事業評価書(中間)
事務事業名 | 教育訓練給付 | ||
事務事業の概要 | (1)目的 | 職務に必要とされる知識や技能の変化、労働移動の増加等に伴い、多様な職業能力開発が求められている中で、労働者自らが主体的に能力開発に取り組むことを支援するため、雇用保険の失業等給付として教育訓練給付を支給し、もって労働者の雇用の安定及び再就職の促進を図ることを目的とする | |
(2)内容 |
教育訓練給付の支給の対象及び支給額は、次のとおりである。 対象者:次のいずれかに該当する者であって、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了したもの
支給額:厚生労働大臣が指定した教育訓練の受講のために受講者本人が教育訓練施設に対して支払った教育訓練経費の80%に相当する額(上限30万円)を、公共職業安定所より支給する。
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(3)達成目標 | 357万人に教育訓練給付金を支給し、その者の自主的な能力開発への取組みを支援することにより、労働者の雇用の安定及び再就職の促進を図る。 | ||
評価 | (1)必要性 | 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕 産業構造の変化、企業の高付加価値化・新分野転換等に伴い、職務に必要とされる知識や技能の変化、労働移動の増加等に伴い、多様な職業能力開発を行う労働者を支援することが求められている。特に、従来の事業主が行う職業訓練の促進や公共訓練といった措置に加え、労働者自らが主体的に能力開発に取り組むことを支援することが、国民のニーズとなっている。 〔公益性〕 教育訓練給付制度は労働者の職業能力開発を通じて、その雇用の安定、再就職の促進等に大いに資するものであるとともに、個々人の高められた職業能力は、社会全体の財産となるため、公益性を有する。 〔官民の役割分担・国と地方の役割分担・民営化や外部委託の可否〕 教育訓練給付は、国の実施する雇用保険制度の失業等給付の一つとして、国が斉一的に行うこととしている。また、その支給手続等については、他の失業等給付と一体的に全国の公共職業安定所で行う必要があり、外部委託は不可。 〔緊要性の有無・社会経済情勢の変化を受けた廃止、休止の可否〕 厳しい雇用情勢が続く中、労働者の主体的な能力開発への取り組みを支援することにより、雇用の安定及び再就職の促進を図っていくことは、緊要性の高い政策課題である。一方で、産業構造の変化が今後ますます進展していくことが予想される中で、景気の変動にかかわらず、労働者の職業能力開発への支援は重要な政策課題であり続けることから、教育訓練給付制度の廃止、休止については考えられない。 |
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(2)有効性 |
〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕
となっており、いずれも平成10年12月の制度実施以来、利用実績は毎年大きく増加している。 〔効果の発現が見込まれる時期〕 |
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(3)効率性 | 〔手段の適正性〕 教育訓練給付は、厚生労働大臣が一定の指定基準に基づいて指定した教育訓練講座を労働者が自ら費用を負担して受講し、かつ修了した場合にのみ、支給することとしており、労働者が職業に関連する能力を確実に身につけることを確保するような制度設計がなされている。 また、教育訓練講座の指定基準においては、労働者の職業に関する能力開発に資するという観点から、職業と直接の関連性が薄い、教養的・趣味的な講座等は指定対象からはずしてあり、指定講座が雇用の安定及び再就職の促進に資するか否かという観点から、適切に見直しが行われており、効果的な講座指定を通じて、効果的な制度運営が図られている。 また、労働者一人について最高30万円の教育訓練給付を行うことにより、その労働者の雇用が安定し、又は再就職が促進され、結果として失業等給付の受給額が減少するという大きな波及効果が見込まれる。 |
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(4)その他 (公平性・優先性など) |
〔公平性〕 教育訓練給付制度は、受給者のモラルハザードを防ぐため、支給限度額(30万円)を設定するとともに、本人負担(2割)を求めている。また、対象者については、一度受給すれば5年間は受給できないため、被保険者間の公平は保たれている。 |
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関連事務事業 | 失業等給付の支給 | ||
特記事項 | 〔各種政府計画との関係及び遵守状況〕 産業構造改革・雇用対策本部中間とりまとめ(平成13年6月26日) 新規・成長分野を中心とした大学、大学院等における高度な社会人向け教育訓練コースの指定拡大を図るなど、教育訓練給付金制度について、指定基準の見直しを行い、重点的、機動的な講座指定に努める方向で措置する。 |
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主管課 及び関係課 |
(主管課) 職業安定局雇用保険課 (関係課) 職業能力開発局育成支援課 |
※ 講座指定の在り方について、実情調査を実施中。
事業評価書(中間)
事務事業名 | 高年齢者共同就業機会創出支援事業の推進 | ||
事務事業の概要 | (1)目的 | 高齢期の就業意欲や体力は多様化しており、高年齢者雇用就業対策の中で多様な就業機会を確保・提供し、高年齢者の社会参加の促進を図ることが重要となっている。こうした観点から、この一環として、高年齢者が主体となって起業し自ら就業機会を創出することを支援する。 | |
(2)内容 |
60歳以上の高年齢者3人が共同して、継続的な雇用・就業の機会を創出する場合に、その創出に係る一定範囲の費用を助成する。 (1) 助成要件 @ 60歳以上の高年齢者3人が共同出資して行う就業機会の創出であること(会社その他の法人の設立である場合に限る)。 A 「共同就業機会創出計画」を策定し、同計画の認定を受けること。 (2) 助成対象 @ 当該法人に対する助成とする。 A当該就業機会の創出に係る初期費用の助成とする。
(平成14年度より、「NPO法人及び雇用創出が見込まれる重点分野を優先する優先基準」及び「必要に応じ独立第三者機関による審査」を追加。 (3) 助成額 500万円を限度として、費用の2/3を助成。
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(3)達成目標 | 年間300法人の設立を通じた高年齢者自身(900人以上)による就業機会の創出を支援し、高齢期における就業意欲等の多様化に対応した雇用・就業機会の確保及び高年齢者の社会参加の促進を図る。 | ||
評価 | (1)必要性 | 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕 人口に占める60歳以上の比率は平成7年で20.5%(国勢調査)であったものが平成22年には29.8%と約3人に1人となるものと見込まれ、労働力人口に占める60歳以上の比率は平成12年に約13.1%であったものが平成22年には19.0%と約5人に1人を占めると見込まれるなど、急速に高齢化が進展している。そうした中で、平成13年4月の求人倍率は年齢計で0.62倍に対し60歳台前半層では0.08倍、失業率は年齢計で4.8%に対し60歳台前半層で8.3%と、高年齢者を取り巻く雇用失業情勢は厳しい状況にあり、強力に高年齢者の就業機会を開拓する必要がある。同時に、高齢者は就業意欲が多様化する傾向にあり、これまで蓄積した経験を活かして各自の能力や体力等に応じて多様な就業機会から選択できるよう政策体系を構築する必要がある。高齢者については、自営による就業が有効な就業形態の一つとなっており(就業者に占める自営業主の割合が年齢計で11.3%であるのに対し、60歳以上では32.7%(平成12年労働力調査))であることも勘案し、雇用、任意就業等の支援策を併せて、創業支援を行うものである。 〔公益性〕 本施策は、急速に高齢化が進展する中で、高年齢者の厳しい雇用失業情勢、年金支給開始年齢の引上げ等に対応し、広く高年齢者全体を対象として、雇用・就業機会を創出するためのものであり、高い公益性を有するものである。 〔官民の役割分担〕 雇用失業情勢の厳しい高年齢者の雇用・就業機会を創出するためには、高年齢者自身による事業創設が有効であるが、高年齢者にとって事業を創出することは容易ではなく、一定の支援等によりそれを促すことが必要である。こうした支援は、営利を目的とする民間企業等が行う事業としては馴染みにくいことから、国において施策を講じる必要がある。 〔国と地方の役割分担〕 急速に高齢化が進展する中で、全国的に、高年齢者を取り巻く雇用失業情勢が厳しい状況にあり、高年齢者の再就職は極めて困難な状況にあることから、国が全国的な観点から高年齢者の起業に対する支援を行うことが適当である。 〔民営化や外部委託の可否〕 高年齢者雇用に係る各種制度・施策のほか、企業の労務管理制度に関する高度な専門知識を有している必要があること、各分野における作業環境の実態を把握していることが必要であること等からそれらのノウハウをもつ、(財)高年齢者雇用開発協会に委託して実施することとしている。 〔緊要性の有無〕 高齢化の進展が著しく、高年齢者を取り巻く雇用失業情勢が厳しい状況であることから、早急に対策を講じる必要がある。 〔社会経済情勢の変化を受けた廃止、休止の可否(継続事業のみ)〕 本事業を活用した高年齢者の就業機会の創出実績は着実に伸びており、成果を挙げているので、当面、廃止することは不適当である。 |
