結果の概要
1 入職と離職の推移
(1)平成21年上半期の常用労働者の推移
平成21年上半期の入職者数は、410万人(年初の常用労働者数に対する割合9.3%)で、離職者数は、423万人(同9.6%)であった。この結果、常用労働者数は、事業所の新設や閉鎖等の影響を除き、13万人(同0.3%)の減少となった。
これを一般労働者とパートタイム労働者に分けると、一般労働者では、入職者239万人(年初の常用労働者のうち一般労働者の人数に対する割合7.2%)、離職者250万人(同7.6%)で差引11万人(同0.3%)の減少であった。パートタイム労働者では、入職者171万人(年初の常用労働者のうちパートタイム労働者の人数に対する割合15.4%)、離職者173万人(同15.6%)で差引2万人(同0.2%)の減少であった。
(図1、付属統計表1−1、付属統計表1−2)
図1 平成21年上半期の常用労働者の動き

(2)入職率と離職率の推移
(入職率、離職率ともに上昇し、離職超過)
平成21年上半期(1月〜6月)における労働移動者は、入職者が410万人(前年同期390万人)、離職者が423万人(同371万人)で、延べ労働移動者は832万人(同761万人)となり、入職者のうち転職入職者は241万人(同230万人)となった。これを率でみると、入職率は9.3%(同8.7%)、離職率は9.6%(同8.2%)で0.3ポイントの離職超過となった。
前年同期と比べると、入職率が0.6ポイント、離職率が1.4ポイント上昇し、前年同期の入職超過から離職超過となった。
このうちパートタイム労働者をみると、入職者が171万人(前年同期139万人)、離職者が173万人(同138万人)で、延べ労働移動者は344万人(同278万人)となり、入職者のうち転職入職者は99万人(同80万人)となった。これを率でみると、入職率は15.4%(同13.6%)、離職率は15.6%(同13.5%)で0.2ポイントの離職超過となった。
また、パートタイム労働者を前年同期と比べると、入職率が1.8ポイント、離職率が2.1ポイント上昇し、前年同期の入職超過から離職超過となった。
(図2、付属統計表1−1、付属統計表1−2)
図2 入職率・離職率の推移(各年上半期)

(3)職歴別入職率の推移
(転職入職率、未就業入職率ともに上昇)
入職者を職歴別にみると、転職入職者は241万人(前年同期230万人)、未就業入職者は169万人(同159万人)で、転職入職率が5.5%(同5.1%)、未就業入職率が3.8%(同3.5%)となった。前年同期と比べると、転職入職率は0.4ポイント上昇、未就業入職率は0.3ポイント上昇した。
性別にみると、男は転職入職者が118万人(同120万人)、未就業入職者が73万人(同73万人)、女は転職入職者が123万人(同110万人)、未就業入職者が96万人(同86万人)で、男の転職入職率は4.7%(同4.6%)、未就業入職率は2.9%(同2.8%)、女の転職入職率は6.4%(同5.9%)、未就業入職率は5.0%(同4.6%)となった。前年同期と比べると、転職入職率は男女ともに上昇し、未就業入職率も、男女ともに上昇した。
一般、パート別にみると、一般労働者の転職入職者は142万人(同150万人)、未就業入職者は97万人(同100万人)で、転職入職率は4.3%(同4.3%)、未就業入職率は2.9%(同2.9%)、パートタイム労働者の転職入職者は99万人(同80万人)、未就業入職者は72万人(同59万人)で、転職入職率は8.9%(同7.9%)、未就業入職率は6.5%(同5.7%)となった。前年同期と比べると、一般労働者は転職入職率、未就業入職率ともに変わらず、パートタイム労働者は転職入職率、未就業入職率ともに上昇した。
(図3、付属統計表1−1、付属統計表1−2)
図3 職歴別入職率の推移(各年上半期)

