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事業評価書(事前)

事務事業名 新たな緊急地域雇用特別交付金の創設
事務事業の概要 (1)目的  現下の厳しい雇用情勢に鑑み、構造改革の集中調整期間中の臨時応急の措置として、緊急地域雇用創出特別交付金(仮称)を創設し、これを都道府県に交付することにより、地方公共団体が地域のニーズを踏まえて独自に創意工夫を凝らした事業を実施し、公的部門における緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出を図る。
(2)内容

 交付金を財源として都道府県に造成した基金を活用し、都道府県及び市町村は、次の事業を平成16年度末までの間に実施する。

(1) 都道府県が実施する事業(委託事業又は直接実施事業)

(1) 国の推奨事業例を参考に都道府県が企画した新たな事業であること。

  (注)既存事業の振替でないこと。

(2) 建設・土木事業及び都道府県において当該事業の実施による直接的な収益を見込んだ事業でないこと。

(3) 雇用・就業機会を創出する効果が高い事業であること。

  (注)

  • 都道府県の事業計画全体で、事業費に占める人件費割合が概ね8割以上であること。

  • 都道府県の事業計画全体で、事業に従事する全労働者数に占める新規雇用の失業者数が概ね4分の3以上であること。

(4) 事業で新規雇用する労働者の雇用期間は6カ月未満とし、原則として雇用期間の更新は認めない(事業内容等によっては1回のみ更新を認める。)ものであること。

(5) 労働者を新規雇用する際に、本人に失業者であることの確認を行うものであること。

(2) 市町村が実施する事業(委託事業又は直接実施事業)

 (1)の要件を満たす事業を市町村が実施する場合には、都道府県から市町村に対し補助金(10/10)を交付する。

要求額 350,000百万円
(3)達成目標  本事業により、平成16年度末までに50万人強の雇用・就業機会の創出を見込む。
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 厳しい雇用情勢(完全失業率が5%台(これまでの最高水準)で推移)が続き、また、今後、構造改革の本格化に伴い多数の離職者の発生が強く懸念される中、雇用の創出が我が国における重要課題の一つとなっているが、厳しい経済情勢の下、民間主導の雇用創出には時間を要する状況となっている。こうした状況の下で、公的部門において臨時応急の措置として、緊急かつ臨時的な雇用の場を提供することに対する社会的ニーズは高い。

〔公益性〕
 本事業の実施によって、緊急かつ臨時的な雇用の場が創出されることにより、その間の失業者の生活の安定が図られるとともに、地方公共団体が創意工夫を凝らし企画した事業を実施することにより、地域の実情に応じた公共サービスが提供されるものであり、高い公益性を有する。

〔官民の役割分担〕
 雇用の創出は、本来、民間における安定した雇用を基本とすべきものであるが、厳しい雇用情勢等を背景とした臨時応急の措置として、国及び地方公共団体が、公的部門において緊急かつ臨時的な雇用の創出を行うものである。なお、民間企業等に地方公共団体から委託し、事業を実施することにより、失業者に対する雇用の場を民間企業等に創出するものである。

〔国と地方の役割分担〕
 国においては、財源の確保、事業の仕組み作りを行うほか、推奨事業例の提示、事業の着実な実施を確保するための事業計画の確認等の役割を担うものである。地方公共団体においては、各地域のニーズを踏まえた事業を計画し、交付金を財源として事業を実施する役割を担うものであり、併せて、自らの財源による事業の上積みにも努めるものである。

