平成21年9月8日 大臣官房統計情報部雇用統計課 課長 本川 明 課長補佐 上園 敬一 (担当・内線)労働経済第一係(内線7622) (電話代表) 03(5253)1111 (ダイヤルイン) 03(3595)3145 |
労働経済動向調査(平成21年8月)結果の概況
1 生産・売上額等、所定外労働時間、雇用(1) 生産・売上額等判断D.I.の平成21年7月〜9月期の実績見込は、製造業でプラスに転じた(表1、第1図)。 (2) 所定外労働時間判断D.I.の平成21年7月〜9月期の実績見込は、製造業とサービス業でマイナス幅が縮小した(表2、第2図)。 (3) 正社員等雇用判断D.I.の平成21年7月〜9月期の実績見込は、製造業と卸売業,小売業でマイナス幅が拡大したが、サービス業でマイナス幅が縮小した(表3、第3図)。 2 労働者の過不足状況、雇用調整、中途採用(1) 正社員等労働者過不足判断D.I.はマイナス14ポイント、パートタイム労働者過不足判断D.I.はマイナス1ポイントと、いずれも過剰超過となっている(表5、表6、第5図)。 (2) 雇用調整の平成21年4月〜6月の実績は49%と前期(47%)より、2ポイント上昇した(表7、第6図) (3) 中途採用の実績は前年より減少した(表9,第7図)。 3 既卒者の応募の可能性既卒者の応募受付状況をみると、「応募可能だった」とする事業所割合は、新規学卒者採用枠、中途採用者採用枠ともに前年に比べ減少した(表10)。 |
I 調査の概要
1 調査の目的
この調査は、景気の動向、労働力需給の変化等が雇用、労働時間、賃金等に及ぼしている影響や今後の見通し等について調査し、労働経済の変化や問題点を把握するため、2月、5月、8月、11月の四半期ごとに実施している。
2 調査の対象期日及び実施時期
8月調査は平成21年8月1日現在の状況について、平成21年8月1日〜8月15日に実施した。
3 調査の対象
日本標準産業分類(平成19年11月改定)の建設業、製造業、情報通信業、運輸業,郵便業、卸売業,小売業、金融業, 保険業、不動産業,物品賃貸業、学術研究,専門・技術サービス業、宿泊業,飲食サービス業、生活関連サービス業,娯楽業、医療,福祉、サービス業(他に分類されないもの)に属する事業所規模30人以上の全国の民営事業所5,835事業所を調査の対象とした(回答事業所数3,143、回答率53.9%)。
4 調査事項
事業所の属性に関する事項、生産・売上等の動向と増減(見込)理由に関する事項、雇用、労働時間の動向に関する事項、労働者の過不足感に関する事項、雇用調整等の実施状況に関する事項、既卒者の募集採用に関する事項、新規学卒者採用枠での募集時期に関する事項。
5 調査の方法
通信調査方式(調査票(紙)による報告方式(郵送)またはインターネットを利用したオンライン報告方式)により実施した。
II 結果の概要
1 生産・売上額等、所定外労働時間、雇用
(1) 生産・売上額等《製造業で実績見込がプラスに転じる》
生産・売上額等判断D.I.は21年4〜6月期実績で製造業では4ポイント、卸売業,小売業でマイナス16ポイント、サービス業でマイナス20ポイントとなった。21年7〜9月期実績見込では、製造業では8ポイント、卸売業,小売業でマイナス22ポイント、サービス業でマイナス32ポイントとなっている。21年10〜12月期見込は製造業でマイナス4ポイント、卸売業,小売業でマイナス22ポイント、サービス業でマイナス13ポイントとなっている。(表1、第1図)
(2) 所定外労働時間《製造業とサービス業の実績見込でマイナス幅縮小》
所定外労働時間判断D.I.は21年4〜6月期実績で製造業ではマイナス6ポイント、卸売業,小売業でマイナス19ポイント、サービス業でマイナス23ポイントとなった。21年7〜9月期実績見込では、製造業ではマイナス1ポイント、卸売業,小売業でマイナス20ポイント、サービス業でマイナス16 ポイントとなっている。 21年10〜12月期見込は製造業でマイナス7ポイント、卸売業,小売業でマイナス16ポイント、サービス業でマイナス14ポイントとなっている。(表2、第2図)
(3) 正社員等雇用《サービス業の実績見込でマイナス幅縮小》
正社員等雇用判断D.I.は21年4〜6月期実績で製造業ではマイナス10ポイント、卸売業,小売業でマイナス6ポイント、サービス業でマイナス16ポイントとなった。21年7〜9月期実績見込では、製造業ではマイナス5ポイント、卸売業,小売業でマイナス5ポイント、サービス業でマイナス6ポイントとなっている。21年10〜12月期見込は製造業で0ポイント、卸売業,小売業でマイナス2ポイント、サービス業でマイナス2ポイントとなっている。(表3、第3図)
(4) パートタイム雇用《製造業、卸売業,小売業とサービス業の実績見込でマイナス幅縮小》
パートタイム雇用判断D.I.は21年4〜6月期実績で製造業ではマイナス19ポイント、卸売業,小売業でマイナス13ポイント、サービス業でマイナス12ポイントとなった。21年7〜9月期実績見込では、製造業ではマイナス4ポイント、卸売業,小売業でマイナス9ポイント、サービス業でマイナス3ポイントとなっている。21年10〜12月期見込は製造業でマイナス7ポイント、卸売業,小売業でマイナス11ポイント、サービス業でマイナス4ポイントとなっている。(表4、第4図)
付属統計表 第1表
2 労働者の過不足状況
(1) 正社員等労働者《過剰超過が続く》
21年8月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計でマイナス14ポイントとなり、過剰超過となった(表5、第5図)。
