1) |
小規模多機能ケアが目指してきたもの
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住み慣れた自宅・地域でつながりのある大切な人々とともに暮らしつづけることを望む高齢者の在宅生活の支援 |
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少人数で家庭的な雰囲気の中での、一人一人のニーズに応じた、曜日や時間帯を問わないきめ細かいサービスの提供 |
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新たな人間関係の構築と、本人の社会性の維持 |
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痴呆を背景とした家庭内や地域での人間関係の障害の修復の支援 |
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2) |
小規模多機能ケアの機能について
<通所機能>
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本人の生活能力・社会性を維持するための機会を提供し、また関係が悪化した家族との緊張状態を回避し、また、家族の疲労やストレスの蓄積を回避できる。 |
<泊まり機能>
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本人のリロケーションダメージが回避でき、また、家族の安心が確保できる。 |
<居住機能>
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本人にとってなじみの環境や人間関係があり、また、家族の訪問が容易である。 |
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自宅での生活への復帰への試みが比較的容易である。 |
<訪問介護機能>
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本人・家族双方にとって、安心して在宅介護を継続するための強力な後ろ盾となり得る。 |
<ケアマネジメント機能>
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利用者の状況を熟知している内部職員による調整がより望ましく、ケアマネジメント能力を備えるべきである。 |
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3) |
小規模多機能ケア施設の要件
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小規模であること。通所の定員は15人以下、できれば10人以下が望ましい。 |
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多機能であること。通所をベースとし、泊まり、居住、訪問介護等が一拠点に集積されていることが大きな特徴。 |
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地域密着であること。地域住民や福祉、医療関係者等と利用者支援について十分な連携を保っていること。 |
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ハードの条件。既存の建物の在り方、条件に応じて利用人員を決めたり、不足している機能を確保するために増改築するなどの柔軟な対応も必要。 |
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職員の資質。事業運営の核となる職員の痴呆性高齢者ケアに関する確かな知識と力量が求められる。必要に応じた外部の医療系専門職と連携がとれる体制を確保することも重要。 |
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4) |
制度と関連する課題について
<泊まり(任意事業としての宿泊)機能について>
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泊まりはあくまでも通所の延長としての位置付けであり、原則的には通いの利用者に限る。 |
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短期入所の指定基準はハードルが高く、指定をとることは物理的に困難である。 |
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通いと泊まりを短期入所として一体化すると事業者にとっては実質的な収入減となる。 |
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毎日の通所だけで区分支給限度額を超え、介護保険の短期入所としての利用は困難である。 |
<住まう(任意事業としての居住)機能について>
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基本的には個室が前提であるが、プライベートな空間の確保や居住者の状態の見極めを条件に2人室の場合もありうる。 |
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居住開始以降も家族との関わりが切れないように援助することが大切である。 |
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一度居住を開始しても、再び自宅に戻れる場合(一時帰宅・在宅復帰)がある。 |
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小規模多機能ケア施設におけるターミナルケア
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利用者の重度化に対応するために必要なスキルを身に付けた介護スタッフの養成・確保が最も重要な課題である。 |
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家族と施設及び医療機関が、ターミナルケアに取り組む意義や方針を共有していることが不可欠である。 |
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必要な時に気軽に往診に応じてくれる医療機関(医師)との関係の確保が不可欠。 |
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ターミナルを迎えるにあたって、度の程度の延命治療を求めるのか、家族と事前に十分話し合い、その上で対処方針を医療機関とよく打ち合わせることが重要。 |
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最期まで利用者を支援するためにはどのような条件整備が必要なのか、関係者が知恵を出し合って対応策を検討することが大切。 |
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