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(4)介護サービス利用意向調査について

 介護サービスの将来推計においては、市町村における「介護サービス利用意向調査」「介護サービス提供能力調査」「事業者参入意向調査」等の実施が考えられるが、このうち「介護サービス利用意向調査」は、現に介護保険にかかる介護サービスを利用している要介護者の意見を反映する調査が想定できる。
 この「介護サービス利用意向調査」については、市町村において独自に企画実施されるものであるが、多くの市町村から基本的な調査項目等の提示を求める要望が寄せられていることから、今回参考として示すものである。
 例示する調査は、「居宅サービス利用者に対する利用意向調査」及び「サービス未利用者に対する利用意向調査」とし、前者については調査票(案)についても示した。
 なお、「介護サービス利用意向に関する調査」は、市町村における独自の方法によることで差し支えない。

1 居宅サービス利用者に対する利用意向調査

ア 調査の目的

○ 介護サービスの利用意向を把握し、市町村として今後目指すべきサービス基盤の方向性を検討し、給付の将来推計の基礎資料を得ることを目的とする。

○ 具体的には、現在利用しているサービス量と本来利用すべきサービス(以下「目標サービス」という。)量を把握する。

イ 調査の実施方法

○ この調査は、訪問聞き取り調査として実施することを前提とする。

○ 訪問調査員は、利用者を担当する介護支援専門員が調査員となることを想定する。

ウ 調査項目等

別紙「介護サービス利用意向調査票(例)」のとおり。

エ 調査の対象

○ 調査の対象は、現に居宅サービスを利用している者のうち、痴呆対応型共同生活介護利用者及び特定施設入所者生活介護利用者を除いた「標準的居宅サービス利用者」となるが、要介護度ごとの分析に耐えうる程度に抽出調査することも可能である。

○ 抽出調査にあたっては、適切な抽出数を確保するとともに、調査客体に偏りが生じないよう留意する必要がある。

オ 調査時期

○ 平成13年度中の1か月分の実態について把握することを想定している(例えば10月)。

カ 「目標サービス」の内容と記入方法

○ 本調査で把握する「目標サービス」とは、地域のサービス供給量の制限がないと仮定し、次の3つの条件を満たすサービスとした。

(1) 介護支援専門員が、サービス利用者の自立支援及び介護予防のために必要と判断したサービスであること。

(2) 自己負担を考慮した上で、サービス利用者が選択することが想定されるサービスであること。(介護支援専門員がケアプランの趣旨を説明すれば、本人・家族が同意することが想定できる場合を含む。)

(3) 区分支給限度基準額を超えないサービス量であること。

○ 目標サービスの記入にあたっては、実際に目標サービスのプランを作成した上で、原則として、本人・家族と話し合う必要がある。ただし、調査の状況等によって本人・家族と話し合うことが困難である場合には、担当の介護支援専門員の判断で記入することも考えられる。なお、目標サービスは、介護支援専門員がサービス利用者にとって必要と判断し、サービス利用者が選択することが想定されるサービスであるため、サービス利用者が現に希望しているサービスとは異なる場合がある。

2 サービス未利用者に対する利用意向調査

ア 調査の目的

○ サービス未利用者の状況を把握し、市町村として今後目指すべきサービス基盤の方向性を検討し、給付の将来推計の基礎資料を得ることを目的とする。

○ 具体的には、給付の将来推計において、平成15年度から平成19年度の期間の要介護度ごとの居宅サービス利用者割合を見込む際に、本調査で得られた未利用者の状況・意向を参考とする。

イ 調査の実施方法

○ 調査実施の困難を勘案し、調査内容によっては訪問面接調査ではなく、郵送法あるいは留め置き法等の簡易な方法で実施することも考えられる。

○ いずれの場合も、調査を受ける住民側の負担を勘案して、必要最小限の質問項目とすることが適切である。

ウ 調査項目等(想定できる調査項目の例示)

3 特別養護老人ホーム入所申込者の状況把握について

 介護保険制度施行後の状況においては、

(1) 入所申込みは各施設に対して直接行われ、複数の施設に申込みを行うことも自由であること、

(2) 直ちに入所の必要がない高齢者も入所申込みを行っている実態があること等から、

 入所申込みが行われていても、実際に自分の番が回ってきた時には入所を断るケースが多く、本当に入所の必要性のある者を正確に把握することが非常に困難になっている状況にある。

 実際に、各保険者において入所者の状況を適切に把握するためには

(1) 各施設の入所申込者名簿を突合して重複申込分を排除し、

(2) 個別の申込者の状況を把握して特別養護老人ホームへの入所の必要性を評価する

必要がある。

 特別養護老人ホームの入所希望者が急増している市町村・都道府県においては、第2期介護保険事業計画等の作成に向けた各種の実態調査の一つとして、利用者本人の意向を含めた、入所申込者の実態調査等を行うことが考えられる。

 もとより、介護保険の給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならないとされており、介護保険事業計画等においても、被保険者の希望を最大限に尊重しながら、居宅サービスを重視することに十分配慮される必要がある。したがって、単に「入所申込者」の数が多いことのみをもって、特別養護老人ホームの整備の必要性が高いと判断できるものではなく、在宅サービスの利用比率を高めるよう居宅サービスの充実を図る必要があるものと考えられる。


(参考)

特別養護老人ホーム入所対象者の把握調査のイメージ

イメージ図


別紙

介護サービス利用意向調査票(例)

記入上の留意点

本調査票は、担当のケアマネジャーが記入してください。
「1.利用者の状況」の記入にあたっては、把握している現状で記入してください。不明である項目については、本人又は家族等に確認して記入してください。
平成13年○月○日現在、要介護度の変更申請を行っている等の理由で、要介護度が確定していない場合は、直近の要介護認定で認定された要介護度としてください。
本調査の「介護者」はホームヘルパー等の業務として介護を行う者は含みません。
「2.居宅サービスの利用実績」は、サービス利用票等を利用し、平成13年○月の実態を記入してください。(キャンセル等による、月内の一時的なサービスの増減は含める必要はありません。)
「3.居宅サービスの利用意向」は、地域のサービス供給量に制限がないと仮定し、区分支給限度基準額の範囲で、本人負担額を勘案して、当該利用者に必要な目標サービスを作成した場合に必要となるサービス量及び単位数を記入してください。現状のサービス利用で十分である場合には、現状と同じサービス量を記入してください。
「訪問介護」のサービス量は、身体介護・家事援助・複合型等のサービス種類に関係なく、1回の訪問を1とカウントしてください。
「訪問入浴介護」のサービス量には、清拭・部分浴による訪問入浴介護についても含めてください。
「訪問看護」のサービス量には、計画的な訪問による介護保険の訪問看護のみを記入し、緊急時訪問看護及び医療保険による訪問は含めないでください。
「短期入所生活介護」「短期入所療養介護」のサービス量には、振り替え利用による利用日数を含めてください。
居宅療養管理指導は、医師又は歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士等のいずれかが行う居宅療養管理指導を利用する場合に「有」としてください。
「利用者負担額」には、希望サービス量を利用した場合の自己負担額(1割の自己負担分から、公費負担医療等から給付される額を引いた額。)を記入してください。

利用者の状況


住居サービスの利用実績


住居サービスの利用意向


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