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1 10月からの保険料の本来額徴収等について

(1)本来額の徴収に向けた取組

 第1号被保険者の保険料については、本年10月から、本来額の徴収が始まるところである。
 このため、各自治体におかれては、各種広報活動や説明会の開催、相談体制の整備などについて、格段の御努力をいただき、こうした取組により、これまでに、第1号被保険者の理解がしだいに進んできていると認識している。
 今後とも、(1)高齢者の保険料は、給付費の平均1/6程度に抑えられていること、(2)残りの給付費は公費や若年世代である第2号被保険者からの保険料で賄われていること、(3)第2号被保険者は、法施行当初から本来の保険料を支払っていることなどについて十分周知するなど、介護を国民皆で支え合う介護保険制度の趣旨や保険料納付の必要性等について、被保険者の理解が得られるよう、取組の継続をお願いしたい。

(2)制度の趣旨に即した保険料徴収の徹底について

 低所得者である第1号被保険者の保険料を単独で減免する市町村が一部にみられるが、これまでも申し上げてきたとおり、介護保険制度は、介護を国民皆で支え合おうとするものであり、保険料を支払った者に対して必要な給付を行うものであることから、

(1) 保険料の全額免除、
(2) 収入のみに着目した一律の減免、
(3) 保険料減免分に対する一般財源の繰入
は、適当ではないと考えている。
 引き続き、制度の趣旨に即した保険料徴収の徹底について、特段の御配慮をお願いしたい。

(3)滞納者に対する保険給付上の措置について

 本年10月からは、保険料を1年間滞納した結果、保険給付の償還払い化が講じられる事例も生じるところである。
 このため、現在、各自治体においては、保険給付上の措置についての周知徹底のほか、サービス利用中の滞納者に対する納付相談などに御尽力いただいているところであるが、引き続き、保険給付上の措置が講じられる前にできる限り被保険者が納付していただくよう、各般の取組についてお願い申し上げる。
 なお、滞納者に対する保険給付上の措置について、新たに別添のとおりQ&Aを作成したので、参照されたい。

(4)特別徴収について

 介護保険料の特別徴収について、社会保険庁その他の特別徴収義務者に対する通知に誤りのある市町村が一部にあり(例:日付設定を誤っているもの、特別徴収対象者をなしとしているもの、本来額ではなく半額のままとしているものなど)、特別徴収義務者において特別処理により対応をせざるを得ない事例もみられる状況にある。
 このため、保険料の特別徴収の手続が円滑に行われるよう、管内市町村に対し、適切な事務処理の実施について改めて指導をお願いしたい。

(5)訪問通所サービスと短期入所サービスとの支給限度額の一本化について

 訪問通所サービスと短期入所サービスの支給限度額の一本化については、平成14年1月からの実施に向け、鋭意準備が行われており、来月には、国民健康保険中央会によるインターフェーステストの実施が予定されている。
 各自治体においては、制度実施が円滑に行われるよう一層の御配慮をいただくとともに、平成14年1月において、サービス事業者・居宅介護支援事業者が混乱を招かず円滑に事業実施ができるよう、指導・監督方宜しくお願い申し上げる。
 また、14年1月以降の介護給付費請求書等の記載要領について、追って別添の通知(案)を正式に発出する予定である。

(6)介護保険事業の広域化の推進について

 介護保険事業の安定的な運営を図るとともに、事務の効率的な処理を行うためには、事業の広域化を図ることは重要である。平成15年度からの次期事業運営期間の開始を踏まえ、各市町村において、新たな事業計画の検討に併せて、広域連合などの検討を行うことは、大きな意義を有するものであり、都道府県におかれても、こうした取組を行う市町村に対する情報提供や助言等をお願いしたい。
 なお、事業の広域化を図るための手法としては、広域連合などのほか市町村合併もある。市町村合併については、政府の市町村合併支援本部において、本年8月30日に「市町村合併支援プラン」を決定したところであるが、厚生労働省においても、平成14年度予算概算要求において、「介護保険広域化支援事業」の対象に、市町村合併を図る予定の市町村を新たに含めることとしたところである。
 また、広域化のアンケートを毎年実施しているところであるが、現在までの広域化の状況や15年度からの次期事業運営期間に向けての広域化等の進捗状況を含めたアンケートを年内を目途に実施する予定であるので、御協力願いたい。


(参考)

13年度に保険財政運営まで広域化した地域

(1)岩手県 久慈広域連合

ア 構成市町村:久慈市、普代村、野田村、山形村、大野村
イ 発足時期:平成13年4月
ウ 都道府県からの支援:事業計画策定に必要な会議及び印刷製本等に要する経費の補助先進地の事例紹介並びに助言等

(2)茨城県 新治地方広域行政組合

ア 構成市町村:霞ヶ浦町、八郷町、千代田町、新治村
イ 発足時期:平成13年4月
ウ 都道府県からの支援:担当者会議への県職員の出席及び助言等<

(3)岡山県 邑久広域連合

ア 構成市町村:牛窓町、邑久町、長船町
イ 発足時期:平成13年4月
ウ 都道府県からの支援:保険料率算定及び事業計画の策定に関する助言等

(4)広島県 神石広域事務組合

ア 構成市町村:油木町、神石町、三和町、豊松村
イ 発足時期:平成13年4月
ウ 都道府県からの支援:事業計画策定に必要な会議及び調査等に要する経費の補助、先進地の事例紹介並びに助言等

