改定案の検討が行われてきたところですが、ここに、審議中の別添GCP改定素案を公表いたします。
ご意見等のある方は文書にて1月20日(月)までに次の宛先に送付頂ければ、審議の資料として活用させて頂きます。
また、GCP改定素案の資料の入手をご希望の方は、次の宛先に、住所、氏名を明記した返信用封筒(A4の文書が入るサイズ。390円分の切手をお貼り下さい)を同封の上、郵送にてお申し込み頂ければ送付申し上げます。
(宛先) 厚生省薬務局審査課 〒100-45 東京都千代田区霞ヶ関1−2−2 FAX 03−3597−9535
(注)本件に関する問合わせにつきましては、できるだけ郵送あるいはFAXで、上記の連絡先にお寄せ下さい。
目次
1 目的.............................. 1
2 用語の定義........................... 2
3 治験の原則........................... 8
4 治験審査委員会.........................10
4−1 治験審査委員会の設置等..............10
4−2 治験審査委員会の責務...............10
4−3 治験審査委員会の構成...............12
4−4 治験審査委員会の運営...............12
4−5 治験審査委員会の業務の手続き...........13
4−6 記録の保存....................14
5 医療機関............................15
5−1 医療機関の要件..................15
5−2 医療機関の長の業務................15
5−2−1 治験実施の手続き.............15
5−2−2 治験審査委員会との関係..........15
5−2−3 治験の実施の了承等............16
5−2−4 治験の中止、中断及び終了等........16
5−2−5 治験事務局の設置.............17
5−2−6 治験薬の管理...............18
5−2−7 記録の保存................18
6 治験責任医師..........................19
6−1 治験責任医師の要件................19
6−2 治験責任医師の業務................20
6−2−1 被験者の選定...............20
6−2−2 被験者の同意の取得............20
6−2−3 被験者に対する医療............20
6−2−4 治験審査委員会への書類提出........21
6−2−5 医療機関の長の了承、指示.........21
6−2−6 治験薬の使用等..............21
6−2−7 治験実施計画書の合意及びその遵守.....21
6−2−8 治験実施計画書からの逸脱等........22
6−2−9 症例報告書等の記録及び報告........22
6−2−10 治験中の報告等..............23
6−2−11 治験の中止又は中断............24
6−2−12 治験の終了................24
7 被験者の選定とインフォームド・コンセント............25
7−1 被験者の選定...................25
7−2 インフォームド・コンセント............25
7−2−1 原則...................25
7−2−2 新たな情報が得られた場合.........26
7−2−3 被験者本人の同意取得が困難な場合.....26
7−2−4 非治療的治験...............27
7−2−5 緊急状況下での治験............27
7−2−6 被験者が同意文書等を読めない場合.....27
7−3 被験者に対する説明事項..............28
8 治験依頼者...........................30
8−1 治験依頼者の業務.................30
8−1−1 治験の品質保証及び品質管理........30
8−1−2 体制...................30
8−1−3 治験責任医師の選定等...........31
8−1−4 治験実施計画書の作成等..........31
8−1−5 治験薬概要書の作成等...........31
8−1−6 治験計画の届出..............31
8−1−7 治験の依頼................31
8−1−8 治験審査委員会による審査結果の確認....32
8−1−9 治験薬の製造、包装、表示及びコード化...33
8−1−10 治験薬の交付...............34
8−1−11 データの取扱い..............34
8−1−12 多施設共同治験..............35
8−1−13 被験者に対する補償............36
8−1−14 安全性情報................36
8−1−15 副作用報告................36
8−1−16 不遵守..................37
8−1−17 開発又は治験の中止並びに中断.......37
8−1−18 記録の閲覧................37
