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9月月例労働経済報告


〈概観〉

一般経済の概況

 景気は、引き続き悪化している。

 先行きについては、世界経済の一層の減速や在庫率が高水準にあることなど、懸念すべき点がみられる。

労働経済の概況

 労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率が過去最高の5%台となり、求人や残業時間も弱含んでいる。

(1) 平成13年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季調済前期比0.8%減(年率3.2%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度はマイナス0.7%、財貨・サービスの純輸出の寄与度はマイナス0.1%となった。

(2) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。生産は、季調済前月比で6月0.8%減の後、7月(速報)は同2.8%減(前年同月比8.5%減)となった。業種別にみると、金属製品が上昇したが、電気機械、輸送機械、その他が低下した。出荷は、季調済前月比3.0%減(前年同月比8.0%減)となった。在庫は、季調済前月比1.4%減(前年同月比3.8%増)となった。在庫率は、季調済前月比0.4%増(前年同月比11.6%増)となった。製造工業の生産予測指数は、8月季調済前月比4.3%増の後、9月は同3.0%減を予測している。

「国内総生産」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

「生産・出荷・在庫」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

 企業収益は、頭打ちとなっており、電気機械を中心に製造業では減益となっている。また、企業の業況判断は、製造業を中心に引き続き悪化している。財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の売上高は平成13年1〜3月期前年同期比2.8%増の後、平成13年4〜6月期同1.3%増(うち製造業同1.6%減、非製造業同2.5%増)となり、経常利益は平成13年1〜3月前年同月比0.0%増の後、平成13年4〜6月期同1.0%増(うち製造業21.2%減、非製造業17.1%増)となっている。

(3) 設備投資は、減少している。前出「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資額は、内閣府試算による季節調整値で、13年1〜3月期前期比2.4%減の後、13年4〜6月期同1.5%減(前年同期比2.3%増)となっており、うち製造業では、同6.4%減(同10.5%増)、非製造業では同0.4%減(同1.8%減)となっている。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の動きをみると、季節済前月比で6月6.6%減の後、7月は同1.6%減(前年同月比5.1%減)となっている。建設工事受注額(主要建設会社50社民間発注分、非住宅)は、7月は前年同月比で22.1%増となった。

「設備投資」の表 データ取得エクセルでダウンロードできます。

 住宅建設は、減少している。新設住宅着工戸数は、季調済前月比で、6月7.9%減(前年同月比10.5%減)の後、7月は同11.0%増(同1.4%増)の10.3万戸(年率123万戸)となった。

「住宅」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

 公共投資は、総じて低調に推移している。公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で6月は2.0%増の後、7月は同17.0%減となった。また、大手50社の受注額は、前年同月比で6月7.3%減の後、7月は同2.9%減となった。

(4) 個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、一部で弱い動きがみられる。7月の全世帯の消費支出(速報)は前年同月比で名目で2.7%減、実質で1.6%減となり、平均消費性向(勤労者世帯、季調値)は、73.1%となった。7月の小売業販売額(速報)は前年同月比2.7%減、大型小売店販売額(速報、既存店)は同3.0%減となった。8月の乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、前年同月比5.5%増となった。

「個人消費」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

(5) 輸出は、大幅に減少している。通関輸出(数量ベース、季調値)は、前月比で6月0.3%減の後、7月は同4.6%減となった。
 輸入は、減少している。通関輸入(数量ベース、季調値)は、前月比で6月12.1%減の後、7月は同3.6%増となった。

(6) 雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率が過去最高の5%台となり、求人や残業時間も弱含んでいる。7月の有効求人倍率(季調値)は、有効求人が季調済前月比1.1%増(前月同2.2%減)と2か月ぶりに増加し、有効求職者が同1.6%増(前月同1.2%減)となり、0.60倍と前月より0.01ポイント低下した。7月の雇用者数は前年同月比0.5%増(前年同月差29万人増)となった。7月の完全失業率(季調値)は、5.0%と前月より0.1%ポイント上昇し、既往最高水準となった。完全失業者数(原数値)は330万人で前年同月差23万人増となった。