(2) パートタイム労働者《過剰超過》
21年8月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計でマイナス1ポイントとなり、過剰超過となった(表6、第5図)。
3 雇用調整等
(1) 実施割合
雇用調整を実施した事業所の割合(21年4〜6月期実績)は、調査産業計で49%と前期(47%)と比べると2ポイント上昇した(表7、第6図)。
(2) 実施方法
雇用調整等の実施方法は、調査産業計では、残業規制(29%)の割合が前期(30%)に引き続き、最も多くなっている(表8)
付属統計表 第4表
4 中途採用《減少している》
「中途採用あり」とした事業所(21年4〜6月期実績)は、調査産業計で45%と前年同期(20年4〜6月期実績)より減少した (表9、第7図)。
付属統計表 第5表
(以下は今回調査の特別項目となります。)
5 既卒者の応募の可能性
(1) 応募の受付状況
過去1年間(平成20年8月から平成21年7月まで)に正社員を募集する際の既卒者の応募受付状況をみると、「応募可能だった」とする事業所割合は、調査産業計で新規学卒者採用枠が27%(前回平成20年8月調査33%)、中途採用者採用枠が39%(同52%)と、前年より減少した。
既卒者に対して「正社員の募集がなかった」事業所割合は、新規学卒者採用枠が24%(同19%)、中途採用者採用枠が26%(同19%)と、前年より増加した。(表10、第8図)。
(2) 応募年齢の上限
新規学卒者採用枠に応募可能だった既卒者の応募年齢をみると、「上限がある」事業所割合は、調査産業計で47%(前回平成20年8月調査50%)、このうち上限年齢を「24歳以下」とする割合が49%(同40%)となっている(表 11)。
(3) 応募時における卒業後の経過期間の上限
新規学卒者採用枠に応募可能だった既卒者の卒業後の経過期間の上限をみると、「上限がある」事業所割合は、調査産業計で30%(前回平成20年8月調査27%)、このうち、上限期間を「1年以内」とする割合が46%(同34%)となっている(表12)
6 新規学卒者採用枠の募集状況
過去1年間(平成20年8月から平成21年7月まで)に新規学卒者採用枠で正社員を「募集した」事業所割合は、調査産業計で46%(前回平成20年8月調査53%)となっている。
また、募集した事業所について、その募集時期をみると、調査産業計では「春季の一括採用のみ」とする割合が74%(同67%)となっており、次いで「年間を通して随時」18%(同25%)、「春季と秋季」7%(同8%)の順となっている。(表13)。
主な用語の説明
1 労働者
(1) 正社員等………雇用期間を定めないで雇用されている者または1年以上の期間の雇用契約を結んで雇用されている者をいい、パートタイムは除く。なお、下記の派遣労働者は含まない。
(注)平成20年2月調査から下線部分の追加により定義を変更し、併せて名称を「常用」から「正社員等」に変更した。
(2) 臨時……………1か月以上1年未満の期間を定めて雇用されている者及び期間を限って季節的に働いている者をいい、1か月未満の雇用契約の者及びパートタイムは除く。
(注)平成20年2月調査から下線部分の追加により定義を変更した。
(3) パートタイム……1日の所定労働時間又は1週間の所定労働日数が当該事業所の正社員のそれより短い者をいう。
(注)平成20年2月調査から下線部分を「一般労働者」から「正社員」に変更した。
(4) 派遣労働者……労働者派遣法に基づいて他社(派遣元事業所)から当該事業所に派遣されている者をいう。
2 「生産・売上額等判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」及び「雇用判断D.I.」とは、前期と比べて増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値である。
3 「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差 し引いた値である。
利用上の注意
1 日本標準産業分類の改定(平成19年11月)にともない、平成21年2月調査から新産業分類に基づき表章 している。さらに平成21年2月調査より「医療,福祉」を追加しているため、平成20年11月調査以前との 比較は注意を要する。
(1)「建設業」、「金融業,保険業」については、それぞれ旧産業の「建設業」、「金融・保険業」と分類内容の変更がなかったため、旧分類と接続している。
(2)「製造業」の「消費関連業種」、「素材関連業種」、「機械関連業種」の区分については、それぞれ旧産業の「製造業」の区分と分類内容の変更があったため、旧分類と接続しない。
(3)「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」については、それぞれ旧産業の「情報通信業」、「運輸業」、「卸売・小売業」、「飲食店,宿泊業」と分類内容の変更があったため、旧分類と接続しない。
(4)「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「サービス業」については、それぞれ旧産業の「不動産業」、「サービス業」の一部を分離・統合した産業であり、分類内容の変更があったため、旧分類と接続しない。
平成20年11月調査以前の旧産業分類集計による「調査産業計」の数値については、旧産業の「不動産業」、「サービス業」の数値が含まれている。