(5)鹿児島県 日置広域連合

ア 構成市町村:市来町、神石町、伊集院町、松元町、郡山町、日吉町、吹上町
イ 発足時期:平成13年4月
ウ 都道府県からの支援:担当者会議への県職員の出席及び助言等

※1 上記のうち、従来から広域連合等が存在していたのではなく、介護保険業務を実施するために新たに広域化した地域:久慈広域連合、邑久広域連合、日置広域連合
※2 保険財政運営までの準備期間:平均15ヶ月
※3 上記のうち、広域化に伴い保険料統一を実施した地域:新治広域行政組合、神石広域事務組合(その他は広域化前から広域化を見越して同一の保険料としていたもの)


<保険料滞納者に対する保険給付の制限等に係るQ&A vol.2>

(問1)支払い方法の変更(償還払い化)を受けている被保険者について、滞納しているすべての保険料の徴収権が時効により消滅した場合、当該支払い方法変更の措置は終了することとなるのか(給付額減額のみの措置となるのか)?

(回答)
 未納保険料が複数の納期分ある場合、最も古い納期に係る保険料に先充てしていくのが原則であり、基本的にはご指摘のようなケースは発生しない(時効により徴収権が消滅しているのに、1年以上2年未満の滞納がないというのは想定しにくい)と考えているが、例外的にこうしたケースが発生した場合には、貴見のとおりである。 

(問2)償還払い化の措置が講じられた月に、例えば1か月分だけ保険料を納付して滞納保険料が11か月分となった場合には、当該措置は解除されるのか?

(回答)
 滞納保険料の一部の納付により、保険料の滞納分が1年以下相当となった場合には、その一部の納付が「滞納保険料の著しい減少」に該当するか否かを市町村においてご判断の上、解除を決定すべきものである。 

(問3)月途中で償還払い化の措置が開始された場合、当該月に提供された居宅介護サービス計画費については、報酬上日割り計算が不可能であるため、その月の給付はすべて償還払い化されるのか?

(回答)
 介護保険法第66条第4項の規定により、要介護被保険者等は支払い方法変更の記載を受けた場合にはじめて償還払い化されるものである。日割り計算ができない居宅介護(支援)サービス計画費について、月途中で償還払いとなった場合、当月分は償還払い化の措置を適用しない。 

(問4)ヘルパー3%措置や社会福祉法人の軽減措置に係る公費負担は、保険給付の一時差止の際には、同様に差し止めてよいか?また、当該公費から滞納保険料を控除する取扱いは可能か?

(回答)
 一時差止の場合には、ヘルパー3%措置や社会福祉法人の軽減措置に係る公費負担分についても、これに併せ給付を繰り延べすることが適当と考えられるが、滞納保険料の控除については、法第67条第3項の規定により、保険給付分から行うこととされており、公費負担分から滞納保険料を控除することはできないものである。 

(問5)償還払いにより給付している居宅介護(支援)住宅改修費、居宅介護(支援)福祉用具購入費は、保険給付の一時差止の対象としてよいか?また、当該給付から滞納保険料を控除する取扱いは可能か?

(回答)
 保険給付の一時差止は償還払い化されている保険給付について行われるものであり、居宅介護住宅改修費等の支給の場合であっても対象となるものである。また、滞納保険料の控除については、償還払い化の措置を被保険者証に記載した上で、行うことができるものである(法第67条第3項)。 

(問6)一時差止に係る保険給付の額から滞納している保険料額を控除する際には、延滞金分も控除できるのか。

(回答)
 法67条第3項の規定により、滞納している保険料額を控除するとされており、保険給付の額から延滞金分まで控除することはできないものである。
 この点について、平成10年4月21日全国介護保険担当課長会議資料等の記述は変更する。

(参考)平成10年4月21日課長会議資料(抄)
○ 控除を行う場合には、被保険者に対して以下の事項について事前に通知することが必要。
a.滞納保険料の控除を行う旨及び根拠条文
b.控除される給付費の内容(どのサービスに係る費用か)及び滞納保険料控除後の支給額
c.控除する保険料額及び納期並びに延滞金の額

※ 控除される給付費には利子は付さない。
  控除する保険料には延滞金などの利子を付す。

※ (滞納保険料+延滞金)に一時差止めに係る給付費の総額が満たない場合には、 延滞金納期の古い滞納保険料額 の順に充当する。

→ 上記中、「延滞金」についての記述(下線部分)は削除していただきたい。

(問7)国保の世帯主が2号保険料を滞納している場合、償還払い化や給付の一時差止措置は当該世帯の他の第2号被保険者にも適用すべきか?

(回答)
 法第68条第1項により、納付義務が課せられている者でなければ、償還払い化等の措置を行うことはできないものである。


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