厚生労働省

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2月月例労働経済報告

概況

(1)一般経済の概況

景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。

・輸出は、緩やかに増加している。生産は、持ち直している。

・企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。

・企業の業況判断は、依然として厳しい状況にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業では先行きに慎重な見方となっている。

・雇用情勢は、依然として厳しい。

・個人消費は、持ち直しの動きが続いている。

・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

先行きについては、当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。

(2)労働経済の概況

労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しい(第1図)。

・完全失業率は、平成21年12月は前月差0.1ポイント低下し、5.1%となり、高水準で推移している。

・15〜24歳層の完全失業率は上昇している。

・新規求人数、有効求人倍率は持ち直しの動きがみられる。

・雇用者数はこのところ持ち直しの動きがみられる。

・製造業の残業時間は生産が持ち直していることを反映し、増加している。

・定期給与は横ばい圏内で推移しているものの、ボーナスを含む特別給与の大幅な減少に伴い、現金給与総額は大幅に減少している。

一般経済

(1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、持ち直している。

2009年12月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.9%増と10か月連続で上昇した(第2図)。

業種別にみると、2009年12月は電子部品・デバイス工業、一般機械工業、その他工業等が上昇し、輸送機械工業、化学工業、金属製品工業等が低下した。

出荷は前月比1.0%増と上昇した。在庫は前月比0.1%減と低下した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は平成22年1月1.3%増の後、2月は0.3%増となっている。

先行きについては、輸出の増加傾向などから、当面、持ち直しが続くことが期待される。

(2) 最終需要の動向をみると、
[1]個人消費は、持ち直しの動きが続いている。

二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、11月0.1%増の後、12月1.0%増となった。うち勤労者世帯では、11月0.9%増から、12月0.7%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は11月73.2%の後、12月75.7%となった(第3図)。

消費者態度指数の推移をみると、2009年10〜12月期(季節調整済前期差)は1.6ポイント低下し、38.6となった。なお、1月(原数値前年同月差)は12.6ポイント上昇し、39.0となった。

12月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.2%減、大型小売店販売額は2.7%増となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、12月27.3%増の後、1月24.9%増となった。

先行きについては、経済対策の効果が引き続き見込まれるものの、雇用・所得環境が厳しいことなどの影響を注視する必要がある。

[2]設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2009年4〜6月期季節調整済前期比4.7%減の後、2009年7〜9月期同8.8%減(うち製造業同15.9%減、非製造業同4.8%減)となっており、全産業、製造業、非製造業で減少している。

今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)をみると、全規模の2009年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で18.8%減、製造業は30.6%減、非製造業は12.4%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2009年10月は4.5%減の後、11月は11.3%減となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2009年10月は季節調整済前月比11.2%増の後、11月は同34.7%増となっている。

先行きについては、厳しい企業収益の状況、世界景気の先行き不透明感などを背景に、当面、低調に推移する可能性が高い。

[3]住宅建設は、このところ持ち直しの動きがみられる。

新設住宅着工戸数をみると、2009年11月は季節調整済前月比3.8%増、12月は同3.3%増の6.8万戸(年率81.9万戸)と4か月連続で増加した(第5図)。

新設住宅着工床面積は、2009年11月は季節調整済前月比4.5%増の後、12月は同2.4%増となった。

先行きについては、雇用・所得環境が厳しいものの、経済対策の効果もあって底堅く推移することが期待される。

[4]公共投資は、総じて堅調に推移しているが、このところ弱い動きもみられる。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、2009年11月は9.3%増の後、12月は11.5%減となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、2009年12月は10.3%増となった後、2010年1月は3.8%減となっている。

先行きについては、関連予算の執行状況を注視する必要がある。

[5]輸出は、緩やかに増加している。

通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2009年11月は横ばいとなった後 、 12月は1.3%減となっており、四半期別では、2009年7〜9月期10.5%増の後、2009年10〜12月期10.6%増となった(第6図)。

地域別には、アジア向けの輸出は、緩やかに増加している。アメリカ向けの輸出は、持ち直している。EU向けの輸出は、持ち直しの動きがみられる。

先行きについては、世界の景気が緩やかに持ち直していることから、当面、増加傾向が続くとみられる。

輸入は、緩やかに持ち直している。

通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2009年11月は8.6%増の後、 12月は10.4%減となっており、四半期別では、2009年7〜9月期9.8%増の後、2009年10〜12月期0.6%増となった(第6図)。