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(2)有効性 | 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕 高年齢者共同就業機会創出助成金の平成12年度支給実績は、238件(法人)・支給金額962,287千円・1法人当たり404万円である。 本助成金を受けて創設された238法人の1法人当たりの就業人数は6.2人(うち60歳以上4.5人)と確実に就業機会を創出するとともに、平成13年7月時点では10.2人(うち60歳以上5.6人)と、新たな雇用・就業機会の創出について短期間で着実に成果を上げているところである。 また、本助成金の12年度受給企業のうち、本年度において存続している割合は9割を超えており、それらの企業で就業している者は2,265人(うち60歳以上の者1,243人)となり、高年齢者の雇用・就業機会の創出について着実に成果を上げているところである。 昨今の高年齢者を取り巻く雇用失業情勢や本助成金の実績等を鑑みると、今後も本助成金の活用による効果は上がるものと考えられる。 〔効果の発現が見込まれる時期〕 上記の平成12年度実績から、当該支給年度において高年齢者等の就業増として即効果が発現するとともに、長期にわたって新たな事業・就業機会の創出につながるものと考えられる。 |
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(3)効率性 | 〔手段の適正性〕 本助成金は、高年齢者3人が共同して就業機会を創出する場合に助成することにより、創業への強いインセンティブを与えるとともに、効率的な雇用・就業機会の創出の手段となっている。 〔効果と費用との関係に関する分析〕 上記(2)から、助成金支給による高年齢者の雇用・就業機会の確保については、1法人当たり約400万円の支給で相当の効果(就業者数)が上がっていると考えている。 さらに、本助成金は創業支援であり、新たな事業の成長・雇用機会の創出に長期的にも寄与するものである。 |
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(4)その他 (公平性・優先性など) |
〔公平性〕 高齢創業者3人による起業について、全ての高齢者を対象としており、必要に応じ独立第三者機関による審査を行うことで、公平性を確保している。 〔優先性〕 上記(1)のとおり、急速に高齢化が進展している中で、高年齢者の雇用失業情勢は厳しい状況にあり、高年齢者の就業機会の強力な開拓が必要である。その際、自営による就業が有効な就業形態として期待できるところであり、創業支援による高年齢者の就業機会の確保のための施策を優先的に講じるべきである。 |
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関連事務事業 | なし | ||
特記事項 | 〔各種政府計画との関係及び遵守状況〕 経済財政諮問会議の基本方針(平成13年6月)で成長分野の拡大、当該分野への円滑な労働移動の促進・労働力の再配置の円滑な実現に向けた環境整備の必要性が提唱され、なかでも重要なものとして、年齢にかかわらず働ける環境の整備が示されている。さらに、平成14年度予算の重点分野として「高齢化への対応」が挙げられている。 また、産業構造改革・雇用対策本部の中間とりまとめにおいても、NPOが高齢者の雇用の促進に資するものとして期待されている。 |
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主管課 及び関係課 |
(主管課)職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課 |
事業評価書(中間)
事務事業名 | 継続雇用定着促進助成金 | ||
事務事業の概要 | (1)目的 | 継続雇用制度の導入又は改善を行う事業主、及びそれに伴う高年齢者の雇用の割合が一定割合を超える事業主並びに定年延長制度等の円滑な運用を図る事業主に対して助成金を支給し、継続雇用の推進及び定着を図るものである。 | |
(2)内容 | 「継続雇用定着促進助成金」は、継続雇用制度の導入及び定着を促進することを目的とする「継続雇用制度奨励金(第I種)」、高年齢者の多数雇用を促進することを目的とする「多数継続雇用助成金(第II種)」及び定年延長制度等の円滑な運用を図ることを目的とする「定年延長等職業適応助成金(第III種)」から構成される。 継続雇用制度奨励金(第I種)は、労働協約又は就業規則により60歳以上の定年が定められていること、労働協約又は就業規則により61歳以上の年齢への定年延長等を実施したこと又は希望者全員を65歳以上の年齢まで雇用する定年延長等以外の継続雇用制度を定めたこと、継続雇用制度導入日において、1年以上継続して雇用されている55歳以上65歳未満の労働者が1人以上いること等の要件を満たす事業主(高年齢者事業所設置事業主を含む)に対し、継続雇用制度の導入、実施に要する経費として、制度の内容、企業規模及び継続雇用期間(最大5年間)に応じ、1年ごとに40万〜300万円を支給する。 多数継続雇用助成金(第II種)は、継続雇用制度奨励金(第I種)の受給事業主であって、60歳以上65歳未満の労働者を事業主の都合により解雇していないこと、雇用期間1年以上の60歳以上65歳未満の労働者を、雇用する労働者の15%を超えて雇用していること等の要件を満たす事業主に対し、雇用する労働者の15%を超える60歳以上65歳未満の労働者1人当たり月額1.5万円(中小企業2万円、短時間労働被保険者はそれぞれ1/2)の額を、5年を限度として支給する。 定年延長等職業適応助成金(第III種)は、継続雇用制度奨励金(第I種)の受給事業主のうち、定年延長等を実施した事業主であって、定年延長等の円滑な運用のために実施する講習又は相談に関する計画を策定し、その計画に基づき、45歳から引上げ後の年齢に達するまでの労働者に対し、高齢期において従事する職務に対する精神的、身体的な適応性の増大等を目的とする講習又は相談を実施した事業主に対し、実施した講習又は相談に係る経費の2/3(中小企業3/4)を支給(限度額は講習又は相談を受講した対象被保険者1 人当たり年間25万円(中小企業35万円))する。
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(3)達成目標 | 1年当たり約7,000企業における新たな定年の引上げ、継続雇用の導入等を支援することを目標とするとともに、その後の制度の定着、高齢者の雇用の確保を支援することにより、企業の高年齢者雇用確保措置に関する取組を促進し、希望者全員が65歳まで働くことができる定年・継続雇用制度の普及及び定着を図る。 | ||
評価 | (1)必要性 | 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕 急速に高齢化が進展する中で、我が国経済社会の活力を維持するためには働く意欲と能力を有する高齢者ができる限り社会を支える側に回ることが必要であるが、希望者全員を65歳まで雇用する企業は約4社に1社(平成12年度雇用管理調査で25.8%)にとどまっている。一方、平成13年度から厚生年金の支給開始年齢の引上げが行われていることから、雇用と年金のギャップが生じている。さらに、高齢者の厳しい雇用失業情勢が続いている中で、定年の引上げ、継続雇用制度の導入又は改善による65歳までの安定した雇用の確保を図ることが急務となっており、企業における高年齢者の雇用の確保に関する取組を強力に促進する必要がある。平成9年度の本制度創設以来、継続雇用定着促進助成金の支給を受けた企業は26,539社(各年度の新規申請分の合計)にのぼり、本助成金による支援に対する企業のニーズは高いと言える。 〔公益性〕 本事業の実施により、事業主に対して制度導入等(定年の引上げ、継続雇用制度の導入等)のインセンティブが付与され、高年齢者の雇用の確保が図られ、高年齢者の離職による社会的費用の発生を抑制することになるため、高い公益性を有するものである。 〔官民の役割分担〕 継続雇用制度の導入等を図ることは労使間の取り決めによる自主的な取組を基本とするものであるが、制度導入のためには、賃金・人事処遇制度の見直しが必要であり、そのためのコストもかかることから、自主的な取組だけではなかなか進まないため、継続雇用制度の導入等を図る企業に対して国において支援を講じる必要がある。 〔国と地方の役割分担〕 雇用対策については、国と地方が連携して進める必要があるが、急速に高齢化が進展する中で、希望者全員が65歳まで働くことのできる継続雇用制度を有している企業が全国的に約4社に1社にとどまっている中で、国が全国的な観点から、強力に施策の推進を図る必要がある。 〔民営化や外部委託の可否〕 本助成金の支給業務は、高齢者の雇用に関する援助業務と併せて実施することが有効であり、高年齢者雇用に係る企業の労務管理制度等に関する高度な専門知識を有している必要があること等から、そのノウハウをもつ、(財)高年齢者雇用開発協会に行わせている。 〔緊要性の有無〕 急速な高齢化の進展を受けて、平成12年10月の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正により、事業主に対し、65歳までの安定した雇用の確保を図ることを努力義務としたところであり、平成13年度から年金の支給開始年齢の引上げも実施されているところであるが、企業における高年齢者の雇用に関する制度の現状をみると、希望者全員が65歳まで働くことのできる制度を有している企業は約4社に1社にとどまっているため、早急に対策を講じる必要がある。 〔社会経済情勢の変化を受けた廃止、休止の可否(継続事業のみ)〕 企業において、希望者全員が65歳まで働くことができる継続雇用制度の普及及び定着が図られるようになれば、本事業の廃止の検討が必要になる。 |
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(2)有効性 | 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕 継続雇用定着促進助成金は、平成12年度に延べ24,840社(うち新規申請分8,872社)に対して36,146百万円支給している。平成9年度の本制度創設以来、支給を受けた企業は、26,539社(各年度の新規申請分の合計)にのぼり、企業における継続雇用制度の導入等について、着実に効果をあげているところであり、本制度創設以来の支給実績の伸び率を鑑みると、今後も本助成金の支給申請件数は増加することが見込まれる。 希望者全員が65歳まで働くことのできる制度を有する企業は雇用管理調査(30人以上規模)によれば約4社に1社となっているが、本助成金制度の受給企業の多くが30人未満規模企業である(平成12年度における第I種受給企業のうち62.8%が30人未満規模)。しかし、今後本制度を活用した高年齢者雇用確保に関する取組が広がり、希望者全員が65歳まで働くことのできる企業の割合についても上昇すると見込まれる。 〔効果の発現が見込まれる時期〕 本助成金については、当該支給年度において、即効果が発現しているものと考えられる。 |