〔民営化や外部委託の可否〕
 地方公共団体が個々の事業を実施する際には、民間企業、NPO、シルバー人材センター等に委託して実施する事業を中心とするものである。

〔緊要性の有無〕
 本事業は、厳しい雇用情勢の中で、緊急かつ臨時的な雇用創出を図るための臨時応急の措置であり、緊要性を有する。
(2)有効性 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕
 現行の緊急地域雇用特別交付金事業(平成11年8月から13年度末まで)により約30万人の雇用が創出される見込みであるが、新たな緊急地域雇用創出特別交付金事業においては、より雇用創出効果が高くなるよう一定の要件を設けるなどの見直しを行ったものであり、平成16年度末までに50万人強の雇用創出が図られると見込んでいる。なお、雇用創出効果のみならず、事業内容に応じた様々な効果(例えば、学校教育の充実)の発現も見込まれる。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 地方公共団体における事業の開始後、直ちに雇用創出効果が発現することが見込まれる。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 本事業は、臨時応急の措置として、公的部門において緊急かつ臨時的な雇用の創出を行うものであり、国が財源、制度の整備等を行い、地方公共団体が各地域におけるニーズを踏まえ、創意工夫を凝らした事業を計画し、民間企業等への委託事業を中心として実施するものであり、緊急に雇用創出を行うための手段として、即効性があり、適正なものである。
 また、事業実施による雇用創出効果が高くなるようにするため、(1)都道府県の事業計画全体で事業費に占める人件費割合が概ね8割以上であること、(2)都道府県の事業計画全体で事業に従事する全労働者に占める新規雇用の失業者の割合が概ね4分の3以上であることを要件として設けるほか、都道府県が作成した事業計画については、国の確認を受け、都道府県が公表することとすることなどにより、事業の適正な実施を確保することとしている。
(4)その他 〔公平性〕
 本事業により、より多くの失業者に対して雇用の場が提供できるよう、雇用期間については、原則として6か月未満(事業内容等によっては、1回の更新可)とすることとしている。
関連事務事業 なし
特記事項 〔各種政府決定との関係及び遵守状況〕
 「総合雇用対策」(平成13年9月20日、産業構造改革・雇用対策本部決定)において、「現行の「緊急地域雇用特別交付金」を真に雇用創出効果の高い事業に重点化し、新たな緊急地域雇用特別交付金を創設することにより、学校への教育補助者や警察支援要員、環境保全のための森林作業員等公的部門(民間企業やNPOの活用も含む。)における緊急かつ臨時的な雇用(新公共サービス雇用)の創出を推進する」とされている。
 「改革先行プログラム」(平成13年10月26日、経済対策閣僚会議決定)において、「集中調整期間(今後2〜3年)における雇用問題への対応に万全を期すため、中高年齢層失業者や雇用保険給付の非受給者を中心に、地方公共団体が地域のニーズを踏まえ、民間企業やNPO等を活用しつつ、緊急かつ臨時的な雇用(新公共サービス雇用)等を行うこととし、このため、3500億円規模の新たな緊急地域雇用創出特別交付金(仮称)を創設し、都道府県に所要の資金を交付する」とされている。
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局雇用開発課



事業評価書(事前)

事務事業名 訓練延長給付の拡充
事務事業の概要 (1)目的  雇用保険の基本手当を受給している中高年齢者について、訓練延長給付を拡充することにより、その生活の安定を図りつつ、能力開発を支援し、その再就職を促進する。
(2)内容  職業訓練付きの失業給付延長制度(訓練延長給付制度)について、中高年齢者を対象に長期間の職業訓練コースをより多く提供するとともに、複数のコースを受講できるようにする。
 具体的には、訓練延長給付制度の対象となる公共職業訓練等の受講枠を拡大し、中高年齢者について、より長期の職業訓練を増やすとともに、複数回の職業訓練の受講を可能とすることにより、これらの者の生活の安定を図りつつエンプロイアビリティ(就業可能性)を高め、再就職の促進を図るものである。

《具体例》

具体例の図

要求額 19,146百万円
(3)達成目標  中高年齢の基本手当受給者について、失業給付を受給しながら複数回の訓練受講をできることとし(平成13年度中5千人程度)、これらの者の早期再就職を実現する。なお、今回の措置にあわせ、訓練受講者の再就職状況について把握する体制を整備する。
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 雇用のセーフティネットとして、現下の厳しい雇用失業情勢の下、ミスマッチ解消のために能力開発を行う中高年齢者に対する支援を積極的に行うことは、国民や社会のニーズにかなうものである。