(4)入職者のうち新規学卒者(進学した者であっても学業とは別に常用労働者として働いている場合を含む、以下同じ)の状況
(入職者のうち新規学卒者は一般労働者が減少し、パートタイム労働者が増加)
入職者のうち新規学卒者は88.2万人で学歴別入職状況をみると、大学・大学院卒は38.2万人、高校卒は27.1万人、専修学校(専門課程)卒は10.6万人、高専・短大卒は8.5万人となった。性別にみると、男は44.3万人、女は43.9万人となった。就業形態別にみると、一般労働者は70.6万人、パートタイム労働者は17.7万人となった。
前年同期差をみると、すべての学歴で一般労働者が減少、パートタイム労働者が増加し、一般労働者は4.8万人の減少、パートタイム労働者は8.1万人の増加となった。(表1)
表1 入職者のうち新規学卒者の状況

(5)離職理由別離職率の推移
(「経営上の都合」、「契約期間の満了」が上昇)
離職者の離職理由別離職率をみると、結婚、出産・育児、介護を除く「その他の個人的理由」が5.5%、「契約期間の満了」が1.5%、「経営上の都合」が1.3%、「定年」が0.6%、「本人の責」が0.1%となった。
前年同期と比べると、「経営上の都合」が0.6ポイント、「契約期間の満了」が0.5ポイント、「定年」が0.1ポイント、結婚、出産・育児、介護を除く「その他の個人的理由」が0.1ポイント上昇し、「本人の責」は前年同期と変わらなかった。(図4)
図4 離職理由別離職率の推移(各年上半期)

2 年齢階級別の入職と離職
(1)年齢階級別入職率・離職率
(30歳未満と60歳以降で高い)
年齢階級別に入職率と離職率をみると、おおむね40歳代までは、男女ともに入職率も離職率も年齢とともに低下傾向にある。その後、60〜64歳を中心に入職率と離職率が高くなっている。
入職率と離職率を比較すると、男は30歳以降で離職超過となり、女は、25〜29歳で離職超過となった後、35〜44歳では入職超過となり、その後は離職超過となった。
(図5)
図5 年齢階級別入職率・離職率

(2)入職者に占めるパートタイム労働者の割合
(女は20〜24歳以降は年齢が高くなるに従って割合が上昇)
入職者に占めるパートタイム労働者の割合をみると、女では、20〜24歳以降は年齢が高くなるに従って割合が上昇しており、30〜34歳以降の年齢ではいずれも50%を超えている。男では、25〜59歳までは大幅な増減はないが、60歳以降で割合が高くなっている。また、20〜24歳では、男の割合が女の割合よりも高くなっている。(図6)
図6 入職者に占めるパートタイム労働者の割合

(3)離職理由別離職者
(50〜59歳で「経営上の都合」が高い)
離職者の離職理由別割合をみると、「個人的理由」が61.9%(前年同期70.5%)と最も多く、次いで「契約期間の満了」が16.2%(同12.5%)、「経営上の都合」が13.4%(同8.2%)、「定年」が5.8%(同5.7%)となった。性別にみると、男は「個人的理由」が52.1%、「契約期間の満了」が16.4%、「経営上の都合」が19.8%、「定年」が8.5%で、女は「個人的理由」が71.6%、「契約期間の満了」が16.0%、「経営上の都合」が7.0%となった。
また、女の「個人的理由」のうち「結婚」が3.9%、「出産・育児」が2.8%となった。
前年同期と比べると、「経営上の都合」が5.2ポイント、「契約期間の満了」が3.7ポイントとそれぞれ上昇し、一方、「個人的理由」は8.6ポイント低下した。
離職理由別に年齢階級をみると、「個人的理由」では30歳未満が約8割、「契約期間の満了」では65歳以上が34.6%、「経営上の都合」では50〜54歳及び55〜59歳がそれぞれ25.4%、35.3%と他の年齢階級に比べ高くなった。
(図7、付属統計表3、付属統計表4)
図7 離職者の離職理由の推移(各年上半期)


3 転職入職者の状況
(1)年齢階級別転職入職率
(30歳未満と60〜64歳で高い)
年齢階級別に転職入職率をみると、男は20〜54歳にかけて年齢とともに低下するが、55〜64歳にかけて上昇している。女もほぼ同様な傾向であったが、男とは異なり55〜64歳にかけた上昇がなかった。その結果、おおむね男より高い水準となっていたが、60歳以上は男の方が高い水準となった。
女を一般・パート別にみると、転職入職率は19歳以下を除き、パートの方が高かった。(図8)
図8 年齢階級別転職入職率

