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第6節 情報通信技術革新に伴う雇用・就業形態の多様化

 情報通信技術革新はテレワーク雇用や在宅就業等といった自宅等で仕事を行う労働形態を可能とし、高年齢者、障害者及び家庭責任を負っている者の就労を容易にする利点がある。また、情報通信技術革新は、仕事の標準化等を通じて、非正規社員の活用や業務の外部委託を促進している。

 (在宅等での労働の類型)

○ 情報通信技術革新は自宅等で仕事を行う労働形態を可能としており、これは高年齢者、障害者及び家庭責任を負っている者の就労を容易にする利点がある。

○ 在宅等での労働のうち、「テレワーク」とは、情報通信ネットワークを活用して、時間と場所に制約されることなくいつでもどこでも仕事ができる働き方をいい、テレワークには非雇用であるSOHOと、雇用形態で行われる企業内のテレワーク(「テレワーク雇用(在宅勤務等)」)がある(第31表)。

○ SOHOのうち、企業形態でなく、他人を雇っていない就業形態を「在宅就業」という。なお、SOHOについては、ベンチャー企業等を含めた広い意味で使われる場合も多い。

 (テレワーク雇用)

○ 2000年におけるテレワーク雇用(在宅勤務等)人口は、在宅勤務が113万人、サテライトオフィス勤務が11万人、モバイルワークが95万人で、その他いずれにも分類できなかった者も含めた合計は246万人となっており、5年後には445万人に増加すると予測している。またテレワーク雇用を実施している企業は12.7%で、5年後にはこれが約50%になると予想している。

○ テレワーク雇用者の91%は男性である。実施頻度は、毎日、週に1、2回、月に2、3回など様々である。テレワーク雇用者の満足度は高く、そのメリットとしては「仕事の生産性が高くなる」等が多い(第32図)。テレワーク雇用の問題点としては、会社のルールがなく、上司などの裁量で実施している企業が多いことなどがある。厚生労働省では、適切な雇用管理の下での普及を図っている。

 (在宅就業の実態と課題)

○ 在宅就業者人口(出版印刷、情報サービス、専門サービス等)は、17万4,000人程度と推計されている。在宅就業者は育児中の女性が多い(第33図)。

○ 仕事や取引先との関係で困っていることとして、仕事の確保、不安定な収入をあげる在宅就業者が多い。このため、政府では、在宅就業者に対して仲介機関に関する情報を提供するシステムを開発し、運用すること等が検討されている。

○ 在宅就業者のうち、報酬支払いなどのトラブルの経験があるとする人は約2割にのぼる。このため、2000年6月に契約条件の文書明示や契約条件の適正化等を内容とする「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」が策定された。

 (非正規雇用活用の促進要因となっている情報通信技術革新)

○ 情報化が進んでいる企業ほど情報化を非正規雇用の活用理由にあげる割合が高く、また、今後情報化によってパート・アルバイトの比率が高まるとする企業が35%、派遣労働者の比率が高まるとする企業が35%に及んでおり、情報通信技術革新は、仕事を標準化すること等により、非正規雇用活用を促進する一因となっていると考えられる。

 (派遣労働者)

○ 派遣労働は、情報通信技術関係の業務に多く、1998年における情報通信技術関連の業務(ソフトウェア開発、事務用機器操作、OAインストラクション)に働く者は41万人、派遣労働者の45.7%を占める。また、比較可能な最近5年間(1993年から1998年の間)では19万人、88.5%増加している(第34図)。

 (契約労働)

○ 情報システムの導入などの特殊・専門的分野で、かつ、一時的なプロジェクトの分野において契約労働が進むと考えられるほか、情報通信技術革新による業務の標準化等により、外部の人材が活用しやすくなることから、一時的なプロジェクトについて、積極的に外部の人材を登用するという形で契約労働が進むと考えられる。

 (拡大する業務の外部委託)

○ 情報通信技術革新は、業務の標準化、ネットワーク化等により、異なった企業間での仕事のやりとりや意思疎通を容易にする。また、情報通信技術の導入には専門的な技術が必要である。このようにして、情報通信技術革新は、業務の外部委託を促進していると考えられる。10年前に比べて、業務の外部委託の業務に占めるウェイトが増加したとする企業は42%に上り、その割合は、情報化の進展度の高い企業ほど高い傾向がある。


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