〔公益性〕
 雇用保険の訓練延長給付は基本手当の受給資格者が、公共職業安定所長の受講指示により、公共職業訓練等を受講する場合に、訓練を受けている期間(最長2年間を限度とする。)内の失業している日について、所定給付日数(90〜330日)を超えて基本手当(「訓練延長給付」)を支給することにより、求職者の生活の安定を図りつつ、職業能力を高めて再就職を促進するものであり、公益性を有する。

〔官民の役割分担・国と地方の役割分担・民営化や外部委託の可否〕
 失業給付は労働者及び使用者の拠出する保険料及び国庫からの支出を基に、労働者が失業した場合にその生活の安定を図るために支給されるものであり、その制度運営は国が斉一的に実施する必要があり、民営化や外部委託は不可。なお、訓練延長給付の対象となる公共職業訓練については、民間教育訓練機関への委託を拡大している。

〔緊要性の有無〕
 本事業は、現下の厳しい雇用失業情勢の下、求人が少なく、一旦失業した場合に他の年齢層に比べて再就職が難しい中高年齢者について、能力開発を支援し、再就職を促進することを目的として暫定的に実施するものであり、緊要性が高い。

〔他の類似施策(他省庁分を含む)〕
 教育訓練給付(離職者に係るものに限る。)
(2)有効性 〔今後見込まれる効果〕
 訓練延長給付の拡充により、中高年齢者について再就職が促進されることが見込まれる。ただし、再就職については、求人の動向、職業相談等他の要素が多数関連するために、訓練延長給付の拡充の直接的な効果の把握は困難である。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 制度拡充後、対象者が訓練を修了してから直ちに効果が発現する。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 訓練延長給付の拡充を実施するに当たっては、その対象者について、早期の受講指示に留意しつつ、就職活動の状況に照らして再就職の緊要度が高い者とすることを原則とし、複数受講の場合には1回目の出席状況、能力習得状況の優秀な者などから絞り込むこととし、その政策目的が十分に達成されるよう、効果の高い者に限定して実施することとしている。
 また、委託訓練機関については、就職率等実績に基づく的確な選定を行うこととしている。
(4)その他
(公平性・優先性など)
〔公平性〕
 今般の訓練延長給付の拡充は、中高年齢者を対象として暫定的に講じられるものであるが、その実施に当たっては、真に受給者の早期再就職を実現する施策として十分にその効果を発揮できるよう、複数訓練の対象者を絞り込むとともに早期受講指示に努めるなど、その的確な運用に努めることとしている。
関連事務事業 失業等給付
特記事項

総合雇用対策(平成13年9月20日 産業構造改革・雇用対策本部決定)

能力開発を通じて再就職の促進を図るという観点から、より効果的かつ長期の訓練を実施できるよう、訓練延長給付制度を拡充する。

改革先行プログラム(平成13年10月 経済対策閣僚会議)

職業訓練付きの失業給付制度(訓練延長給付制度)について、より長期間の職業訓練講座のより多くの提供や複数講座の受講を可能とするなどにより抜本的に拡充し、訓練受講者の職業能力を高め、再就職を支援することとし、これらを含め雇用保険財政に必要な資金を確保する。
平成12年度実績  訓練延長給付対象者 115,136人
 支給金額 471億円
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局雇用保険課
(関係課)職業安定局業務指導課、能力開発局能力開発課



事業評価書(事前)

事務事業名 退職前長期休業助成金
事務事業の概要 (1)目的  希望退職の募集に応じた労働者に対し、退職前に長期休業を付与することは、再就職のための準備に比較的時間を要する労働者にとって、十分な時間的余裕をもって求職活動を行ったり、労働者が自発的に必要な能力開発を行うことが可能であるので、 失業なき労働移動の実現及び一時に大量の失業者が発生することを抑制する上でも効果的である。このため、希望退職者に対して、長期休業の付与及びその間の能力開発の支援を行う事業主に対して、その経費の一部を助成する。
(2)内容

 希望退職者の募集を行う際に、併せて退職前の長期休業制度を設けた事業主が、希望退職者に対して、長期休業の付与及びその間の自己啓発の支援を行った場合、その経費の一部を助成することとする。