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(3)効率性 | 〔手段の適正性〕 継続雇用制度の導入又は改善を行う事業主、及びそれに伴う高年齢者の雇用の割合が一定割合を超える事業主並びに定年延長制度等の円滑な運用を図る事業主に対して助成金を支給することにより、事業主に対して継続雇用制度の導入等への強いインセンティブを付与する一方、設けた継続雇用期間に応じて1年ごとに助成金を支給することにより、毎年度導入された継続雇用制度の定着状況について確認した上で支給するなど、高齢者の雇用に結びつく取組に対して的確に助成する制度となっており、適正な手段と言える。 〔効果と費用との関係に関する分析〕 上記(2)の支給実績にもあるように、1企業あたり1,264千円(平成12年度第I種実績)の支給により、26,539社において継続雇用制度の導入等が図られており、相当の効果があがっているものと考える。 また、導入した制度の内容・企業規模等に応じて助成金額を定めており、効果と費用の適正な関係を維持できるよう制度を構築している。 |
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(4)その他 (公平性・優先性など) |
〔公平性〕 高齢者の雇用確保に係る制度を導入した企業に対し、制度の内容、企業規模等に応じ要すると見込まれる経費に基づいて支給額を設定しているものであり、公平性を有する。 なお、平成12年度において第I種の第1回の支給を受けた企業7,386社の従業員数は、年齢計で183,957人、60歳以上12,971名であった。 〔優先性〕 人口に占める60歳以上の比率は平成7年で20.5%(国勢調査)であったものが平成22年には29.8%と約3人に1人となるものと見込まれ、労働力人口に占める60歳以上の比率は平成12年に約13.1%であったものが平成22年には19.0%と約5人に1人を占めると見込まれるなど、急速に高齢化が進展している。そうした中で、80%以上の人が65歳以上、あるいは年齢にこだわらずに働くのがよいとしている(中高年齢層の高齢化問題に関する意識調査(総務庁、平成10年))が、平成13年4月の求人倍率は年齢計で0.62倍に対し60歳台前半層では0.08倍、失業率は年齢計で4.8%に対し60歳台前半層で8.3%と、高年齢者の雇用失業情勢は厳しい状況が続いており、高年齢者の安定した雇用の確保が急務となっており、優先的に施策を講じる必要がある。 |
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関連事務事業 | なし | ||
特記事項 | 〔各種政府計画との関係及び遵守状況〕 平成11年8月に閣議決定された「第9次雇用対策基本計画」において、「向こう10年程度の間において、65歳定年制の普及を目指しつつも、少なくとも意欲と能力のある高齢者が再雇用又は他企業への再就職などを含め何らかの形で65歳まで働き続けることができることを確保していくこととする。」とされている。 |
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主管課 及び関係課 |
(主管課)職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課 |
事業評価書(中間)
事務事業名 | 雇用調整助成金 | ||
事務事業の概要 | (1)目的 | 景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、その雇用する労働者に対して休業、教育訓練又は出向を行った事業主に対して、雇用調整助成金を支給することにより、失業の予防と雇用の維持・安定を図ること。 | |
(2)内容 | 雇用調整助成金の支給を受けられる事業主は、厚生労働大臣の指定する業種に属する事業主等であって、指定期間等に景気の変動、産業構造の変化等に伴い、事業活動の縮小を余儀なくされたことにより休業、教育訓練又は出向を行い、休業手当又は賃金を支払い又は出向労働者に係る賃金の一部を負担した事業主である。 支給額は、休業又は教育訓練の場合、200日分を限度として一の指定期間等に休業手当又は賃金として事業主が支払った額に相当する額の2分の1(中小企業事業主の場合3分の2)となっており、出向の場合、1年間に出向労働者に係る賃金の一部として負担した額の2分の1(中小企業事業主の場合3分の2)となっている。 なお、平成13年10月1日より、業種に関わらず個別の事業主が対象となることその他支給額等の見直しが行われている。さらに、平成13年11月1日から平成14年3月31日までの間は、厳しい雇用情勢を踏まえて中小企業事業主が制度を活用しやすいよう、対象事業主の要件を緩和しているところ。
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(3)達成目標 | 本助成金の支給を通じて、事業主は、労働者を離職させることなく、休業、教育訓練又は出向を行い雇用の維持を図ることにより、失業者の発生を予防すること。 | ||
評価 | (1)必要性 | 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕 景気の変動、産業構造の変化など経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に雇用される労働者の失業を予防し、雇用の維持・安定を図ることは、労働者の福祉と生活の安定に役立つばかりでなく、事業の廃止や失業者の増加に伴う国民の不安、失業に伴う労働力の資質・技能の低下等を防ぐためにも必要な施策である。 平成12年度の対象被保険者数は休業で延べ991,005人、教育訓練で延べ260,622人、出向で延べ5,752人となっており、本助成金に対するニーズは極めて高いものがあり、失業者の発生を未然に防止するための本助成金の必要性は今後も高いものであると考えられる。 〔公益性〕 景気の変動、産業構造の変化等の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対し、当該助成金を支給し、労働者の失業の予防を図ることは、労働者個人の職業の安定、生活の安定に資するとともに、失業の発生に伴う社会不安や失業等給付などの新たな社会的費用の発生を抑制することにつながるものであるため、高い公益性を有する。 〔官民の役割分担〕 雇用保険法第62条において、政府は失業の予防を図るために必要な事業を行うことができるとされており、国において行われるべきものである。 〔国と地方の役割分担〕 雇用保険制度の一環として行われるものであるため地方公共団体との役割分担を行っていない。 〔民営化や外部委託の可否〕 国の行う労働力の需給調整と関連を持たせながら効果的に行っていくべきものであるため国が行うべきものである。 〔緊要性の有無〕 景気の変動、産業構造の変化等の経済上の理由により事業主が事業活動の縮小を余儀なくされる事態は常に発生していることであり、これに対応して、失業の予防を行う本助成金は、極めて緊要性が高いものである。 〔社会経済情勢の変化を受けた廃止、休止の可否〕 助成金の支給要件については、今後の社会経済状況の変化を見据えながら適切に行っていく必要があるが、失業の予防を図ることは常に重要な施策であるため、本事業は今後も引き続き実施していく必要がある。 |
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(2)有効性 | 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕 平成12年度において本助成金の支給を通じて休業で延べ991,005人、教育訓練で延べ260,622人、出向で延べ5,752人の労働者の雇用維持が図られ、失業が防止されたものといえる。 休業を行ったことにより雇用調整助成金の支給を受けた100事業所についてサンプル調査を行い、休業を開始した時点と1年経過した時点の後における被保険者数を比較したところ、46事業所が被保険者数が増減しておらず、21事業所で増加、33事業所で減少がみられ、雇用調整を開始した時点の被保険者数の総数が11,908人、1年経過した時点の後において11,895人となっているところであり、事業活動の縮小を余儀なくされた状況において雇用調整助成金の活用により雇用の維持が図られたものと考えられる。 また、出向を行ったことにより雇用調整助成金の支給を受けた50事業所についてサンプル調査を行い、出向を開始した時点と1年を経過した時点の後における被保険者数を比較したところ、11事業所で被保険者が増加しており、39事業所で被保険者数が減少がみられ、雇用調整を開始した時点の被保険者の総数が40,210人、1年経過した時点の後において40,196人となっているところである。被保険者数が休業を行った場合と比較して減少している事業所が多いのは、対象労働者の出向の期間が1年を超える期間である場合も含まれているためと考えられる。 〔効果の発現が見込まれる時期〕 休業、教育訓練又は出向について本助成金の支給対象となった事業所においては、対象被保険者の失業が予防されるため、本助成金の支給は即効性があるものである。 |
