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都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等の評価について(平成28年度)

 厚生労働省大臣官房地方課は、平成28年度の都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、次のとおり評価を行ったところです。
 また、当該評価結果については、外部の有識者が参画する地方支分部局法令遵守委員会で意見を頂き、その結果とともに、平成29年9月25日付けで都道府県労働局長あて通知したところです。

厚生労働省大臣官房地方課

 平成29年1月30日付け地方課長通達「平成28年度における内部点検の実施方法について」の記の2の(3)に基づき、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、以下のとおり総括的に評価する。

1 定期的な内部点検結果について

 各労働局における法令遵守の実施状況に係る定期的な内部点検は、「平成28年度 法令遵守チェックリスト」を用いて、各労働局長自ら点検と検証を実施し、当課に報告してきたところである。
 その報告をみると、都道府県労働局法令遵守要綱(平成23年5月31日改定)に基づき、各労働局とも総じて適正に実施し、その効果が定着してきていることが認められる。
 しかし、依然として問題が発生している労働局がみられることから、引き続き、内部点検結果が組織全体で共有され、法令遵守の徹底を全ての職員、非常勤職員に浸透させることが必要である。

  • ○ 適正な会計経理事務等の徹底
    (公印等の適正な管理)
     ・小切手等受払簿について、小切手帳の残枚数と不一致のまま記載されていた事例があった。
    (公共調達の適正化)
     ・入札公告期間が規定よりも短いもの等の事例があった。
    (物品の購入等に係る会計事務手続等の適正化)
     ・予算執行機関の補助者として任命されていない職員が検査を実施していたものや、物品管理が不十分な事例があった。
    (謝金、旅費等の支出の適正化)
     ・支給要件を満たしていなかったにも関わらず赴任旅費を支給するなどの事例があった。
    (勤務時間管理及び超過勤務手当の支給の適正化)
     ・職員や相談員等の勤務時間管理が規則等に基づき適正に行われていない事例があった。
  • ○ 法令遵守に係るチェック体制の強化
    都道府県労働局法令遵守要綱において、毎年度2回以上の開催としている都道府県労働局法令遵守委員会が、年1回の開催に留まった労働局があった。
  • ○ 行政文書の保存
    行政文書の紛失(編綴前に裁断)事例があった。
  • ○ 保有個人情報の管理
    書類の誤送付、誤交付、紛失等保有個人情報の漏えい事案が発生している事例があった。

2 会計事務監査指導結果について

 大臣官房会計課監査指導室における平成28年度一般監査指導は、24労働局(平成27年度は28労働局)に対して実施されたところ、是正等を要するものとして指摘された件数は、91件と前年度(101件)と比較して減少したものの、1労働局あたりで指摘された件数はほぼ前年と同数となっている。
 指摘された事項は、主に次のとおりであり、引き続き、適正な会計経理事務を行うよう徹底することが必要である。

  • ○ 請求のあったときに支出負担行為が行われていない。
  • ○  航空機を使用した旅行について搭乗半券等を証拠書類に添付していない、パック商品使用の証明を添付していない、パック商品不使用の理由書を徴取していない等。
  • ○ 支給要件に当たらない赴任旅費が支給されている。
  • ○ 予決令で定める契約書に記載すべき事項や暴力団排除条項が記載されていない。
  • ○  借り上げ(借り受け)物品について物品管理簿に記載されていない。

3 管理事務及び企画調整事務に係る中央監察結果について

 平成28年度における労働局の管理事務及び企画調整事務に係る中央監察は、25労働局に対して実施された。一部の労働局においては、以下のような問題が認められたことから、引き続き、適正な管理事務について徹底を行う必要がある。

  • ○ 局が実施する内部監査において、前回と同一の指摘を受けている部署があり、前回指摘事項が生じた原因の分析、再発防止対策が不十分であるもの。
  • ○  閉庁日における管理者を含む全職員の登庁状況について、施設の開閉を行った者のみ把握し、その他の登庁者の状況について把握していないもの。
  • ○  非常勤職員の採用面接について、募集署所等の所属職員以外の職員が関与するところ、同一所属内の別組織と解し、認識が不十分であるもの。
  • ○  個人情報の漏えい事案が多年にわたり発生しているが、職員への研修・自己点検・基本動作の指導がなされず、特に個人情報の漏えい事案発生後において局から発生部署に対し再発防止対策の徹底、実施状況の点検など必要な指導がなされていないもの。