地域別には、アジアからの輸入は、緩やかに増加している。アメリカからの輸入は、持ち直している。EUからの輸入は、持ち直しの動きがみられる。

(3)国内企業物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、緩やかな下落が続いている。

1月の国内企業物価(速報)は、前月比0.3%上昇(前年同月比0.3%上昇)となり、輸出物価は同1.6%上昇(同2.7%上昇)、輸入物価は同1.5%上昇(同10.4%上昇)となった。

12月の消費者物価は、総合が前年同月比1.7%下落(前月比0.2%下落)となり、生鮮食品を除く総合は同1.3%下落(同0.1%下落)となった(第7図)。

先行きについては、消費者物価(コアコア)は、引き続き緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。

こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。

(4)企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。また、企業の業況判断は、依然として厳しい状態にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業では先行きに慎重な見方となっている。倒産件数は、緩やかに減少している。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2009年4〜6月期53.0%減の後、2009年7〜9月期32.4%減(製造業69.3%、非製造業7.8%減)、季節調整値で2009年4〜6月期18.4%増の後、2009年7〜9月期26.8%増(製造業については、前期の季節調整値が負数のため算出できない。非製造業2.2%増)となった。

また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(12月調査)によれば、企業の全規模の2009年度の経常利益計画(前年度比)は、2009年度通期では全産業16.1%の減益、 製造業33.7%の減益、非製造業7.7%の減益となっている。なお、2009年度上期では、全産業52.8%の減益、製造業85.1%の減益、非製造業24.3%の減益の後、下期では全産業91.3%の増益、製造業は利益、非製造業15.7%の増益が見込まれている(第8表)。

企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)をみると、規模計で、全産業▲32ポイント(6ポイント改善)、製造業▲32ポイント(11ポイント改善)、非製造業▲30ポイント(3ポイント改善)となっており、全産業、製造業、非製造業で改善となっている(負の数には▲を付した。)(第9表)。

倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2010年1月1,063件で、前年同月比21.8%減となった。

(5)2009年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.1%増(年率4.6%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.6%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.5%増となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.2%増となった(第10図)。

雇用・失業

(1)[1]12月の就業者数(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で増加した。

就業者数(季節調整値)は、11月に前月差3万人増となった後、12月は同13万人増と増加し、6,260万人(原数値は6,223万人、前年同月差108万人減)となった。男女別には、男性が3,631万人(前月差8万人増)、女性が2,629万人(同5万人増)となった(第11表)。

12月の雇用者数(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で増加した。

雇用者数(季節調整値)は、11月に前月差1万人減となった後、12月は同16万人増と増加し、5,469万人(原数値は5,455万人、前年同月差69万人減)となった(第13図)。男女別には、男性が3,150万人(前月差5万人増)、女性が2,320万人(同12万人増)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,693万人(前年同月差41万人減)、臨時雇・日雇が762万人(同29万人減)となった。

12月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済値、確報)は、前月比0.1%増となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.1%増、パートタイム労働者は同0.3%増となった。

[2]12月の完全失業率(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で低下した。

完全失業率(季節調整値)は、11月に前月差0.1ポイント上昇の 5.2%となった後、12月は同0.1ポイント低下の5.1%(原数値は4.8%、前年同月差0.7ポイント上昇)となった。男女別には、男性が5.3%(前月差0.1ポイント低下)、女性が5.0%(同0.1ポイント上昇)となった。

12月の完全失業者数(季節調整値)は、2ヶ月ぶりに前月差で減少した。

完全失業者数(季節調整値)は、11月に前月差6万人 増となった後、12月は同3万人減の339万人(原数値は317万人、前年同月差47万人増)となった。男女別には、男性が201万人(前月差7万人減)、女性が138万人(同2万人増)となった。

なお、求職理由別(原数値)にみると、12月は非自発的理由による離職失業者は136万人(前年同月差34万人増)、自発的理由による離職失業者は97万人(同1万人減)、学卒未就職者は10万人(同1万人増)、その他の理由による失業者は68万人(同10万人増)となった(第11表)。

[3]12月の労働力人口(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で増加した。

労働力人口(季節調整値)は、11月に前月差5万人増となった後、12月は同6万人増の6,593万人(原数値は6,539万人、前年同月差62万人減)となった。

12月の非労働力人口(季節調整値)は、2ヶ月連続で前月差で減少した。

非労働力人口(季節調整値)は、11月に前月差6万人減となった後、12月は前月差9万人減の4,454万人(原数値は4,506万人、前年同月差62万人増)となった。男女別には、男性が1,508万人(前月差3万人減)、女性が2,946万人(同6万人減)となった。

