戻る  前ページ  次ページ

第2節 就業形態の多様化の動向

 非正規雇用において就業形態の広がりがみられる。労働者計に占める短時間の「パート」の割合は1990年代に高まり、長時間の「その他」の割合は1990年代後半に上昇している。「パート等労働者」のうち役職についている者の割合も上昇している。従来正社員が行っていた役割の一部を「パート」が担うようになり、パートの基幹化が進展している。契約社員、派遣労働者も増加している。
 自営業主・家族従業者数は長期的に減少傾向にある。一方、テレワーク等の就業時間や就業場所といった点でより弾力的な就業形態や、テレワークのうち非雇用の就業形態であるSOHOや、NPOといった就業形態も注目を集めている。フリーターも増加している。
 国際的にみると、我が国のパートタイム労働者比率は男性ではOECD諸国の平均とほぼ同水準、女性ではOECD諸国の平均よりやや高くなっている。
 労働移動という観点からみると、現状では非正規雇用の労働需要が強いことから、全般的に非正規雇用への流入が強まっている。

(雇用における多様化の進展)
 労働者に占める「パート」(1週間の所定労働時間が正社員より短い労働者)の割合は、1990年の11.1%から2001年には22.1%に上昇している(第34図(1))。「その他」(1週間の所定労働時間が正社員と同じか長い者で正社員でない者)の割合は1990年及び95年には2.9%であったが2001年には3.9%に上昇している(第34図(2))。女性の「パート」のうち、生活を維持するために働いているとする人の割合が上昇しており、家計の厳しさから短時間の「パート」として働く人が増加している可能性がある。
 「パート等労働者」のうち役職についている者の割合も上昇している(第35図)。また、正社員と同じ仕事に従事しているという非正社員の割合が3年前より増加しているとする事業所も43.2%となっており、従来正社員が行っていた役割の一部を非正社員が担うようになり、基幹的な役割を持つ非正社員が増加していると考えられる。
 契約社員の人数は増加しており、1999年では112万7,100人となっている。職種別には、専門的・技術的な仕事に従事する契約社員の割合は男性で40.3%、女性で23.9%となっている。
 派遣労働者の人数は増加しており、2002年(平均)で43万人となっている。男女別にみると男性で10万人、女性で33万人となっている。
 また、業務の一部又は全部を社外に委託するアウトソーシングや、工場内において一部の工程を別企業に委託する構内請負も行われている。

(就業の形態及び場所・時間等でみた働き方の多様化)
 自営業主・家族従業者の人数は長期的に減少傾向にあり、1955年には2,312万人であったが2002年には975万人となっている(第36図)。自営業主が減少している背景には、新規開業の減少及び廃業の増加があると考えられる。また、新規開業者の平均年齢が上昇しており、リストラされた中高年が新たな開業の担い手となっていると考えられる。
 2002年時点でテレワークを週8時間以上実施している者(テレワーカー)は、約408万人と推計される。テレワークの長所として、労働者においては「通勤の疲労がなくなる」が最も多く、短所としては「上司・同僚等とのコミュニケーションが不足する」が最も多くなっている(第37図)。
 テレワークのうち非雇用のものをSOHOといい、情報通信機器を活用して請負契約に基づきサービスの提供等を行う在宅形態での就業を在宅就業と呼んでいる。在宅就業は家事と仕事との両立を図りたい、あるいは専門性を活かしたいという意向を持つ人にとって、自分のペースで柔軟・弾力的に働くことのできる働き方として、企業のコスト削減やアウトソーシングの流れと相まって活用されている。
 NPO、ワーカーズ・コレクティブも新たな就業機会として広がりつつある。

(フリーターの動向)
 フリーターを年齢15〜34歳、卒業者、女性については未婚者に限定し、さらに、(1)現在就業している者については勤め先における呼称が「アルバイト」又は「パート」である雇用者で、(2)現在無業の者については家事も通学もしておらず「アルバイト・パート」の仕事を希望する者と定義して集計を行ったところ、フリーターの人数(2002年平均)は209万人(男性94万人、女性115万人)となった(第38図)。
 フリーター増加の背景としては、厳しい学卒労働市場における学卒無業者の増加や若年離職率の高まり、若年者を取り巻く経済環境が豊かになり必ずしも正社員とならなくても生活できること、若年者の就職環境が厳しく不満足な形での就職が増加していることが影響していると考えられる。

(就業形態の多様化に関する国際比較)
 2000年における我が国のパートタイム労働者比率は男性ではOECD諸国の平均とほぼ同水準、女性ではOECD諸国の平均よりやや高くなっている(第39図)。

(労働移動の実態)
 労働移動という観点からみると、現状では非正規雇用の労働需要が強いことから、全般的に非正規雇用への流入が強まっており、このような傾向は特に若年層でみられる。


トップへ
戻る  前ページ  次ページ