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平成24年8月 月例労働経済報告

1 概況

  1. (1) 一般経済の概況
     景気は、このところ一部に弱い動きがみられるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある。
    • 生産は、このところ横ばいとなっている。輸出は、弱含んでいる。
    • 企業収益は、持ち直している。設備投資は、緩やかに持ち直している。
    • 企業の業況判断は、大企業を中心に小幅改善となっている。
    • 雇用情勢は、依然として厳しさが残るものの、改善の動きがみられる。
    • 個人消費は、緩やかな増加傾向にある。
    • 物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にある。
     先行きについては、当面、世界景気減速の影響を受けるものの、復興需要等を背景に、景気回復の動きが続くと期待される。ただし、欧州政府債務危機を巡る不確実性が依然として高いなかで、世界景気のさらなる下振れや金融資本市場の変動が、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、電力供給の制約、デフレの影響等にも注意が必要である。
  2. (2) 労働経済の概況
     労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しさが残るものの、改善の動きがみられる第1図)。
     完全失業率は、6月は前月比0.1%ポイント低下し4.3%となった。また、15〜24歳層の完全失業率は、前月比0.9%ポイント低下し、7.4%となった。労働力人口、就業者数は増加し、完全失業者数は減少した。雇用者数はこのところ減少傾向にあるものの、6月は増加した。
     新規求人数が増加傾向にあることなどから有効求人倍率は上昇している。製造業の残業時間はこのところ横ばい圏内で推移している。
     賃金をみると、定期給与は底堅く推移しているものの、特別給与の減少に伴い、現金給与総額は横ばい圏内で推移している。
     先行きについては、依然として厳しさが残るものの、改善の動きが続くと見込まれる。