8−1−19 記録の保存等...............37
8−1−20 治験の総括報告書.............38
8−2 モニタリング...................38
8−2−1 モニタリングの目的............38
8−2−2 モニターの選定及び要件..........38
8−2−3 モニタリングの範囲及び方法........38
8−2−4 モニタリングの手順............41
8−2−5 モニタリング報告書............41
8−3 監査.......................41
8−3−1 監査の目的................41
8−3−2 監査担当者の選定及び要件.........41
8−3−3 監査の方法................42
8−3−4 監査報告書................42
8−3−5 監査証明書................42
8−4 開発業務受託機関.................42
9 治験の契約...........................44
10 治験実施計画書.........................44
10−1 治験実施体制...................45
10−2 背景情報.....................45
10−3 治験の目的....................45
10−4 治験のデザイン..................45
10−5 被験者の選択・除外・中止基準...........46
10−6 被験者の治療...................46
10−7 有効性の評価...................47
10−8 安全性の評価...................47
10−9 統計解析.....................47
10−10 原資料の直接閲覧.................47
10−11 治験の品質管理及び品質保証............48
10−12 倫理.......................48
10−13 データの取扱い及び記録の保存...........48
10−14 金銭の支払い及び保険...............48
10−15 公表に関する取決め................48
11 治験薬概要書..........................49
11−1 目的.......................49
11−2 一般的事項....................49
11−3 治験薬概要書の内容................50
1 目的
この基準は、医薬品の製造(輸入)承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行われる治験の計画、実施、モニタリング、監査、記録、解析及び報告等に関する遵守事項を定め、被験者の権利、安全及び福祉を保護し、かつ治験の科学的な質と成績の信頼性を確保することを目的とする。
2 用語の定義
この基準において用いられる主な用語の意義は、次に定めるところによる。
2-1 医療機関
治験が実施される医療機関。
2-2 インフォームド・コンセント
被験者の治験への参加の意思決定に必要な、治験に関するあらゆる角度からの説明がなされた後に、被験者が自由な意思によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認する過程。インフォームド・コンセントは、署名と日付が記入された同意文書をもって証明される。
2-3 開発業務受託機関
治験依頼者の治験に係わる業務を治験依頼者から受託する個人又は組織・団体。
2-4 監査
治験が治験実施計画書、治験依頼者の標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準に従って実施され、データが記録、解析され、正確に報告されているか否かを確定するため、治験に係わる業務及び文書を体系的かつ独立に検証すること。
2-5 監査証跡
事実経過の再現を可能とする文書。
2-6 監査証明書
治験依頼者の監査担当者による監査が行われた旨の証明書。
2-7 監査報告書
治験依頼者の監査担当者による監査の結果の評価を記述したもの。
2-8 規制当局
厚生省及び厚生大臣が薬事法に基づき調査を委託した者。
2-9 規制当局による調査
治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準に従って実施され、データが記録・解析され、正確に報告されているか否かを確定するために規制当局が行う検証。
2-10 原医療記録
原資料のうち、被験者の治験に係る臨床所見、観察等の医療データ及び記録。
2-11 原資料
元となる文書、データ及び記録(例えば、病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、与薬記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者ファイル及び治験に関与する薬局、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)。
2-12 原データ
治験における臨床所見、観察、その他の活動に関する元の記録又はその保証付き複写に記録されているあらゆる情報で、治験の再現と評価に必要なもの。原データは原資料の中に含まれる。
