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(2)介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(基本指針)の改正の方向性について

 介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(平成11年5月厚生省告示第129号)(基本指針)は、第2期介護保険事業計画等の作成に対応するため、平成14年度の早い時期に改正することを想定しているが、以下には、今後改正が検討されると思われる箇所について示すものである。
 なお、検討案は、現時点で想定されるものであり、今後の検討等により変更されることもあり得る。


[検討案(本文)]

(※下線は、改正部分)

第1 介護給付等対象サービスを提供する体制の確保に関する基本的事項

1 基本的理念

2 市町村相互間の連携及び市町村と都道府県との間の連携に関すること

3 介護給付等対象サービスに係る人材の確保及び資質の向上に関すること

4 地域における総合的な保健医療サービス及び福祉サービスの提供に関すること

第2 介護保険事業計画の作成に関する事項

1 介護保険事業計画の作成に関する基本的事項

(1) 達成しようとする目的及び地域の実情に応じた特色の明確化

 介護保険制度において介護保険事業計画を作成する意義を踏まえるとともに、各々の市町村又は都道府県における地域的条件の特殊性及び地域づくりの方向性を勘案して、達成しようとする目的及び地域の実情に応じた特色が明確にされた計画を作成することが必要である。この場合においては、現行の介護保険事業計画及び老人保健福祉計画(老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)に規定する老人福祉計画及び老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)に規定する老人保健計画をいう。以下同じ。)の作成又は推進に係る課題を分析し、かつ評価して、この結果を介護保険事業計画の作成に活用することが必要である。

(2) 介護保険事業計画の作成のための体制の整備

 介護保険事業計画を作成するに当たっては、そのための体制の整備を図ることが必要である。この場合においては、現に介護サービスを利用している要介護者等を含む被保険者の意見の反映に配慮することが必要である。

(1)市町村及び都道府県の関係部局相互間の連携

(2)介護保険事業計画作成委員会等の開催

 介護保険事業の運営については、幅広い関係者の協力を得て、地域の実情に応じたものとすることが求められる。このため、学識経験者、保健医療関係者、福祉関係者、被保険者代表者、費用負担関係者等の参加を得て、介護保険事業計画作成委員会等を開催することが必要である。この場合においては、事務を効率的に処理するため、既存の審議会等を活用しても差し支えない。
 なお、介護保険事業計画を作成する過程では、その他の専門家及び関係者の意見の反映にも配慮するとともに情報公開等について配慮することが必要である。

(3)被保険者の意見の反映

(4)市町村と都道府県との間の連携

(3) 要介護者等の実態に関する調査の実施

 市町村は、要介護者等の実態を踏まえ、介護給付等対象サービスの需要を把握した上で市町村介護保険事業計画を作成するため、要介護者の実態に関する調査等を行うことが必要である。また、都道府県は、要介護者等の実態に関する調査等が円滑に行われるよう、市町村に対する助言に努めるとともに、都道府県が指導監督等を行うものとされている病院、診療所、介護老人保健施設等の利用者に関する調査等を行う場合においては、関係者相互間の連絡調整を含め、積極的に協力することが必要である。
 なお、介護給付等対象サービスの供給についても、市町村は、都道府県と連携して、これを把握することが必要である。

(4) 圏域の設定

(5) 他の計画との関係

(1)老人保健福祉計画との調和

(2)市町村の基本構想との調和

2 市町村介護保険事業計画の作成に関する基本的事項

 市町村介護保険事業計画において定める事項は、次に掲げる事項その他の別表第一に掲げる事項とする。

(1) 各年度における介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み

 計画作成時点における介護給付等対象サービスの給付実績について分析評価を行い、利用意向等を把握したうえで、参酌標準(市町村介護保険事業計画において介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込みを定めるに当たって参酌すべき標準として別表第二に掲げるものをいう。以下同じ。)を参考として、各年度における介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込みを定めるとともに、その考え方を示すことが必要である。この場合においては、可能な限り、寝たきり、痴呆等の予防のためのサービスの提供の効果を考慮することが望ましい。

(2) 介護給付等対象サービスの種類ごとの見込量の確保のための方策

(3) 介護給付等対象サービスの円滑な提供を図るための事業に関する事項

(4) 市町村特別給付及び保健福祉事業

(1)市町村特別給付

 市町村特別給付を行う市町村においては、地域の特色に応じて、適切に、各年度における当該市町村特別給付の対象となるサービスの種類ごとの量の見込み、見込量を確保するための方策その他の事項を定めることが望ましい。