2 一般経済

  1. (1) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、このところ横ばいとなっている。
     2012年6月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.4%上昇した(第2図)。
     業種別にみると、化学工業、電子部品・デバイス工業、一般機械工業等が上昇し、輸送機械工業、電気機械工業、鉄鋼業等が低下した。
     出荷は前月比0.9%の低下、在庫は同1.2%の低下であった。
     生産の先行きについては、当面、横ばい圏内で推移すると見込まれる。ただし、電力供給制約、自動車販売や輸出の今後の動向等に留意する必要がある。
     なお、製造工業生産予測調査においては、7月は前月比4.5%の上昇、8月は同0.6%の低下が見込まれている。
  2. (2) 最終需要の動向をみると、
    1. [1] 個人消費は、緩やかな増加傾向にある。
       二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、5月1.5%増の後、6月1.3%減となった。うち勤労者世帯では、5月2.3%減から、6月2.6%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は5月74.6%の後、6月72.0%となった(第3図)。
       消費者態度指数(季節調整済前月差)の推移をみると、6月は0.3ポイント低下し、40.4となった。
       6月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.2%減、大型小売店販売額は2.4%減となった。また、国内新車(乗用車のみ)登録・届出台数(前年同月比)は、6月46.8%増の後、7月42.3%増となった。
       先行きについては、自動車販売の動向が懸念されるものの、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、底堅く推移することが期待される。ただし、電力供給の制約には留意が必要である。
    2. [2] 設備投資は、緩やかに持ち直している。
       財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2011年10〜12月期に季節調整済前期比11.8%増加した後、2012年1〜3月期同1.7%減少(うち製造業同3.6%増加、非製造業同4.5%減少)となっている。また、資本財出荷指数(除く輸送機械)をみると、2012年6月は季節調整済前月比3.5%低下した。
       今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)では、2012年度の設備投資計画(前年度比)は、全規模では4.0%の増加、製造業では7.2%増加、非製造業は2.3%増加となっている。(第4表) また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、5月は季節調整済前月比14.8%減少したが、6月は同5.6%増加した。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、5月は季節調整済前月比3.5%減少、6月は同1.6%減少した。
       先行きについては、企業収益が持ち直すなかで、復興需要もあって、引き続き持ち直していくと見込まれる。ただし、世界景気の減速等の影響に留意が必要である。
    3. [3] 住宅建設は、このところ横ばいとなっている。
       新設住宅着工戸数をみると、5月は季節調整済前月比0.8%増加したが、6月同7.3%減少し、年率83.7万戸となった(第5図)。
       着工床面積は、5月は季節調整済前月比3.2%増加したが、6月は同7.4%減少した。
       先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、復興需要もあって、底堅く推移することが期待される。ただし、建設労働者の需給状況に注視が必要である。
    4. [4] 公共投資は、堅調に推移している。
       公共機関からの建設工事受注額は、5月は前年同月比47.5%の増加、6月も同24.7%の増加となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、6月は前年同月比14.1%の増加、7月も同26.6%の増加となった。
       先行きについては、関連予算の執行により、強めの動きとなることが見込まれる。
    5. [5] 輸出は、弱含んでいる。
       通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、6月は4.1%の減少となり、7月も5.0%減少した。四半期別では、2012年1〜3月期に前期比0.3%増加、年4〜6月期も2.6%増加した(第6図)。
       地域別にみると、アジア向けの輸出は、弱含んでいる。アメリカ向けの輸出は、このところ横ばいとなっている。EU向けの輸出は、緩やかに減少している。先行きについては、当面、世界景気の減速等の影響が続くことが懸念される。
      輸入は、横ばいとなっている。
       通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、6月は3.0%減少したが、7月は1.7%増加した。四半期別では、2012年1〜3月期は0.2%増加、4〜6月期も1.1%増加した(第6図)。
       地域別にみると、アジアからの輸入は、横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、緩やかに増加している。EUからの輸入は、横ばいとなっている。先行きについては、底堅く推移することが見込まれる。
  3. (3) 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。消費者物価は、このところ横ばいとなっている。
     6月の国内企業物価(確報)は、前月比0.7%下落(前年同月比1.4%下落)となり、輸出物価(円ベース)は同1.3%下落(同4.3%下落)、輸入物価(同)は同2.9%下落(同3.3%下落)となった。
     6月の消費者物価は、生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合(コアコア)では前年同月比(固定基準)0.5%下落(季節調整済前月比(同)0.1%下落)となった。総合が同0.2%下落(同0.4%下落)となり、生鮮食品を除く総合は同0.2%下落(同0.3%下落)となった(第7図)。
     先行きについては、消費者物価(コアコア)は、当面、横ばい圏内で推移すると見込まれる。
     なお、消費者物価(コアコア)が前年比で引き続き下落していることなども含め、物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。
  4. (4) 企業収益は、持ち直している。企業の業況判断は、大企業を中心に小幅改善となっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。
     財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2011年10〜12月期10.3%の減益、2012年1〜3月期9.3%の増益(製造業3.6%増益、非製造業11.8%増益)、季節調整済前期比で2011年10〜12月期1.8%の増益、2012年1〜3月期は9.5%の増益(製造業17.4%増益、非製造業6.1%増益)となった。
     また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(6月調査)によれば、企業の全規模の2012年度の経常利益計画(前年度比)は、通期では全規模3.4%の増益、製造業9.2%の増益、非製造業0.1%の減益となっている(第8表)。
     企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)をみると、規模計で、全産業▲4ポイント(2ポイント改善)、製造業▲8ポイント(1ポイント悪化)、非製造業▲3ポイント(2ポイント改善)となっている(負の数には▲を付した。)(第9表)。
     倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2012年7月は1,026件で、前年同月比5.0%の減少となった。
  5. (5) 2012年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.3%増(年率1.4%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.4%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.1%減となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.1%減(年率0.6%減)となった(第10図)。

3 雇用・失業

  1. (1) [1] 6月の就業者数(季節調整値)は、6,272万人となった。

     就業者数(季節調整値)は、6月は前月差27万人増の6,272万人(原数値は6,304万人、前年同月差6万人減)となった。男女別には、男性が3,624万人(前月差21万人増)、女性が2,647万人(同6万人増)となった(第11表)。
     6月の雇用者数(季節調整値)は、5,516万人となった。
     雇用者数(季節調整値)は6月は前月差44万人増の5,516万人(原数値は5,528万人、前年同月差4万人増)となった(第12図)。男女別には、男性が3,152万人(前月差26万人増)、女性が2,363万人(同16万人増)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,761万人、臨時雇・日雇が767万人となった。
     6月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、前月比0.2%増となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.2%減、パートタイム労働者は前月比0.7%増となった。