(1) 長期休業の付与に対する助成

@ 対象事業主

  • 雇用・能力開発機構都道府県センターにおいて「退職前長期休業計画」の認定を受けた事業主であること

  • 一定期間内において希望退職者を募集した事業主であること

  • 労働組合等の同意を得た再就職援助計画を作成し、公共職業安定所長の認定を受けた事業主であること

  • 希望退職者に対して6ヶ月以上2年以内の休業を付与する事業主であること

A 対象労働者

  • 休業開始時点において45歳以上の者であって、勤続年数が10年以上の者であること

  • 休業終了時点において離職することが予定されている者であること

B 助成の内容

  • 休業期間中に事業主が支払った賃金相当額の1/3を助成
        (支給上限:1年以内)

(2) 長期休業期間中の教育訓練の受講支援に対する助成

@ 対象事業主(上記(1)と同じ)
A 対象労働者(上記(1)と同じ)
B 助成の内容

  •  休業期間中に対象労働者が教育訓練を受けた場合に、当該教育訓練の受講について事業主が負担した経費の1/3を助成

*H13年度補正予算は事務費のみ

要求額 54百万円
(3)達成目標  離職を余儀なくされた労働者の再就職を促進するとともに、一時の大量の離職者の発生を防止する。
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 今後の不良債権処理等の一連の構造改革の推進に伴い、大量の離職者の発生が余儀なくされる企業が増加することが懸念されるが、希望退職者の募集に応じた労働者に対して、退職前に長期休業を付与することは、労働者としての地位を維持したまま安心して求職活動や教育訓練に取組むことを可能とし、失業なき労働移動の推進を求める国民・社会のニーズに沿うものである。

〔公益性〕
 事業主がその実施する雇用調整により離職を余儀なくされる労働者に対する再就職支援措置への支援であり、これにより円滑な労働移動を実現することが可能である。このことは、労働者の職業の安定、ひいては我が国の経済社会の発展に資するものであり公益性を有する。

〔官民の役割分担〕
 雇用調整を予定している事業主が希望退職を募集する場合に、在職中からの求職活動を可能にするための長期休暇の付与等を行うことは、労働者の再就職の促進に資するものであることから、こうした取組みに対し、国として助成するものである。

〔民営化や外部委託の可否〕
 円滑な再就職の促進のための助成及び援助の一環として、これらのノウハウを有する雇用・能力開発機構に行わせることとしている。

〔緊要性の有無〕
 今後の不良債権処理等の一連の構造改革の推進に伴い、大量の離職者の発生を余儀なくされる企業が増加することが懸念されるため緊急性を有する。
(2)有効性 〔今後見込まれる効果〕
 この制度を導入し活用することにより、離職を余儀なくされた労働者が休業期間中に、自発的に必要な能力開発を行ったり、在職のまま的確な求職活動を行うことが可能となるので、失業なき労働移動を実現する上で有効である。また、一時に大量の失業者が発生することを抑制するうえでも有効である。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 平成14年度以降、ただし、制度の普及には時間を要すると見込まれる。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 実際に長期休業させた労働者に係る費用の一部を助成することにより、制度創設助成に比べて実効性が確保でき、また、希望退職者に一定期間の休業を付与し、賃金を支払う事業主に対して助成することとしており、リストラ促進ではなく、手段として適正である。
(4)その他
(公平性・優先性など)
 
関連事務事業 なし
特記事項 〔各種政府決定との関係及び尊守状況〕
 「総合雇用対策」(平成13年9月20日産業構造改革・雇用対策本部決定)において、「大量の失業発生の激変緩和や失業なき労働移動を図るため、退職予定者の退職前における長期休業制度を設けた事業主に対して助成を行う」とされている。
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局雇用開発課農山村雇用対策室



事業評価書(事前)

事務事業名 民間事業者の活用を通じた労働移動の円滑な推進
事務事業の概要 (1)目的  厳しい雇用失業情勢の下、官民あいまった労働力需給調整が重要性を増す中で、政府の支援措置と連携・協力する民間の職業紹介事業者(再就職支援会社)を活用し、労働者の円滑な失業なき労働移動をより実効あるものとすることを目的とする。
(2)内容