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(3)効率性 | 〔手段の適正性〕 本助成金の支給により、失業の予防がなされることになる。これによる効果は、失業等給付などの失業の発生に伴う社会的費用が抑制されること、失業者の増加による国民の間に社会不安を惹起させることがないこと、事業所の休廃止は国民経済の活力を著しく損なうことなど広範にわたるものである。そこで、本助成金の支給による効果は広範にわたるもので効率性の高い施策であるといえる。 〔効果と費用との関係に関する分析〕 本助成を支給しない場合には、支給の対象となった事業所において雇用の維持が図られないこととなるものと考えられるところ、本助成金により事業主に対して賃金等の一部を助成することにより、対象となった事業所においてはその雇用する被保険者について失業の予防がなされることとなるため費用に対して効率性が高いものといえる。 平成12年度において支給対象となった事業主が負担すべき賃金等として本助成金により、休業に係る対象被保険者一人一日あたりの平均支給額は、6,900円、同じく教育訓練は、11,100円(教育訓練費3,000円を含む)、出向の一支給対象期間(6ヵ月)あたりの平均支給額は、508,000円となっている。これは、支給対象となった事業主が労働者に対して賃金等として負担する必要のあったものであって、これを本助成金により事業主に支給したものである。このため、失業者が発生したとして失業給付として費用を負担するを考慮すれば、雇用の維持を図りつつ、失業の発生に伴う種々のマイナス面の効果の発生を抑制していることもあわせて、本事業の効率性は高いものといえる。 |
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(4)その他 (公平性・優先性など) |
平成12年度における本助成金の支給に係るの対象被保険者数は、休業で延べ991,005人、教育訓練で延べ260,622人、出向で延べ5,752人となっており、失業の予防がなされたものであることから、本助成金は他の施策に優先して実施する必要性が高い。 | ||
関連事務事業 | なし | ||
特記事項 | 労働政策審議会における議論を踏まえ、平成13年10月1日より、一定の業種に属さない事業主についても支給対象とする等を内容とする制度の見直しが行われたところである。 | ||
主管課 及び関係課 |
(主管課)職業安定局雇用開発課 |
事業評価書(中間)
事務事業名 | 障害者雇用機会創出事業(障害者緊急雇用安定プロジェクト) | ||
事務事業の概要 | (1)目的 | 民間の事業所に障害者を短期の試行雇用の形で受け入れてもらい、事業主の障害者雇用のきっかけづくりを積極的に推進することにより、一般雇用への移行を促進する。 | |
(2)内容 |
(1) 期間は3ヶ月間とし、事業主と対象者との間で3ヶ月間の試行雇用の雇用契約を締結(障害者緊急雇用安定プロジェクトでは、期間は4ヶ月間とし、職場実習を1ヶ月実施し、事業主と対象者との間で3ヶ月間の試行雇用の雇用契約を締結)する。 (2) 試行雇用を実施する事業主に対してトライアル雇用奨励金を支給する。
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(3)達成目標 | 平成13年度については2,000人試行雇用を通じて、事業主の障害者雇用のきっかけ作りを積極的に推進し、障害者の一般雇用への移行を促進する。 | ||
評価 | (1)必要性 | 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕 障害者の有効求職者数は年々増加している。厳しい経済状況を反映して障害者の解雇者数も高水準で推移している。また、「第9次雇用対策基本計画」(平成11年8月閣議決定)においても「働く意欲と能力を有するすべての障害者が、その適正と能力に応じ、障害者のない人々とともに自然に働けるような社会の実現を目指し、(中略)障害者の雇用の促進及び安定のための対策を総合的に推進する必要がある。」とされているところである。 また、障害者緊急雇用安定プロジェクトの実績をみると、事業が開始されてからの平成11年2月から平成12年12月までの間23ヶ月間で7,648人(約333人/月)の事業主からの申込みがあったところであり、本事業に対するニーズは高い。 〔公益性〕 本事業は、本来、憲法に定められた勤労権の保障のため、また、障害者の雇用の促進等に関する法律に定められた国の責務を果たすための障害者に対する施策であり公益性が高い。 〔官民の役割分担〕 本事業は、本来、憲法に定められた勤労権の保障のため、また、障害者の雇用の促進等に関する法律に定められた国の責務を果たすための障害者に対する施策であるが、業務を効率的に行う等の観点から日本障害者雇用促進協会(障害者緊急雇用安定プロジェクトの際には、日本経営者団体連盟)に委託し実施している。 〔国と地方の役割分担〕 本事業は、業務を効果的かつ効率的に行うため、47地域障害者職業センター(障害者緊急雇用安定プロジェクトの際には、日本経営者団体連盟において全国一斉)で実施している。 〔民営化や外部委託の可否〕 本事業は、日本障害者雇用促進協会(障害者緊急雇用安定プロジェクトの際には、日本経営者団体連盟)に委託し実施している。 〔緊要性の有無〕 障害者の有効求職者数は年々増加していること、厳しい経済状況を反映し障害者の解雇者数も高水準で推移していること等により、早急に対策を講じる必要性がある。 〔社会経済情勢の変化を受けた廃止、休止の可否〕 ノーマライゼイションの理念が事業主に十分浸透し、障害者の雇用を取り巻く情勢が一般の者と同程度になった場合には、廃止等の検討を行うことも考えられる。 |
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(2)有効性 | 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕 障害者緊急雇用安定プロジェクトにおいては、職場実習者6,407人のうち試行雇用実施者数は13年5月までに、4,990人、このうち一般雇用に移行した者は4,176人(移行率83.7%)と大きな成果をあげている。 なお、一般雇用に移行した者の1年後の定着率は、82.2%と高い定着率を示している。 〔効果の発現が見込まれる時期〕 上記のとおり、試行雇用から一般雇用への移行率は高く、既に障害者の雇用促進に高い効果を発揮している。 ただし、ノーマライゼーションの理念の実現までには一定の時間を要するものと考える。 |
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(3)効率性 | 〔手段の適正性〕 障害者緊急雇用安定プロジェクトを活用して試行雇用から一般雇用に移行した者は83.7%と高率であり、手段として適正なものである。 〔効果と費用との関係に関する分析〕 事業主に対する、一般雇用へ移行した者の1人当たりの奨励金の平均支給額は、177,000円である。 |
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(4)その他 (公平性・優先性など) |
〔優先性〕 障害者の有効求職者数は、平成12年度末で対前年比4.5%(131,957人)と年々増加しており、全体の有効求職者数が、対前年比で−0.7%と減少している中にあって、障害者の雇用促進に係る施策は他の施策に優先して実施されるべき施策である。 |
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関連事務事業 | なし | ||
特記事項 | 「第9次雇用対策基本計画」(平成11年8月閣議決定)においても「働く意欲と能力を有するすべての障害者が、その適正と能力に応じ、障害者のない人々とともに自然に働けるような社会の実現を目指し、(中略)障害者の雇用の促進及び安定のための対策を総合的に推進する必要がある。」とされているところである。 | ||
主管課 及び関係課 |
(主管課)職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課 |
事業評価書(中間)
事務事業名 | 特定求職者雇用開発助成金 | ||||||
事務事業の概要 | (1)目的 | 高年齢者、障害者その他就職が特に困難な者を継続して雇用する労働者を雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部を助成することにより、就職が困難な者の雇用機会の増大を図ることを目的とする。 | |||||
(2)内容 |
高年齢者、障害者その他就職が特に困難な者を継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して、1年又は1年半の助成対象期間に対象労働者に対して支払った賃金の一定割合を特定求職者雇用開発助成金として事業主に支給する。
なお、平成13年10月1日より、制度の一部を見直して特定就職困難者雇用開発助成金とし、新たに雇用失業情勢が一定以上悪化した場合に中高年齢者を雇い入れた事業主に対して助成する緊急就職支援者雇用開発助成金が特定求職者雇用開発助成金の一部として創設された。
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(3)達成目標 | 当該助成金の活用を通じ就職困難者等の雇入れの促進を図る。 | ||||||
評価 | (1)必要性 | 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕 労働者の職業の安定に資するため雇用機会の増大を図ることは、雇用保険制度の目的とされているところであり、就職困難者等の雇用機会の増大を図ることはこの趣旨に沿ったものであって、平成12年度において当該助成金に係り就職した者の数は234,605人となっており、国民や社会のニーズに照らして妥当なものである。 〔公益性〕 高年齢者、障害者等の就職困難者の雇用機会の増大を図ることにより、これらの者の職業の安定が図られ、生活の安定に資するとともに、社会全体においてもこれらの者が職業に就けないでいる場合の社会的費用の発生が抑制されることになるものであるので、高い公益性を有する。 〔官民の役割分担〕 高い公益性を有すること、就職支援対策の一環として行っていることから営利を目的とした民間の事業としてはなじまない等の観点から、雇用保険法第62条において、政府は就職が特に困難な者の雇い入れの促進を図るために必要な事業を行うことができるとされており、国において行われるべきものである。 〔国と地方の役割分担〕 就職困難者の雇い入れの促進は労働力の需給調整とあいまって行われるものであり、全国一律に実施されるべきものであるため地方公共団体との役割分担は行っていない。 〔民営化や外部委託の可否〕 就職困難者の雇い入れの促進を図ることが趣旨であり、求職者に対する各種の施策と相まって効果的に運営されるべきであるため、国が行うべきものである。 〔緊要性の有無〕 就職困難者の再就職援助については、労働者の雇用の安定を図る観点から常に必要であるが、特に雇用失業情勢が厳しい状況においては、就職困難者の再就職はさらに困難なものであるため、特定求職者雇用開発助成金の的確な支給は、極めて緊要性が高いものである。 〔社会経済情勢の変化を受けた廃止、休止の可否〕 助成金の支給要件については、今後の社会経済情勢の変化を見据えながら適切に行っていく必要があるが、就職困難者の雇用機会の増大を図ることは常に重要な施策であるから、本事業は、今後も引き続き実施していく必要がある。 |