  2. [2] 6月の完全失業率(季節調整値)は、4.3%となった。
     完全失業率(季節調整値)は6月は前月差0.1%ポイント低下の4.3%(原数値は4.4%、前年同月差0.3%ポイント低下)となった。男女別には、男性が4.5%(前月と同水準)、女性が4.0%(同0.3%ポイント低下)となった。
     6月の完全失業者数(季節調整値)は、281万人となった。
     完全失業者数(季節調整値)は、6月は前月差8万人減の281万人(原数値は288万人、前年同月差26万人減)となった。男女別には、男性が169万人(前月差1万人減)、女性が111万人(同8万人減)となった。
     なお、求職理由別(原数値)にみると、6月は非自発的理由による離職失業者は104万人(前年同月差10万人減)、自発的理由による離職失業者は107万人(同4万人減)、学卒未就職者は17万人(前年同月と同水準)、その他の理由による失業者は56万人(同8万人減)となった(第11表)。
  3. [3] 6月の労働力人口(季節調整値)は、6,552万人となった。
     労働力人口(季節調整値)は、6月は前月差18万人増の6,552万人(原数値は6,591万人、前年同月差33万人減)となった。
     6月の非労働力人口(季節調整値)は、4,538万人となった。
     非労働力人口(季節調整値)は、6月は前月差18万人減の4,538万人(原数値は4,500万人、前年同月差12万人増)となった。男女別には、男性が1,558万人(前月差22万人減)、女性が2,981万人(同3万人増)となった。
     労働力人口比率(原数値)は、6月は59.4%(前年同月差0.1%ポイント低下)となった。男女別には、男性が71.2%(前年同月差0.2%ポイント低下)、女性が48.4%(同0.1%ポイント低下)となった(第11表)。
     就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、6月は56.8%(前年同月差0.1%ポイント上昇)となった。
  4. (2)  月間有効求人数(季節調整値)は、前月比1.3%増と15か月連続で増加した。
     月間有効求職者数(季節調整値)は、前月と同水準となった。
     6月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.82倍と前月より0.01ポイント上昇した。
     新規求人数(季節調整値)は、前月比2.1%減と4か月ぶりに減少した。
     新規求職者数(季節調整値)は、前月と同水準となった。
     6月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.32倍と前月より0.03ポイント低下した第13表)。
     正社員の有効求人倍率は、0.45倍(前年同月差0.10ポイント上昇)となった。
     新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、6月は一般は前月比2.0%減と3か月ぶりに減少し、パートについては同2.7%減と4か月ぶりに減少した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比1.3%増と3か月ぶりに増加し、パートについては同3.2%減と3か月連続で減少した。
  5. (3)  産業別にみると、6月の就業者数(原数値)は、医療・福祉は前年同月差31万人増、教育,学習支援業は同10万人増、建設業は同7万人増と増加したのに対し、卸売業,小売業は同34万人減、運輸業,郵便業は同10万人減、製造業は同9万人減、情報通信業は同7万人減、その他サービス業は同4万人減、宿泊業,飲食サービス業は同1万人減と減少し、生活関連サービス業,娯楽業及び学術研究,専門・技術サービス業は前年同月と同水準であった。
     また、6月の新規求人(原数値)は、医療,福祉は前年同月比17.1%増、卸売業,小売業は同16.7%増、宿泊業,飲食サービス業は16.2%増、その他サービス業は同15.1%増、生活関連サービス業,娯楽業は同14.5%増、建設業は同13.3%増、学術研究、専門・サービス業は同13.3%増、運輸業,郵便業は同13.2%増、情報通信業は同12.8%増、教育,学習支援業は同6.2%増と増加したのに対し、製造業は同1.1%減と減少した。
  6. (4)  雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では5月に前月比3.1%減となった後、6月は同0.3%増、調査産業計では5月に前月比1.9%増となった後、6月は同2.6%減となった。
     日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では1%ポイント(3月調査と同水準)となり、15四半期連続で過剰超過となった(第14図)。
     厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2012年1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は33%となり2011年10〜12月期と同水準であった(第15図)。また、4〜6月期に実施予定の事業所割合は31%、7〜9月期に実施予定の事業所割合は27%となっている。

4 賃金・労働時間

  1. (1) 6月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は433,312円で、前年同月比0.4%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.3%増、パートタイム労働者は同1.5%増となった。
     内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.6%減(一般労働者同0.1%減、パートタイム労働者同1.2%増)となったほか、所定外給与は同5.1%増、特別給与は同0.8%減となった(第16図)。
     また、きまって支給する給与は前年同月比0.1%減(一般労働者同0.4%増、パートタイム労働者同1.4%増)となった。
  2. (2) 6月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は151.4時間で、前年同月比0.5%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.2%減、パートタイム労働者は同0.4%増となった。
     内訳をみると、所定内労働時間は141.3時間で前年同月比0.7%減(一般労働者同0.4%減、パートタイム労働者同0.3%増)、所定外労働時間は10.1時間で同1.2%増(一般労働者同3.2%増、パートタイム労働者同9.4%増)となった。なお、月間出勤日数は19.7日で前年同月差は0.1日減となった。
     6月の製造業の所定外労働時間は14.7時間で、前年同月比6.1%増となった。
     規模別にみると、500人以上規模で前年同月比9.7%増、100〜499人規模で同0.9%増、30〜99人規模で同1.4%増、5〜29人規模で同21.8%増となった(第17図)。

8月の主要変更点

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