2-13 公正な立会人
治験の実施から独立し、治験関係者から不当に影響を受けない者で、被験者又はその代諾者が同意文書及びその他の被験者への説明文書を読むことができない場合にインフォームド・コンセントの過程に立ち会う者。
2-14 社会的に弱い立場にある者
参加に伴う利益あるいは参加拒否による上位者の報復を予想することにより、治験への自発的参加の意思が不当に影響を受ける可能性のある個人。例としては、階層構造を有するグループの構成員としての医・歯学生、薬学生、看護学生、下位の病院及び検査機関の職員、製薬企業従業員並びに被拘留者等がある。その他の例には、不治の病に罹患している患者、養護施設収容者、失業者又は貧困者、緊急状態にある患者、少数民族集団、ホームレス、放浪者、難民、未成年並びに治験参加への同意を表明する能力のない者があげられる。
2-15 重篤な有害事象又は重篤な副作用
投与量にかかわらず、治験薬が投与された際に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごとのうち、死亡に至るもの、生命を脅かすもの、治療のため入院又は入院・加療期間の延長が必要なもの、永続的又は重大な障害・機能不全に陥るもの、先天異常を来すものを言う。
2-16 症例報告書
各被験者に関して、治験依頼者に報告することが治験実施計画書において規定されている全ての情報を記録するための印刷された又は光学的若しくは電子的な記録様式及びこれらに記録されたもの。
2-17 対照薬
治験において比較の対照として用いられる未承認有効成分を含む製剤又は市販薬(すなわち実対照薬)、又はプラセボ。
2-18 代諾者
治験への参加について、被験者になると見込まれる者に代わって同意をなし得る者。
2-19 多施設共同治験
単一の治験実施計画書に従い、複数の医療機関、すなわち複数の治験責任医師によって実施される治験。
2-20 治験
人を対象として、被験薬の臨床的、薬理学的及びその他の薬力学的効果の検出又は確認、被験薬の副作用の確認、被験薬の安全性及び有効性を確認するための被験薬の吸収、分布、代謝及び排泄の検討等を行う試験で、医薬品の製造(輸入)承認又は承認事項の一部変更承認を申請するに際し提出すべき資料の収集を目的とするもの。
2-21 治験依頼者
治験の発案、運営・管理及び資金等に責任を負う個人、会社、研究機関又は団体。
2-22 治験協力者
医療機関において治験を実施するチームのメンバーで、治験責任医師によって指名・監督され、専門的立場から治験責任医師及び治験分担医師の業務に協力する者。
2-23 治験審査委員会
医学・科学の専門家及び非専門家によって構成される独立の委員会。当委員会の責務は、特に、治験実施計画書並びに被験者から文書によるインフォームド・コンセントを得るのに使用される方法及び資料を審査し、承認し、また継続審査を行うことによって、被験者の人権、安全及び福祉の保護を保証することである。
2-24 治験実施計画書
治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書(改訂された実施計画書を含む)。
2-25 治験実施計画書の改訂
治験実施計画書に加えられた変更で、文書化又は公式に明示されたもの。
2-26 治験責任医師
医療機関において治験の実施に関して責任を有する医師又は歯科医師。医療機関において、治験が複数の者からなるチームにより実施される場合には、治験責任医師は当該チームの責任者たるリーダーである。
2-27 治験調整委員会
多施設共同治験の実施を調整するために、治験依頼者が設置することのできる委員会
2-28 治験調整医師
多施設共同治験の実施において、参加各医療機関の治験責任医師を調整する責任を担う医師又は歯科医師。
2-29 治験の総括報告書
治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書。
2-30 治験の中間報告書
治験の進行中に行われる解析に基づく中間的な治験成績とその評価に関する報告書。
2-31 治験の品質管理
治験関連の活動の質に求められる要件を充足していることを検証するために、治験の品質保証システムの一環として行われる実務的な手法及び活動。
2-32 治験の品質保証
治験の実施、データ作成、文書化(記録化)及び報告が、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を遵守していることを保証するために設定された、計画的かつ体系的な全活動。
2-33 治験分担医師
医療機関において治験を実施するチームに参加する個々の医師又は歯科医師で、治験責任医師によって指名・監督され、治験に係わる重要な業務及び決定を行う者。
2-34 治験薬
治験において被験薬又は対照薬として用いられる有効成分を含む製剤(承認の有無を問わない)又はプラセボ。
2-35 治験薬管理者
医療機関において医療機関の長によって指名され、治験薬を保管、管理する薬剤師、又は医師若しくは歯科医師。ただし、原則として薬剤師とする。
2-36 治験薬概要書
治験の実施に必要な、治験薬に関する非臨床及び臨床試験成績を編集したもの。
問い合わせ先 厚生省薬務局審査課 担 当 稲荷(内2911)、小野(内2738) 電 話 (代)[現在ご利用いただけません] (直)03-3595-2431