「雇用・労働市場」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

(7) 賃金、労働時間の動向をみると、7月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は前年同月比保合いとなり、実質賃金は同0.9%増となった。また、定期給与は前年同月比0.5%減となった。特別給与は前年同月比0.8%増となった。
 7月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は、前年同月比0.1%減となり、そのうち所定内労働時間は同0.2%増となった。また、製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は、前年同月比10.2%減となった。

(8) 国内卸売物価は、弱含んでいる。8月の総合卸売物価は前月比0.6%下落(前年同月比0.1%上昇)となった。そのうち国内卸売物価は前月比0.1%下落、輸出物価は同1.6%下落、輸入物価は同3.3%下落となった。
 消費者物価は、弱含んでいる。7月の消費者物価は、前年同月比0.8%下落(生鮮食品を除く総合同0.9%下落)、8月について東京都区部速報値でみると、前年同月比0.9%下落(生鮮食品を除く総合同1.2%下落)となった。

1 雇用、労働市場の動向

《1》 7月の労働市場をみると、有効求人が季調済前月比で1.1%増、有効求職者が同1.6%増となり、有効求人倍率(季調値)は0.60倍と前月より0.01ポイント低下した。内訳をみると、パートの有効求人倍率は1.46倍、パートを除く有効求人倍率は0.47倍(うち常用0.46倍)となった。
 7月の新規求人は季調済前月比で5.5%増、前年同月比で3.1%増となり、うち、パートの新規求人は前年同月比7.2%増、パートを除く新規求人は同1.1%増となった。新規求人を産業別にみると、サービス業(前年同月比12.1%増)、卸売・小売業、飲食店(同9.1%増)、運輸・通信業(同4.0%増)、建設業(同0.1%減)、製造業(同18.6%減)となっている。一方、7月の新規求職者は季調済前月比で8.7%増、前年同月比8.2%増となり、うち、パートの新規求職者は前年同月比7.8%増、パートを除く新規求職者は同8.3%増となった。また、常用新規求職者は前年同月比8.4%増となり、うち、離職求職者(雇用保険受給資格決定件数)は同10.3%増、離職者以外の常用新規求職者(雇用保険受給資格決定以外の常用新規求職者)は同7.1%増となった。以上の結果、7月の新規求人倍率(季調値)は1.04倍(前月1.07倍)となった。

「求人・求職」の表 データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 雇用者の動きを「労働力調査」でみると、7月は前年同月比0.5%増(前年同月差29万人増、うち常雇7万人増)と15か月連続で増加した。男女別には、男性は前年同月差2万人減、女性は31万人増となった。産業別にみると卸売・小売業、飲食店で同43万人増、サービス業で前年同月差32万人増、運輸・通信業で同13万人増、建設業で同13万人減、製造業で同44万人減となった。また、「毎月勤労統計調査」で常用雇用(規模5人以上、速報)の動きをみると、7月は産業計で前年同月比0.2%減、製造業で同1.9%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.9%減、パートタイム労働者は同2.6%増となった。
 7月の完全失業率(季調値)は5.0%となり、前月より0.1%ポイント上昇し、既往最高水準となった。男女別にみると、男性は5.2%(前月差0.1ポイント上昇)、女性は4.7%(前月差0.1ポイント上昇)となった。
 完全失業者数(原数値)は330万人で、前年同月差23万人増となった。離職理由別には、非自発的理由による離職者は99万人(前年同月差保合い)、自発的理由による離職者は114万人(同15万人増)、他方、その他の理由による失業者は86万人(同1万人減)となった。また、世帯主の失業者は86万人(同2万人増)となった。
 7月の男性の労働力率は75.9%(前年同月差0.5%ポイント低下)、女性の労働力率は49.6%(同0.3%ポイント低下)となった。