(2)保健福祉事業

 保健福祉事業を行う市町村は、その事業の内容等について定めることが望ましい。

3 都道府県介護保険事業支援計画の作成に関する基本的事項

(1) 介護給付等対象サービスの量の見込み

(1)圏域を単位とする広域的調整

(2)市町村介護保険事業計画との整合性の確保

(2) 介護給付等対象サービスを提供するための施設の整備に関する事項

(3) 介護給付等対象サービスに従事する者の確保又は資質の向上に資する事業に関する事項

(4) 介護給付等対象サービスの円滑な提供を図るための事業に関する事項

4 その他

(1) 介護保険事業計画の作成の時期

 市町村介護保険事業計画については、平成十五年度からの第二期の計画に基づく介護給付等対象サービスにかかる給付となることにかんがみ、平成十四年度中に作成することが必要である。また、被保険者としての地域住民に対する介護保険事業の趣旨の普及啓発に資するよう、介護給付等対象サービスの量の見込みを平成十四年度前半に中間的に取りまとめることが望ましい。
 また、都道府県介護保険事業支援計画については、平成十四年度において、市町村が介護保険事業特別会計に係る予算を円滑に編成することができる時期に作成することが必要である。

(2) 介護保険事業計画の期間及び見直しの時期

 介護保険事業計画は、五年を一期とするものとされているため、 平成十五年度からの第二期介護保険事業計画については、平成十五年度から平成十九年度までを期間として作成することとなる。
 また、保険料率は、おおむね三年を通じ財政の均衡を保つものでなければならないものとされているため、その算定の基礎となる介護保険事業計画については、三年ごとに作成するものとされている。このため、第三期介護保険事業計画については、第二期介護保険事業計画にかかる必要な見直しを平成十七年度までに行った上で、平成十八年度から平成二十二年度までを期間として作成することとなる。

(3) 介護保険事業計画の達成状況の点検

(4) 介護保険事業計画の公表

第3 その他介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するために必要な事項

1 介護保険事業の趣旨の普及啓発

 介護保険制度の健全かつ円滑な運営を図るためには、国民の理解及び協力を得ることが求められる。このため、市町村及び都道府県は、被保険者としての地域住民に対し、介護保険事業に関する情報の提供等の介護保険事業の趣旨の普及啓発を図ることが必要である。

2 この指針の見直し

 この指針は、平成十五年度からの第二期介護保険事業計画の作成に資するよう定めたものである。このため、この指針については、介護保険法の施行状況等を勘案して、必要な見直しを行うものとする。

〇別表第1(市町村介護保険事業計画において定める事項)

事項 内容
九の二 市町村特別給付及び保健福祉事業  市町村特別給付の対象となるサービスの種類ごとの量の見込み、見込量を確保するための方策その他の事項を定めること。
 保健福祉事業の内容等について定めること。

(注)市町村特別給付及び保健福祉事業については、これらを行う市町村においては、右欄の事項を定めることが望ましい。



[検討案(参酌標準)]

〇居宅サービス及び居宅介護支援

1 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション及び通所介護又は通所リハビリテーション並びに短期入所生活介護又は短期入所療養介護

 次に掲げる組合せを標準として、現に利用している者の数及び居宅要介護者等の利用に関する意向を勘案して、量の見込みを定めること。

 (表:省略)

2 居宅療養管理指導及び福祉用具貸与並びに居宅介護支援

居宅療養管理指導 居宅要介護者等(通院が困難である等の状態にあるものに限る。)が原則として主治医による医学的管理を利用することを前提として、現に利用している者の数及び居宅要介護者等の用に関する意向を勘案して、量の見込みを定めること。
福祉用具貸与 車いす、特殊寝台、歩行器等の主要な福祉用具について、居宅要介護者等の要介護状態区分及び状態像に応じて、現に利している者の数及び居宅要介護者等の利用に関する意向を勘して、量の見込みを定めること。
居宅介護支援 居宅要介護者等が原則として利用することを前提として、居宅要介護者等の数を勘案して、量の見込みを定めること。

3 痴呆対応型共同生活介護及び特定施設入所者生活介護

痴呆対応型共同生活介護
特定施設入所者生活介護
 痴呆対応型共同生活介護は、要介護者であって痴呆の状態にあるものの数、現に利用している者の数及び利用に関する意向を勘案して、量の見込みを定めること。

 特定施設入所者生活介護は、現に利用している者の数を勘案して、量の見込みを定めること。

 痴呆対応型共同生活介護及び特定施設入所者生活介護の利用者の総数の見込みについては、目標年度における65歳以上人口のおおむね〇.〇%を目標として、定めることが望ましい。この場合においては、目標年度における65歳以上人口に対する75歳以上人口の割合の見込みを勘案した補正を行うことが望ましい。

〇 施設サービス

介護福祉施設サービス
介護保健施設サービス
介護療養施設サービス
介護保険施設の利用者の総数の見込みについては、目標年度における65歳以上人口のおおむね〇.〇%を標準として、地域の実情に応じて定めることが適当である。この場合においては、目標年度における65歳以上人口に対する75歳以上人口の割合の見込みを勘案した補正を行うことが望ましい。

 指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び指定介護療養型医療施設のそれぞれの利用者の数の見込みについては、それぞれ目標年度における65歳以上人口のおおむね〇.〇%、〇.〇%及び〇.〇%を参考として、地域の実情に応じて定めることが適当である。


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