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7月月例労働経済報告


〈概観〉

一般経済の概況

 景気は、依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きがみられる。

 先行きについては、輸出の大幅な増加や生産の持ち直しの影響が、今後経済全体に波及していくなかで、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、このところの世界的な株安やドル安により世界経済の先行き不透明感が高まっており、我が国の最終需要が下押しされる懸念がある。

労働経済の概況

 労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しい。残業時間が増加しているものの、完全失業率が高水準で推移し、賃金も弱い動きが続いている。

(1) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、持ち直しの動きがみられる。生産は、季調済前月比で4月0.2%増の後、5月(速報)は同3.9%増(前年同月比2.2%減)となった。業種別にみると、電気機械、一般機械、輸送機械が上昇したが、繊維工業が低下した。出荷は、季調済前月比4.8%増(前年同月比0.2%増)となった。在庫は、季調済前月比0.2%増(前年同月比11.2%減)となった。在庫率は、季調済前月比2.2%減(前年同月比9.7%減)となった。製造工業の生産予測指数は、6月季調済前月比横ばいの後、7月は同0.3%減を予測している。
 企業収益は、下げ止まりの兆しがみられる。また、企業の業況判断は、中小企業を中心に依然厳しさがみられるものの、全体として改善がみられる。日本銀行「企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、大企業の14年度上期の経常利益計画は、製造業では前年同期比3.7%の減益(13年度下期実績同45.5%の減益)、非製造業では2.7%の減益(13年度下期実績同4.5%の減益)が見込まれている。こうしたなかで、大企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)をみると、製造業はマイナス18%ポイントと「悪い」超幅は縮小し、非製造業もマイナス16%ポイントと「悪い」超幅は縮小した。

「国内総生産」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

「生産・出荷・在庫」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

(2) 設備投資は、減少しているものの、先行きについて下げ止まる兆しもみられる。前出の「企業短期経済観測調査」によれば、大企業の14年度の設備投資計画は、製造業で前年度比8.9%減、非製造業で同5.2%減、全産業では同6.7%減となっており、製造業、全産業で前回調査から下方修正されている。中小企業の設備投資計画は、製造業で前年度比17.4%減、非製造業で同6.7%減となっている。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の動きをみると、季節済前月比で4月8.4%増の後、5月は同0.2%増(前年同月比16.6%減)となっている。建設工事受注額(主要建設会社50社民間発注分、非住宅)は、5月は前年同月比で16.5%減となった。

「設備投資」の表 データ取得エクセルでダウンロードできます。

 住宅建設は、弱含みとなっている。新設住宅着工戸数は、季調済前月比で、4月2.5%増(前年同月比0.6%減)の後、5月は同11.3%増(同5.8%増)の10万6千戸(年率127万戸)となった。

「住宅」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

 公共投資は、総じて低調に推移しているが、このところ平成13年度第2次補正 予算の効果がみられる。公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で3月は7.3%減の後、4月は同6.7%減となった。また、大手50社の受注額は、前年同月比で4月18.7%減の後、5月は同15.6%増となった。

(3) 個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。5月の全世帯の消費支出(速報)は前年同月比で名目で2.7%減、実質で1.6%減となり、平均消費性向(勤労者世帯、季調値)は、70.0%となった。5月の小売業販売額(速報)は前年同月比3.0%減、大型小売店販売額(速報、既存店)は同1.6%減となった。6月の乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、前年同月比0.5%減となった。

「個人消費」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

(4) 輸出は、アジア向けを中心に大幅に増加している。通関輸出(数量ベース、季調値)は、前月比で4月1.6%増の後、5月は同8.3%増(前年同月比14.8%増)となった。また、前期比で10−12月期0.5%減の後、1−3月期6.4%増(前年同期比3.0%減)となった。
 輸入は、横ばいとなっている。通関輸入(数量ベース、季調値)は、前月比で4月8.7%増、5月は同1.5%増(前年同月比2.5%減)となった。また、前期比で10−12月期1.4%増の後、1−3月期1.1%減(前年同期比5.6%減)となった。