 雇用対策法又は高年齢者雇用安定法に基づく再就職援助計画の認定を受けた事業主等が、同計画に基づき、民間の職業紹介事業者を活用した再就職支援のための費用を負担し、在職中に計画対象労働者の再就職を実現した場合に、当該事業主に対して当該再就職支援に要する経費の一部を助成する制度を、労働移動支援助成金及び在職者求職活動支援助成金の一形態として設ける。

  • 民間職業紹介事業者への委託費用の1/4(限度額1人当たり30万円)
要求額 501百万円
(3)達成目標  再就職援助計画の認定を受けた事業主等が民間職業紹介事業者を活用して在職中の再就職を実現する労働者数、約1,600人(平成13年12月〜14年3月の支給対象人員)を目標に、離職を余儀なくされた労働者の円滑な労働移動の推進を図る。
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 今後不良債権処理の本格化に伴い大量の離職者が生じることが予想されることから、再就職を促進するための対策を強化する必要がある。
 こうした中で、離職を余儀なくされる労働者に対する再就職支援について、公共の職業安定機関のみならず民間の職業紹介事業者の活用を促進することは、効果的な失業なき労働移動の実現につながるものであり、国民や社会のニーズに合致しているといえる。

〔公益性〕
 民間の職業紹介事業者を活用した在職中からの再就職支援を通じた失業なき労働移動の実現は、失業による新たな社会的費用の発生を抑えることにつながり、高い公益性を有する。

〔官民の役割分担〕
 深刻化する雇用失業情勢に対応する上で、失業なき労働移動の実現は喫緊の課題であり、第一義的に国が雇用対策として積極的に推進すべきであるが、その効果的な実施に向けて、民間活力も活用していくものである。

〔民営化や外部委託の可否〕
 事業主が労働者の職業の安定のために講ずる措置等に関して行う助成及び相談、その他の援助等の業務の実施について実績があるという観点から、本事業は雇用・能力開発機構及び高年齢者雇用開発協会に行わせることとしている。

〔緊要性の有無〕
 平成13年9月の完全失業率は5.3%(総務省「労働力調査」)となり、比較可能な昭和28年以降の過去最高水準を更新するなど、近年の厳しい経済状況や雇用失業情勢に鑑み、失業なき労働移動を図るための対策を早急に講ずる必要がある。

〔社会経済情勢の変化を受けた廃止、休止の可否〕
 昨今の厳しい雇用失業情勢から鑑みて、少なくとも構造改革調整期間中(平成13年12月〜17年3月)は、本事業を継続する必要がある。
(2)有効性 〔これまで達成された効果、今後見込まれる効果〕
 今後、本事業が導入されることにより、労働者の在職中からの再就職実現が促進され、構造改革調整期間中(平成13年12月〜17年3月)に約16,000人の再就職が見込まれる。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 本事業は再就職支援会社を活用し、労働者の就職を実現した場合を直接支援するものであり、施策実施直後から効果が見込まれる(平成13年12月1日施行)。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 公共職業安定所による再就職支援に加え、民間職業紹介事業者の活用に係る支援策を導入することにより、再就職支援に向けた取組の選択肢が拡大し、適職への速やかな再就職の実現がより可能となる。
(4)その他  
関連事務事業 労働移動支援助成金、在職者求職活動支援助成金
特記事項 〔各種政府決定との関係及び遵守状況〕
 「総合雇用対策」(平成13年9月20日、産業構造改革・雇用対策本部決定)の中に「再就職援助計画の対象者について、民間の就職支援会社を活用して再就職支援の取組みを行う事業主に対し助成を行うなど、再就職援助計画制度の一層の活用を図る」ことが、また、「改革先行プログラム」(平成13年10月26日、経済対策閣僚会議決定)の中に「新たに民間の就職支援会社(アウトプレースメント会社)を活用して従業員に再就職支援を行う事業主に対して助成を行う」ことが盛り込まれているところである。
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局産業雇用構造調整室
(関係課)職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課