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(2)有効性 | 〔これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果〕 平成12年度において本事業に係り就職した者の数は、234,605人となっており、今後においても、本事業を継続することにより同程度の効果が見込まれる。 特定求職者雇用開発助成金を受けた100事業所についてサンプル調査を行ったところ、雇い入れられた対象労働者100人のうち支給対象期間が経過する1年後時点の後で80人が雇用されており、さらに1年後には71人が雇い入れに係る事業所で雇用されていた。これは、パートタイム労働者を除く一般労働者の勤続期間別離職者数における勤続期間1年未満、勤続期間2年未満の者は全体の27.2%、40.2%となっている(平成11年「雇用動向調査報告」)ことから、継続雇用を前提とした雇用機会の増大が図られている結果となっているものと考えられる。 また、サンプル調査の対象となった事業所において、対象労働者を雇い入れる前から雇用されている者13,206人の雇用状況をみると1年後時点の後に11,789人、さらに1年後に10,639人が引き続き雇用されており、また、その間に3,865人が新たに雇用されていることを考慮すれば、対象労働者の雇い入れがその他の労働者の雇用機会を圧迫しているものとは考えられない。 〔効果の発現が見込まれる時期〕 特定求職者雇用開発助成金の対象労働者として雇い入れられた場合には、就職困難者の雇用機会の増大が図られているため、本助成金の支給は即効性があるものである。 |
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(3)効率性 | 〔手段の適正性〕 本助成金の支給により、就職困難者の雇い入れが促進され労働者を雇い入れることとなれば、事業主は賃金の支払いを行うことにより雇い入れのコストを負担することとなる。このため、就職困難者の雇い入れの機会の増大を図るためには、直接、事業主の支払う賃金に相当する額に対して助成を行うのが有効な手段である。 〔効果と費用との関係に関する分析〕 就職困難者の雇い入れの促進を図るために本助成金を支給しているところであるが、平成12年度における平均支給額は、340,051円となっている。これが、一の支給対象期(6ヵ月)に対するものであるため、種々の社会的費用の発生を抑制していることを考慮すれば効率性の高い施策であるといえる。 |
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(4)その他 (公平性・優先性など) |
本助成金の効果は、対象労働者の雇い入れを促進することであり、就職困難者の雇い入れに即効性のあること、これが費用対効果の関係で効率性の高い施策であることは上記のとおりであり、平成12年度においては、本助成金により234,605人の雇用機会が開発されたもので、労働者の雇用の安定を図るため優先して実施する必要性が高いものである。 | ||||||
関連事務事業 | なし | ||||||
特記事項 | 労働政策審議会における議論を踏まえ、平成13年10月1日より上記の内容から、対象労働者の重点化、支給要件の強化等を内容とする制度見直しが行われたところである。 | ||||||
主管課 及び関係課 |
(主管課)職業安定局雇用開発課 |
事業評価書(中間)
事務事業名 | 中小労確法に基づく助成金 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
事務事業の概要 | (1)目的 | 中小企業の振興及びその労働者の職業の安定その他福祉の増進を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
(2)内容 |
(1)中小企業雇用創出人材確保助成金 新分野進出等に伴い新たに雇い入れた労働者の賃金の1/3を1年間助成。 (2)受給資格者創業特別助成金 雇用保険の受給資格者が創業し、労働者を雇い入れた場合、(1)に加え、雇入れ数に応じ、80〜120万円を特別に助成。 (3) 中小企業雇用創出雇用管理助成金 新分野進出等に伴うソフト面の雇用管理改善に要した費用の1/2を助成(限度額100万円)。 (4) 中小企業雇用環境整備奨励金 労働環境改善設備又は福祉施設の設置・整備に要した費用及び雇入れ数に応じ、75〜1500万円を助成。 (5) 中小企業高度人材確保助成金 新分野展開等に伴い、新たに受け入れた経営管理者・技術者など高度な人材の賃金の1/3を1年間助成。 (6) 中小企業雇用創出等能力開発給付金 事業所内外での事業の高度化等に必要な高度な職業訓練等に要した費用の3/4及び賃金の3/4を助成(最大3〜5年間)。
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(3)達成目標 | 中小企業における労働力の確保及び良好な雇用機会の創出のための雇用管理の改善の促進を図る。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
評価 | (1)必要性 | 〔国民や社会のニーズに照らした妥当性〕 中小企業の経営基盤の強化に向けた課題として「人材の確保」が上位にあげられ(平成10年6月、経済産業省「商工業実態基本調査」)、また、中小企業の雇用不足感の内容として「企画、研究開発等のための人材が不足(質的不足)」をあげる企業が製造業で78.3%、卸売業で66.2%等となっている(平成9年12月、中小企業庁「我が国企業経営実態調査」)。 このため、雇用機会の創出に重要な役割を担うことが期待される中小企業について雇用管理の改善を促進すること等を通じて人材の確保を支援することは中小企業のニーズに合致するものであるとともに、雇用情勢が厳しい中にあって、雇用機会の一層の創出をも実現できるため、中小企業における雇用創出、雇用管理改善のための支援を積極的に行う必要がある。 〔公益性〕 廃業率(5.6%)が開業率(3.5%)を上回る(平成8〜11年、総務省統計局「事業所・企業統計調査」)状況の下、雇用機会の創出が我が国の重要な課題となっている中で、新たな雇用機会の創出の担い手として期待される中小企業の支援を図る本事業は、公益性を有する。 〔官民の役割分担〕 雇用対策の一環として国が本施策を実施する必要がある。 〔国と地方の役割分担〕 雇用機会の創出については、全国一律的な支援策を実施する国と各地方の中小企業の実情、ニーズを把握している都道府県が連携、協力し、進めることが効果的であることから、本施策は、国の雇用対策と都道府県の中小企業振興施策・雇用施策とが連携・協力して国が実施するものである。 〔民営化や外部委託の可否〕 事業主が労働者の職業の安定のために講ずる措置等に関して行う助成及び相談、その他の援助等の業務の実施について実績があるという観点から、雇用・能力開発機構法第19条第1項第6号及び中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律(以下「中小労確法」という。)第8条により、当事業は雇用・能力開発機構が行うこととしている。 〔緊要性の有無〕 平成13年11月の完全失業率が5.5%(総務省「労働力調査」)となり、比較可能な昭和28年以降の過去最高水準を更新するなど、近年の厳しい経済状況や雇用失業情勢にかんがみ、雇用創出を図るために早急に対策を講じる必要がある。 〔社会経済情勢の変化を受けた、廃止、休止の可否〕 厳しい雇用失業情勢から鑑みて、本事業は継続する必要がある。 |
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(2)有効性 |
〔これまでに達成された効果、今後見込まれる効果〕
また、助成金支給前、支給時、支給後(1年後)のそれぞれの労働者数について、各助成金それぞれ100事業所(受給資格者創業特別助成金については支給件数の関係上46事業所)を選定し、サンプリング調査を行ったところ、次のような結果となった。
各助成金等を支給した企業について支給前と支給時の労働者数を比較するといずれについても増加しており、各助成金等の有効性は極めて高いと認められる。また、支給前と支給1年後の労働者数を比較しても、いずれについても増加しており、中長期的な観点からみても各助成金の有効性は極めて高いと認められる。 〔効果の発現が見込まれる時期〕 |
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(3)効率性 |
〔手段の適正性〕 〔効果と費用の関係に関する分析〕
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(4)その他 | 〔優先性〕 創業支援策への要望に係る実態調査において、求めている援助策として「人材の確保」等を回答している経営者の割合が約3割(中小企業庁「創造的活動実態調査」等)となっており、新たな雇用創出の担い手として期待される中小企業の人材確保への支援を行うことにより、雇用機会を確保していくことは、厳しい雇用情勢の下、優先的に行われるべきものである。 |
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関連事務事業 | なし | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