(5) 雇用情勢は、依然として厳しい。残業時間が増加しているものの、完全失業率が高水準で推移し、賃金も弱い動きが続いている。5月の有効求人倍率(季調値)は、有効求人が季調済前月比1.2%増(前月同4.5%増)と2ヶ月連続で増加し、有効求職者が同0.5%増(前月同1.8%増)となり、0.53倍と前月より0.01ポイント上昇した。5月の雇用者数は前年同月比1.7%減(前年同月差93万人減)となった。5月の完全失業率(季調値)は、5.4%と前月より0.2ポイント上昇した。完全失業者数(原数値)は375万人で前年同月差27万人増となった。

「雇用・労働市場」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

(6) 賃金、労働時間の動向をみると、5月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は前年同月比2.4%減となり、実質賃金は同1.2%減となった。また、定期給与は前年同月比1.8%減となった。特別給与は前年同月比24.3%減となった。
 5月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は、前年同月比0.2%減となり、そのうち所定内労働時間は同0.2%減となった。また、製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は、前年同月比0.4%増となった。

(7) 国内卸売物価は、横ばいとなっている。6月の総合卸売物価は前月比0.4%下落(前年同月比1.1%下落)となった。そのうち国内卸売物価は前月比横ばい、輸出物価は同1.7%下落、輸入物価は同1.4%下落となった。
 消費者物価は、弱含んでいる。5月の消費者物価は、前年同月比0.9%下落(生鮮食品を除く総合同0.8%下落)、6月について東京都区部速報値でみると、前年同月比0.8%下落(生鮮食品を除く総合同1.0%下落)となった。


1 雇用、労働市場の動向

《1》 5月の労働市場をみると、有効求人が季調済前月比で1.2%増、有効求職者が同0.5%増となり、有効求人倍率(季調値)は0.53倍と前月より0.01ポイント上昇した。内訳をみると、パートの有効求人倍率は1.32倍、パートを除く有効求人倍率は0.40倍(うち常用0.39倍)となった。
 5月の新規求人は季調済前月比で1.4%増、前年同月比で0.0%となり、うち、パートの新規求人は前年同月比6.5%増、パートを除く新規求人は同3.2%減となった。新規求人を産業別にみると、サービス業(同6.3%増)、卸売・小売業、飲食店(同1.5%増)、製造業(同7.2%減)、運輸・通信業(同5.0%減)、建設業(同11.5%減)となっている。一方、5月の新規求職者は季調済前月比で3.9%減、前年同月比14.0%増となり、うち、パートの新規求職者は前年同月比20.8%増、パートを除く新規求職者は同12.6%増となった。また、常用新規求職者は前年同月比15.2%増となり、うち、離職求職者(雇用保険受給資格決定件数)は同15.8%増、離職者以外の常用新規求職者(雇用保険受給資格決定以外の常用新規求職者)は同14.7%増となった。以上の結果、5月の新規求人倍率(季調値)は0.95倍(前月0.90倍)となった。

「求人・求職」の表 データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 雇用者の動きを「労働力調査」でみると、5月は前年同月比1.7%減(前年同月差93万人減、うち常雇121万人減)と9ヶ月連続で減少した。男女別には、男性は前年同月差58万人減、女性は34万人減となった。産業別にみるとサービス業で前年同月差25万人増、運輸・通信業で同19万人減、卸売・小売業、飲食店で同22万人減、建設業で同35万人減、製造業で同67万人減となった。また、「毎月勤労統計調査」で常用雇用(規模5人以上、速報)の動きをみると、5月は産業計で前年同月比0.5%減、製造業で同4.7%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.7%減、パートタイム労働者は同4.4%増となった。
 5月の完全失業率(季調値)は5.4%となり、高水準で推移した。男女別にみると、男性は5.5%(前月差0.1ポイント上昇)、女性は5.3%(前月差0.4ポイント上昇)となった。
 完全失業者数(原数値)は375万人で、前年同月差27万人増となった。離職理由別には、非自発的理由による離職者は152万人(前年同月差50万人増)、自発的理由による離職者は121万人(同1万人減)、他方、その他の理由による失業者は74万人(同13万人減)となった。また、世帯主の失業者は101万人(同9万人増)となった。
 5月の男性の労働力率は75.0%(前年同月差1.2%ポイント低下)、女性の労働力率は49.1%(同0.7%ポイント低下)となった。