事業評価書(事前)

事務事業名 「大都市圏就職サポートセンター(仮称)」の設置
事務事業の概要 (1)目的 首都圏及び関西圏は、交通網の発送により通勤圏が広く、一つの労働市場圏を形成していることから、交通至便の地域に、大都市圏就職サポートセンター(仮称)を設置し、当該労働市場圏内の求職者に総合的な求人情報の提供を実施し、就職促進を図る。
(2)内容  次の事業実施のため、首都圏(東京、埼玉)及び関西圏(大阪)のそれぞれに「大都市圏就職サポートセンター」(仮称)を設置する。

(1) 求人自己検索装置による、圏内の労働市場全体の求人情報等の提供
(2) 大都市圏の求人全般についての職業相談、職業紹介
(3) 在職求職者等に綿密なカウセリングの実施

要求額 2,098百万円
(3)達成目標  首都圏及び関西圏における求職者の就職率の向上
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 首都圏及び関西圏では労働市場が広範に及び、求職活動も圏内の通勤可能な地域を対象として広範に行われていることから、これらの地域の求職情報を一カ所でまとめて提供しつつ、職業相談を行うことにより効率的に就職活動が進められるようにすることは、求職者の再就職の促進につながるため、国民や社会のニーズと照らし妥当である。

〔公益性〕
 職業安定法(昭和22年法律第141号)第5条では、失業者に対する職業につく機会を与えるため施策の実施や求職者に対する無料の職業紹介等を政府の業務としている。
 また、本事業は現下の厳しい雇用情勢の中、ハローワークの機能を拡充したものであって、首都圏及び関西圏の求職者の就職活動の負担軽減につながり、求職者の就職活動の促進に寄与し公益性を有する。

〔官民の役割分担〕
 本事業は、ハローワーク事業の一環として、国が行うものである。

〔国と地方の役割分担〕
 本事業は、都道府県の区域を超えて、首都圏及び関西圏における広域的な求人情報の提供、職業相談・紹介を行うものであり、この点からも国として実施することが必要である。

〔民営化や外部委託の可否〕
 本事業については、国の機関である公共職業安定所が受理した求人についての情報提供を行いつつ、職業相談・紹介を行うものであるため、国が責任を持って対応する必要があり、民営化や外部委託にはなじまない。

〔緊要性の有無〕
 平成13年度9月期完全失業率が5.3%、完全失業者数が357万人という厳しい雇用情勢の中、失業者の就職活動の促進に寄与する同事業は早急に実施する必要がある。
(2)有効性 〔今後見込まれる効果〕
 国内の複数の労働局の求職情報を一元化すること等により求職活動の軽減につながり効率的に広範な地域での求職活動が可能になるため、再就職の機会を増大させる効果がある。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 平成14年度中
 本事業は圏内広域に渡る周知が必要であるが、周知後速やかな効果が見込まれる。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 一ヵ所のセンターで圏内における広汎な求職情報を収集し、広域的な求職活動を行う求職者に対して、情報提供を行いつつ、職業相談・紹介を行うことは、その再就職の促進のために効率的である。
(4)その他
(公平性・優先性など)
〔優先性〕
 緊急雇用対策の一環として優先的に実施する必要がある。
関連事務事業 なし
特記事項 なし
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局業務指導課



事業評価書(事前)

事務事業名 学卒未就職者等に対する企業が行うトライアル雇用制度の創設
事務事業の概要 (1)目的  若年者を短期間の試行雇用(トライアル雇用)として受入れる企業に奨励金を支給するとともに、トライアル雇用の期間中に若年者の実務能力の向上等を図るために必要な措置を講ずる事業主に対してその費用を支給する等の支援を行い、企業の求める能力等の水準と若年求職者の現状との格差を縮小しつつ、企業・若年者双方が業務遂行の可能性を見極め、その後の常用雇用への移行を図る。
(2)内容

(1) 学卒未就職者等就職支援相談員の配置

 全国の公共職業安定所に学卒未就職者等就職支援相談員を配置し、若年失業者の適性、能力について把握し、助言するとともに、企業に対し、トライアル雇用から常用雇用への移行のために必要な雇用管理上の助言を行う。