(2)転職入職者の一般・パート間の移動
(パートから一般が7.8%、一般からパートが11.8%)
転職入職者の一般・パート間移動状況をみると、「一般労働者から一般労働者へ移動」した割合は51.7%、「パートタイム労働者から一般労働者へ移動」した割合は7.8%、「一般労働者からパートタイム労働者へ移動」した割合は11.8%、「パートタイム労働者からパートタイム労働者へ移動」した割合は25.8%となった(表2)。
表2 転職入職者の就業形態間移動状況

(3)転職入職者が前職を辞めた理由
(男女とも「定年、契約期間の満了」、「会社都合」が多い)
転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男では、「その他の理由」以外で「定年、契約期間の満了」が18.0%と最も多く、次いで「会社都合」が16.9%となっている。年齢階級別にみると、「定年、契約期間の満了」は、60〜64歳と65歳以上で高く、「会社都合」は、35〜59歳にかけて高い。
女では、「その他の理由」以外で「定年、契約期間の満了」が15.6%で最も多く、次いで「会社都合」が12.2%となっている。年齢階級別にみると、「定年、契約期間の満了」は、60〜64歳と65歳以上で高いが、20〜59歳にかけても10%から20%前後を占める。「会社都合」は50〜54歳が高いが、30歳以上でも10%前後と高くなっている。
前年同期と比べると、男では、「会社都合」が9.0ポイント上昇し、「収入が少ない」が4.0ポイント低下、女では、「その他の理由」以外で「会社都合」が5.1ポイント上昇し、「労働条件が悪い」が1.8ポイント低下した。(表3)
表3 転職入職者が前職を辞めた理由

(4)転職入職者の賃金変動状況
(「増加」した割合が8.5ポイント低下)
転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合は26.2%、「減少」した割合は34.7%、「変わらない」の割合は37.8%となった。「増加」のうち、「1割以上の増加」の割合は15.5%、「減少」のうち「1割以上の減少」の割合は25.0%となった。年齢階級別にみると、30歳未満では、賃金が「増加」した割合は「減少」した割合を上回った。
前年同期と比べると、「増加」した割合は8.5ポイント低下し、「減少」した割合は1.4ポイント上昇した。(表4)
表4 転職入職者の賃金変動状況

4 未充足求人の状況
(1)未充足求人の状況
(未充足求人数は大幅に減少)
平成21年6月末日現在の未充足求人数は25.4万人(前年48.3万人)で、欠員率(在籍労働者に対する未充足求人数の割合)は0.6%(同1.1%)となった。また、未充足求人数のうちパートタイム労働者は10.7万人(同17.0万人)で、欠員率は1.0%(同1.7%)となった。(図9、表5)
図9 未充足求人の推移(6月末日現在の欠員率)

(2)産業別未充足求人の状況
(産業別未充足求人数は、宿泊業,飲食サービス業が最も多い)
産業別の未充足求人数をみると、宿泊業,飲食サービス業が6.6万人で最も多く、次いで医療,福祉が4.1万人、卸売業,小売業が3.4万人となった。欠員率でみると、宿泊業,飲食サービス業が1.8%、生活関連サービス業,娯楽業と医療,福祉がともに0.8%となった。(表5)
(3)職業別未充足求人の状況
(職業別未充足求人数は、サービス職業従事者が最も多い)
職業別の未充足求人数をみると、サービス職業従事者が7.1万人で最も多く、次いで専門・技術的職業従事者が6.0万人、販売従事者が3.8万人となった。欠員率でみると、サービス職業従事者が1.2%、保安職業従事者と運輸・通信従事者がともに0.8%となった。(表6)
表5 産業別未充足求人の状況(6月末日現在)

表6 職業別未充足求人の状況(6月末日現在)

5 付属統計表
付属統計表1−1 常用労働者の移動状況

付属統計表1−2 常用労働者の移動状況(率)


付属統計表2 産業別入職・離職状況

付属統計表3 離職理由別離職者の状況

付属統計表4 男女別離職理由別離職者の状況

付属統計表5 転職入職者の賃金変動状況(就業形態別)
