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(1)第2期介護保険事業計画等の作成の基本的な考え方及び今後のスケジュールについて

 市町村介護保険事業計画は、当該市町村が行う介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施に関する計画であり、都道府県介護保険事業支援計画は、介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施の支援に関する計画である。いずれも介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)に即して、3年ごとに、5年を1期とする計画とされる。

 平成15年からの第2期の市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画(以下「第2期介護保険事業計画等」という。)は、地域における介護サービスの浸透など、制度施行後3年間の実績を踏まえた介護保険制度全般の円滑な実施を目指す内容となるものである。

 第2期介護保険事業計画等は、介護保険制度が実施されている状況の下で初めて策定されるものであるため、「政策評価」の視点から、現計画で設定した具体的な目標(計画)値に対する実績の評価分析を十分に行い、これを踏まえ、具体的な政策目標を掲げた計画とする必要がある。

 また、介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み方法は、給付実績をもとに次のような手順によるものと思われる。

(1) 介護給付等対象サービスの給付実績(要介護度別の介護サービスの給付状況等)を把握する。

(2) 介護給付等対象サービスの給付実績を基礎とし、参酌標準を参考として、要介護状態区分ごとの目指すべき将来の介護給付等対象サービスの給付について将来推計を行う。 (3) 将来推計は、介護サービスの利用率等の変化等を勘案し、今後の政策の方向性を定め、要介護状態区分ごとの介護サービスの給付の見込み量を推計する。

(4) 上記の給付の見込み量から、各年度における介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込みを定める。

 また、将来推計においては、参酌標準を参考としつつ、実際に給付されるものと判断される介護給付等対象サービスの量を適切に見込むことが必要である。そのため、平成13年度下期における介護保険事業計画等の作成作業の要点は、おおむね次のようなものになると思われる。

(1) 介護保険給付分析を徹底して行うこと。
 例えば、 ・給付状況とサービス供給の関係、要介護度別サービス利用と標準サービス例、利用者意向の変化等

(2) 市町村(保険者)において必要と思われる調査を実施すること。
 例えば、 ・介護サービス利用意向、介護サービス提供能力、事業者参入意向等(※これらは、他の方法により代替が可能である。)

(3) 前回の市町村介護保険事業計画に基づき、平成12年度における計画の達成状況を点検する。さらに、この結果に基づいて対策等を検討し、実施すること。

 なお、参酌標準は、平成14年度の早い時期に改正する方向であるが、現時点では、次の点について検討することを想定している。

ア 居宅サービスについては、サービスの組合せの標準を勘案する際、給付の実績を考慮する必要があるため、「現に利用している者の数」についても勘案する必要があること。

イ 福祉用具の貸与については、給付の実績を考慮する必要があるため、「現に利用している者の数」についても勘案する必要があること。

ウ 痴呆対応型共同生活介護及び特定施設入所者生活介護については、給付の実績を考慮する必要があるため、「現に利用している者の数」についても勘案する必要があること。また、居所を移して利用するサービスであり、施設サービスと居宅サービスとの中間的なサービスといえることから、(1)量を直接見込む方法のほかに、(2)施設サービスと同様な目標を定めることも可能とする必要があること。

エ 施設サービスについては、実際に給付されるものと判断される介護給付等対象サービスの量を適切に見込むことが必要であること。また、3施設(指定介護老人福祉施設・介護老人保健施設・指定介護療養型医療施設)の利用者数の見込みは、それぞれ目標年度における65歳以上人口に対する比率とすること。

[給付分析ソフトの活用について]

 本年6月に全国の市町村へ配布した「給付分析ソフト」を活用した介護保険給付分析の事例集を作成したので、近日中に、都道府県を通じて市町村(保険者)へ配布する予定である。

(タイトル)
「介護保険給付分析ソフト」の活用方法と活用事例

(目次)
第1章 介護保険事業計画と介護保険給付分析について

第2章 介護保険給付分析研究レポート(日本福祉大学教授 平野隆之)

第3章 「介護保険給付分析ソフト」活用事例

1 給付分析ソフトと市独自のデータを併用して分析
  (東京都武蔵野市・滋賀県彦根市)
2 他自治体とのデータ比較を足がかりとして課題を分析
  (滋賀県湖東町・和歌山県御坊市・福岡県大牟田市)
3 「分析ソフト」活用による問題点の発掘と解決へ向けての対策
  (愛知県高浜市)

第4章 「介護保険給付分析ソフト」の利用マニュアル

1 分析ソフトの考え方
2 インストール手順
3 操作方法
4 利用に関するQ&A
発行: 地域ケア政策ネットワーク(C2P)

※給付分析ソフト

 国民健康保険団体連合会から提供される「保険者向け給付実績情報」を簡便に解析するソフトウエア(CD−ROM)で、中小規模市町村(保険者)向けのものとして、本年6月に都道府県を通じて全国の市町村へ配布した。
 若干の制約はあるものの、第2期介護保険事業計画の作成のための基礎的な給付分析に対して有効と思われる。
 平成14年2月〜3月ごろには、年度集計を可能とするなどの若干の改良を行った改定版(最終版)を配布する方向で検討中である。



介護保険事業(支援)計画の作成スケジュール(案)

介護保険事業(支援)計画の作成スケジュール(案)の図


[今後のスケジュールについて]

 現時点で想定される介護保険事業計画等の改定スケジュールは次のとおりである。

1 平成13年度

(1)平成13年10月頃

都道府県・市町村への技術的支援の開始
 (質問等への対応ほか)
市町村・計画作成準備体制の整備
 (関係部局間の連携・作成委員会等・被保険者の意見反映の検討・都道府県との連携)
・給付分析をもとにした実態調査等の企画実施
 (介護サービス利用意向調査、介護サービス提供能力調査、事業者参入意向調査ほか)

(2)平成14年2月〜3月頃

厚生労働省 ・基本指針(改正案)の提示
・老人保健福祉計画の見直しの基本的な考え方の提示
・「給付分析ソフト(改訂版)」の配布
・介護保険事業計画におけるサービス量の見込み等の算出手順(中小規模市町村向けワークシート等)の提示

2 平成14年度

(1)平成14年4月頃

厚生労働省・基本指針の一部改正(告示)
都道府県・(都道府県基本指針の提示)
・市町村への技術的支援の本格化
市町村・計画作成作業の本格化

(2)平成14年6月頃

厚生労働省 ・介護サービス量等の見込み(中間値)のとりまとめ
都道府県・介護サービス量等の見込み(中間値)のとりまとめ
市町村・(平成13年度の保険給付に対する分析・評価)
・介護サービス量等の見込み(中間値)のとりまとめ

(3)平成14年10月頃

厚生労働省 ・介護サービス量等の見込み量(最終見込み値)のとりまとめ
都道府県・介護サービス量等の見込み量(最終見込み値)のとりまとめ
市町村・介護サービス量等の見込み量(最終見込み値)のとりまとめ

(4)平成14年12月頃

厚生労働省 ・介護サービス量等の見込み量(最終見込み値)の集計結果の公表
・ゴールドプラン21の見直し(サービス量等(最終見込み値)の公表)

(5)平成15年3月頃

都道府県 ・介護保険事業支援計画の策定
・      同       の議会報告
・      同       の国への提出
市町村・介護保険事業計画の策定
      同      の議会報告
・介護保険条例の一部改正(保険料率の改正等)
・介護保険事業計画の都道府県への提出


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