(2) 奨励金の支給

 次の奨励金を雇用・能力開発機構において支給する。

@ トライアル雇用実施事業主への奨励金の支給

 学卒未就職者等の若年失業者を企業がトライアル雇用した場合に、当該企業に対し、1人1か月につき50,000円を最大3ヵ月まで支給する。

A トライアル雇用中の教育訓練費用の支給

 受入企業が、トライアル雇用期間中に、専修学校等の教育訓練機関に委託して、当該若年者に対し教育訓練を実施した場合、それに要した費用(上限60,000円)を支給する。

要求額 1,288百万円
(3)達成目標  補正予算の期間(4箇月間)で約17,000人(年間5万人)にトライアル雇用を実施し、その後の常用雇用への移行を図る。
評価 (1)必要性 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕
 厳しい雇用失業情勢の中で、学卒未就職者や早期離転職者をはじめとする若年失業者が大量に発生している(平成13年9月の完全失業者(15〜24歳)78万人)。加えて正規雇用に就かないフリーターといわれる不安定な就労・無業を繰り返す者も増加している(平成9年時点で約151万人と推計される)。
 一方、厳しい雇用失業情勢の下で、企業は若年人材に対する要求水準を高めている。
 こうした状況の下、トライアル雇用を通じて、企業がもとめる能力等の水準と若年求職者の現状の水準との格差の縮小を図るなどにより、常用雇用への移行を図ることは、企業、常用雇用を希望する若年求職者の双方のニーズに沿うものであり、必要性が高い。

〔公益性〕
 トライアル雇用により、若年者について雇用のミスマッチの解消を図り、安定した雇用の促進を図ることは、若年者雇用情勢の改善を図ることであり、ひいては経済社会の安定と発展に資するものであるから、公益性が高い。

〔官民の役割分担〕
 本事業は、ハローワークで行う職業紹介の一環として、国の事業として行うものである。

〔国と地方公共団体の役割分担〕
 本事業の中で地方公共団体が実施するものはない。

〔民営化や外部委託の可否〕
 トライアル雇用は、その期間中に企業の力によって若年者の能力の向上を図ろうとするものであり、企業自らが外部教育機関に教育訓練を委託する場合には費用を奨励金として支払うこととしている。また、奨励金の支給は雇用・能力開発機構において行うこととしている。

〔緊要性の有無〕
 失業率が過去最悪(平成13年9月5.3%)を記録する中で、各年齢層の中でも特に若年者失業率が高く(平成13年9月、15〜24歳の完全失業率11.0%)、早急に措置を講ずることが必要である。
(2)有効性 〔今後見込まれる効果〕
 トライアル雇用を経ることで、若年者の技能等との水準と求人側の求める水準との格差を埋めながら、企業・若年者双方が業務遂行の可能性を見極めることで、その後の常用雇用への移行可能性が高まる。

〔効果の発現が見込まれる時期〕
 トライアル雇用を終えたものから順次、効果が期待される。
(3)効率性 〔手段の適正性〕
 若年失業者やフリーターが増加しているが、若年期における失業や不安定な就労の継続は職業能力開発の支障となり、これら若年者が低技能のままとどまってしまう。一方、企業は若年人材に対する要求水準を高めており、これが若年層におけるミスマッチの原因となっている。トライアル雇用は民間企業を活用して若年者の技能を高め、企業の求める水準と若年失業者の現状の格差を埋めることができ、手段として効率的かつ適正なものである。
(4)その他
(公平性・優先性など)
 
関連事務事業 なし
特記事項 〔各種政府決定との関係〕
 「総合雇用対策」(平成13年9月20日産業構造改革・雇用対策本部決定)II雇用のミスマッチ解消3民間活力を活かした多様な能力開発機会の確保・創出に「学卒未就職者等の若年者の試行就業支援を通じた実践的な能力付与を図る」とされたところである。
主管課
及び関係課
(主管課)職業安定局業務指導課


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