特記事項 | 平成13年10月の雇用保険三事業に係る各種助成金の見直しに向けた中央職業安定審議会雇用対策基本問題小委員会における検討の中で、「中小企業労働力確保法に基づく助成金のうち、中小企業の雇用管理の遅れという構造的な問題に特に着目して魅力ある職場づくりを支援することを目的とするものについては、依然として中小企業における雇用管理の改善が遅れているという現状から、引き続き重要な役割を果たすべき支援措置である」ことが指摘されており、本助成金の本旨に沿った所要の要件見直しの上、積極的な活用を図ることとしている。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
主管課 及び関係課 |
(主管課) 職業安定局産業雇用構造調整室 (関係課) 職業能力開発局育成支援課 |
別紙様式1
(事務事業用)
事業評価書(中間)
作成年月日 ・ ・
事務事業名 | 介護環境整備奨励金 | ||
事務事業の概要 | (1)目的 | 介護分野は、我が国における急速な高齢化の進展や介護保険制度の施行を背景に、労働需要の拡大が見込まれる分野である。 一方、現下の厳しい雇用失業情勢の下、このような成長が期待できる分野での良好な雇用機会の創出を図っていくことが喫緊の課題である。 したがって、「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に基づく本助成金の支給により労働環境を整備し、労働者が働き安い職場をつくることを通じて介護分野における良好な雇用機会の創出を図る。 |
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(2)内容 | 介護環境整備奨励金 新たな介護サービスの提供や介護事業の開始に伴う労働環境改善設備、又は福祉施設の設置・整備に要した費用を労働者の雇入れ数及び設置・整備費用に応じて助成。(75万円〜1,500万円)
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(3)達成目標 | 現下の厳しい雇用失業情勢の下、今後成長が期待される介護分野での良好な雇用機会の創出を強力に進める。 | ||
評価 | (1)必要性 | [国民や社会のニーズに照らした妥当性] 今後、我が国の高齢化は引き続き急速に進展することが見込まれ、例えば、寝たきり老人の数は2000年の120万人程度から2010年には170万人程度に、2025年には230万人程度に増加するものと見込まれている。 また、寝たきりや痴呆等により介護保険法に基づく要介護、要支援とされる高齢者は平成12年度は270万人程度であるが、平成16年度には310万人程度に達すると見込まれている。 一方、ホームヘルパーや特別養護老人ホームの職員など、介護分野の労働者の需要は、平成10年度には約52万人であったが、平成16年度には約100万人になると見込まれている。 このような状況の下、今後成長が期待される介護分野において、労働環境の整備を通じて、良好な雇用機会の創出を図る必要性は高い。 [公益性] 今後成長が期待される介護分野において、労働環境の改善を通じて良好な雇用機会の創出を図ることは公益性が高い。 [官民の役割分担] 労働環境の整備を図るための措置は直接収益に結びつくものでないこと、環境整備のためには、一定規模以上の投資が必要であり、事業主の負担も大きいこと等から、個々の事業主の努力のみでは労働環境の改善を通じた良好な雇用機会の創出は進まない状況にあり、国が助成する必要がある。 [国と地方の役割分担] 介護労働者法第8条に基づき、本助成金の支給の前提となる雇用管理の改善計画の認定については都道府県が行うこととしている。 介護労働者法第18条に基づき、国(厚生労働大臣)は、認定事業主に対して支給する給付金であって厚生労働省令で定めるものの支給、を、国(厚生労働大臣)が指定する(財)介護労働安定センターに行わせることとしている。 [民営化や外部委託の可否] 認定事業主に対して支給する給付金であって厚生労働省令で定めるものを支給することは、介護労働者法第18条に基づき(財)介護労働安定センターが行うこととしている。 [緊要性の有無] 現下の厳しい雇用失業情勢の下、今後成長が期待される介護分野における良好な雇用機会の創出を図ることは喫緊の課題である。 |
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(2)有効性 | [これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果] 平成12年度における本助成金の支給済事業者数は10社であり、これにより雇入れられた労働者数は66人と、介護分野における労働環境の整備を通じた雇用の創出について、着実に効果を上げているところである。 また、本助成金受給企業全社に対して行った調査によると、助成金の支給により雇入れられた労働者数は、全社の合計数値でみて、最初の雇入れ時点での39名から助成金支給時点では66名と増加を示している。 さらに助成金支給終了後の平成13年7月1日時点においても、助成金支給対象とされた介護サービスの分野で、助成金の支給に係らない労働者が15名増加しているなど、労働環境の整備を通じた雇用機会の創出に効果を発揮している。 一方、助成金の支給対象とならない労働者数についても、全社の合計数値でみて、雇入れ時点での523名から、助成金支給時点で560名、平成13年7月1日時点で612名と増加しており、助成金の支給対象とされた介護サービスにおける労働者との代替による減少は生じていない。 [効果の発現が見込まれる時期] 既に多くの雇用機会の創出が図られており、事業の効果が現れているところであり、今後も、本事業の継続により、引き続き労働環境の整備を通じた良好な雇用機会の創出効果が見込まれる。 |
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(3)効率性 | [手段の適正性] 労働環境の整備を図るための措置は直接収益に結びつくものでないこと、環境整備のためには、一定規模以上の投資が必要であり、事業主の負担も大きいこと等から、個々の事業主の努力のみでは労働環境の整備を通じた良好な雇用機会の創出は進まない状況にある。 この状況を踏まえると、良好な雇用機会の創出を図るためには、これらに自発的に取り組む事業主に対して、国が助成・支援する方法が効率的である。 また、(財)介護労働安定センターは、介護労働者法に基づく指定法人であり、平成4年7月に指定を受けている。この介護労働安定センターは、従来より介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発及び向上その他の介護労働者の福祉の増進を図る観点から介護労働対策を実施しており、ノウハウが蓄積されていることから、このノウハウを活用した的確な助成措置の実施を行うことが可能であり効率的である。 [効果と費用との関係に関する分析] 1件当たりの平均支給額は、969千円であり、一定経費による労働環境の整備を通じた良好な雇用機会の創出が図られている。 |
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(4)その他 (公平性・優先性など) |
[優先性] 介護労働安定センター各支部(47都道府県)における介護分野の事業主からの雇用管理に関する相談は平成12年度で約4万件が寄せられ、そのうち介護雇用創出助成金に関するものは約1万4千件となっており、事業主の関心も高い。 また、新聞等により介護分野の事業者が苦労し賃金面等労働者の雇用管理改善が進んでいない事実が伝えられているが、平成13年7月1ヶ月間の介護分野の新聞報道回数は、60回(朝日、毎日、読売、日経)となっており、社会的にも高い関心を集めているものであり、優先して取り組む必要がある。 |
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関連事務事業 | なし | ||
特記事項 |
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主管課 及び関係課 |
(主管課)職業安定局民間需給調整課 (関係課) 局・部 課・室 |
別紙様式1
(事務事業用)
事業評価書(中間)
作成年月日 ・ ・
事務事業名 | 介護雇用管理助成金 | ||
事務事業の概要 | (1)目的 | 介護分野は、我が国における急速な高齢化の進展や介護保険制度の施行を背景に、労働需要の拡大が見込まれる分野である。 一方、現下の厳しい雇用失業情勢の下、このような成長が期待できる分野での良好な雇用機会の創出を図っていくことが喫緊の課題である。 したがって、「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に基づく本助成金の支給により雇用管理を改善し、労働者が働き安い職場をつくることを通じて介護分野における良好な雇用機会の創出を図る。 |
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(2)内容 |
介護雇用管理助成金
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(3)達成目標 | 現下の厳しい雇用失業情勢の下、今後成長が期待される介護分野での良好な雇用機会の創出を強力に進める。 | ||