「雇用・失業」の表 データ取得エクセルでダウンロードできます。

《3》 日本銀行「企業短期経済観測調査」(6月調査)によれば、全国企業(全産業)の雇用人員判断D.I.(「過剰」−「不足」)はプラス18%ポイント(3月調査プラス20%ポイント)と前回と比べ2%ポイント低下した。内訳をみると、大企業はプラス24%ポイント(同プラス27%ポイント)、中堅企業はプラス14%ポイント(同プラス17%ポイント)、中小企業はプラス19%ポイント(同プラス20%ポイント)となり、大企業、中堅企業、中小企業はすべて低下となった。産業別にみると、製造業はプラス25%ポイント(3月調査プラス31%ポイント)と前回と比べ6%ポイント低下し、非製造業はプラス13%ポイント(同プラス12%ポイント)と前回と比べ1%ポイント上昇した。

「雇用人員判断D.I.の推移」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

2 賃金・労働時間・労働災害の動向

《1》 5月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は280,389円で、前年同月比2.4%減となった。内訳をみると、所定内給与が前年同月比1.6%減となったほか、所定外給与は同3.5%減、特別給与は同24.3%減となり、実質賃金は同1.2%減となった。

「賃金」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 5月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は148.8時間で、前年同月比0.2%減となった。内訳をみると、所定内労働時間は139.7時間で前年同月比0.2%減、所定外労働時間は9.1時間で同2.5%減となった。なお、月間出勤日数は19.4日と前年同月差0.1日増となった。
 5月の製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は12.5時間で、前年同月比0.4%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比0.3%増、100〜499人規模で3.0%増、30〜99人規模で同0.6%減、5〜29人規模で同9.8%減となった。

「労働時間」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《3》 平成14年5月の労働災害による全産業の死亡者数は67人(速報)で、前年同月比39.1%減となっている。


3 勤労者家計・物価の動向

《1》 5月の勤労者世帯の実収入(速報)は、名目で前年同月比1.3%減、実質で同0.2%減となった。内訳をみると世帯主の定期収入が名目で前年同月比0.8%減、臨時収入・賞与が同52.8%減、世帯主の配偶者の収入(うち女)が同8.1%増となった。可処分所得は名目で前年同月比1.0%減、実質で0.1%増となった。
 5月の勤労者世帯の消費支出(速報)は、名目で前年同月比1.5%減、実質で同0.4%減となった。消費支出を財(商品)・サ−ビス別にみると、財(商品)は実質で前年同月比1.9%増、サ−ビスは同0.8%減となった。
 5月の平均消費性向は92.0%と、前年同月差0.5%ポイントの低下となった。

「勤労者家計」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 6月の総合卸売物価は、前月比0.4%下落(前年同月比1.1%下落)となった。うち国内卸売物価は、化学製品、鉄鋼等が上昇したが、食料用農畜水産物、電気機器等が下落したため、前月比横ばい(前年同月比1.0%下落)となった。
 一方、輸出物価、輸入物価は、それぞれ前月比1.7%下落(前年同月比0.4%下落)、同1.4%下落(同2.3%下落)となった。
 5月の全国消費者物価は、前年同月比0.9%下落(前月比0.3%上昇)となった。生鮮食品を除く総合は前年同月比0.8%下落(前月比0.1%上昇)となった。6月の消費者物価を東京都区部速報値でみると、前年同月比0.8%下落 (前月比横ばい) となった。

「物価」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

7月の主要変更点(概要部分)

月例労働経済報告参考表
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