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総  則


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T. 総  則

1.目  的
 病院会計準則は、すべての病院を対象に、会計の基準を定め、病院の財政状態及び運営状況を適正に把握し、病院の経営体質の強化、改善向上に資することを目的とする。

2.適用の原則
 (1)病院会計準則は、病院ごとに作成される財務諸表の作成基準を示したものである。
 (2)病院会計準則において定めのない取引及び事象については、開設主体の会計基準及び一般に公正妥当と認められる会計の基準に従うものとする。
 (3)病院の開設主体が会計規則を定める場合には、この会計準則に従うものとする。

3.会計期間
 病院の会計期間は一年とし、開設主体が設定する。

4.会計単位
 病院の開設主体は、それぞれの病院を会計単位として財務諸表を作成しなければならない。

5.財務諸表の範囲
 病院の財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書及び附属明細表とする。



U.一般原則

1.真実性の原則
 病院の会計は、病院の財政状態及び運営状況に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。(注1

2.正規の簿記の原則
 (1) 病院は、病院の財政状態及び運営状況に関するすべての取引及び事象を体系的に記録し、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
 (2) 病院の会計帳簿は、病院の財政状態及び運営状況に関するすべての取引及び事象について、網羅的かつ検証可能な形で作成されなければならない。
 (3)病院の財務諸表は、正確な会計帳簿に基づき作成され、相互に整合性を有するものでなければならない。(注2)(注4
 
3.損益取引区別の原則
 病院の会計においては、損益取引と資本取引とを明瞭に区別し、病院の運営状況を適正に表示しなければなならない。(注3

4.明瞭性の原則
 病院の開設主体は、財務諸表によって、必要な会計情報を明瞭に表示し、病院の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。
 (注4)(注5)(注7)(注8

5.継続性の原則
 病院の会計においては、その処理の原則及び手続きを毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。(注5)(注6

6.保守主義の原則
 (1)病院の開設主体は、予測される将来の危険に備えて、慎重な判断に基づく会計処理を行なわければならない。
 (2)病院の開設主体は、過度に保守的な会計処理を行うことにより、病院の財政状態及び運営状況の真実な報告をゆがめてはならない。 
                                              
7.重要性の原則
 病院の会計においては、会計情報利用者に対して病院の財政状態及び運営状況に関する判断を誤らせないようにするため、取引及び事象の質的、量的重要性を勘案して、記録、集計及び表示を行わなければならない。(注4)(注5)(注7)(注8)
 
8.単一性の原則
 種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために、事実の真実な表示をゆがめてはならない。



一般原則注解

(注1)真実性の原則について
  病院経営の効率化を図るためには、異なる開設主体間の病院会計情報の比較可能性を確保する必要があり、真実な報告が要請される。

(注2)正規の簿記の原則について
  キャッシュ・フロー計算書は、病院の財務諸表を構成する書類の一つであり、基本的には正確な会計帳簿に基づき作成されるべきものである。

(注3)損益取引区別の原則について
  病院会計における損益取引とは、収益又は費用として計上される取引を指し、資本取引とはそれ以外に純資産を増加又は減少させる取引をいう。

(注4)重要性の原則の適用について 
 1.重要性の乏しいものについては、本来の会計処理によらないで、合理的な範囲で他の簡便な方法によることも、正規の簿記の原則に従った処理として認められる。
 2.重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用され、本来の財務諸表の表示方法によらないで、合理的な範囲で他の簡便な方法によることも、明瞭性の原則に従った表示として認められる。

(注5)重要な会計方針について
  財務諸表には、重要な会計方針を注記しなければならない。会計方針とは、病院が貸借対照表、損益計算書及びキャッシュ・フロー計算書の作成に当たって、その財政状態及び運営状況を正しく示すために使用した会計処理の原則及び手続き並びに表示の方法をいう。会計方針の例としては、次のようなものがある。
    @ 有価証券の評価基準及び評価方法
    A たな卸資産の評価基準及び評価方法
    B 固定資産の減価償却の方法
    C 引当金の計上基準
    D 収益及び費用の計上基準
    E リース取引の処理方法
    F キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲
    G 消費税等の会計処理方法
    H その他重要な会計方針

(注6)会計方針の変更について
  会計方針を変更した場合には、その旨、理由、影響額等について注記しなければらない。会計方針変更の例としては、次のようなものがある。
    @ 会計処理の原則又は手続きの変更
    A 表示方法の変更

(注7)重要な後発事象について
  財務諸表には、貸借対照表、損益計算書及びキャッシュ・フロー計算書を作成する日までに発生する重要な後発事象を注記しなければならない。
  後発事象とは、貸借対照表日後に発生した事象で、次期以後の財政状態及び運営状況に影響を及ぼすものをいう。
  重要な後発事象を注記として開示することは、当該病院の将来の財政状態及び運営状況を理解するための資料として有用である。
  重要な後発事象としては、次のようなものがある。
    @ 火災・出水等による重大な損害の発生
    A 重要な組織の変更
    B 重要な係争事件の発生又は解決

(注8)追加情報について
  土地・建物等の無償使用等を行っている場合、その旨、その内容について注記しなければならない。



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