評価 | (1)必要性 | [国民や社会のニーズに照らした妥当性] 今後、我が国の高齢化は引き続き急速に進展することが見込まれ、例えば、寝たきり老人の数は2000年の120万人程度から2010年には170万人程度に、2025年には230万人程度に増加するものと見込まれている。 また、寝たきりや痴呆等により介護保険法に基づく要介護、要支援とされる高齢者は平成12年度は270万人程度であるが、平成16年度には310万人程度に達すると見込まれている。 一方、ホームヘルパーや特別養護老人ホームの職員など、介護分野の労働者の需要は、平成10年度には約52万人であったが、平成16年度には約100万人になると見込まれている。 このような状況の下、今後成長が期待される介護分野において、雇用管理の改善を通じて、良好な雇用機会の創出を図る必要性は高い。 [公益性] 今後成長が期待される介護分野において、雇用管理の改善を通じて良好な雇用機会の創出を図ることは公益性が高い。 [官民の役割分担] 雇用管理の改善を図るための措置は直接収益に結びつくものでないこと、事業の立ち上げ時には、さまざまな初期投資が多く、雇用管理の改善のための費用の確保が事業主において必ずしも十分でないこと等から、個々の事業主の努力のみでは雇用管理の改善を通じた良好な雇用機会の創出は進まない状況にあり、国が助成する必要がある。 [国と地方の役割分担] 介護労働者法第8条に基づき、本助成金の支給の前提となる雇用管理の改善計画の認定については都道府県が行うこととしている。 介護労働者法第18条に基づき、国(厚生労働大臣)は、認定事業主に対して支給する給付金であって厚生労働省令で定めるものの支給、を、国(厚生労働大臣)が指定する(財)介護労働安定センターに行わせることとしている。 [民営化や外部委託の可否] 認定事業主に対して支給する給付金であって厚生労働省令で定めるものを支給することは、介護労働者法第18条に基づき(財)介護労働安定センターが行うこととしている。 [緊要性の有無] 現下の厳しい雇用失業情勢の下、今後成長が期待される介護分野における良好な雇用機会の創出を図ることは喫緊の課題である。 |
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(2)有効性 | [これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果] 平成12年度における本助成金の支給済事業者数件数は96社であり、これにより雇入れられた労働者数は393人にのぼり、介護分野における雇用管理の改善を通じた雇用の創出について、着実に効果を上げているところである。 また、本助成金受給企業96社に対して行った調査(全数調査)によると、助成金の支給により雇入れられた労働者数は、全社の合計数値でみて、雇入れ時点での285名から助成金支給時点では393名と増加を示している。 さらに助成金支給終了後の平成13年7月1日時点においても、助成金の支給対象とされた介護サービスの分野で、助成金の支給に係らない労働者が47名増加するなど、雇用管理の改善を通じた雇用機会の創出に効果を発揮している。 一方、助成金の支給対象とならない労働者数についても、全社の合計数値でみて、雇入れ時点での3,900名から、助成金支給時点で4,170名、平成13年7月1日時点で4,565名と増加しており、助成金の支給対象とされた介護サービス分野における労働者との代替による減少は生じていない。 [効果の発現が見込まれる時期] 既に多くの雇用機会の創出が図られており、事業の効果が現れているところであり、今後も、本事業の継続により、引き続き雇用管理の改善を通じた良好な雇用機会の創出効果が見込まれる。 |
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(3)効率性 | [手段の適正性] 雇用管理の改善を図るための措置は直接収益に結びつくものでないこと、事業の立ち上げ時には、さまざまな初期投資が多く、雇用管理の改善のための費用の確保が事業主において必ずしも十分でないこと等から、個々の事業主の努力のみでは雇用管理の改善を通じた良好な雇用機会の創出は進まない状況にある。 この状況を踏まえると、良好な雇用機会の創出を図るためには、これに自発的に取り組む事業主に対して、国が助成・支援する方法が効率的である。 また、(財)介護労働安定センターは、介護労働者法に基づく指定法人であり、平成4年7月に指定を受けている。この介護労働安定センターは、従来より介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発及び向上その他の介護労働者の福祉の増進を図る観点から介護労働対策を実施しており、ノウハウが蓄積されていることから、このノウハウを活用した的確な助成措置の実施を行うことが可能であり最も効率的である。 [効果と費用との関係に関する分析] 1件当たりの平均支給額は、181千円であり、一定経費による雇用管理の改善を通じた良好な雇用機会の創出が図られている。 |
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(4)その他 (公平性・優先性など) |
[優先性] 介護労働安定センター各支部(47都道府県)における介護分野の事業主からの雇用管理に関する相談は平成12年度で約4万件が寄せられ、そのうち介護雇用創出助成金に関するものは約1万4千件となっており、事業主の関心も高い。 また、新聞等により介護分野の事業者が苦労し賃金面等労働者の雇用管理改善が進んでいない事実が伝えられているが、平成13年7月1ヶ月間の介護分野の新聞報道回数は、60回(朝日、毎日、読売、日経)となっており、社会的にも高い関心を集めているものであり、優先して取り組む必要がある。 |
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関連事務事業 | なし | ||
特記事項 |
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主管課 及び関係課 |
(主管課)職業安定局民間需給調整課 (関係課) 局・部 課・室 |
別紙様式1
(事務事業用)
事業評価書(中間)
作成年月日 ・ ・
事務事業名 | 介護人材確保助成金 | ||
事務事業の概要 | (1)目的 | 介護分野は、我が国における急速な高齢化の進展や介護保険制度の施行を背景に、労働需要の拡大が見込まれる分野である。 一方、現下の厳しい雇用失業情勢の下、このような成長が期待できる分野での雇用機会の創出を図っていくことが喫緊の課題である。 したがって、「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に基づく本助成金の支給により、介護分野における労働力確保と良好な雇用機会の創出を図る。 |
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(2)内容 |
介護人材確保助成金
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(3)達成目標 | 現下の厳しい雇用失業情勢の下、今後成長が期待される介護分野での良好な雇用機会の創出を強力に進める。 | ||
評価 | (1)必要性 | [国民や社会のニーズに照らした妥当性] 今後、我が国の高齢化は引き続き急速に進展することが見込まれ、例えば、寝たきり老人の数は2000年の120万人程度から2010年には170万人程度に、2025年には230万人程度に増加するものと見込まれている。 また、寝たきりや痴呆等により介護保険法に基づく要介護、要支援とされる高齢者は平成12年度は270万人程度であるが、平成16年度には310万人程度に達すると見込まれている。 一方、ホームヘルパーや特別養護老人ホームの職員など、介護分野の労働者の需要は、平成10年度には約52万人であったが、平成16年度には約100万人になると見込まれている。 このような状況にある介護分野において、新たなサービスの提供や事業の開始(以下「新サービスの提供等」という。)を行う事業主に対して、様々な初期投資のための経費がかかるサービス開始当初の1年間について、新規雇入れに係る賃金助成をすることは、新サービスの提供等の円滑な実施に資することとなり、介護サービスに対する国民のニーズを充たすとともに、今後成長が期待される分野での良好な雇用機会を創出するものであるため、本事業を行う必要性は高い。 [公益性] 本事業は、事業の立ち上げ時の新規雇入れに係る賃金助成を行うことにより、介護分野における新サービスの提供等の円滑な実施を可能とし、介護サービスに対する国民の需要を充たすとともに、今後成長が期待される介護分野における良好な雇用機会の創出を実現するものであり、公益性が高い。 [官民の役割分担] 事業の立ち上げ時において事業主は、さまざまな初期投資のための経費を負担しなければならないこと等から、必要な労働力の確保に苦労しているところであり、事業主の努力のみでは、介護サービスに対する国民のニーズを十分充たすだけの労働力の確保が進まない状況にあり、国が助成する必要がある。 [国と地方の役割分担] 介護労働者法第8条に基づき、本助成金の支給の前提となる雇用管理の改善計画の認定については都道府県が行うこととしている。 介護労働者法第18条に基づき、国(厚生労働大臣)は、認定事業主に対して支給する給付金であって厚生労働省令で定めるものの支給を、国(厚生労働大臣)が指定する(財)介護労働安定センターに行わせることとしている。 [民営化や外部委託の可否] 認定事業主に対して支給する給付金であって厚生労働省令で定めるものを支給することは、介護労働者法第18条に基づき(財)介護労働安定センターが行うこととしている。 [緊要性の有無] 介護サービスに対する国民のニーズが急速に高まる中、これを担うのに十分な労働力を確保するとともに、現下の厳しい雇用失業情勢の下、今後成長が期待される介護分野における良好な雇用機会の創出を図ることは喫緊の課題である。 |
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(2)有効性 | [これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果] 平成12年度における本助成金の支給済事業者数は2,146社であり、これにより雇入れられた労働者数は7,754人にのぼり、介護分野における雇用の創出について、着実に効果を上げているところである。 また、本助成金受給企業100社に対して行ったサンプリング調査によると、助成金の支給により雇入れられた労働者数は、100社の合計数値でみて、最初の対象労働者を雇い入れた時点では393名であったものが、当該対象労働者に係る助成金支給時点には510名と増加しており、助成金の支給を受けた新規雇入れの増加が示されている。さらに平成13年7月1日時点での対象労働者をみると543名となっており、ここでも、助成金の支給を受けた新規雇入れの増加が示されている(※ 本助成金は、平成12年4月創設と日が浅いことから、平成13年7月1日時点で助成金支給が終了している対象労働者はいない。)。 一方、助成金の支給対象とならない労働者数についても、100社の合計数値でみて、雇入れ時点での4,599名から、助成金支給時点で4,886名、平成13年7月1日時点で5,498名と増加しており、助成金の対象労働者との代替による減少は生じていない。 [効果の発現が見込まれる時期] 既に多くの雇用機会の創出及び労働力の確保が図られており、事業の効果が現れているところであり、今後も、本事業の継続により、引き続き良好な雇用機会の創出及び労働力の確保の効果が見込まれる。 |