4 本省における評価について

 上記1から3を踏まえ、当課においては、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組について、次のように総括的に評価するとともに、改善措置を講ずるよう指示することとする。

(1) 総括的な評価について

  •  各労働局における法令遵守の徹底に係る取組は、概ね適正に実施されていると総括的に評価できるが、会計法令に関する知識の更なる習熟の必要性や、勤務時間管理の適正化、保有個人情報の厳正な取扱い及び漏えい防止対策など、引き続き取り組むべき課題もみられた。
     このため、特に問題点があると認められた労働局に対しては、下記(2)の改善措置を始め、所要の対策を講じさせることとする。

(2) 改善措置について

  1. 職員に対して、公務員倫理や服務規律に関する意識の向上に必要な措置を講ずること。【公務員倫理の徹底と綱紀保持】
  2. 会計法令等に関する知識の習得と浸透のための必要な措置を講ずること。【適正な会計経理事務等の徹底】
  3. 職員や相談員等の勤務時間管理に当たり、規則等に基づく管理と適正な手続きを徹底すること。【勤務時間管理及び超過勤務手当の支給の適正化】
  4. 保有個人情報の取扱いについて、実効性のある漏えい防止対策を実施するとともに、点検や指導等により徹底すること。【保有個人情報の適正な管理】
  5.  会計事務監査指導や中央監察において、是正等を要するものとして指摘された事項は、その後の監査指導等で同様の指摘を受けることのないよう、また、局の内部監査においても、是正等を要するものとして指摘した事項が、その後の内部監査で同一部署がくり返し指摘されることが生じないよう指導を徹底すること。

地方支分部局法令遵守委員会における委員の主な意見(平成28年度)

 平成28年度における各労働局の法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等については、本省大臣官房地方課において、総括的に評価を行ったところである。
 当該評価結果については、平成29年8月4日に開催された外部の有識者が参画する「第28回地方支分部局法令遵守委員会」において、各委員より、下記のような改善点や今後の取組への助言をいただいたところである。

  • ○ 報告内容は大きく変わっていないながらも、指摘等の件数は少しずつ減ってきているとの印象を持ったが、日常の事務に関するミスが多く見受けられる。事案の指摘部分のみを直しても件数は減らない。もともとの原因が何かという確認に引き続き取り組んでいただきたい。
  • ○ ミスの原因は、制度を理解の上できないのか、そもそも理解不十分なのかだが、制度周知が不十分なのであれば、研修やマニュアル整備をしっかりやることに尽きるのではないか。研修不参加者へは研修の模様をDVDに録画して配付する等、効率的・効果的な研修を検討し、これが浸透していけば、もっと効果が期待できるのではないか。
  • ○ 大きな事故はないが手続的ミスがなくならない中、上から言うのではなくて、問題が生じた部署で、そこにふさわしい工夫の仕方について、現場の管理職が重要な役割を果たして皆を巻き込んで対策を考えていくということをやっていくということが必要。
  • ○ 最近は、社会全体だと思うが、当然分かっているだろうと思うことが分かっていない、きちんと筋道立てて教えないと驚くほど分かっていない事例がないわけではない。注意すべきことは注意し、些細なことでも言い続けなければならない。当然分かっているだろうと怒るだけではダメで、丁寧な指導や研修が必要。
  • ○ 個人情報の漏えいについて、再発防止策を講じているが、これによってどういう効果が生じているのか、誤送付などが減るのか、実は労働強化が非常に進んで大変なことになるのか、継続的にチェックすることが必要。また、発生した場合に被害がなかったとしても、間違いがあること自体が行政に対する信頼性を傷つけることになるのではないかと意識を持ち、引き続き気を付けていく必要がある。
  • ○ 非常勤職員は身分が不安定であったり報酬も常勤職員より低い一方、国家公務員としての倫理性は常勤職員と同等に要求するわけであるから、その方々の発想とか印象、考えたことを常勤職員も尊重するという気風を全体で持ち、労働意欲を増す工夫が必要ではないか。アシスタントだから余計なことを言うな、という雰囲気がパワハラに受け取られたり、内部通報につながることもあるのではないか。

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