「雇用・失業」の表 データ取得エクセルでダウンロードできます。

《3》 労働省「労働経済動向調査」(8月調査)により、4〜6月期の雇用調整実施事業所割合を見ると、調査産業計では26%(前期差3%ポイント上昇)、金融・保険業及び不動産業を除く5産業計では26%(前期差2%ポイント上昇)と3期連続で上昇した。産業別には、サービス業で前期差低下、卸売・小売業、飲食店、不動産業で同横ばい、建設業、製造業、運輸・通信業、金融・保険業では同上昇となった。なお、7〜9月期の雇用調整実施予定事業所割合は、産業計で26%、5産業計で26%と見込まれている。8月現在の常用労働者過不足判断D.I.(「不足」―「過剰」)をみると、調査産業計でマイナス10ポイント(前期差4ポイント低下で3期連続の低下)、5産業計ではマイナス11ポイント(前期差3ポイント低下で3期連続の低下)となった。また、産業別に常用労働者過不足判断D.I.をみると、建設業、製造業、卸売・小売業、飲食店、不動産業、サービス業で低下し、運輸・通信業、金融・保険業では上昇した。

「産業別雇用調整実施事業所割合の推移(実績)」のグラフ
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2 賃金・労働時間・労働災害の動向

《1》 7月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は434,898円で、前年同月比保合いとなった。内訳をみると、所定内給与が前年同月比0.1%減となったほか、所定外給与は同5.7%減、特別給与は同0.8%増となり、実質賃金は同0.9%増となった。

「賃金」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 7月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は156.6時間で、前年同月比0.1%減となった。内訳をみると、所定内労働時間は147.4時間で前年同月比0.2%増、所定外労働時間は9.2時間で同5.2%減となった。なお、月間出勤日数は20.4日と前年同月差0.1日増となった。
 7月の製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は12.3時間で、前年同月比10.2%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比10.3%減、100〜499人規模で9.2%減、30〜99人規模で同9.8%減、5〜29人規模で同8.6%減となった。

「労働時間」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《3》 平成13年7月の労働災害による全産業の死亡者数は120人(速報)で、前年同月比16.1%減となっている。

3 勤労者家計・物価の動向

《1》 7月の勤労者世帯の実収入(速報)は、名目で前年同月比4.1%減、実質で同3.0%減となった。内訳をみると世帯主の定期収入が名目で前年同月比3.7%減、臨時収入・賞与が同6.3%減、世帯主の配偶者の収入(うち女)が同5.9%減となった。可処分所得は名目で前年同月比4.5%減、実質で同3.4%減となった。
 7月の勤労者世帯の消費支出(速報)は、名目で前年同月比1.5%減、実質で同0.4%減となった。消費支出を財(商品)・サ−ビス別にみると、財(商品)は実質で前年同月比2.1%減、サ−ビスは同5.2%増となった。
 7月の平均消費性向は67.1%と、前年同月差2.0%ポイントの上昇となった。

「勤労者家計」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 8月の総合卸売物価は、前月比0.6%下落(前年同月比0.1%上昇)となった。うち国内卸売物価は、石油・石炭製品等が上昇したが、電気機器、非鉄金属、鉄鋼等が下落したため、前月比0.1%下落(前年同月比0.9%下落)となった。
 一方、輸出物価、輸入物価は、それぞれ前月比1.6%下落(前年同月比3.2%上昇)、同3.3%下落(同5.0%上昇)となった。
 7月の全国消費者物価は、前年同月比0.8%下落(前月比0.3%下落)となった。生鮮食品を除く総合は前年同月比0.9%下落(前月比0.2%下落)となった。8月の消費者物価を東京都区部速報値でみると、前年同月比0.9%下落 (前月比0.4%下落) となった。

「物価」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

9月の主要変更点(概要部分)

月例労働経済報告参考表
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