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(3)効率性 | [手段の適正性] 事業の立ち上げ時において事業主は、さまざまな初期投資のための経費を負担しなければならないこと等から、必要な労働力の確保に苦労しているところであり、事業主の努力のみでは、介護サービスに対する国民のニーズを十分充たすだけの労働力の確保が進まない状況にある。 この状況を踏まえると、良好な雇用機会の創出及び労働力の確保を図るためには、これらに自発的に取り組む事業主に対して、国が助成・支援する方法が効率的である。 また、(財)介護労働安定センターは、介護労働者法に基づく指定法人であり、平成4年7月に指定を受けている。この介護労働安定センターは、従来より介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発及び向上その他の介護労働者の福祉の増進を図る観点から介護労働対策を実施しており、ノウハウが蓄積されていることから、このノウハウを活用した的確な助成措置の実施を行うことが可能であり効率的である。 [効果と費用との関係に関する分析] 対象労働者1人当たりの平均支給額は、657千円(短時間労働者の場合は225千円)であり、一定経費による雇用創出が図られている。 |
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(4)その他 (公平性・優先性など) |
[優性性] 介護労働安定センター各支部(47都道府県)における介護分野の事業主からの雇用管理に関する相談は平成12年度で約4万件が寄せられ、そのうち介護雇用創出助成金に関するものは約1万4千件となっており、事業主の関心も高い。 また、新聞等により介護分野の事業者が苦労し賃金面等労働者の雇用管理改善が進んでいない事実が伝えられているが、平成13年7月1ヶ月間の介護分野の新聞報道回数は、60回(朝日、毎日、読売、日経)となっており、社会的にも高い関心を集めているものであり、優先して取り組む必要がある。 |
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関連事務事業 | なし | ||
特記事項 |
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主管課 及び関係課 |
(主管課)職業安定局民間需給調整課 (関係課) 局・部 課・室 |
別紙様式1
(事務事業用)
事業評価書(中間)
作成年月日 ・ ・
事務事業名 | 介護能力開発助成金 | ||
事務事業の概要 | (1)目的 | 介護分野は、我が国における急速な高齢化の進展や介護保険制度の施行を背景に、労働需要の拡大が見込まれる分野である。 一方、現下の厳しい雇用失業情勢の下、このような成長が期待できる分野での良好な雇用機会の創出を図っていくことが喫緊の課題である。 したがって、「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に基づく本助成金の支給により、入職後の能力向上による昇進や処遇の向上を期待できる魅力的な職場をつくることを通じて介護分野における良好な雇用機会の創出を図るとともに、介護サービスを担う専門性を備えた労働力の確保を図る。 |
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(2)内容 |
介護能力開発給付金
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(3)達成目標 | 現下の厳しい雇用失業情勢の下、今後成長が期待される介護分野での良好な雇用機会の創出を強力に進める。 | ||
評価 | (1)必要性 | [国民や社会のニーズに照らした妥当性] 今後、我が国の高齢化は引き続き急速に進展することが見込まれ、例えば、寝たきり老人の数は2000年の120万人程度から2010年には170万人程度に、2025年には230万人程度に増加するものと見込まれている。 また、寝たきりや痴呆等により介護保険法に基づく要介護、要支援とされる高齢者は平成12年度は270万人程度であるが、平成16年度には310万人程度に達すると見込まれている。 一方、ホームヘルパーや特別養護老人ホームの職員など、介護分野の労働者の需要は、平成10年度には約52万人であったが、平成16年度には約100万人になると見込まれている。 このような状況の下、今後成長が期待される介護分野において、能力向上による昇進や処遇の向上を期待できる魅力的な職場をつくることを通じて良好な雇用機会の創出を図るとともに、介護サービスを担う専門性を備えた労働力の確保を図る必要性は高い。 [公益性] 今後成長が期待される介護分野において、能力向上による昇進や処遇の向上を期待できる魅力的な職場をつくることを通じて良好な雇用機会の創出を図るとともに、介護サービスを担う専門性を備えた労働力の確保を図ることは公益性が高い。 [官民の役割分担] 労働者の能力開発に係る措置は必ずしも直接収益に結びつくものでないこと、事業の立ち上げ時には、さまざまな初期投資が多く、労働者の能力開発のための費用の確保が事業主において必ずしも十分でないこと等から、個々の事業主の努力のみでは能力開発を通じた良好な雇用機会の確保等は進まない状況にあり、国が助成する必要がある。 [国と地方の役割分担] 介護労働者法第8条に基づき、本助成金の支給の前提となる雇用管理の改善計画の認定については都道府県が行うこととしている。 介護労働者法第18条に基づき、国(厚生労働大臣)は、認定事業主に対して支給する給付金であって厚生労働省令で定めるものの支給を、国(厚生労働大臣)が指定する(財)介護労働安定センターに行わせることとしている。 [民営化や外部委託の可否] 認定事業主に対して支給する給付金であって厚生労働省令で定めるものを支給することは、介護労働者法第18条に基づき(財)介護労働安定センターが行うこととしている。 [緊要性の有無] 現下の厳しい雇用失業情勢の下、今後成長が期待される介護分野における良好な雇用機会の創出を図ることは喫緊の課題である。 |
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(2)有効性 | [これまで達成された効果(継続事業)、今後見込まれる効果] 本助成金が支給された資格取得のための教育訓練を受講した労働者の資格取得状況について、サンプリング調査を実施したところ((1)ホームヘルパー資格取得講習、(2)ホームヘルパー資格ステップアップ講習、(3)ケア・マネージャー資格取得のための準備講習、(4)介護福祉士資格取得のための準備講習を調査対象として実施)、講習を受講した130名のうち、105名が資格を取得している。 また、上記の資格を取得した105名のうち、89名が助成金受給企業で資格に基づく職業に従事しており、定着性の点においても高い効果が発揮されている。 [効果の発現が見込まれる時期] 既に能力開発の効果が現れているところであり、今後も、本事業の継続により、引き続き介護労働者の能力の開発及び能力開発を通じた良好な雇用機会の創出効果が見込まれる。 |
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(3)効率性 | [手段の適正性] 労働者の能力開発に係る措置は必ずしも直接収益に結びつくものでないこと、事業の立ち上げ時には、さまざまな初期投資が多く、労働者の能力開発のための費用の確保が事業主において必ずしも十分でないこと等から、個々の事業主の努力のみでは能力開発を通じた良好な雇用機会の創出は進まない状況にある。 この状況を踏まえると、良好な雇用機会の創出を図るためには、これに自発的に取り組む事業主に対して、国が助成・支援する方法が効率的である。 また、(財)介護労働安定センターは、介護労働者法に基づく指定法人であり、平成4年7月に指定を受けている。この介護労働安定センターは、従来より介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発及び向上その他の介護労働者の福祉の増進を図る観点から介護労働対策を実施しており、ノウハウが蓄積されていることから、このノウハウを活用した的確な助成措置の実施を行うことが可能であり効率的である。 [効果と費用との関係に関する分析] 対象労働者1人当たりの平均支給額は、33千円であり、一定経費により、介護労働者の能力開発及びこれを通じた良好な雇用機会の創出が図られている。 |
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(4)その他 (公平性・優先性など) |
[優先性] 介護労働安定センター各支部(47都道府県)における介護分野の事業主からの雇用管理に関する相談は平成12年度で約4万件が寄せられ、そのうち介護雇用創出助成金に関するものは約1万4千件となっており、事業主の関心も高い。 また、新聞等により介護分野の事業者が苦労し賃金面等労働者の雇用管理改善が進んでいない事実が伝えられているが、平成13年7月1ヶ月間の介護分野の新聞報道回数は、60回(朝日、毎日、読売、日経)となっており、社会的にも高い関心を集めているものであり、優先して取り組む必要がある。 |
||
関連事務事業 | なし | ||
特記事項 |
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主管課 及び関係課 |
(主管課)職業安定局民間需給調整課 (関係課) 局・部 課・室 |