企業は成果主義化・能力主義化の方向で賃金制度改革を実施している。正社員は成果主義の導入と評価の結果として賃金格差がつけられることに賛成しているが、公正な評価がなされるかには不安を感じている。 成果主義的賃金制度の導入と運用に当たっては、適切な目標設定、透明性・公正性の確保等により、従業員の納得性を高めることが重要である。 正社員とパートとの賃金格差は職種構成の違い等を考慮しても1990年代を通じて拡大している。自律的に仕事を進めているパートほど賃金についての不満が強く、処遇が不十分であり働きに見合ったものになっていない可能性がある。 非正社員の活用を図るため、意欲と就業実態に応じた適切な評価・処遇と能力開発を実施し、賃金についての納得性を高めることが重要である。 |
(1) | 産業、企業規模、年齢、勤続年数等の属性の違いを調整しても賃金格差は拡大している。パートタイム労働者の勤続年数は長期化している一方で、賃金決定において勤続年数についての評価が変化していないことがうかがわれる。 |
(2) | 1990年代後半には職種構成の変化が賃金格差を拡大する方向に大きく影響している。また、1990年代を通じてみると職種構成の違いを除いても賃金格差は拡大しているとみられる(第42表)。 |
(3) | 配偶者のいる女性のパートタイム労働者のうち3人に1人が就業調整を行っており、一般労働者との賃金格差の一因になっている。社会保険料などを含む総労働費用の格差をみると、賃金でみた格差より5ポイント程度大きくなっている。 |