労働力人口比率(原数値)は、12月は59.2%(前年同月差0.5ポイント低下)となった。男女別には、男性が71.2%(同1.0ポイント低下)、女性が47.9%(同0.2ポイント低下)となった(第11表)。

就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、12月は56.3%(前年同月差1.0ポイント低下)となった。

(2)月間有効求人数(季節調整値)は、前月比0.2%減と5ヶ月ぶりに減少した。

月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比2.1%減と4ヶ月連続で減少した。

12月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.46倍と前月より0.01ポイント上昇した。

新規求人数(季節調整値)は、前月比1.5%増と4ヶ月連続で増加した。

新規求職者数(季節調整値)は、前月比5.8%減と2ヶ月連続で減少した。

12月の新規求人倍率(季節調整値)は、0.87倍と前月より0.07ポイント上昇した(第12表)。

正社員の有効求人倍率は、0.28倍(前年同月差0.19ポイント低下)となった。

新規求人(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、11月は一般は前月比3.3%増と3ヶ月ぶりに増加し、パートについては同4.5%増と2ヶ月ぶりに増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比7.9%減と2ヶ月連続で減少し、パートについては同6.5%増と2ヶ月連続で増加した。

(3)産業別にみると、12月の就業者数(原数値)は、医療,福祉は前年同月差20万人増、教育,学習支援業は同8万人増、生活関連サービス業,娯楽業は同7万人増、宿泊業,飲食サービス業は同6万人増、情報通信業は同5万人増、運輸業,郵便業は同3万人増と増加したのに対し、製造業は同75万人減、卸売業,小売業は同23万人減、その他サービス業は同14万人減、学術研究,専門・技術サービス業は同9万人減、建設業は同2万人減であった。

また、12月の新規求人(原数値)は、教育,学習支援業は前年同月比5.2%増と増加したのに対し、情報通信業は同29.9%減、運輸業,郵便業は同29.2%減、宿泊業,飲食サービス業は同28.6%減、建設業は同25.7%減、卸売業,小売業は同25.1%減、製造業は同15.1%減、生活関連サービス業,娯楽業は同14.6%減、その他サービス業は同13.4%減、学術研究,専門・技術サービス業は同10.0%減、医療,福祉は同7.8%減であった。

(4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では11月に前月比2.6%増となった後、12月は同3.1%増、調査産業計では11月に前月比0.1%増となった後、12月は同1.0%増となった。

日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では16%ポイント(9月調査より4%ポイント低下)となり、5四半期連続で過剰超過となった(第14図)。

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2009年7〜9月期に雇用調整を実施した事業所割合は45%となり2009年4〜6月期から4%ポイント低下した(第15図)。また、2009年10〜12月期に実施予定の事業所割合は41%、2010年1〜3月期に実施予定の事業所割合は37%となっている。

賃金・労働時間

(1)12月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は550,735円で、前年同月比5.9%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比5.0%減、パートタイム労働者は同2.2%減となった。

内訳をみると、所定内給与は前年同月比1.2%減(一般労働者同0.6%減、パートタイム労働者同0.4%減)となったほか、所定外給与は同0.2%減、特別給与は同9.9%減となった(第16図)。

また、きまって支給する給与は前年同月比1.1%減(一般労働者同0.6%減、パートタイム労働者同0.5%減)となった。

(2)12月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は144.9時間で、前年同月比0.9%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.6%減、パートタイム労働者は同0.6%減となった。

内訳をみると、所定内労働時間は134.9時間で前年同月比0.8%減(一般労働者同0.6%減、パートタイム労働者同0.3%減)、所定外労働時間は10.0時間で同3.2%減(一般労働者同1.7%減、パートタイム労働者同9.8%減)となった。なお、月間出勤日数は18.9日で前年同月差0.2日減となった。

12月の製造業の所定外労働時間は13.3時間で、前年同月比8.4%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比21.8%増、100〜499人規模で同8.4%増、30〜99人規模で同6.6%増、5〜29人規模で同8.8%減となった(第17図)。

2月の主要変更点

月例労働経済報告のポイントPDF版(PDF:97KB)

月例労働経済報告PDF版(PDF:529KB)

月例労働経済報告参考表

データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表 (Excel:177KB))

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表 (Excel:5,162KB))

問合わせ先

政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係

電話 03(5253)1111 内線7732

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